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2014年
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5月:1,2,3,4,5
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2013年
1月:1,2,3
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10月:1,2,3,4
11月:1,2

2012年
1-1,1-2,1-3,1-4
2-1,2-2,2-3,2-4
3-1,3-2, 3-3
5月:1,2,3,4
6月:1,2,3,4
7月:1,2,3,4
8月:1,2,3,4
9月:1,2,3,4,5
10月:1,2,3,4
11月:1
2014.6.16(月)-17(火) 日本(沖縄)
お父さん最高の笑顔の理由、すっぽんとオクラ

 月曜日はJackoちゃんと私はオクラの収穫、男性陣はうっちん畑の除草作業。相変わらず大雨の中の作業だった。火曜日は曇り、全員でうっちん畑の除草作業。

 まずはこの2日間の間にお父さんが見せてくれた最高の笑顔のショットから紹介しよう。

 火曜日の朝だった。お父さんが「鎌を研ぐのに最高の機械を発掘した」と作業小屋から発掘(他の用事で片づけをしていたら出てきた)した自動鎌研ぎマシーンを誇らしげに見せてくれた。

 「電源を入れると研磨剤のベルトが回って、そこに刃を当てるだけなんだ!」と説明しながら電源を入れてみると、白煙がもくもくとわき出していきなり焦げくさい臭い。どうやら故障してショートしているようだった。

 「いやー、使えると思ったけど駄目だったねぇ」と照れ笑いしながら振り返った瞬間のショットだ。この農園ではこんな事が日常茶飯事なわけだが、いつもお父さんのこの最高の照れ笑いに「しかたないっすよねー!」と何事も穏やかに事が進む。「お父さんの笑顔」はショートしないし壊れにくいのが幸いだ。

 同じく火曜日の夕方、近所の人がスッポンを捕まえたと持ってきてくれた。1週間から1ヵ月真水で飼って泥を吐かせたら食べられるようになるそうだ。

どうする?

 とりあえず、作業用のかごに入れて今後の進退を考えることになった。

 私達ウーファーもかなり写真を撮ったりして興味を持ったが、私達以上に興味しんしんなのは農園の猫達。「食えるのか?やっちゃうか?大丈夫か?」近付いて様子を見たり、近付き過ぎて、グッと伸ばしてきたスッポンの頭にびびって退散したり、ちょっと手を出そうとしたり。その様子を見るのも面白かった。結局、このスッポンはサイズが小さすぎるので裏山の池にリリースされて九死に一生を得たのだった。

 因みにすっぽんは広東語では「水魚」と書きsui yuiと読むそうだ。香港人のJackoちゃんに教わった。スイユゥウーみたいな発音。香港に行ったらメニューで見てみたいものだ。

 最後のショットは火曜日夜の夕食から。

 お母さんおすすめのオクラのおいしい食べ方の一つに丸ごとフライがある。塩・こしょうして小麦粉をはたいたオクラを卵にくぐらせてパン粉をつけて揚げる。まぁ、フライだ。

 サクッとした衣の中に鮮やかなグリーンのオクラ。見た目も美しく、軽やかな食べ口とあっさりした味わいに思わず箸が進む。新鮮なオクラだから特においしかった。

 自宅にいる時はスーパーの見切り品で、黒ずんでしなしなになったオクラなんか買って食べているから、新鮮なのとそうでない物についての差をよーく知っているのだ!


2014.6.18(水) 日本(沖縄)
オクラの収穫

 女性陣はオクラの収穫。オクラには美しい毛虫がいる。可愛そうだがこいつを見たら即刻はさみで切れという指令が出ているので切る。

 帰り際にトマトのハウスをのぞいたら、今頃になって大粒のみごとな実がなっている。やれやれ。もっと芽かきがちゃんとできていたらより多くの実が採れたことだろう。今はもうヤトウ虫に食い荒らされるばかりで残念だ。






 今日はお昼ご飯にそーみんチャンプルーと豚三枚肉の甘辛煮、卯の花。夕飯は納豆とオクラの和えも物、もずく酢、赤毛瓜(あかもうい)と牛肉のチャンプルーと沖縄的な内容でおいしかった。


