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11月:1
2012.06.18(月) フィレンツェ(イタリア)
今週はファッションウィークらしい

 ホームパーティーを開いたこともあって、いつもよりも食べ過ぎ飲み過ぎた週末だった。今週は締めてかからないと。ということで、今日は恒例の10kmウォーキング。

 アパートを出て外周道路に向かって北上する道筋は、やや裏路地でアヴァンギャルドな雰囲気を出している。

 思いっきり観光地の中心部ではちょっと見ないアートギャラリーやアメリカ人相手なのだろうか、英語で「ヘルシーフード」と書かれたお店などがちらほらある。壁には既に終了しているイベントポスターが貼られていたが、そこに描かれているダビデもでっぷりと太ったビールっ腹になっていたりする。

 ほんの数ブロック手前にはアカデミア美術館などがあるのだが、ちょっとそれるとまるで雰囲気が違うというのが面白い。

 さて、外周道路に出て反時計回りに歩いて駅裏手のバッソ要塞を通りかかると、いつもは見ない多数のトラックが集まっている。お、これは何かのイベントのための搬入だな!そう思って近づくと「Don't stop fashon」という大きなロゴが出ていた。しかし、関係者に聞いてみたらファッション業界の人だけに向けての見本市らしく一般人は入れないらしい。

 もうしばらく歩くとプラート門近くにも、今度は革製品の展示場があったが、こちらも恐らく関係者のみだろう。今週はファッションイベントに華やぐようだが、私達には関係ないようだ。確か先月もファッションイベントが同じ会場であり、業界らしき日本人達が建物に入って行くのを見た。フィレンツェではこうしたファッション業界イベントを頻繁に開いてメッセと観光のコンビネーションで町を盛り上げているようだ。やり口が非常にスマート。

 今日のアルノ川は鏡面なり。

 緑色に濁って決して美しくない川だが、鏡面になって周辺を映し出している景色は美しい。今日からひざしが強くて暑くなり、急に真夏がやってきたようだ。

 川を渡ってからミケランジェロ広場までは上り坂。つい先日まで日陰に入るとちょっと寒いくらいだと思っていたのに、今日は日陰が恋しくてたまらない。

 約2時間半歩いて、終点地にあるジェラテリアでジェラートは注文せず、ぐっと我慢の炭酸水だけで終了。


2012.06.19(火) フィレンツェ(イタリア)
ついに「収穫なし」のカッシーネ。

 朝8時半から20分くらい歩いてカッシーネ公園の市に行った。朝日を浴びた建物が美しい。

 その建物の足元では通勤や通学の人や自転車や搬入やゴミ掃除のトラックが忙しく走り回り、朝の活気のあるフィレンツェの街を見る事ができる。

 この朝っぱらから日本人、韓国人の団体観光客がガイドに率いられて歩く姿も見られるが、こんな朝から引き回されたら午後にはもうぐったりしていることだろうな。



 カッシーネ公園の市は学校がお休みに入ったことから若者の軍団も混じってきて、今日はいよいよ混雑を極めていた。

 掘り出し物がみつかる2、3の場所を探ってみたが、今日は気になる洋服がみつからない。というのも、今までは無作為に面白そうな洋服をピックアップして買っていたのだが、さすがに手持ちの服が増えてきたのでコーディネートしようと、対象をかなり絞り込んで探し始めたら、とたんに見つからなくなったのだ。

 夏に向けて、気軽なスカートやタンクトップなどの品ぞろえが増えてきている。ちゃんと季節に合わせて売れそうなアイテムを次々に繰り出してくるここのマーケットって、どうやって品揃えしているのか不思議だ。

 市の中腹あたりの裏手ではペルー人によるアンデス音楽の演奏が始まっていた。従来の伝統的な曲の要素を取り入れて現代風に彼らがアレンジしている曲はBGMにすると心地よさそうで、割合とCDがよく売れていた。やっぱりアンデスの音楽はレベルが高いと再認識した。

