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2012.08.13(月) シャモニー(フランス)
シャモニー観光 第三弾

 今日は、一昨日やり残したハイキングの続きから。シャモニーの街から2317mのプラン・デゥ・レギュイPlan de l'Aiguille、ついでに3842mのエギュイ・デュ・ミディAiguille du Midiまで行ってからプラン・デュ・レギュイまで戻ってハイキングスタート。めざすはフランスで最も大きい氷河メール・ドゥ・グラス(最初に訪れたイギリス人により「氷の海」と名付けられた)、1913m。ここには氷河に穴をあけて中を通れるようにした「氷の洞窟」があり、ここから赤い登山電車でシャモニーの街まで帰って来られる。

 メインのハイキングの所要時間が2時間15分なので前後2時間ずつかかったとしても、全行程6時間。盛りだくさんだけど忙しすぎないという一日になるはずだ。(青線が乗りもの、赤線が歩き)


 朝7時半にキャンプ場を出て、シャモニーの街でお昼ご飯用のバゲットを買ってロープウェイ乗り場に到着したのが8時。そこからロープウェイを乗り継いで3842mのエギュイ・デュ・ミディAiguille du Midi到着が8時23分。相変わらず「うぁーお」な景色を堪能して降りてきた。朝の時間帯は本格的に登山やトレッキングやロッククライミングする人の出発ラッシュアワーだ。眼下の氷河に向けて雪道を出発する人を見学するのにもってこいの時間だ。彼らの装備もさることながら最新のアウトドアファッションを見られるのが楽しかった。

エギュイ・デュ・ミディに向かうロープウェイからの景色

モンブランの北壁を3842m地点からのぞむ

今日は雲海が遠くに見えて幻想的なイタリア方面

出発する二人組は日本人だった。すごいなぁ。

 再び2317mのプラン・デゥ・レギュイPlan de l'Aiguilleまでロープウェイで下り、そこからメール・ド・グラス2時間15分と書かれた表示に従ってハイキングが開始した。終点は1913mなのだが途中で一度50m上がる部分があるものの、ほとんどが下り道という情報で歩きだした。最初に急坂を下ってからはほぼ水平な道をモンブランを背にして歩くコースは、小川あり、お花ありで向かいの2000m級の山々には少し雲もかかって気分いい事この上ない、快適なお散歩コースだった。途中の分岐点までは・・・。

 歩き始めて1時間15分経過した10時45分に行き先が二股に分かれている分岐点にやってきた。どちらにもメール・ド・グラスと書かれている。

 無料でもらった地図では左方向(写真の下側の標識)に行きそうだが、4.5ユーロで買ったハイキングマップだと左方向の道は高低差はないが少し難易度が高い、つまり歩きにくいがれきなどがありそうな道だった。右方向に行くと高低差のある道だが難易度は「易」。

 どちらに行こうか迷っていたら、フランス人のハイキング御夫婦がもっと詳しい地図を見せてくれて、右方向の道が絶対にいいと勧める。理由は右方向の道を進むと氷河のビューポイントに到達するというのだ。確かに誰もが右方向への道をとっていた。ということで、右方向への道をとった。ポイントは2204mのLe Signal。ここがメール・ド・グラスの蛇行がよく見えるビューポイントだったのだ。

 「少し大変だけどね、行く価値があるのよ」というフランス人の奥さんの言葉だったが「少し大変」ではなく予想以上に大変な登り道が15分くらい続いた。しかし、あがった先には氷河が作ったとしか思えない平たい石が現代アートのように積み重ねられた不思議ながれきの山の地帯があって心奪われた。巨人がいくつもの岩を手にすくって投げ飛ばしたらこういう景色ができるだろう。ものすごい力を感じる風景だった。

 そして、このがれきの向こうが氷河になっていた。山あいの奥の方から蛇行する氷河はよく目にする急峻な河の凍ったものではなく、普通の川が全部凍ってしまっている風景で、今まで見た事がないような壮大な景色だった。なるほど、フランスでもっとも大きな氷河だと言われるのがここから見るとよくわかる。

 残念なのは北を向いているので陽が入らずに写真としては地味な色合いに写ることだ。しかし陽が入らないからこそ、こうしてずっと凍っているのだから仕方ない。この景色は現場で見た方がよっぽどいい。

