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2012.07.23(月) リヨン近郊(フランス)
ヴィエンヌとベルリオーズ生家の村

 今日は友達二人を誘ってドライブに行ってきた。

 リヨンの南20kmくらいの所にあるローマ時代の遺跡が残る町ヴィエンヌ、そこから東に25kmくらい行った所にある小さな村にベルリオーズの生家を訪ね、帰り道の途中で泳げるらしい湖に立ち寄るという計画。

 リヨン市内に車で入るとややこしい事になりそうなので、友達二人にはキャンプ場までバスできてもらって出発。最初の町ヴィエンヌは運よくツーリストインフォの建物横の駐車場に停める事ができたので、地図をもらって観光開始!

 ローマ時代に交通の要所として栄えたという歴史を持つヴィエンヌは小さな町ながらもローマ古代劇場や神殿が残っている。更に時代を経て建てられた木組みの家があり、ローマ時代の神殿跡にキリスト教の教会が建てられ、それも後に修復を重ねて現在に至る。遺跡のすぐ隣にアパートがあって人が住んでいたり、住宅の壁の一辺が教会の壁を使っていたり、時間の刻みの中に人が普通に生活しているというのがあちこちで見られる町だった。プロヴァンス地方のオランジュ同様、ここの古代劇場も今なお活用されていて、今日も今夜のコンサートに向けてマイクテストが行われていた。

 観光案内所でもらった地図に記されている観光ルートをたどると1時間半くらいで観光できた。全然期待していなかったけれど意外にも楽しい町だった。

 駐車場の横に素敵な公園があって、ピクニックにうってつけのテーブルと椅子が木陰に用意してある。こんな所もこの街のホスピタリティーを感じて好印象につながった。

 お昼ご飯は若い二人にお願いしてしまったら、おかかとゆかりを使ったおにぎり、そしてお味噌やお醤油を使った和風のおかずを5品も作ってきてくれた。フランスのこんな片田舎で純和食のお弁当を広げられるなんてすごいねぇ。二人に感謝しながらおいしく頂いたのだった。

 さて、次の目的地は作曲家ベルリオーズの生家が博物館になっているLa Cote-Saint-Andre。地図で見る限り小さな村のようで、ヴィエンヌから道はどんどん田舎の中を走るようになり小麦畑や牛のいる牧場をいくつも通り過ぎた。友達のうちの一人はフランス人の友人の両親のいる田舎町に滞在したことがあり、小麦の藁を機械で大きな筒状に丸める作業を見た事があったり、牛の品評会に連れていかれた時の話を披露してくれた。住んでいると色んな事があるものだ。やがて、いくつものヒマワリ畑の脇を通りすぎると目的地のベルリオーズの生家のある村に到着。

 ベルリオーズといえば幻想交響曲くらいしか知らないなぁ、と夫がつぶやく隣で「それさえも記憶が確かじゃない」と思っている妻だった。

 でもまぁ、行ってみることによってより深く知る事ができれば、それでまぁいいじゃないか。

 地元で裕福な医師の家庭に生まれ、自身も医者になるべくパリに行った時に音楽を志す事を決めたベルリオーズ。その生家はこの村の規模にしてはなかなか立派なものだった。

 展示もかなり力が入っていて、入場料無料の上にオーディオガイドまでついてきて60ヶ所余りの解説が聞けるようになっている。ベルリオーズ本人にまつわる事から両親や兄弟、親戚について、はては当時の小麦の値段までと聞いているうちに「あれ?何の博物館だったっけ?」というような内容まで語られていた。私としてはそういう事よりも、ベルリオーズの音楽をもっと知る事ができるような展示にしてもらえると嬉しいのだが、どうだろうか?

 ベルリオーズの音楽をタッチパネルから選んで聞けるオーディトリアムもあるのだが丁度小学生とぶつかってしまって、彼らに選択権を譲らざるをえなかったので、私達はまぁそこそこ観光して帰ることにした。帰り道も壮絶なくらいに咲くひまわり畑を過ぎ、ヴィエンヌから高速に入って約1時間でキャンプ場に到着。一緒に行った友達が買ったベルリオーズの幻想交響曲はいつの間にか子守唄となった道中だった。

 キャンプ場に戻る前にスーパーで簡単に買物を済ませ、今度はキャンプ場で軽く夕食。友達が持ってきてくれたエリック・カイザーEric KayserのバゲットとSaint Felicienという地元のチーズに、追加でワインとオリーブとサラダとスモークサーモンを購入。