2014.6.19(木) 日本(沖縄)
オクラの植え付け

 今日も豪雨の中で作業。ウーファー全員でオクラの植え付け作業だった。この時期のオクラはもう直播にする。地面に指で1-2cmくらいの深さの穴を作って6粒ずつ種を入れて軽く土をかぶせるだけ。簡単な作業なのでどんどん進んだ。一本の畝の中央に40cmごとに印がされた長いスケールを置き、左側は印の部分に、右側は印と印の中間にと互い違いになるように種を植えた。

 はい、ここで復習です。オクラはなぜ一つの穴に6粒一緒に入れて植えるのでしょうか?

 答えはここから少なくとも4本くらいは芽が出て共存することで、太すぎずにスマートなオクラがなるようにするのが目的。1本だけで木を生やすと太すぎる上にオクラがならないケースも多々あるそうだ。

トマトのハウスをつぶして次にオクラを植えている。

豪雨の中の作業だが、気温はある程度高いし、作業しているので合羽の中は汗だくだ。休憩時間は冷えた飲み物で乾杯。

 今夜はお父さんとお母さんが友人との食事会で不在だったので、香港人のJackoちゃんにお願いして四川麻婆豆腐を作ってもらった。私はイタリア人のじいさんを持つフランス人ウーファーから教わったブルスケッタで前菜。イタリアと中華の饗宴。

 今日学んだのは、本場中華の麻婆豆腐では片栗粉を使わないってこと。日本のレシピでは、水を入れて豆腐やひき肉を煮た後に最後に水溶き片栗粉を回し入れてとろみをつけることになっているものが多いと思う。しかし、今夜のJackoちゃんのやり口は違っていた。とても多い油で豆板醤、テンメンジャンなどで下味を付けたひき肉を炒め、豆腐を加えて、最後に水を少量加えて強火で炒め煮する。すると油と水が乳化してとろみに近くなるのだった。これはイタリアのパスタソースのやり口、インドのカレーのやり口と同じだ。油と水分を乳化させてとろみをつける文化圏と日本やイギリスのように植物のでんぷんを使ってとろみをつける文化圏があるんだなぁ。ふむふむ。勉強になる。


2014.6.20(金) 日本(沖縄)
Tの第一脱出作戦、失敗

 Jackoちゃんとほぼ時を同じくしてアメリカからT君という青年がウーファーをするためにここを訪れて、ここ数日一緒に作業をしている。

 アメリカの東海岸の大都会育ち、両親はアジア系移民ながら知的な職業を獲得して経済的に恵まれた環境に育ったらしいT君は実母の勧めでウーファーをすることになったのだそうだ。いわく、大自然に抱かれて健康的な野菜を食べる日々や楽しい仲間とアウトドアをしてみたいと。

 到着した日曜日、バスターミナルに迎えに来たお父さんに最初に聞いた質問が「農園には蚊など虫がいるのでしょうか?」。この質問を聞いた時に我々に漠とした不安の雲の種ができたのは間違いない。そして、初日の夜は運が悪い事に湿気と豪雨で天井から彼のベッドにはヤスデというムカデのような体長3cmくらいの虫が7匹くらいも落ちてくるような夜だった。ヤスデは噛まない、刺さない虫だが、虫嫌いな人にとっては背筋がゾクゾクするムカデの容貌をしている。恐怖心を抑えながらほうきでヤスデを掃く彼の姿があった。しかも、彼の寝ている場所は部屋でさえなくて、広いリビングの一角。バックパッカーなら何でもないドミトリーみたいな場所だが、そんな経験もない彼にはプライバシーもないという苦痛もあった。