 一度アパートに戻って自炊。今日の昼ご飯はレバーパテの余りと豚ミンチを炒めてタリアテッレに混ぜた「レバーパスタ」。サント・スピリト地区にある内蔵専門トリッペリアの「イル・マガッツィーノIl Magazzino」で食べて感動したものをアレンジしてみたのだ。味はよかったけど、ぱさついてしまった。茹で汁でソースをのばせばよかった。

 午後からは町を散策。ジェラート休憩はグロム。2種類で2.5ユーロは他よりも高めの値段だが、甘すぎないのに素材の味が濃いというここのジェラートは、久しぶりに食べるとその秀逸さが際立って感じられる。私は「ランポーネ(ラズベリー)とノッチ(ヘーゼルナッツ)」、旦那は「バッチョ(チョコ)とピスタチオ」。

 本当はストロッツィ宮前のファッションイベントを見学したかったのだが、なぜかクローズされていて入れず。一体、いつになったら見る事ができるのやら。

 今日の気温は最高36度にまで達したそうで、とにかく暑い一日だった。夕方からスイカ、凍ったブドウ、氷を入れた水など立て続けに飲み食い。キャンプ生活になったらできない事ばかり。今のうちにやっておかねば。


2012.06.20(水) フィレンツェ(イタリア)
アウトレットのThe Mallへ。

 フィレンツェから公共のバスに乗って約1時間。のどかな田園風景の中に忽然と存在するアウトレットのショッピングモールがある。プラダを始め、アルマーニ、グッチ、フェンディと名だたるブランドが店舗を構えるこのモールはその名もThe Mallと言って、フィレンツェの町中でもここのロゴが入った紙袋やプラダと大きく書かれた紙袋を持った人をよく見かけていた。

 毎週カッシーネ公園で鍛えたファッション眼をたずさえて、いよいよ我々もザ・モールへと出陣することになった。

 バスはサンタ・マリア・ノヴェッラ中央駅向かって左側にあるバスターミナルから出る。行き先はThe Mall。直行便が出ているのだ。出発15分前にターミナルに到着して、窓口で切符を買って乗り場に行くと、そこには既に待っている人が大勢いた。8割は中国系の人たちだ。

 高速道路に乗って少し走り、超田舎のマイナーな出口で高速を降りて、畑の中の細いクネクネした道を走った後に到着。

 ザ・モールは4棟とレストラン棟からなっていて、各棟はブランドが長屋のように連なっている。ザ・モールのレストラン棟の裏手にプラダと他2ブランドの入った棟があり、、隣接しているが、これはザ・モールではないようだった。

 特にお目当てもない私達はとりあえず、聞き覚えのあるブランド名とあれば片っ端から見ていくことにした。

 フィレンツェの町中にあるフェンディやミューミューなど敷居が高すぎて店に入る事もままならない雰囲気を感じている。(他の日本人観光客の皆さまは堂々と入っていらっしゃいます。私達とは御召し物も違うし、第一、私達と違って本当に買おうという気持ちが全身からあふれていますから、おのずと店員の態度も軟化するというものです。)

 しかし、ここはとても入りやすいし試着もしやすい雰囲気だった。しかも、夏物のワンピースなら100ユーロ、スカートなど65ユーロからあって買えそうな勢いだ。一日でこんなに有名ブランドの洋服に袖を通した事なんて生れて初めてだなぁ。グッチのちょっとアスリートのような宇宙的な洋服、アルマーニの変わった素材、フェラガモの超フェミニンな立体裁断のジャケット、ミューミューの黒いワンピースなどなど。一般に普及している洋服と比べると、素材やディテールが凝っていてさすがに一流ブランドを思わせる洋服だった。

 しかし、グッチなどはかなり細い人を対象にデザインしていると思われて、たとえ体が入ったとしても、もっと肩幅や腰が狭くないと様にならないというのを実感。

 ファッションも、音楽も、料理も。相手が高級になるほどに楽しむこちらの技量も要求される。今日の洋服の場合はデザイナーの意図するボディーを持たない限り一緒に楽しむ事はできないと教えられた。音楽なら弾きこなす技量がなければストラディバリを持っても仕方ない。ブールガン・ブレスの鶏も処理の仕方がわからなければおししく料理できない。より高い次元での喜びを得ようとしたら自分を磨かないと得られない。一方で、グッチの意図する細い肩幅には努力してもなれないわけだから、そういう限界があるということも実感させられたし、ザ・モールでの体験はなかなか面白かった。