 キャンプ場前発の午後8時のバスを逃したら、あとはここから1km離れたバス停からは午前0時までバスがあるってなことが判明して、もう飲めや飲めやのまたもや飲み会になってしまった。

 最初のサーモンは海の幸なので辛口ロゼのTavelで楽しみ、次のチーズはコート・ドゥ・ローヌのVaqueyrasという地域から赤ワインで楽しんだ。

 チーズSaint Felicienは白カビチーズ。以前、シャウルスという白カビチーズと蜂蜜を合わせて食べたらまるでチーズケーキのようにおいしかったので、今回も試したらこれがやっぱり大好評だった。

 気付いたら午後10時半。バス停まで車で送るといっていた旦那はとっくにつぶれて寝ている。気のいい友達たちはバス停まで歩いてくれるというので、酔いざましがてら夫を起こしてバス停までお見送りしたのだった。


2012.07.24(火) リヨン近郊(フランス)
リヨン散策

 今日はゆっくりとリヨンの町までバスで出て、パール・デューという駅の前にある巨大ショッピングモールに向かった。ローヌ川沿いにはアーティスティックなオブジェや人々の憩いの公園やローラースケート用の斜面などがあって川辺の風景もなかなか素敵だった。

 パール・デューのショッピングモールでは音楽というよりはパーカッションに合わせて色や形を変える噴水が涼しげな雰囲気を出している近代的なモール。この中に入っているデカスロンDecathlonというアウトドアショップを訪ねるのが目的だった。夫のウィンドブレーカーを洗濯機で洗っちゃったら裏地がはがれてしまったので買い直す必要があったのだ。

 ここのデカスロンはなかなか広い面積の店舗で目的のウィンドブレーカーも色んな種類があったが、雨を通さず湿気を外に出す機能のものを15ユーロで購入。ウィンドブレーカーと言っているが買った物はウィンドブレークの機能はないから、まぁ、雨合羽って言えばいいのかな。ウィンドブレークの機能がつくと値段が35ユーロに跳ね上がり、衣類の重量も倍以上になるのでやめた。

 あとはモール内のショップを丹念に見学。今日はL.M.V(La mode est a Vous)という女性ファッションの店を始めてみかけた。いかにもフレンチなワンピースで面白かった。

 ショッピングモールからトラムに乗ってGuillotiere Gabriel Periまで移動して、この界隈にある中華食材ショップで出前一丁を調達。Rue Pasteurの角にあるこの店には中華、韓国、日本の食材が売られていて前もお世話になったことがある。

 これからアルプスに近づくにあたり、「寒い夜にはラーメン!」という事態に備えての追加購入だ。店にはアジア人のみならず黒人の兄さんも白人のおばちゃんもいて、なかなかインターナショナルな雰囲気の店だった。

 午後4時近くのバスに乗ってキャンプ場に帰宅。今日はお酒も飲まない、炭水化物も極力摂らないダイエットデイ。おとなしく夕食を済ませて修道女のように日記作成に取り組んで就寝。


2012.07.25(水) リヨン近郊(フランス)
バーゲン中のショップ巡り

 フランスでは法律でバーゲンの開始時期と終了時期が決められているそうだ。一斉に始まったバーゲン期間は一ヵ月。週を経るごとに値下げ率を上げていく。店頭には「一回目のバーゲン」「二回目のバーゲン」の文字が踊り、今は「最終価格」と過激に書かれた札が街に踊っている。「dernier」が「最終の」という形容詞であることはこれで強烈に脳に焼きつく。

 リヨンの中州のペラーシェ駅からオペラまで、中州を貫く目貫通りを最初から最後までバーゲンチェックしてみることにした。

 最終局面を迎えたバーゲンでは発見が2つ。1つはザラの紳士物のワイシャツががくっと値落ちするのがこの時期だということ。女性物は早くから値下げしていくのにシャツ類30-35ユーロのものが25ユーロまでしか落ちていなかったのに最終で15ユーロまで落ちた。もっとも、既にかなり品薄でサイズは限られたものしかない。もう一つはPromodのように昨年の冬物在庫と思われる品物を出してきたことだ。1年遅れでも気に入ったデザインならいいじゃないか。もうほとんどの店の品物は食いつくされた畑のようにバーゲン品には魅力のある物が少なくなっているにもかかわらず、丹念に洋服を見ている人がたくさんいた。ま、私たちもその仲間だけどね。