 11時半と少し早いけれど、この壮大な景色を見ながらサンドイッチを頬張るのが気持よさそうなので、ここでお昼ご飯とした。氷河の谷を渡る風が吹き上げてきて、ハイキングで火照った体はすぐにでも冷やされた。まさに天然のクーラー。

 今日のハイキングコースは楽だけれどそんなにスペクタキュラーじゃないだろうと思っていたら、最後にこのサプライズ。シャモニーのハイキングコースは侮れない。

 ここから登山電車の駅まではかなり急な下り坂ですれ違う人は息があがって苦しそうだったが、道中には見事に生い茂った草花が氷河を縁取っていて絵葉書そのものだった。

 坂を下りきった場所は、シャモニーからの登山電車の終点駅があり、氷の洞窟へのロープウェイの出発地であり、ホテル、土産物、氷河を見ながら食事ができるレストランありと盛りだくさんな観光地だった。苦労して歩かなくても素晴らしい氷河が見られるということでお年寄りからベビーカーの乳幼児までわんさかと訪れている賑やかな場所。おそらくエギュイ・デュ・ミディと並ぶシャモニー二大人気観光地だろう。

 私達はここからロープウェイで氷河まで降りて「氷の洞窟」を訪ねることにした。ロープウェイの乗り場には「たとえロープウェイで降りても、その先更に380段の階段がございます。足の弱い方は・・・」と注意書きがしてあったが、果たしてどのくらいの人がこの注意書きを読んでいるだろうか。ロープウェイで下った先では「こんなに階段があるなんて聞いてないよ」と明らかに不満と苦痛をにじませて階段を上り下りしている巨体なお年寄りが何人もいた。

1990年はここまで氷河があったそうだ。

ずーっと下まで階段を下る。

本当に氷河に穴をあけているのには驚いた。

 それにしても氷河をくり抜いて洞窟を作ってしまうって、すごい発想だ。しかも階段の途中には「1990年にはここまで氷河がありました」というレベル表示があって、考えるととても早いスピードで氷がなくなっている。にもかかわらず、こんなに多くの人が訪れる洞窟を作って大丈夫なのだろうか。そんな事を思いつつ恐る恐る中を見学した。

 内部は青や赤のライトが照らされて氷が幻想的に浮かぶようになっていた。氷河というのは本当にびっしりと凍っているもんだと感心するくらいに、固い壁が続いていた。しかし、こういう人工的な光をあてた氷よりも天然光を通して青く光る氷のトンネルの方が素敵だ。そういう意味では南米の氷河トレッキングで見た氷が勝る。

 氷の洞窟から戻ってきて、飲み物を買って休憩したりしてから午後2時50分発の登山電車で30分かけてシャモニーまで下ってきた。

 いい景色だなぁと思って見ていたらいつのまにか熟睡していて気付いたらシャモニーに到着していた。

 午後3時半。シャモニーの町中は既に観光を終えた人々でレストランもバーも大盛況。そんな風景を見ていたらついつい私たちも飲みたくなったが、ここは1つ我慢、我慢。こういう日こそバナナとピーナッツバターで締めくくるとぐっと体が引き締まるのだ。


2012.08.14(火) シャモニー(フランス)
シャモニー観光 第四弾

 シャモニーから車で15分ほど西に行ったARGENTIEREという村から2本のロープウェイを乗り継いで3275mのGrands Montesまで行き、氷河や雪山を見学。1972mのLognanまでロープウェイで降りて、そこからアルゼンティエーレ氷河Glacier D'Argentiereまでハイキングというコースを行ってきた。1972m地点のLognanから片道1時間で行けるので割合楽なハイキングだった。


 アルゼンティエーレはシャモニーのメジャーな観光ロープウェイ乗り場に比べると閑散として、おいおい運行してるんかい?というような不安を感じさせる、ちょっとマイナーなロープウェイ乗り場だった。しかし、ロープウェイ出発の時間になるとわらわらと人が集まってかなり混んだ感じになった。シャモニーの「おのぼりさん」的な観光客に比べると、こちらのメンバーはリピーターのお年寄りやディープなロッククライマーなどマニアックなメンバーだった。

 メンバーがマイナーとはいえ行く先は3275mとかなりの高度の場所。2つめのロープウェイの眼下には氷河が広がりまたもやスゴイ景色となっていた。

 到着したGrands Montesは目の前に「もーん」と大きな山がそびえる景色の場所だった。やっぱり標高が高いので展望台を急いで上に行ったり下に降りたりすると頭がくらくらしてくる。加えて右にモンブラン、左に氷河、氷河の奥に三ヶ国の国境が接する場所も見えて興奮の風景が目白押しで、ますますクラクラするのだった。

