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2012.05.20(日) フィレンツェ(イタリア)
同居人とのプチ交流とメルカート

 今日は月に一度、サント・スピリト広場で行われるという食材メルカートにでかけようとしていた。

 キッチンでランチしていたら、カメルーン人のフランシス一家が教会に行くためにめかしこんで部屋から出てきた。ややや、かっこいいじゃないか。是非、一緒に記念撮影したいと言うと、申し出た私達以上に喜んで、あんなポーズ、こんなポーズ、うちの家族だけで、こども抜きで、奥さんだけでと、キッチンはにわかフォトスタジオとなったのだった。

 普段はにこやかにほほ笑んでいるフランシスが、「はい、写しますよー」というと途端に笑顔が消えてやぶにらみになったり、目が半びらきになったりで、なかなか笑顔が自然に出ないので、何度も爆笑しながら撮り直して、ようやくきりりとした一枚が撮影できたのだった。彼らには記念としてやぶにらみも、半びらきも全部メールで送ってあげたけどね。


 アルノ川の南側、庶民エリアといわれる場所にあるサント・スピリト教会前では先週は蚤の市が開かれていたが、今週は食材市だというので再び来てしまった。南仏の例えばエクス・アン・プロヴァンスなどに比べると非常に素朴な市だったが、それ故にスローフードを感じさせる。バターを使わずにオリーブオイルで作ったパンやお菓子を売っている店で、オリーブオイルの香り高い食事用の甘くないマフィンとイースト菌が入らない松の実とゴマの固焼きパン(パンというよりクラッカーに近い)を買った。上質な味わいだが、たった2つのパンで6ユーロもするのは日本でいったら紀伊国屋でお買いものしている気分だった。


曇天だが風がなくて鏡面となったアルノ川は
写り込みが素晴らしかった

奥にサント・スピリト教会のあるサント・スピリト広場。

このお店を出店している一家は、フィレンツェ南部の山間部で
アグリツーリズムを行っている。http://www.lelapole.it/

広場に面したバールの内部は友人宅のリビングのような内装。

 出店しているお店の品物はスローライフでバイオでエコで高めだが、この広場に面したバールのエスプレッソは着席して注文しても一杯0.8ユーロと相場よりもかなり安く、庶民エリアならではの値段だった。内装も個人宅のリビングみたいで、椅子もわざとバラバラな物を配置しているのが面白い。いいねぇ、このバール。ケーキもおいしそうだったので、また来たいと思った。

 アルノ川を渡って観光の中心部ともいえるシニョーリア広場に行くと、山のように観光客がいた。スペイン語で「アイ・ムチャス・ヘンテ」(人がいっぱいいるなぁ)というのに、思わず「そうだねぇ」と答えそうになるくらい、たくさんの人出だ。

 ハイテンションの観光客には気温の低さもなんのその、今日もグロムには行列ができていた。しかし、通りすがりのゴミ箱にほとんど食べていない巨大カップに入ったアイスクリームが捨てられているのを見るのは心が痛かった。



 引き続き、レストランの場所確認と値段チェック。ただし、フィレンツェで唯一ミシュランの三つ星に輝く「エノテカ・ピンキオーリ」はホテル内にあり、今日の自分達の格好ではドアマンにホテル入りを断られそうだったので素通りした。

 そんなんで帰宅。イケメンのガブリエルは週末、女友達とクラブで盛り上がって、昼には二人でげっそりやつれた様子でコーンフレークをすすり、夜は一人インスタントのリゾットを作って食べていた。いけてる女友達は料理する気配がない。イタリアの料理上手なマンマの数は減少傾向にあるようだ。


2012.05.19(土) フィレンツェ(イタリア)
夜の外出を断念

 今夜は、夜7時から夜中の1時までウフィッツィなど主要な美術館が入場無料になるということで楽しみにしていたのだが、非常に天気が悪くてとにかく気温が低く、夜、でかけるのが億劫になってきた。