 気になったのはルイ・ヴィトンのショーウィンドー。Yayoi Kusamaという日本人アーティストによる、もうこうなったら作品ともいえるショーウィンドーはリヨンの痛いくらいに強い夏のひざしの下でそこだけ「きーん」と凍ったような緊迫感のある不気味さが印象的だった。

 バーゲンの戦利品を抱えて午後4時半のバスに乗ってキャンプ場に帰宅。スーパーに行って食材を買って、サラダとハムと水の夕飯を食べて、夫の散髪をしてシャワーを浴びて夜は作業。夜10時になってやっと涼しいと思える気温に落ちてきた今日は、本当に暑かった。でも、熱帯夜ってないんだよね、ここ。


2012.07.26(木) リヨン近郊(フランス)
ブール・カン・ブレスに一日観光

 リヨン在住の友達夫妻と一緒にご飯を食べた時にブール・カン・ブレス行きの計画があると知って一緒についていくことにしていたのだが、そこに別の友達も乗っかって総勢6名でブール・カン・ブレスに遊びに行くことになった。

 ブール・カン・ブレスといえば世界最高級のブレス鶏とブルー修道院で有名だそうなので、この2つに主眼を絞って観光することになった。ブレス鶏については友達の友人でブール・カン・ブレス在住の人からレストラン情報を入手して事前に席を予約してくれた。うーん、準備はばっちり。

 リヨンからブール・カン・ブレスまではPHILIBERT社から132番のバスが出ていて片道2ユーロで行ける。2時間もかかる道のりなのに2ユーロとはかなり安い。ベルクール広場近くの市立病院Hotel-Dieuの川に面した側にバス停があり、ブール・カン・ブレスまでの道中には中世の街並みを残すペルージュも通過するので「地球の歩き方」には「ペルージュ行きのバスが出る」と説明されているバス停だった。

 リヨンを出て1時間くらいすると小麦畑と馬と牛とヒマワリ畑のおなじみのフランスの田舎の風景になり、夏の強いひざしに何もかもが照らし出されて美しく輝いていた。

 ブール・カン・ブレスのバスターミナルに到着し、観光案内所を探して迷い歩いて若いカップルに道を聞いたら案内所の近くまで道案内してくれた。日本人6名、日傘をさした女性やカメラで何もかも撮りまくる男女たちはブール・カン・ブレスの町ではちょっとした注目を浴びる存在だったが、その視線は冷たいものではなく道案内してくれた若者のように好意的な好奇心に満ちていたように感じる。

 案内所の対応もおそろしく丁寧で、ブール・カン・ブレスのみならずこの町のある州ぜんたいの見所マップや小冊子まで5〜6種類の資料を説明してくれた。同行のご夫妻がかなりフランス語ができるというのが大きな要因だとは思うが、それにしても観光にも力を入れている。町の観光マップには20ヶ所弱の見所をマークした観光ルートが記され、説明も書いた小冊子があった。

 予約しておいたレストランLe Francaisは観光案内所の目の前だったし、丁度予約時間にもなっていたのでひとまずランチタイムとすることにした。12時の店内はまだ数組しか客がいなかったが食事がデザートになる頃の1時にはほぼ満席の状態でとても人気のあるお店だった。

 ブレス鶏をメインに据えたランチメニューが25.4ユーロ。アミューゼと前菜とデザートがついてくる。ブレス鶏4分の1は2名に胸肉、4名にモモ肉がきた。前回、レストランでブレス鶏を食べた時も思ったがブレス鶏と他の鶏の違いをより感じられるのはモモ肉だった。モモ肉はシャキシャキとみずみずしいような歯ごたえがあって他とは違う。胸肉は多少ジューシーな気もするが、きわだっているという感じがしない。今回も同じ感想を持った。付け合わせには白米かポテトグラタン。このポテトグラタンがおいしかった。前菜はニース風サラダ、魚のパテ、豚腹肉のリエットからチョイス。デザートはタルト(レモンかイチゴかブルーベリーかフランボワーズ)、クレーム・ブリュレ、プリン、チョコレートムースからチョイス。全て食べると明日の昼まで何もいらないという気分になるボリュームだった。

 最近、日本人シェフによるフレンチのお店に続けて行っているが、そういうレストランと比べると昔ながらのブラッスリーの雰囲気や量の多さは勝っているが、料理に対する飾り付けや味の繊細さや創造性はあまり感じられない。料理だけに注目すると圧倒的に日本人シェフによるレストランの方がCPがいいと感じられた。でも、レストラン体験というのは料理だけではない。老舗レストランの往年の男性達が笑顔でサービスしてくれるや、常連のフランス人老人たちの食べっぷりを見るというのは新興の日本人レストランではなかなか出せない味わいなので、それはそれで素敵だった。