モンブランよりも距離が近くて迫力のある山

みぎてにモンブランも見える

左手がアルジェンティエーレ氷河。氷河の奥に三角にとがる山が
イタリア、フランス、スイスの3ヶ国の国境が集まっている場所。

この山も登り、下りしている人の姿が見られた。

 上で30分ほどを過してからロープウェイでLognanまで降り、そこから氷河までのハイキングを開始。Lognanのロープウェイ駅にはマスコット的な馬とロバの親子がいて、皆に触られまくりの写真撮られまくりだった。こういうのも、人が多すぎないからできるサービスだろう。なかなかいい感じだった。

 さて、ハイキングは氷河の流れる川の縁まではずっと登り道ではあるが30分で到達する。3000mレベルで見ていた氷河とは異なり、下の方の氷河は上からの圧力で氷の板がめくり上がって板が何枚も立って並んでいるような迫力のある景色になっている。

 しかし、30分で到達する地点では、太陽光線が後ろから氷にあたるので逆光になって暗く見える。ここから氷河沿いに急な斜面をもう30分のぼっていくと、じょじょに氷の板を真横から見るようになり太陽も順光で見えてきて、より輝く氷の板の連続を迫力を伴って見る事ができるようになった。

 やがて目的のLe Point de Vue(2338m)に到着すると、氷河はややなだらかに上流に向かって見えて遠くにイタリア、フランス、スイスの三ヶ国の国境が接する山も見えてきた。今日のハイキングのゴールはここだから案外楽に来られた。

 眼下の氷河上にはまたもや人影がある。ここから氷河を歩いて上流の反対側岸にあるレフヒオ(山小屋)に向かうというトレッキングをする人たちのようだ。あまりに気軽に歩いているので何だか私たちも行けそうな気がするくらいだった。

ビューポイントの大きな岩は別の家族がピクニックしていたので、私達はがれきを乗り越え更に少し上流にいった場所にピクニックに好都合な岩場を見つけて、そこでサンドイッチを作ってお昼ご飯とした。

 こうして氷河を見ながらお昼ご飯を食べるといえば、南米のパタゴニア地方、チリのパイネ国立公園のグレー氷河以来じゃないだろうか。あの時の大変さと比べたら夢のように楽に氷河まで来られる。何という違いだろうというのが一番強く感じた事だった。

 川岸からビューポイントへ急な斜面をよじ登ってくる人もいたので、ランチ後は私たちももっと川岸に近寄って見ることにした。

 上から見ていたら簡単そうに見えた氷河だが、実際に氷河へ入るのに皆が使っている入口まで行ってみると、迫力のある氷の塊がポッキリと折れている所もあり、こりぁあ、熟練のガイドなしにはうっかりと氷の谷間に滑り落ちかねないというのが如実にわかる。

 とはいえ、ちょっと氷の上を歩いてみたいなぁという誘惑もあったので、氷上から戻ってきたフランス人カップルに「この靴でちょっと氷の上を歩いてみるってのは可能ですかねぇ?」と聞いたら、何を言う!という表情で強く「絶対だめでしょう」と否定された。

 ま、これで諦めがついたので本当にちょっとだけ氷に足をかけて記念撮影だけしてきた。でもいつかガイドについてもうちょっと氷を歩くというのをここでやってみてもいいいかもしれない。

 こうして、氷河沿いでたっぷりと時間を取って氷の風景を楽しんでからLognanまで戻ってきた。道は広く下り坂は緩やかで非常に楽な帰り道だった。











 今日と明日に渡ってシャモニーで「ガイド祭り」が開かれているというのでシャモニーの街に立ち寄ってみたが、ガイド祭りは有料の会場内だけで盛り上がっているのか街は特に変化なし。昨日と同じようにビールを飲む人を見ていたら私たちも飲みたくなってきた。

 目貫通りに一軒だけリーズナブルな値段のハンバーガー屋があって、そこでビールを飲みたかったのだがあいにく満席。次に狙ったのは何とマクドナルド。マクドナルドではフライドポテトなど何か食べる物を注文すればビールを注文する事ができるのだ。缶ビール1本分で2ユーロと他のレストランなどと比べるとぐっと安い値段でビールが飲めるのはあまり知られていないかもしれない。