 それにしても、帰りのバスの中はにぎやかだった。手ぶらでバスに乗ったのは私達くらいで、他の人は戦利品を見せ合っては笑いあっている。無邪気に喜んでいる中国人達は裕福な沿岸部から来たのか、はたまたシンガポールやマレーシアで成功した人たちなのだろうか。晴々した顔を見ていると、ブランド品の存在意義も確かにあると思えるのだった。

 フィレンツェの街に戻るとストロッツィ宮前のテントで行われているファッションイベントやらリップブリカ広場に設営されたファッションイベントを見る事ができた。ストロッツィ宮前のイベントはテント内で風景と女性の映像を見せるもので、女性の映像がテントの真ん中あたりのスクリーンに写されて3Dっぽくなっている。ある服飾ブランドのイメージイベントだそうだ。リップブリカの方はいくつかのイタリアンブランドの最近のファッション界や映画界での活躍を展示している。今週のファッション見本市に来た世界中の服飾バイヤーらしい、いかにもお洒落な人たちがこういうイベントや展示を見学していて、その姿がまた街に華やかさを加えていた。

 今日見た町中でのおシャレな男性グループは、一人は真っ赤なパンツに真っ白なジャケット、ポケットチーフはパンツとおそろいの真っ赤なシルク。一人は水色のジャケットに濃い青の肘当てがついている。もう一人は黄緑色のジャケットに黄色い靴を履いていた。全員、イタリア人っぽかったので見本市で出店している側だろうな。こういう人たちがうろうろしているから、今週はフィレンツェの町中でファッションチェックするのも楽しいかもしれない。


2012.06.21(木) フィレンツェ(イタリア)
ファッション見学とレストラン

 ファッション見本市に行ったら素敵なファッションの業界人を見られる!

 という目的で、今日は午後からファッション見本市の会場までファッションチェックにでかけることにした。ここ数日猛烈に暑く、その暑さに呼応するように観光客がわさわさと市場付近を蠢いて、暑苦しいことこの上ない。

 見本市の行われている会場は駅の裏手にあるバッソ要塞。先日は入り口で挫折したのだが、今日はもう少し奥まで潜入してみることにした。


 要塞の門をくぐって入ると、見本市用に装飾された建物が見えた。このいくつかの建物の中で見本市が行われているようで、各ブランドの資料袋を持った人がうろうろしている。しかし、やはり建物群に入るためにはパスが必要で、私達はここまでとなった。

 とはいえ、見学に来ているファッション業界の人びとの服装も中にはとても気張っている人がいて見ていてとても面白い。ということで、要塞の入り口付近に張りこんでファッションを見物することにした。よく見かけたのが、男性でベージュのコットンか麻のショートパンツに白っぽいシャツと紺色のややトラッドなジャケット。足元は素足、あるいは素足に見えるくらい短いソックスで皮靴やデッキシューズ。定番のようでこんなかっちりしたジャケットとショートパンツの組み合わせは今年ならではかもしれないと思わせた。女性よりもどちらかというとお洒落な男性が目立っている。

 すると、近くで「あー、何やってんですか?」と声をかけてくる女性あり。

 5月の半ばにサント・スピリト教会前の市で洋服を漁っていたら隣で同じく洋服を見ていて知り合ったUさんだった。Uさんはイタリア人旦那と宿をやっていて、日本人で服飾関係の勉強をしている学生を多く泊めているらしい。その関係でここの入場パスを持っていて、今日は友達と待ち合わせて入るのだそうだ。いつ会ってもこの人はにこやかで楽しそうだ。ついつい一緒にいたくなる。

