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2013年
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2012年
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5月:1,2,3,4
6月:1,2,3,4
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10月:1,2,3,4
11月:1
2012.06.04(月) フィレンツェ(イタリア)
次のお宅を見学

 今週、今いるアパートを離れてもっと中心部に近い別のアパートに移動する。

 今日は引っ越し打ち合わせも兼ねて、大家さんにアパートを見せてもらう約束の日。

 このアパートはインターネットでみつけた。イタリアには、在住日本人たちの生活情報を掲載するいくつかのウェブサイトがあり、いずれも「売ります、買います、借ります、貸します」の情報をやりとりするネット掲示板を備えて、そこに住宅情報もあるのだった。なんと便利な世の中だ。
※「アーモイタリア」「フィレンツェ・イン・タスカ」「イタリア不動産情報掲示板」を参考にしていた。

 新しいアパートはドゥーモからほんの徒歩5分といった場所にあり、部屋の窓から頭を突き出すと右手にドゥーモの丸い屋根が見えるというロケーション。建物1階の呼び鈴を押して名前をいうと「はーい」という返事と共にガチャッとロックが空いて新しい住居への扉が開いたのだった。

 建物は5階建で大家さん宅とその隣の賃貸物件は最上階。古い建物なのでエレベーターがない。これは毎回運動になりますね。

 初めて顔を合わせた大家さんは私よりも年下で想像していたよりも若くて驚いた。フィレンツェに物件を持っているというから、勝手に年配のイメージを持っていたのだ。しかし、今までのレスポンスの良さや的確なやり取りから考えたら、確かにこういう年齢の人という事も考えられる。先方も、私達と話してみてメールの文面とは全くイメージが違ったと言っていた。文面は用件だけの短文だったのでとても固いイメージを持たれたようだ。「銀行などにお勤めの方かと思っていたんですけど、いやー、今回は全く予想が外れましたね」と言われた。

 私自身、ネットはよく利用するが対面で出会った事がない人としばらくやり取りしてから実際に会うという経験があまりない。事務的な場合は結局会わずに終わってしまうことがほとんどだからだ。そういう意味では、今回、どんな人だろうとワクワクしたり、こんな人かなぁと予想したりしてから会うという面白い体験ができた。

 見せて頂いたアパートはとても美しくリニューアルされて広い。今度はこのアパートでどんな出会いと出来事が起こるのだろうか。早くも期待に胸ふくらんできた。1時間ほどリビングでおしゃべりにお付き合い頂いて帰ってきたが、きさくで楽しい感じの人がこれからが楽しみだ。

 夕飯はワイン、サラダ、パルマ生ハム、マスカルポーネ、ゴルゴンゾーラ。フィレンツェに来てからキャンティー・クラシコに絞って飲み続けてきたのだが、今日はちょっと浮気してジャケ買い。ラファエッロの柄のついた赤ワインにしてみたが、対抗馬のキャンティー・クラシコ・リゼルバに比べると全くだめだ。キャンティ・クラシコについて言えば、もちろん13、4ユーロ以上するものはどれもおいしいが10ユーロ以下で美味しい物を求めたいならワイナリーに限らずリゼルバと書かれたのを選ぶといいのかもしれないと思い始めている。今のところリゼルバで外れはない。


2012.06.05(火) フィレンツェ(イタリア)
イタリア映画

 昨日、新しい家の大家さんと会う前にちょっと時間があったので駅下の商店街のDVD屋に立ち寄りフェデリコ・フェリーニの映画DVD4作を買った。

 イタリア映画界の3大巨匠の一人である彼の作品の中でアカデミー賞を獲得した4作、「道」「カビリアの夜」「8 2/1」「アマルコルド」を探してみると、何と全部ある。値段は作品によって異なるが全部で60ユーロくらいだった。メキシコのテピートじゃ売ってない代物だ。

 駅下のちょっとわい雑な感じの商店街の中にあり、大柄な男性店主はだみ声で芸術的な映画など興味がないのかと思っていたら、会計の際に商品カタログからフェリーニの項目を見せてくれて、他にどんな映画がお勧めなのかタイトルを指さしながら教えてくれた。全部、彼自身が見ているような話しぶりで、相当の映画好きなようだ。意外な名店を発見したようで嬉しい。