 フランスのマクドナルドのフライドポテトっておいしい。ジャガイモがいいんだな、きっと。アジアのと違う。


2012.08.15(水) シャモニー(フランス)
シャモニー観光 第五弾

 シャモニーのマルチパスは2週間の間に5日間ロープウェイなどを利用できるという定期券を買ったので、今日が最後。今日は初日に観光案内所のお姉さんが勧めてくれたハイキングコースに行ってきた。シャモニーの街から昨日行ったArgentiereを通りすぎて更に西にあるLe Tourという村から出発するロープウェイとリフトを利用して標高2186mまで行く。そこからTour氷河まで歩いて、氷河沿いに登った所にある山小屋「アルベルト一世」Refuge Albert 1erまで行って折り返して歩いてくるという予定だ。氷河沿いに歩く部分がきつそうなので、氷河まで到着したら好きなだけ登って引き返してくればいいやという気軽な気持ちで向かった。


 シャモニーからこんな離れた場所まで来る人がいるだろうかと思いきや、朝10時頃に到着したLe Tourのロープウェイ乗り場の無料駐車場は9割方がうまっていて驚いた。どうやらイチゲンさんで混雑しているシャモニーを避けてリピーターのハイカーはこちらに来ているようなのだった。最初のロープウェイは「カラン、カラン」とカウベルの音を聞きながら緑のじゅうたんの上で草を食む牛たちを見ながら行く。次は6人乗りのリフトで、緑と花の咲く岡の上を風を感じながら揺られていった。下の村からは手前の山に遮られていたモンブランの白い輝きがじょじょに姿をあらわして見えてくるのも、このリフトの楽しみだった。

 リフトを降りてから標識はいくつかの方向へのハイキングコースを示していたが、ほとんどの人はアルベルト一世へと向かうコースをとっている。リフトを降りて右手にずーーーっと緩やかに登る道がウネウネと山沿いに走っていて、そこを蟻の行列のようにハイカーが進んでいっているのが見えた。標識では片道2時間。往復で4時間かぁ。思ったよりも長い。ま、嫌になったら途中で帰ってくればいいと歩き始めたのだった。

 スタートして緩やかな坂道を上りいくつかの山をまわりこんだら20分後にはもう、氷河の先っぽが見える地点まで到達した。眼下にはLe Tourの村が何にも遮られずに一直線に真下に見える。

 ここから氷河沿いに至るまではがれきの、やや足元の悪い道になった。20分で氷河の岸に到着すると間近に迫力のある氷の塊が見えるのは昨日と同じだ。そして、ここに至って今日の最終目的地が激しい上り坂の遥か上に見えている。あの建物がアルベルト一世山小屋だ。疲れたら途中で引き返せばいいや、などと思っていが、途中で引き返してくるという雰囲気はなく皆一心不乱にのぼっている。ああ、私も登っちゃうんだろうなぁ。

 氷河岸から急な坂を上る事50分でアルベルト一世小屋に到着した。上るのは苦しいが立ち位置が少し変わるだけで横の氷河の表情が変わって見えるので目が離せない。ちょっと歩いちゃぁ景色を見てというようにゆっくりと楽しみながら歩いての50分なので速度はゆっくりだった。

 この山小屋は宿泊設備もあってレストランも併設されている。小屋の裏側にテーブルと椅子がありレストランで注文した料理を食べたり持参の食料でピクニックする人たちで大変ににぎわっていた。あんなに大変な思いをしないと来られない場所にもかかわらず大勢の人がいるのは驚きだった。当然、相席になる。最初はちょっと気どったフランス人男性二人組と同席で一言もしゃべらなかったが、次にお隣におしゃべりなおばあちゃんとちょっと寡黙なおじいちゃんが来て突然テーブルがにぎやかになった。そして向かいにサングラスをかけたベイビー連れのママが座るとますます盛り上がってきた。ここで、この山小屋から更に10分ほど氷河沿いに上ると更に開けた景色で面白いとおばあちゃんが言うので、早速行ってみることにした。