 ということで、しばし一緒におしゃべりしながらお友達を待っていたら、「あー、何やってんですか?」とやってきた友達は、先日、私達の部屋を引っ越し先候補として見学しに来た女性だった。フィレンツェの日本人社会がそんなに広くないとはいえ、この偶然はすごい。彼女は服飾の勉強をしているそうで、頭に巻物、ブルーのマスカラ、レースの裾、足元に赤い鼻緒としっかりとファッショナブルにきめていた。

 彼女達を見送って我々は一度アパートに戻り、今夜は先日のワインイベントで知り合ったみらいさんが働くRIVA D'ARNOで食前酒を一杯ひっかけて、Pane e Vinoというレストランに行く予定なのでその準備。みらいさんの店が午後7からというので、開店と同時に訪れたらみらいさんのお友達のRさんも来ていて3人で飲むことになった。

 今日は暑いのでプロセッコという発泡白ワインと、ピノグリなんだけど皮つきで1日か2日熟成させてから圧搾したちょっとピンク色で薄く皮の渋みもある白。みらいさんのナイスチョイスだ。4人で週末にホームパーティーするっていう計画をして、レストランに向かった。

 Pane e vinoは星は取得していないもののミシュランに掲載されている。ミシュランを買って初めて活用する記念すべき夜だ。事前にレストランを訪れてメニューを写真に撮り辞書を引きながら研究していたお陰で迷うことなく注文できた。2週間前に撮影したメニューとは既に異なっていて、このレストランが季節に応じてこまめにメニューを変えていることがわかる。それだけでも、手抜きで年中同じメニューを出しているレストランとの違いを感じさせてくれた。

 前菜として生アンチョビの唐揚げとイワシのスフォルマート(フィノッキオ入り)にリコリスのムースがソースとしてついてくる一品は、実験的でぎりぎりのバランスでおいしいというスリルのある味だった。料理でスリルを感じるってのはあまりない。(14ユーロ)

 続くタコトマトソースのソバ粉タリアテッレは細かく切ったタコから味がしっかりと出ていた。(12ユーロ)

 ヌーディーという小麦粉版ニョッキのポルチーニ茸ソースは、おそらく白いんげんとナッツ系の何かをすりつぶしてポルチーニエキスを混ぜてある。食べ応えのあるパスタだ。(12ユーロ)

 メインの3種の牛肉料理盛り合わせはたたき状に生の牛肉に片面だけついていたゴマと粒コショウが、ソースのフォン・ド・ボーとあいまって牛肉の旨みを引き出していた。(20ユーロ)

 グラスで注文したワインも時間を経るごとにチョコレートのような香ばしさを出すおいしいワインで一杯4.5ユーロはお値打ちな感じだ。ミシュランにもあるように伝統を踏まえつつハッとするような革新的な料理を出す店のようだった。

 コペルト一人3ユーロ、水1本2ユーロで合計75ユーロ。やはりミシュランに掲載された店となると値段は高くなるが、その分の驚きや丁寧な仕事を楽しませてもらったと考えればCPは悪くない。

 昼間の暑さがようやくひいてきて、夕涼みにはぴったりな午後9時半。夏のヨーロッパではまだ完全に夜空ではなく薄く昼の名残がある。

 夜になると昼間は気付かなかった派手なショーウィンドーが目に飛び込んでくる。そんな町を散策しながらアパートまでぶらぶらと歩いて帰った。








2012.06.22(金) フィレンツェ(イタリア)
午前中作業、午後ウォーキング、そして夜はフェリーニ

 午前中、作業してから明日のホームパーティーの買い出しにでかけ、ついでに今日のお昼ご飯用にPICIピチを買ってきた。

 ピチは卵を使わないトスカーナ州シエナの極太麺。乾麺だと茹で時間20分とか半端ない時間だったが、今日のは生麺で、しかもストロー状に中に空間がある。

 茹で時間30秒と書かれていたが、それじゃあんまりにも生っぽいので麺投入後に沸騰し始めてから1分でひきあげた。

 太い麺なのでインパクトのあるソースが似合うと思い、坦々麺にした。うーん、美味。

 そして午後からは10kmウォーキング。。日ざしが強くてくらくらするが1時間半歩いた頃から爽快感が感じられて気持がいい。

 そして夜はフェデリコ・フェリーニの映画「8 2/1」の後半を見た。2時間強の長さのモノクロ映画なのだが、イタリア語字幕しかないので必死に読んで理解しようとするからめちゃくちゃ疲れる。そして努力しても詳しい内容は5%もわからないので、より疲れる。先日見始めたが、ワインの酔いも手伝って半分で挫折したので、今日、後半戦だ。