 そして、昨夜、買った中から「カビリアの夜」を見た。フェリーニの奥さんが主人公カビリアの役なのだが、陽気ではすっぱな娼婦の役柄は本来のこの女性の性格もにじみ出ているようで、とてもチャーミングな女優さんだった。しかし、ストーリーはかなり哀しい。イタリア語の映画をイタリア語字幕で見るという暴挙に出たので、細かいセリフ回しはわかっていないが、それでも哀しみは十分に伝わってきた。

 こうなるとビスコンティ―監督の作品も気になる。

 とはいえ、今日は火曜日。最早、我が家恒例となりつつあるカッシーネ公園の市の日だ。

 今日も掘り出し物の鉱脈が2軒見つかって、一枚2.5ユーロで6枚購入。PromodやベネトンやMexxなど巷のブランドだが2.5ユーロじゃ買えないクオリティーばかり。いやー、今日も楽しかった。しかし、毎週増えていく洋服。最終的に私が公園で販売することになるのか?


2012.06.06(水) フィレンツェ(イタリア)
部分的引っ越し、コンサートチケットから見えるイタリア

 明日の引っ越しを目前にしてリアルに考えると、一回の移動で全てを運ぶのが不可能だと判断。持ち運びにくい食料品や持てるだけの衣類などを持って第一次引っ越しをすることにした。

 夫はスーツケース、私は38リットル入りのバックパックを背負って駅前を通りかかると、到着したばかりの旅行者だと思われて、「麻薬反対運動に協力を」「少しお金をください」などと色んな人が寄ってくる。

 そぞろ歩きでゆっくり歩いている団体観光客。彼らが埋め尽くす歩道を歩いて、ドゥオーモの前を横切り、楽しい観光地の中に二人だけ苦行僧のように額に汗を光らせて歩いていた。

 それにしても、この情緒あふれる「石畳」ってやつはスーツケースを転がして歩くには最悪の道だ。がたがたとホイールがひっかかる。思えば2005年に初めてメキシコを訪れた時に、グアナファトという街の素敵な石畳にスーツケースの車輪が引っかかって、ぐいっと引っ張ったら車輪がもげてスーツケースがお陀仏になったという思い出がある。あそこの石畳ほど引っかかりはないが、それでも歩きにくかった(そもそもスーツケースを転がして歩く事は想定されてない場所だから仕方ないけど)。



 ようやく到着してから5階まで階段でのぼって部屋に到着。いやー、くたびれた。明日、もう一回この作業がある。

 家は大家さんが掃除をしてくれている最中で、洗濯機が回って開け放たれた窓からいい風が入っていた。窓の向こうに見えるドゥオーモも美しい。明日からここで生活かぁ。

 同じ町でも住む場所を変えると、見える風景が変わって町の印象もがらりと異なってきて気分が変わる。


 夫はスーツケースを明日も使うので、空のスーツケースをひきずってアパートに戻って昼食。さて、午後からは来週始まる「フィイレンツェ・サン・フェスティバル」のチケット手配にでかけよう。

 来週、ほぼ毎日のように街のどこかで行われる「サン・フェスティバル」はほとんどがクラシック音楽なのだがアメリカ人メゾソプラノ歌手「Susan Graham」、ジョン・マルコビッチ氏の演劇付き音楽、シナトラも絶賛したポップス歌手「Tony Bennett」などアメリカ寄りの内容が多かった。しかし、そんな中で5月祭のオーケストラをバックにルーマニア人ソプラノ歌手「Angela Gheorghiu」がアリアを歌うガラコンサートだけは本格派。チケット代金もこれだけがずば抜けて高い。そうだ、このコンサートに行こう!

 そう意気込んで向かったのがテアトロ・コムナーレ。5月祭の会場のチケット販売オフィスだった。アンジェラ・ゲオルギューのコンサートホールがNuovo Teatro dell'Operaという5月祭の会場としても使われているホールで、このホールでのチケットを販売していたのもテアトロ・コムナーレだったので、てっきりここでチケット販売だと思っていたのだ。ところが、サン・フェスティバルのコンサートパンフレットを見せると、チケット販売のボックス・オフィスは全く別の場所にあると言われた。

 現在地、町のほぼ西端。言われたボックスオフィスは町の東端。約30分歩いてフィレンツェの旧市街を横切りボックスオフィスに到着した。

 ここではフィレンツェで行われるイベントチケットを何でも扱っているように見えた。オフィスは再開発地区にあって、町はずれでピカピカに新しい。もしかし、できたての場所?できたての組織?