 そこは二つの氷河が合流している場所で、まだ氷が上流に押し出されていないので平らな斜面が広々と輝いて見えた。上方に青い空、その下に黒く鋭い山の影があり、砂に少し覆われているものの夏の太陽に照らされてまばゆく光る銀河が目の前まで落ちてきている。少し上ってきただけなのに、山小屋は遥か下方に見え人影は見えない。静寂と強いひざしとまばゆい光が目を指す刺激が相反する信号を脳に送り続けて不思議な気分になる場所だった。

 たっぷりと山小屋周辺の景色を楽しんでから下山することにした。実はここからLe Tourの街まで一直線に降りて行くこともできるようだ。そのコースだと太陽に照らされて午後から水量を増して迫力ある滝となった氷河の流れを間近に見ながら帰れる。お昼ご飯で一緒だったちょっと寡黙なおじいちゃんは何と村から一直線に3時間半かけて上ってきたそうだから、下りはもっと少ない時間で帰れるだろう。

 私達は、一直線に村まで帰る道についてあまりよく知らなかったので、朝来た道を戻ることにした。午後からは光の当たり具合が変わって氷河が青く光って違って見えるのも楽しかった。帰りは1時間半で帰ってこられた。花の咲く道は行きよりも下りが多く楽だった。

青く光る氷は魅力的だった。

こういう道はパタゴニアのパイネ国立公園を思い出させる。

来る時には気付かなかったが向こうに湖が見えた。あそこはもうスイスだそうだ。

お花畑の道。

 下まで降りてきて駐車場から見上げて初めて気付いた。Le Tourの村から氷河の先端が見えるのね。ここでやっとアルベール一世山小屋から一直線に村まで帰ってこられるとわかったのだった。

 しかし、村から見上げると氷河が見られるってすごいなぁ。

 こういう景色は南米までいかないと見られないのかと思っていたが、ヨーロッパでもあるんだ。そう思うと、南米に行くよりシャモニーに来た方が安いだろうから、シャモニーはお得な感じがした。


 ってなわけでマルチパス5日券をフル活用で楽しんだシャモニー滞在は大満足のうちに終了となった。明日はいよいよモンブランの下を通るトンネルをくぐってイタリアにもどる。


2012.08.16(木) シャモニー(フランス)
雨で延泊

 今日はイタリアに移動だ!

 と思っていたら突然、天気が崩れて大雨。テントをたたむ事もままならず今日はゆっくりと休憩することにした。

 寒いし、雨だし。こんな日はチーズフォンデュー日和じゃないか。レストランで食べると「おひとり様17ユーロ、最低お二人さまから」などと言われて34ユーロにもなっちゃうチーズフォンデュー。しかし、スーパーでは2〜3人前用のチーズフォンデューが4ユーロ未満で売られている。鍋に移して温めるだけ。あとは自分で食べたい具を用意すればいい。毎朝キャンプ場に売りに来る焼き立てパンの移動販売車からバゲット、スーパーで野菜とソーセージを買って、全部で10ユーロ以下で二人分たっぷりのチーズフォンデューができた。細かく言えばグリュイエールチーズとコムテチーズの質はどうなんだとか、入っている白ワインのレベルはどうなんだという問題はあるが、「せっかくアルプスに来たんだから食べよう!」という記念行事的なレベルとしては十分に旨し!


2012.08.17(金) シャモニー(フランス)→ガルダ湖ペスキエラ・デル・ガルダ(イタリア)
暑いお気楽観光地に移動

 結局8泊となったシャモニーのキャンプ場にお別れしてイタリアに戻る。超ハイシーズンなのに19.3ユーロというリーズナブルな値段(大人二人、車、テント、電気)、気持のいいシャワー、無料のWifi、モンブランからの氷河が間近に見える迫力の景色とかなり好印象のキャンプ場Les 2 Glaciersだった。

 今日はここからすぐのモンブラン・トンネルをくぐってイタリアに入り、ミラノの西125kmのガルダ湖畔のキャンプ場に移動する。目的はヴェローナの野外オペラなのだがヴェローナ近郊のキャンプ場がつぶれてしまっているようなので、ヴェローナから20km離れたガルダ湖に行く事になったのだった。

 トンネルは入り口で通行料金を支払って入る。全長10kmくらいもあるモンブランをくり抜いたトンネルの通行料金は一般車両で片道38.9ユーロとかなりお高かった。因みに往復では48.6ユーロだそうでかなり往復割引が効いていたけど戻らないしね。仕方ない。