 内容は、マルチェロ・マストロヤンニ扮する売れっ子映画監督グイードが今後の作品を生み出せずに苦悩する中で見る幻想。フェリーニ監督自らの苦悩を映画にしたと言われているそうだが、全編幻想というのがスゴイ。とにかく今までに出会った女性が次々に出てきてあれこれ言っているのだ。その中で、グイードの愛人が出てくるのだが、この女性がとても可愛い。内容は不明だが、恐らく全く意味のないことをぺちゃくちゃと際限なくしゃべり、よく食べて飲むのだが、BGMのように心地よい雑音を発する女性なのだ。グイードも聞いちゃいないのだが、時々、この女性をながめて和んだりしている。

 フェリーニのこの映画から得た知識、それは「心地よい雑音を発する事ができるというのは愛人としての必殺技の1つになり得るかもしれない」ということだった。はぁぁぁぁ。少なくとも英語字幕のある映画を見た方がいいかもしれない。しかし、既に買ってしまった大量のイタリア映画のほとんどは往年の作品でイタリア語字幕しかないのだ。


2012.06.23(土) フィレンツェ(イタリア)
午後からホームパーティー

 今日は、先日のワインイベントで知り合った人たちが遊びにくる。

 昨日のうちにほぼ買物は済ませているので、今日は近所のサンタン・ブロージョ市場に昼ご飯とパーティーに使うレタスを買いに行こう。

 サンタン・ブロージョ市場周辺は土曜日とあっていつも以上に活気があった。スーパーと比べて旬の果物は安い。が、よく見るとバナナやリンゴなど定番品は高いし、安い旬の果物でも安すぎると部分的に傷んでいたりする。地元民向けの市場ゆえに落とし穴にはまらないように利用しないと、本当にお得とは言えないようだ。

 市場建物内には肉屋とチーズ屋と加工品屋などがある。ここで生ラビオリを売っている店があり、「リコッタと洋ナシのラビオリ」を見つけちゃった。サント・スピリト地区にあるクアトロ・レオーニでこの組み合わせのラビオリを食べてから、他でも食べてみたいと思っていた我々は早速購入。1個が私の片手に乗るくらいの大きさで、それを7つと、店の人が勧めるパルミジャーノソースもつけてもらって7ユーロちょっとだった。全くの自炊に比べたら高価だが、レストランでは一皿10ユーロすると思えば安いという感覚だ。

 おいしい。ふんわしたリコッタのチーズ味に、これまたふんわり甘い洋ナシ。なんとも上品な味わいである意味「和」を感じるラビオリだった。

 で、準備なら何やらであっという間に午後2時半。時間通りに二人が来てくれてパーティー開始となった。

 二人とも美食家で、うち一人はソムリエでもあり、プロセッコ(発泡酒)やワインとマグロのボッタルガ(からすみ)、鴨のパテ、牛肉のカルパッチョ、フォアグラを持ってきてくれていた。

 なんてゴージャスな!

 対する我々はポテトサラダ、焼きナス、アンチョビの唐揚げ、チキンの香草蒸し、サラダ、フルーツで対応。材料費は安いけど手がかかっているということで、お許しあれ。

 まだ、お互いの事をあまりよく知らなかったので自己紹介がてら素性を話しあっただけで、あっという間に夜更けになっていってしまった。特に日本を出てこういう場所で仕事をしている人たちなので、ここに至るまでの紆余曲折は、日本で普通に学校を出て仕事をしている人とはまた異なる物語がたくさんあって興味深かった。二人とも特別にフィレンツェを目指してきたわけではなく、たまたま縁があってここに行きついたといういきさつが「旅人」を思わせて、そういう意味でも中南米で知り合う旅人とある種共通した空気がある。だからだろうか、おしゃべりは夜更けまで続き、とうとう私達二人が酔いすぎでダウンするのを見て二人は気を利かせて退場してくれたのだった。この後、二人はお寿司を食べに行ったというから強い。