 週末とあって、宿内の人口密度も高く、宿の住人とひとこと、ふたこととしゃべっているうちに、もう今日はでかけなくてもいいや、という気分になってしまった。因みに住民たちで、今日の美術館無料イベントの事を知っている人は一人もいなかった。住んでしまえば、そんなものだ。

 今日は向かいの部屋のジュゼッペの所にも男性の友達が来ていて、朝食ルームでお茶している。通りすがりにビスケットを勧められ、ついでにテーブルについてちょっとおしゃべりを楽しんだ。彼らはナポリ出身だそうで仕事の都合でこちらに来ている。ビーチも食べ物もナポリの方が好きだと、故郷を懐かしんでいるようだった。この家の近くにナポリ人のピッツェリアがあると教えてもらったので、いずれ行ってみよう。

 料理に話が及んで、フィレンツェ名物のフェンネルシード入りのサラミは、フェンネルがイタリアでフィノッキオと呼ばれるので、そのままフィノッキオを呼ばれている。それはともかく、フィノッキオには「ゲイ・ボーイ」の意味もあるそうで、イタリア人男性に「フィノッキオはお好き?」という質問は危険なのだそうだ。面白い。


2012.05.18(金) フィレンツェ(イタリア)
老舗薬局、レストランの検討、夜は青春リポート

 フィレンツェにはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会経営の800年余りの歴史を誇る世界最古と呼ばれる薬局があり、建物そのものも観光名所なので今までに何度か足を運んだ事があった。とても素敵な所だ。

 今日は、この素敵な薬局で何か買ってみようかなという計画だった。各国語に翻訳された商品リストと、別途イタリア語で書かれた値段表を見比べて唖然。小さな石鹸一つが10ユーロ、夫のアフターシェーブ・ローションが30ユーロ、私の化粧水が40ユーロなどなど、予想以上の高価な値付けだ。「ここは薬局界のブルゴーニュか!」とつっこみを入れながら、店をあとにしたのだった。

 以前にここを訪れた時に、ジャパニーズ・マダムが大量購入しているのを見ていたので、気軽なお値段なのかと思っていたのが間違いだった。あの人はおいくら支払ったのだろうか。日本人ってすごい。

 結局、私達に必要なスキンケア用品はニベアで調達。今はこれで充分だ。

 さて、気を取り直して次の目的に進もう。今日は午前中一杯をつかってミシュラン掲載のレストランの検討をしていた。ところが、レストランのウェブサイトに行っても、店や料理のイメージ写真やビデオ、あるいはシェフの意気込みを書いた文章、お客様のゲストブックや写真はあるのだが、肝心のメニューと値段がないサイトが多い。デザインは抜群なのだが機能性に欠ける。イタリア人ってのはどこまでもイタリア人だなぁと思わせてくれるのだった。

 そこで、午後からは実際に店舗に足を運んでメニューを見ようってことになったのだった。どの店も閉店している時刻だが、全ての店で外にメニューをはりだしてくれているので助かった。ローカル常連客しかいないような店ではイタリア語のメニューしかないので、イタリア語に不案内な私達にはこうした事前のチェックが必須だ。

 最後に訪れたPane e Vinoでは、夜の準備前の一服なのか、エスプレッソで寛いでいる女主人らしき女性が外テーブルにいて、少し話をすることができた。

 観光客の増加にともなって、どこのトラットリアもランチ営業を行うようになり、この店でも昼間営業をやってみたのだが、昼の客は慌ただしくてレストラン側もきちんとしたサービスができないのでやめてしまったというのだ。稼ぎのためだけに店を開いているわけじゃないという姿勢がかっこいい。メニューも面白そうなので、ここに来たいと思わせてくれた。

 今日は夜のコンサートがないのでキッチンで夕飯を食べていたら、同居のイタリア人男性二人が別のイタリア人男性と女性を伴って帰宅。どうやら一緒にスーパーで買い物してきたらしく、大量の食材をキッチンに運び込んできた。「週末パーティーでもするの?」と尋ねたら、そうではなくて来週1週間分の食料だという。独身なのに随分としっかりとした自炊生活を送っているのに驚いた。