 長いトンネルなのに快適にラジオ放送が入り続けるのでスゴイなぁと感心していたら、真ん中あたりで急にラジオが「安全情報」になった。ちょっと気が抜ける真ん中あたりで、ラジオ放送を強制的に利用して「安全情報」を流す事で注意を喚起している。しかも、イタリア語、フランス語、英語の三カ国語で流していた。何とも気が効いていて、先進国だなぁと感じるのだった。

 出てきたイタリア側は南側になるのでフランス側の夏でも氷河のある景色に比べると格段と普通の夏山の風景で、あまり観光客もいない。フランス側は北側ゆえに夏に観光地として栄えているのがよくわかった。

 それでも時折とがったカッコいい山があったりする風景をの中を走って車は南下していった。

 途中のドライブインでお昼ご飯を食べたりして、午後2時近くにガルダ湖のキャンプ場に到着。朝9時半に出発したので4時間半。私達の移動時間としてはちょっと長かった。

 朝出た時は15度だった外気温は32度まであがり、19.3ユーロだったキャンプ場代金は40ユーロに跳ね上がった。イタリアのバカンスのメッカの1つであるガルダ湖では夏の高騰ぶりはすさまじい。もっとも明日から29ユーロに落ちると聞いてちょっとホッとしたのだった。

 キャンプ場からガルダ湖が見えるロケーション。日焼けだ、湖水浴だ、プールだ、ビールだ、BBQだ。

 昨日までのストイックな山歩き中心の人たちとは違うテイストのバカンスを過ごす人が多く集まっているキャンプ場で雰囲気はがらっと変わった。真夏の水際は東南アジアほどではないとしても、避暑地の山に比べたら随分とリラックスした空気が漂っていた。






2012.08.18(土) ガルダ湖ペスキエラ・デル・ガルダ(イタリア)
ヴェローナ観光、そしてタイヤをパンクさせられる

 ヴェローナに来た目的は古代ローマ時代から残る闘技場アレーナで毎夏行われている野外オペラだ。2008年に初めてアレーナで見たアイーダが面白かったので、今年も見てみようとやってきたのだった。

 ヴェローナはシェークスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台となったことで有名な街で、観光のポイントとしてはジュリエットの家がある。また、中世の面影を残す素敵な広場があり、古代ローマの闘技場があり、、丘の上から街を見下ろせるロケーションもある。前回、こうした有名どころは全て見てまわったので、今日はとりあえずオペラのチケットを買う事だけがやるべき事で、他はぶらぶらする予定でやって来た。

 観光エリアをやや外れた道に入ると無料で駐車できるスペースがあったので、そこに駐車した。土曜日のせいか、周囲の店では昼間から酒を飲む人、ピンボールのゲームに興じる人がいて、「ちょっとガラが悪い地域だなぁ」と思いながら観光ポイントに向かったのだった。

 道中には昔ながらの建物が残る場所があり、OVSというイタリア版ユニクロのような店があり、時計とパチンコの玉が入って行く所みたいな形の装飾を配した門ありとひっかかる所が多くてなかなか先に歩いていけない。

中央のオレンジがかった建物がなんとも時代がかって素敵だった。

パチンコの玉が入る所みないなかたちの装飾が面白い。

アレーナ前のカラフルな建物

アレーナは気軽に町中に溶け込むように存在している。

 やっと到着したアレーナの目の前にある観光案内所では、的確な情報をわかりやすい英語でビシバシと教えてくれる素敵な若い女性(夏休みの大学生のバイトだったかもしれない)のお陰で、2本のオペラのチケットを首尾よく買う事ができた。私達が買ったのは一番安い25ユーロの席。昔のままの石の座席だ。他の席は石の階段の上にプラスチックの椅子を設置した席となり、一番安くても75ユーロに値段が跳ね上がる。ステージ前のいわゆるアリーナ席ともなると130ユーロだそうだ。バカンス値段だなぁ。

 今日の目的は達成したので、あとはブラブラと街を散策だ。素敵な広場には土産物屋台が出ていた。この屋台を囲むように時計台があり、フレスコ画が描かれた建物があり、噴水、彫刻がある。どうにも素敵な広場だった。

 観光客であふれるアレーナから広場に至る界隈にはレストランこそあれど、普通のパン屋さんがない。パン屋さんを探して少し庶民的なエリアに行くと旧市街の境界線に置かれた検問所の跡だろう、昔の門がある場所にでくわしたりした。いやいや、ヴェローナ、なかなか素敵だ。