 日本やフランスならチケットぴあとかフナックなどある程度の規模の街ならチェーン展開しているボックスオフィス業者がいるというのに、もしかしてフィレンツェって、いや、イタリアって今までこういうのがなかったのか?うーん、さもありなん。去年、ハンガリーのブダペストでも、チケットオフィスは関連するいくつかのコンサートチケット販売しかしておらず、オフィスをはしごしないとチケットが買えなかったことを思い出す。

 ま、便利になってきているのは何よりだ。

 結局、アンジェラさんのガラコンサートは主催者側のキャンセルの可能性がでてきて発売中止という残念な結果となり、その代わりというわけではないが前後でいくつかのコンサートに行くことにした。その中にはトランペットのセルゲイ・ナカリャコフもいる。NHKの朝の連ドラ「うらら」のテーマソングを吹いていた人だ。あの彼の音がここで聞けるとは!楽しみになってきた。


2012.06.07(木) フィレンツェ(イタリア)
引っ越し終了、で、レストラン

 今日はお引っ越しの日。

 カメルーン人のフランシスを通じて大家さんのシンツィアには私達が出発する時刻が伝わっているはずだったが、大家さんとはここ1週間顔を合わせていないし、とうとう最後まで会わず終いだった。最後の部屋のチェックもなく、私達が物品を大破することなくきれいに使うだろうと判断されたようだ。信頼されてなによりだ。

 フランシスの人情味あふれるお別れの言葉を背に出発。再び観光客の間を縫って新しいアパートに到着した。

 今日はイタリア人旦那さんも待機していてくれて荷物運びを手伝ってくれた。初めまして!

 荷物を広げて物を置いたら昨日見た時はスタイリッシュだった部屋が、一気に生活感に満ち溢れてしまった。

 昨日今日と荷物をひきずって持ち上げて体力を使ったというのを言い訳に狙っていたレストラン「ベンチ」でランチ。前菜で生ハム盛り合わせ、トマトとクリームのミートソースパスタ、薄切り牛肉のグリル(レモンと唐辛子とオリーブオイルソース)、ティラミスとチーズケーキ、カフェ2つ、ワイン半リットル。驚くようなメニューじゃないのだが、どれもちゃんとおいしい。特にタリアータと呼ばれるトスカーナ名物の薄切り牛肉グリルの焼き加減とグリルの炭火の香ばしさがいい塩梅でプロって感じだなぁ。デザートはどちらもムースのようなフワフワしたクリーム系で、先週訪れたマンジャフォーコのフォークに力を入れないと入っていかない固い系とは正反対。私達の好みはマンジャフォーコだけど、こっちもおいしい。しめて62.5ユーロは味相応の値段だった。レストラン、楽しいな。


2012.06.08(金) フィレンツェ(イタリア)
カイザーゼンメルさえも・・・

 自炊でランチ後、気になっているベジタリアン食堂を見学しにいった。素っ気ない入口は客を拒んでさえいるように見えるのに、中はお客さんがぎっしり。値段も安めでデザートも豊富でとても魅力的だった。ここには絶対に来よう。レストランの名前は「ベジタリアーノ」。アーモイタリアというサイトで紹介されている。

 近くにはIl le gelatoという先日、ジェラート・フェスティバルにも出店していたジェラテリアがあるので立ち寄った。

 私は、フェスティバルに出品していたオリーブオイルを使ったジェラート(OLIO)を含めと、お店の出身地であるシチリアの名前のついたジェラート、夫はOLIOとコーヒー味を注文した。

 甘すぎずすっきりとした味で、特に食べた後にオリーブオイルの香りが抜けるジェラートなんて初めてでとてもおいしかった。

 このお店にはジェラートだけでなく、シチリア名物のアランチーニ(ライスコロッケ)などもおいてあって、近所で働いている会社員がアランチーニやパンを食べてからジェラートをデザートにして、ここでランチフルコースをしている様子も見られた。アランチーニもおいしそうだったなぁ。

 散策しながらアパートに戻る途中、見上げれば快晴の青空に古びたメディチ家礼拝堂やドゥオーモ界隈の建物。街全体が博物館のようなフィレンツェを今日も実感した。

 アパートから一番近いスーパーはBillaというオーストリアのウィーンにいた時によく利用したスーパーだ。ドイツや東欧系列のスーパーだと思っていたので、イタリアにある事が意外だった。