 翌日、母屋から徒歩1分離れたコンテナハウスに移動するか?というお父さんの提案でコンテナハウスを見に行ったのだが、片づけられていないほこり臭い湿気に満ちたハウスは彼のお気に召さず母屋に戻る事になった。がっくりと気落ちする彼に同じ歳の女性のJackoちゃんが[「じゃぁ、1週間経ったら私があなたに個室を譲って、私はリビングで寝るわ」と提案すると「ああ、それなら何とか耐えられる」と喜んで提案を受けたのだった。レディーファーストの国に育った人とは思えないこの態度に、皆「普通、断るだろうに」という感想を持ったのは私だけではなかったようだ。

 そして今週は先週にも増して豪雨の日々が続き、びしょ濡れの中での作業の日々が続いた。そんな雨の中でアブに刺された彼は、アブがどんなに巨大で大きな目で彼を見つめたか、刺されてどんなに痛かったかを興奮して私に語ってきた。

 そして昨日の木曜日の夕食後、T君は私達に「ここでの滞在を短くせざるを得ない状況になってきた」と言い始めた。幼い頃、多忙な彼の両親は日本から留学で来ていた女性に彼のベビーシッターを任せていた。その彼女が何と15年ぶりに彼に会いたいとネットを通じてアクセスしてきたというのだ。彼のこれからの予定を考えると、この農園での滞在を1週間短くして彼女に会うしかないという結論に達したのだという。よーく話を聞くと別にここの滞在を1週間を縮めなくてもいいんじゃないかと思う点もあるのだが、ま、私には関係ない事なので「ふん、ふん」と話を聞いていた。彼が私達に話をしたのは、どうやらここの滞在を縮める事になった場合に、お父さんに説明する際の援護射撃を頼みたいという趣旨らしかった。

 そして今朝、顔を会わせるなり彼は「計画は駄目になった」と見るからにがっかりした表情で告げて来たのだった。彼のフライトチケットはアメリカの母親が全て手配しているのだそうだ。理由はわからないが、昨日母親から元ベビーシッターに会いに行くためのフライトチケットが取れないと言われたのだそうだ。母親が理由をはっきりさせないことから、私としては母親がこの農園に彼をもっと長く滞在させたい意図があるんじゃないかと推測した。だって、ウーファーを勧めたのは母親だからね。途中でエスケープしようとする息子の目論見は織り込み済みだったに違いない。

 ということで、ここから脱出しようとするT君の作戦はまずは失敗に終わったのだった。

 ま、T君のそんなエピソードはさておき、ホストの知り合いから2種類のとても新鮮な魚の差し入れがあった。名前はミジュンとガチュン。ゆるキャラにでもなりそうな可愛い名前の魚はどちらも体長15cmほどで大きめの目で似たように見えるが、前者は鱗ありの魚でおいしいという評判で刺身あるいは揚げもので食べる。一方のガチュンは鱗がなく味はそこそこで、揚げもので食べる魚だそうだ。

 頂き物の新鮮な魚は、まず30分ほど氷漬けにして身を引き締めてから、刺身用は3枚におろし、揚げもの用は内臓を取って、どちらも冷蔵庫で保管していた。

ミジュン

ガチュン

 さっそくお昼にお刺身、夜にから揚げで頂いた。お刺身はコリコリした歯触りが楽しい魚で味はさっぱりして淡白。揚げものにしたほうがミジュンの旨みがより感じられおいしかった。ガチュンは評判通りまぁまぁという味だった。


2014.6.21(土) 日本(沖縄)
T君の脱出作戦、第二弾にして成功!

 作業はトマトの最終的な収穫とオクラの初期の収穫が入り混じり、テーブルの上は賑やかな事になった。

 これに加えて苗を買って植えたゴーヤとナーベラ()が育ってきたので、今日のウーファーの作業はゴーヤとナーベラのツルが絡むように網を吊り下げていく作業だった。

 先日、ポールにツルを巻きつけてビニールテープで固定した物は、梅雨の激しい雨にやられて地面にたたき落とされてしまい役立たず。沖縄ではやはりちゃんと網を張ってツルを絡ませないといけないようだ。