 食後には町から徒歩で15分くらいのところにあるブロー修道院へと向かった。道中には15世紀に建てられた古い家やドミニコ修道会の修道院への門が残っている場所などがあり、予想外に歴史の足跡に触れる建物が見所として多く残っている町だった。同行のご夫妻のご主人はドミニコ修道会について研究中ということもあり、ドミニコ修道会への入り口の門になぜJacobinと書かれているかを説明してくれた(聖Jacobを守護聖人として掲げているから、だったかな)。ニックネームのようなものらしい。ついでにリヨンの地下鉄駅にあるコードリエーCordeliersは「紐」を意味するのだが、フランシスコ修道会の修道院がある場所でもある。コードリエーはフランシスコ修道会を意味する呼名で、フランシスコ修道会の修道士の衣装でウエスト部分に巻かれている紐から来ているという説明をしてくれた。

 で、思いついたのが「サン・ジャックSaint-jacques」。フランスではホタテガイの貝柱をこう呼ぶのだが、まさかこれにもいわれがあるのか聞いてみると、旦那さんはこともなげに説明してくれた。St.Jacquesはフランス各地から始まってスペインで終了する巡礼地のゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラの守護聖人なのだそうだ。私たちもよく見かけたが、巡礼する人は首からホタテの貝殻をさげたり、巡礼路にはホタテ貝のマークが埋め込まれたりして、巡礼のシンボルにホタテが使われている。このことからホタテの貝柱がサンジャックと呼ばれているというのだ。

 こうした打てば響くような解説がブロー修道院に行くまでの道中にいくつもなされて、とても有意義な散策になった。サンジャックには感動したなぁ。

 やがて到着した修道院で入場料を支払って入場。26歳以下で学生の一人は無料、26歳以上で学生の二人は4.5ユーロ、26歳以上で学生だけど学生証を忘れちゃったと言った一人は「しょーがないわね」と言われながら4.5ユーロ、私達は6ユーロと立場に応じて異なる金額を支払った。驚く事に日本語の解説もあり、とってもよくわかる見学になるはずだったのに、修道院としての見所の8割がある部分が修復のために閉鎖されていて見られず。

 併設の美術館を楽しむのみとなった。

 一般絵画は15世紀の宗教がから20世紀の現代アートまで幅広い。よく見るとミレーやユトリロの作品もあったが美術館としてはそんなにたいした作品はないと思われた。ただし、常設かどうかわからないがグスタフ・ドーレGustave Doreというフランス人画家の作品展は面白かった。バルザックを始めフランス人作家の挿絵画家として有名だった人だそうだが、実は水彩画や油絵もてがけていた。絵画の方は生前にはあまり日の目を浴びなかったようだが後にアメリカなどで人気になったようだ。ストラスブール生まれだが父親の仕事の都合で子供の頃に5年間ブール・カン・ブレスに住んでいた関係で、この修道院にも彼の作品があるのだそうだ。この画家さんの作品が心地よく上手い。写実性に長けているだけでなく場面の設定が映画の劇的な一場面のように物語性を感じさせるいい構図なのだ。風景画も多くあったが、私は人物が登場する作品に興味をひかれた。物語性という意味ではカラヴァッジョみたいだった。

この修道院を建てたマルグリット・ドトリッシュ。ハプスブルク家の皇帝マクシミリアン1世とマリー・ド・ブルゴーニュの間に生まれた。

マルグリット・ドトリッシュの夫サヴォア公フィリペール2世美公。彼の死を偲び、マルグリット・ドトリッシュが建てたのがこの修道院。

 修道院の建物の美しさ、美術館の収蔵品の面白さをたっぷりと楽しんでいたら、あっという間に1時間半くらいが過ぎてしまった。


本日の遠足メンバー。
 本当は観光案内所でもらった他の見所も見て回りたかったのだが、午後5時のバスに乗りたかったので友達夫妻を残して4人は先に帰ることにした

 鶏だけじゃない、ブール・カン・ブレスは早起きしてリヨンからたっぷり1日かけて見てまわる価値のある町だった。特に今日はメンバーが面白くて、久しぶりに「遠足」気分の楽しい一日となった。