 入ってみると店内に焼き立てパンのコーナーがあって、まだ少し温かみが残っているカイザーゼンメルがあった。ウィーンで定番のこのパンは、焼き立てはおいしいが時間が経つと外側が乾いて崩れやすく、中もぱさつくというイメージを持っている。しかし、まだ温かみが残っているならいいかもしれないと、おやつに買ってみた。

 アパートに帰ってさっそく食べてみると、カイザーゼンメルの形をしているのに味は全くイタリアのパンになっていた。しっとり、もっちりと水分を含んでフカフカしているけど弾力があり、適度な塩味もついている。何だ、これは!こんなおいしいカイザーゼンメルを食べた事がない。使っている小麦粉がセモリナだからだろうか。イタリアンマジックだ。

 夜はテアトロ・コムナーレ・ピッコロという小ホールでコンサート。ちょっと早目に出て夕飯をGustapizzaで軽く取ってから会場に向かった。夜7時から夜の部が開店するGustapizza。5分前に到着して一番乗りで注文できたからよかったものの、あと3分遅れたらすぐに15人くらい待ちになる所だった。相変わらず人気のピザ屋だ。

 今日のコンサートはチケット一人18ユーロで小ホールながら、オーケストラがフィレンツェ5月音楽祭オーケストラとレベルが高いので楽しみにしていた。

 ドイツ語で「長い夜Die Lange Nacht」と題された今夜のコンサートは、冒頭でイタリア語による詩の朗読が行われた後にバックのスクリーンに映像を流しながらモーツァルトやバッハが演奏されるという試みだった。

 モーツァルトはよく聞いたことがある曲だったが、目の前で演奏を見るのは初めてで、目にして初めて演奏が難しそうな曲だったのだとわかった。特にコンサートマスターの全身で音楽を表現する引きっぷりが印象的だった。

 朗読や映像と音楽のコラボは、どれもぼちぼちな場合の合わせ技で誤魔化すような印象があったのだが、各々がレベルが高い物を組み合わせて大衆に見せてくれて、それに対してちゃんとお金を払って人が集まるイタリアはすごい。

 一つ残念だったのは、私の前に座っている薄毛長髪の40歳前後の男性が、しょっちゅうモソモソと動くこと。モーツァルトとバッハの間に現代音楽が組み込まれていたのだが、この人はどうにも現代音楽が苦手らしく、現代音楽になると横を向いたり、上を見上げたり、右に傾いたりする。右隣の連れの女性と公演中にパントマイムの口論をしてから、左寄りに座って私の視界をふさいでしまった時から、やれやれと思っていたのに、今度は目前でもそもそ動くんだからたまらない。

 私の隣に座っているおじさんも同感だったらしく、私にうなずきながら前に座っている男の後頭部にパンチをくらわす仕草をしてみせていた。現代音楽とはいえ、チェンバロをジャズっぽく使ったりして面白かったのになぁ。


2012.06.09(土) フィレンツェ(イタリア)
フィレンツェ、ワインフェスティバル

 昨日から明日にかけて第6回フィレンツェ・ワインフェスティバルが開かれている。会場はベッキオ橋を渡ったピッティ宮。宮殿窓口で10ユーロ支払うと出店者リスト、ワイングラス、グラスホルダー(首からさげられる袋)、10回試飲券を渡された。

 一回試飲するごとに券に描かれたワイングラスにパンチされていくのだが、開催期間中3日間(私達は2日間だけど)に渡って使えるので、そんなにハードじゃないだろうな。

 チケットを見せて宮殿に入ると、中庭を取り囲む回廊にずらりとワインメーカーが並んでいた。


 もらったパンフレットにはメーカーのブースナンバー一覧とマップがあり、後ろのページにメーカーごとに出しているワイン名が書かれているのだが、このマップとリストの使い勝手が悪い。どーやったら、こんな風に機能性に欠けるように作れるのか。日本人から見ると天才的とも思える使いづらさだった。

 試飲会はある程度のワイン知識を持ったプレスや業者さんを相手にしているせいか、膨大なワインからどのように10種類選べばいいのかというヒントが何もない。

 私達の乏しい知識から、とりあえずボトルの首に黒い鶏マークがついたキャンティ・クラシコに認定されているもので、Riservaと呼ばれる一定期間樽で寝かせて熟成されたものから狙って飲んで行くことにした。