 ガガちゃんはお友達と夜遊びに行くコーディネートの相談をしに私の所にやってきて、あーでもない、こーでもないと洋服をとりかえて、結局、夜は寒いから黒い皮ジャケットとジーンズに決めたといさんで夜の町に繰り出していった。

 ところが2時間もしないうちに帰宅。あまり面白くなかったので帰ってきたのだそうだ。暇そうだったので部屋に呼んでワインを飲んでいるうちに、「どうにもイタリアがあまり好きになれない」という話になってきた。今日のガガちゃんの問題は隣の部屋のガブリエルにあるようだ。ガブリエルは週末になるとガガちゃんを誘ってくるそうなのだが(映画とか食事とかクラブとか)、その割にはガガちゃんが知る限り別に3人もの女性を部屋に入れている。私を誘っておいて、私の目の前で他の女性を部屋に入れるという感覚が理解できないというのだ。私の嫉妬心をあおっているのだろうかと、ガガちゃんは憤慨するのだった。

 わかる、わかる。

 私達も経験した不可思議なヨーロピアンの若者の話をしてあげた。パリ郊外でルームシェアしていた時のことだ。隣の部屋の独身男性パトリスのもとには毎週末やってくる女性がいて、もちろんセックスもしてるんだけど、パトリスはある日私に「最近、気になる人ができたんだ」といい数日後には「その子と付き合うことになった」となり、次の週末はいつも来る女性とセックスしてから、その女性を部屋においたまま彼はデートにでかけてしまった。だから、そういう事ってヨーロッパじゃあるみたいだとガガちゃんに言うと、ガガちゃんは「うへーーー、やだーーー、気持悪い」と顔をしかめていた。まぁ、アジア人なら普通、そういう価値観だよね。

 私もヨーロッパの若者に詳しいわけじゃないからよくわからないけど、こういう現実を見ていると男女間の精神的・肉体的なしばりが「愛」とかいうレベルは脱却して、お互いに非常に緩やかに自由気ままにやっていこうという風潮がヨーロッパにはあるみたいだ。それがひいてはフランスのパックス制度(婚姻よりも緩い「結婚している風」な関係を結ぶ法的な制度)につながっているのだろうし。

 ってなわけで、今夜もガガちゃんリポートで楽しませてもらったのだった。ガガちゃんは一体何をしにイタリアに来ているの?と聞いたら、いきなり部屋を出てミニワンピースに着替えて戻ってきた。「じゃーん!これ、私が作ったの」という。そう。彼女は服飾デザインの勉強をするために来ているのだそうだ。そうだったのか。中国12億人の頂点に立って、中国のシャネルを目指すのだ!というと嬉しそうに「うん、頑張るね」と言って、突然部屋に戻って行った。たぶん、酔っ払ってたと思う。19歳は面白い。
 



2012.05.17(木) フィレンツェ(イタリア)
現代オペラのリハーサル見学と教会コンサート

 今日は午後5時からアルノ川南がにあるテアトロ・ゴルドーニで行われるオペラの公開リハーサルを見学しにいった。このオペラはフィレンツェの5月音楽祭のイベントの一つで、カフカの「変身」をイタリア人女性作曲家によってオペラ化したものだった。オペラ本番のチケットは公演の2週間前にチケットを買いに行くとすでに安い方の席は売り切れていて、60ユーロの席しか空いていなかった。実験的なオペラには高すぎると判断して、無料のリハーサルを見てから決めようという作戦に出たのだった。


 1時間のリハーサルはダイジェスト版のように最初の場面から最後までをかいつまんで1時間で演じてくれるもので、概要をつかめた。若いサラリーマンが突然にして人間大の虫になってしまったので、主人公の虫になるザムザは歌ではなく、心の中のつぶやきをセリフにしている。父親、母親、妹、お手伝いさん、下宿人3人はオペラ歌手として歌うという演出になっていた。