まとめてある網をひとつずつばらして、組んだパイプに吊り下げて行く作業の説明

こんな風に畝の上に網が吊り下がった

 夕食にはお父さんがダッチオーブンを使ったチキン料理をリクエストしてきた。毎度の事だが、ダッチオーブンの名前が出てくるとお母さんは突然、料理に不介入になる。

 というわけで、この農園に来てからダッチオーブンの日は常に私が勝手に調理する事になっていた。さて、トマト煮はもう何回もやってさすがに飽きたので、今日は趣向を変えて蒸し焼きにしてみた。

 材料はいつもと同じ鶏肉、じゃがいも、人参なのだが、鶏肉はあらかじめフライパンで焼き目をつけて下に水を張ったダッチオーブンに月桃の葉を折り重ねて一番上に鶏肉を含む全ての材料を月桃の葉で包んだ物を置いて1時間くらいかけて蒸し焼きにした。

 鶏肉のジュースは全てじゃがいもと人参に吸わせるようにした。できあがった料理は月桃の葉ごと皿に乗せてどーんと食卓に出したら、お父さんに「どこかのジャングルの原住民の料理みたいだね」と言われたが甘い月桃のいい香りがついたやわらかい鶏肉はおいしいとお褒めの言葉を頂いた。

 さて、夕飯の準備も手伝わずT君は明後日の作業休日を過ごす手はずで忙しそうだった。T君の通っていたアメリカの大学に留学して同級生だった人が沖縄本島中部に住んでいて、その同級生と休日を過ごしたいようだった。ところが、この農園から外に出るにはお父さんやお母さんにバスターミナルまで送ってもらう必要がある。日頃からコンタクトを取って食事の手伝いをこまめにしてこなかったT君がバスターミナルまでの送迎をお願いすると、近くのバス停までなら行ってあげられるがターミナルまでは無理だとニベもなく断られた。

 食事中も中座して友達と電話連絡していたT君は食後になってお父さんに「突然ですが、今日でウーファーは終えて明日、友達がここまで迎えに来てくれるのでその車で出発しなければならない事情ができました」と言い始めた。いわく、彼とその同級生が卒業した大学のカンファレンスが1週間後に那覇で行われる事になっていて同級生はその手伝いをすることになっているのだが、どうにも人手が足りなくて助けて欲しいと言われてしまったのだそうだ。本当に偶然で僕もびっくりなんだけど、是非、母校の為に手伝いたいので今日でウーファーを終わりにするというのだった。

 はいはい、どうぞ、どうぞ。とお父さんは承諾。誰もこの話を信じてはいないけれど別にウーファーは雇用契約じゃないから本人が去りたいなら仕方ない。こうしてT君の脱出作戦は2度めの計画で成功。1週間の農作業で農園を去る事になった。ま、虫が怖いというのによく頑張りました。


2014.6.22(日) 日本(沖縄)
リゾートランチ

 突然終了という事態にもかかわらず、お父さんはT君含め我々をねぎらいのランチビュッフェに連れて行ってくれようと計画してくれた。ところが、T君はお友達に正午半に迎えに来てくれと約束してしまっている。お父さんは12時半を14時半と聞き間違えていたんですな。

 結局、去っていくT君一人を家に残して我々はランチビュッフェに出かけていくことになってしまった。「いや、大丈夫、大丈夫。友達とご飯を食べるから」と言いつつも、何だかT君はちょっと寂しそうだった。こういう天然な手違いがここにはある。悪気はないのだ。

 ランチビュッフェでは柔らかい牛肉のサイコロステーキと揚げた白身魚の甘酢あんかけ、それにデザートの濃厚なチーズケーキが秀逸だった。ここのデザートはいつもおいしい。

 梅雨明け宣言はまだ出されていないものの、そろそろ明けそうな沖縄。今日は真夏を感じさせる好天で、まさにリゾートなビーチの風景だった。

 お客さんの数はまだまだ少なかったけどね。

 帰って午後から2時間の作業。そう、今日は実は作業日だったのね。T君のお陰で半日休みみたいになった。ゴーヤのネットを取り付ける作業だったが、早くも小さなゴーヤの実が見られて面白かった。






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