 楽しい夜だった。


2012.06.24(日) フィレンツェ(イタリア)
50ユーロで貴族体験

 今日はフィレンツェの守護聖人であるサン・ジョヴァンニの祝日で夜10時から花火があがるというのは大分前から知っていた。どこで花火を楽しもうかと考えていたら、昨日来たソムリエの女性から丘の上にあるヴィラ・バルディーニVilla Bardiniでスローフード協会主催のチャリティーパーティーがあり、協会提供のつまみとワインを楽しみながら花火を見るのはどうかという情報を得た。

 会場となるヴィラはベッキオ橋を渡って、ピッティ宮に至る途中から左折して急な坂を登ったほぼ頂上にあった。パーティー開始の午後7時を少し過ぎたばかりだが、入口には人だかりがあり既に楽しげな雰囲気になっている。

「冷静と情熱の間」という映画のロケ地にもなった小路だそうだ。

会場入り口にはドレス姿の人も。

 入り口で一人50ユーロを支払って階段を登って会場となる庭園に着くと、ワイングラスとグラスを入れて首からさげられる袋を渡された。庭園にはスローフード協会に加盟しているワイン、チーズ、サラミなどの造り手が出しているテーブルがあちこちにあって、既にみんなワイン片手に口をもぐもぐさせている。パルマの生ハム、柔らかくて甘味たっぷりの牛肉カルパッチョ、豚肉の生ミンチソーセージなど上質の肉類が多いのはフィレンツェらしい。

 加えて、素晴らしい庭園があり、その眼下にフィレンツェの町が広がっている。バイオリニストが奏でる音楽を背中で聞きながら、ワイン片手に庭園とフィレンツェの街の風景を楽しむなんて、ここでしかできない体験だから価値があった。

 ひとしきり食べてお腹も一杯になった頃、この話を紹介してくれたソムリエのみらいさんと合流。みらいさんは知り合いからアテンドを頼まれた新婚旅行のカップルを連れて来ていたのだ。

 こうして日本人5人となり、いよいよ賑やかに楽しくなってきた。今日はサッカーの大事な試合があるということで、このパーティー会場にも屋内と庭園の一部の2ヶ所にテレビスクリーンと椅子が設けられてテレビ観戦できるようになっている。こんなパーティーに来ても試合が始まったら満席に近いくらい多くの人が座って試合を見始めて、一斉にワーッと歓声を上げたり、アーアーとがっかりしたりしている。イタリア人のサッカー好きはすごいなぁ。

 他の日本人とおしゃべりしたり、サッカーを少し観戦していたら、あっという間に花火の時間の10時になってきた。

 さすがに日も落ちてきて素晴らしい夕焼けを堪能した後に、庭園内でアルノ川を見下ろせる一角に陣取って花火の開始を待った。

 しかし、10分たっても20分たっても始まらない。その間にも川沿いからここまで届くほどサッカーの歓声があがっている。どうやら試合が終わるまで花火打ち上げを延期しているようなのだ。とはいえ、10時半過ぎにはさすがにまずいと思ったのか花火が始まった。打ち上げ場所はミケランジェロ広場だったから、この場所からはとても近くて何にもさえぎられることなく素晴らしくよく見えた。

 50分も続いた花火は、最後にクライマックスで花火倉庫に火がついたかのように連続して美しくフィレンツェの夜空を照らしだして終了した。

 川沿いで見ている人は最初から大歓声だったが、こちらで見ている人たちは少しスノビッシュに拍手も歓声もあげなかったのだが、この最後の猛烈な花火にはさすがに興奮して声をあげていた。

 期待以上の豪勢な花火で締めくくられたチャリティーパーティーの後は、ぶらぶらと歩いてフィレンツェの街まで降りてきて、三々五々に別れたのだった。




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