 音楽は現代音楽的で場面に合わせて効果音のような楽曲が多いし、アリアというべき歌もなく、台詞を心情をベースに曲にしたような感じ。予想通りといえば予想通りだった。時折、どん帳にイメージに合わせたCGが映し出されてオペラに新しい演出を加えているのが新しい感じだが、モーツァルトやベルディの従来のオペラに比べて60ユーロ支払って見る価値があるかと聞かれたら、私には理解不能な部分が多すぎてCPに合わないというのが正直な印象だった。

 リハーサル1時間の後は、作曲家、指揮者、演出家との質疑応答1時間。イタリア語の勉強だと思って聞いてみたがさっぱりわからなかった。それにしても、新しい芸術への試みがなされている現場を見られるといのは面白い体験。こうして文化は花開いていくんだなぁ。

 ナポリ出身のGustaPizzaでご機嫌なカルツォーネで軽く夕飯を済ませた後は、サン・ステファノ教会でのコンサートまで時間があったので、町を散策して老舗のジェラテリア、ヴィヴォリでジェラートを食べた。ペルケ・ノばかりに行っていたが、こちらのフルーツジェラートの質の高さに改めて驚く、ペルケ・ノよりずっとおいしいのでは?







 夜9時開演のサン・ステファノ教会のコンサート。今日は、ソプラノ、テノール、バリトンによるピアノ伴奏での有名オペラのアリア特集だった。入場料金は一人15ユーロ。

 若い妊婦のソプラノと浅黒いテノールはなかなかよかったのだが、先日のサン・ステファノ教会のコンサートにも出演していたバリトンのウェリントン。彼がどうしてもいけてない。声がざらついているし、音域が狭いし、時々音がはずれるし。しかも常に楽譜を見ながら歌っている。ソプラノやテノールは楽譜なしだから、君、勉強不足何じゃないのかね!

 こうなってくると愛想がいいのも能力不足を補うためのパフォーマンスかと思えてくるのだった。

 楽曲に比べると声楽は善し悪しがわかりやすいのだろうか?今日は全てが歌だったので、聞いているのが厳しく感じられた。この教会でのコンサートで彼が出てくる出し物がこれからもいくつかあるが、もう来るのはやめようと思った。


2012.05.16(水) フィレンツェ(イタリア)
下町レストランの暗黙の掟

 イタリアでの楽しみの一つは「マンジャーレだ」と、昨日張りきって書店で購入したのが「ミシュラン、イタリア2012年」。

 この世界的有名グルメガイドブックには、いわゆるミシュランの星付きレストランだけでなく、星付きに比べたら良心的な値段のレストランも掲載されている。フランスでは、時々書店でミシュランを立ち読みさせてもらって良心的なレストランの情報を得ていたので、ここフィレンツェでもちょいと見せて頂きたいと思って書店に立ち寄ると、敵もさる者、イタリア版のミシュランはがっちりとビニールカバーをかけられて立ち読みできない状態になっていた。フランス版にはカバーがかかっていないのにね。

 ということで、購入するに至ったのだった。

 早速、フィレンツェのページを開いてみたのだが、低価格の良心的なレストランが少ない。世界的に有名な観光地だが在住者の人口としてはローマやミラノに比べると圧倒的に少ない町なので、どうしても観光客相手に高い価格設定になってしまっているようなのだ。やれやれ。

 ということで、ミシュランから得たレストランの情報をもとに更にネットで調べてみると、ミシュランには掲載されていないが良さそうな店が「アーモイタリア」という日本語でイタリアの情報を掲載してくれているサイトに紹介されていた。

 結局、この情報の中からアルノ川の南側、いわゆる下町情緒のあふれる一角にある地元民で賑わう隣接する2軒のレストランのある場所に行って、雰囲気をみてから決めようと町に繰り出したのだった。