2012.07.27(金) リヨン近郊(フランス)
ジュー・ルクスJour luxeな日

 今日はお昼ご飯を日本人シェフによるフレンチのレストランで摂り、夕飯は和食料理人の友人宅でごちそうになるという予定で、一緒に行動した友達いわく「ジュー・ルクス、贅沢な日」となった。

 ヴァランスにあるラ・カシェット、リヨンのflairと先週立て続けに体験した日本人シェフによるフランス料理のレストランが素晴らしくて、今日のL'ourson qui boit(酔っ払い小熊)というレストランの話を聞いた時にすぐに「行こう、行こう」と計画を立てて予約を入れてもらった。ここも日本人シェフによるレストランなのだが、あまりの人気にランチといえども1週間くらい前に予約を入れないと入れない情況になっているそうだ。

 オペラに近い裏通りに面したそのお店に午後1時近くに到着すると、すでに満席となっていて話に聞いていた通り大人気。年配客が多いラ・カシェットと違って30代くらいのお客さんが多いのは気軽な値段のせいだろう。前菜とメイン、あるいはメインとデザートで14ユーロ、デザートをつけると17ユーロだ。料理は非常に手がこんでいて美しくてあっさりめで非常においしい。量が少なめなのも日本人には嬉しい。この値段で日本だったらあり得ないレベルの高い料理に出会えた。ワイン500ml(12ユーロ)、コーヒーをつけて一人25ユーロ以下だった。

内装もセンスがある。

前菜はジャガイモとポロネギのヴィシソワーズ、eglefinという魚のブランダード(すり身にしてミルクなど加えたもの)、ピーマンのマリネ、フライドガーリック

メインは鶏胸肉のブレセ、バルサミコソース、フォアグラクリーム、pleurote(平茸)、ロマネスコ(ブロッコリーとカリフラワーの間みたいな野菜)添え

皆、大満足。

 夕食会までに数時間あるので、川沿いの再開発地区にできたconfluenceというショッピングモールに夕飯の材料のおつかいがてら行く事になった。

 ここで初めて知ったのがLa Coussin de Lyon(リヨンのクッション)。鮮やかな緑色のクッションのそばに緑色のお菓子が飾ってある。私達以外の二人は食べた事があり、まずくはないが値段が高いお菓子だということだった。

 フランスのご当地名物のお菓子というのは得てしてお値段が張る割には、お味はそれほどでもないという物が多いように思う。一つには本当においしい物はご当地に留まらず全国的なお菓子になって普及して既に値段が下がっているのに、そこまででもない味のお菓子はご当地に留まっているのみなので、生産量が少なくて割高になるからだろうと思われる。

 つまるところ、私としてはこういうお菓子よりもフィナンシェやマドレーヌにお金を使う方が実りがあると思うのだ。

 そんな話をしながらも、やはり目はバーゲンの店へと注がれる。あの店、この店と物色して歩いていたらいい時間になったので、おつかいの買物をして友人宅へと向かった。

 今日、料理を作ってくれるのは日本で高名な日本料理研究家について10年間アシスタントの仕事をしてきた人。人参の胡麻和え、サラダ、鶏の照り焼き、ハンバーグとどれもなじみのある料理だけれどビシーっとぶれなく作られていて、素人じゃないってこういう事なのかと実感した。特に築地から持って来た高級鰹節を使ったナスと油揚げのお味噌汁は素晴らしかった。ナスは黒くなっていないのに火が通る所で仕上がり、一口目に薄く感じられるだしは口に含むごとに旨みが広がる上品さがある。どうやって作るのか、もっと詳しく聞いておけばよかったのだが、食べるのに夢中で聞き忘れた。

 夕飯のメンバーに加わったのは音楽を勉強している学生。一人はサックスの勉強をしていて合宿から戻ってきたばかりだから、よりこの和食に感激していた。

 おいしいお食事とワインとおしゃべりであっという間に夜が更けて11時。キャンプ場への終バスを逃して友人宅に泊めてもらった去年のこともあり、今年はちゃんと帰れるように夜遅くまでバスがあるキャンプ場にしておいたのが、今日役に立った。

 リヨンの金曜日の夜、しかも来週からはバカンスに入る人も多いこともあり、夜中とは思えないくらいカフェや通りに人が出ていた。キャンプ場に向かう午前0時発のバスも座席が埋まって立ち客が出るほど混んでいて危険な感じがしなかったし、無事に帰ることができた。