 この門の先が川になっていて川沿いにベンチのような椅子があったので、そこで買ってきたパンと持参の具材を使ってサンドイッチを作ってピクニックをした。



 食後は、再び街の散策。

 前回は知らなかったが繁華街の通りにはヴェンキVenciという元来チョコレートで有名な店がジェラテリアを出している。今年のフィレンツェのジェラートフェスティバルで知ったジェラテリアだ。ここでデザートとしてジェラートを一発入れた。うーん、おいしい。フランスのジェラートは1スクープで2.5ユーロなどという値段だが、イタリアでは通常2スクープで2ユーロ前後だ。イタリアでしかジェラートは食べられないねぇ。




 せっかくだからジュリエットの家にも行ってきた。恋を成就させたい人が書き込んだ思いが満載の壁の洞窟をくぐりぬけて中庭に入ると、ジュリエットがロミオの愛を聞いたバルコニーがあり、中庭にはジュリエットの彫刻が置いてある。ジュリエットの右乳に触れると幸せな結婚ができるという言い伝えがあって、みんな右乳を触って写真を撮影するのだが、その照れっぷりを見ているのが面白い。公衆の面前で人の乳に手を置いて写真撮影するというのは世界的に恥ずかしい事なんだなぁ。

 こうして市内散策を楽しんで午後4時半近くに帰ろうと車に戻った。すると、右側後輪がパンクしているではないか。右側後部の扉に釘のようなもので引っ掻いた傷跡もあり、どうやらガラの悪い場所に無料駐車しているフランス国籍の車に悪意を働いた奴がいたらしい。土曜日の夕方、これからプジョーのサービス店を探すのも難しい。とにかく、予備タイヤがあるはずだし、道具もあるはずだから、方法さえわかればタイヤ交換はできるはずなのだが、私達にはその知識がなかった。ベコベコとするタイヤをひきずりながら一番近いガソリンスタンドまで駆けこんで助けを求めると、親切なガソリンスタンドの係員男性がマニュアルを見てタイヤ交換をしてくれたのだった。いやー、この人に出会えて本当によかった。併設のマックでコーラを買ってきて10ユーロと共に進呈。「いや、そんな。お礼なんて受け取れない」という彼にねじこんでお礼を渡してきた。親切な人は報われなくっちゃね。愉快犯で人の車のタイヤをパンクさせる人もいれば、こうして親切に直してくれる人もいる。イタリア人も色々だ。

 夏に車を借りてキャンプするのも今年で5回目。最初は屋根付きの有料駐車場じ必ず車を入れていたが、田舎では無料駐車場を利用し、都会でもじょじょに無料駐車場を利用して何事もなかったので気が緩んでいた。車を駐車してから見た周囲の男たちの様子から危険を察知すべきだった。久しぶりの災難を天からの警告と受け取って、これからは駐車場には気をつけようと反省したのだった。


2012.08.19(日) ガルダ湖ペスキエラ・デル・ガルダ(イタリア)
自炊で楽しむ休憩の日

 ヨーロッパのキャンプ生活になってから週中は節制、週末に食べるという食生活が乱れているが、今日はやっぱり日曜日ということでいつもよりは節制気分を解いて、どこにも出かけずに「食べて楽しむ」日曜日とした。

 まずは昼の部。週末だけ自分に許しているポテトチップス。イタリアではローズマリー味なんて洒落たのがあって、これまたおいしかった。できあいの前菜として売られているアンチョビのオリーブオイルとネギ漬けに茹でたブロッコリーをあわせてご機嫌な前菜は、トスカーナのオルヴィエートという町の白ワインにあわせた。メインはムール貝の酒蒸しにトマトソースを合わせたパスタ。

 夜の部は、生ハム、サラミ、コッパとサラダ。ハムとサラミのセットはちょっと高級品を買ったので柔らかく甘味のある上質な味が楽しめた。そして夫がネットでみつけた「カプレーゼの味噌汁」。カツオだしで煮たトマト水に味噌をといて、モツァレラチーズとちぎったバジルを置いた器に味噌汁を注ぐ。モツァレラがお餅のように溶けて伸びるとミルクが溶けだして味噌汁にコクをあたえるという斬新な味がよかった。デザートはリコッタチーズにフランスの発酵ハチミツがけ。文句なしに美味。



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