 ブースによっては「リゼルバからではなくまずこちらから飲んだ方がいい」、「リゼルバを飲んだら、今度はクラシコではないが別のブドウを使った物を試すかい?」とハンコ一つで1回試飲なんてルールは度外視してどんどんと飲ませてくれる所がある。何て素敵なんだろう!お陰で、今日1日分として二人で10コのパンチングをこなした頃にはボトル1本は明けたくらいの量を飲んでいて、見知らぬインド系アメリカ人と妙に盛り上がって長々と立ち話したりしていた。

 今日、出会ったワインの中でもとびきりおいしいと感じられたのが、サン・ジミニャーノという町で作られている白ワイン、La luna e le torri。「月と塔たち」と名付けられている。サン・ジミニャーノはお金持ちが自分の力を示すために塔を立てる競争になり、町中に塔が残っていることで有名な観光地でもある。

 この白ワインは樽で熟成させたリゼルバ。白でリゼルバって珍しいなと飲んでみたら、はちみつのようなコクのあるとてもおいしいワインだった。

 アパートでゴルゴンゾーラと合わせたら、とにかく笑うしかないおいしさだった。


2012.06.10(日) フィレンツェ(イタリア)
フィレンツェ、ワインフェスティバル最終日

 昨日飲んだ赤ワインの中で一番おいしく感じられたのは、San Feliceという大手ワインメーカーがサンジョベーゼというキャンティによく使われるブドウを品種改良して作ったPugnitelloというブドウで作ったワイン。20年前にできたブドウという話だ。

 あまりにおいしかったので、今日もまた試飲させてもらった。冷静に飲んでみると、甘い飲み口で滑らかで何も引っかからないので、物足りないと思う人もいるかもしれないが、それでもおいしいと思う。

 昨日はキャンティーのDOCGという伝統的なトスカーナワインに集中して飲んだが、今日はIGT、スーパートスカーナワインと言って、従来のサンジョベーゼ主体のワインではなく、様々な品種のブドウを使った新種のワインにも挑戦してみた。そもそもスペインのブドウであるアリカンテを使ったものや、キャンティーのサンジョベーゼによく抱き合わせとして使われるカライオーロの比率が高いものなど、DOCGの枠の外で様々な試みがあって面白い。

 Podere Casacciaというワイナリーではマルヴァジネーラというブドウを10%入れたワインがあって、これが私には硫黄のような線香のような香りに感じられて大変に面白かった。

 また、ここのデザートワインSitua Nobilisはシャルドネとマルヴァジアトスカーナという組み合わせで、ソーテルヌのような甘味を出している。もちろんフォワグラに合うという事だった。

 それもあって、フランスのモンペリエのワインイベントに出店したこともあるそうだが、フランス料理のバター攻めに胃がやられて、思わず日本食レストランを探してしまったというエピソードを語ってくれた。


 日本のイタリアンレストランにも卸しているというColle Beretoのブースでは日本に行った時のレストラン関係者との写真や、その時に訪れたレストランでの料理の写真などを見せてくれた。

 ここのワイナリーはキャンティー発祥の地とも言える場所に畑を持っていて、サンジョベーゼだけでなくピノ・ネロというブドウ100%のワインIl Cennoやメルロー100%のIl Toccoというワインを作っているのだが、どれも気品のある滑らかなのど越しと味わいで、ものすごく上質なワインばかりだった。ピノ・ネロは最初の香りがちょっと「う○こ」のようでびっくりするのだが、これが止みつきになる秘訣かもしれない。言えなかったけど。

 会場にはチンタ豚という黒豚で首周りに白く帯(チンタ)模様が入ったシエナ特産の豚の生ハムとサラミを切ってくれる所があった。

 スペインのイベリコ豚もそうだが、豚のおいしさって脂身の甘さってことじゃないだろうか?切りだした切り身を手の上に乗せただけで、体温で溶けだすような白い脂部分が赤ワインにぴったりだった。

 今日は最終日とあって、誰も試飲券にパンチをしてくれない。ほぼ飲み放題という状態だった。それではと、スプマンテというイタリア発泡酒を飲み、ロゼを飲み、再びキャンティー・クラシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを発見して飲み、最後にはグラッパまで飲んでしまったら、もう大変な事になってしまった。



 大急ぎでアパートに戻って仮眠していたら、寝過して夜のコンサートに遅刻。後半だけを聞く事になった。コンサートのある日にワインイベントに行ってはいけない。Fabio Biondiのヘンデル。本当は素晴らしい演奏だったろうに、ちっとも覚えてない。反省。


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