2012.07.28(土) リヨン近郊(フランス)
朝のできごと、ピンクのジャケット、コンドリュー

 朝起きると、ちょっとしたできごとが起こっていた。

 ここ1週間以上、ずっとお隣さんだった青年が忽然といなくなっていたのだ。来週からバカンスに入る人も多いので彼も仕事を終えて家に帰ったのだろうとは思うが、その前にちょっと気になるご近所さんの行動があって、彼がいなくなったのは別の理由なんじゃないかとも思えた。

 隣の真面目そうな職人風の青年は、テント生活しながら仕事に通っていた。大型のベンツには機械工具やらいろんな道具が積んであって、腕のいい職人さんという感じの人だった。

 この青年と私達のテントの間に3日前から3歳くらいの女の子連れの女性とその妹らしき女性が2つテントを張って滞在を始めていた。女性たちは白人系でフランス語を話すのだが、雰囲気がちょっとジプシー風だったので私達は少し警戒をしていた。しかし、青年と女性たちはフランス人同士で年齢も近いことからすぐにおしゃべりを始めていたのが一昨日の事だった。昨日は青年が出勤する車に乗せてもらってどこかに行ったようだった。

 そして昨晩遅く、私達がキャンプ場に戻ってシャワーなどを浴びている時に妹の方が青年のテントに入っていったのを夫が目撃。そして、今朝、青年だけが早朝にチェックアウトしてしまった。この流れから青年が妹から逃げ出したようにも思えるのだ。テントなんて布切れ一枚の家なので、簡単に出入りできてしまう。あまりに親しくなり過ぎた関係に安全上の不安を感じて出ていっちゃったのかもしれない。フランス的な出来事だなぁと想像してしまったというわけだ。

 さて、午後からはConfluenceという新しくできたショッピングモールにへ向かった。先日訪れた時に夫がZARAで見かけたジャケットが欲しくなったようなのだ。このジャケットはフィレンツェのZARAで試着した時におかまちゃんの男性店員に「すごくいい!とーっても似合うわよ」と言われたピンク色のジャケットだった。「こんな色のジャケットなんて着るわけがない」と言っていたのだが、バーゲンで最終価格が正規値段の半額以下になっているのを見て、俄然買う気になったそうだ。Confluenceは川沿いにできた新しい建物で内部もかっこいいし、対岸のアパートも模型のように可愛らしい。気持ちのいい場所だ。

 さぁ、買うぞ!

 意気込んで再度試着してみたものの、なかなか買う踏ん切りがつかなかった。一つにはピンク色というインパクトが強すぎて飽きないか?という懸念が出てきたからだった。何着もジャケットを持っているのならピンク色も一着あってもいい、という事になるかもしれないが、唯一持っているジャケットがピンクでいいのか?

 店内のあらゆるジャケットを試着し、マクドナルドでコーヒーブレイクしてから、結局ジャケットを着る機会なんてほとんどないんだから、ピンクでいいじゃないか!という結論に達して買うことになった。
 ジャケット一つ買うのに、えらいエネルギーを使った。

 キャンプ場に戻ってからの今日のお楽しみはコンドリューCondrieu。リヨンの南、ヴィエンヌの対岸にあるコンドリューという地域の白ワインはヴィオニエというぶどうを使っていて熟成させたものが特においしいといわれているので、2009年のコンドリューを買ってみた。

 お値段は22ユーロくらいもして、この辺りのワインとしては高級品の部類に入る。

 合わせたのは白カビチーズのシャウルスと青カビチーズのロックフォール。しっかりとした味のコンドリューとの相性は抜群だった。ただし、しっかりしてハチミツの香りのする熟成された白というと、フィレンツェ近郊のサン・ジミニャーノのヴェルナッチャと比べてしまう。半額くらいなのに更にしっかりとしたコクを感じるヴェルナッチャの方がCPがいいと感じてしまった。たった一回のコンドリューだけじゃわからないけどね。


2012.07.29(日) リヨン近郊(フランス)
移動の決意

 リヨン郊外のここのキャンプ場に来てから10日が過ぎようとしていた。

 ツーリスティックになりすぎない快適な設備で安価なキャンプ場、リヨン在住の日本人の友達、おいしいレストランとワイン。

 あまりに楽しくて長居してしまったが、今後の予定を考えたらそんなにゆっくりもしていられない事が判明した。そろそろ移動しなくては。

 あと一つだけここでやりたいこと、シーフードバーベキューを明日やって、明後日出発することに決定。


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