 到着したのは両方の店の開10分前、午前11時50分だった。12時の教会の鐘が鳴る中、一軒目にめざした「4 Leoni」の店員に「開いていますか?」と聞くとあと10分待ってくれと言われた。レストラン前の広場で待っていたのだが、10分経過した所でウェイターとウェイトレスが外に出てハトに餌をやりながらタバコを吸いだした。20分経過、30分経過したところで外国人らしき夫妻が店に入って行こうとしたのだが、ウェイターに向かいのカフェを指さされて退却していった。彼らがコーヒーだけ飲みたいといったのか、ランチをしたいといったら隣の店を紹介させられたのは不明だが、12時半の時点で全くやる気がない事は明らかだった。

 そうこうするうちに、隣のもう一軒の候補「Il Magazzino」に外国人客が入り、こちらは受け入れてもらえたようだ。ということで、私達も後に続いてこちらの店に入る事にした。内臓料理の店だが、前菜の牛タンの薄切りサラダ、アスパラガスのスフォルマティーノ、私のパスタの鶏レバーのパイプパスタ(Chioccole al Fegatino Toscano)、夫のメインのランプレドットLampredottoは、どれもすこぶるおいしくて大正解の店だった。

 ということで、次回は4 Leoniを狙いたいのだが、今回学んだフィレンツェの下町トラットリアの掟は

・早すぎる客は嫌われる。午後1時少し前を狙え
・イタリア語メニューのみなので、事前の予習が必要。オーダーにあまりに時間がかかる客も嫌われる
・昼間でもワインを飲め。地元民は全員昼間からワインを飲んでいた

 来週の半ばにでも行ってみるか。


2012.05.15(火) フィレンツェ(イタリア)
キャンティー・クラシコ飲み比べとJK考察とコンサート

 フィレンツェから南下してシエナに至るまでの地域に、赤ワインで有名なキャンティーの地方が広がっている。

 ということでフィレンツェのスーパーのワイン売り場ではキャンティーの占める面積が圧倒的に多いし、お値段もキャンティー・クラシコという黒い鶏マークのついたものでも安い時には4ユーロ以下から手に入る。写真のワイン達も全てキャンティー・クラシコで全て6ユーロ以下。なんて素敵な町だろう。

 こうして気軽にご家庭で飲み比べができるのだ。

 ご機嫌なランチの後は、旦那のジャケット考察のために町歩き。どんな形、色、素材が似合うのか、好みなのか色々と試着していくと、似合う型のブランドとそうでないのがわかってきて、結局、手ごろな値段のブランドで似合うのはZARAとベネトンってことが判明して、今日の課外授業は終了。

 お洒落なオカマちゃん店員が「一番似合うわよ!」と超勧めてくれたのがピンク色のジャケット。確かに先日購入したベネトンの薄い水色柄の入った白いシャツとは絶妙のコンビネーションだが、ピンクのジャケットは夫にとってはあまりにハードルが高い。「ぜーったいにピンクがいいわ」と再度言われたが(「ピンク イィズ、ベッター」とイタリア語なまりの英語が、また、よかったなぁ)、苦笑しながらラックにジャケットを戻したのだった。

 今夜は2ヶ所で無料コンサートがあるという情報だったが、1ヶ所目のサンタ・クローチェ教会に行くと何もない。

 あらら?と2ヶ所めのサンタ・マリア・デル・フィオーレに赴くと、こちらではちゃんとコンサートが開かれていた。

 本日は指揮者Piero Monti、演奏はCoro del Maggio Musicale Fiorentineというフィレンツェの5月音楽祭の正式オケのメンバー。古楽器の角笛のようなたて笛とトランペットとトロンボーンとバイオリンとチェンバロかなぁ?それに合唱だった。曲はGiovanni Gabrieli。1612年に没した彼の没後400年記念と銘うったコンサートだったのだ。Wikipediaで見たら、このヴェネチアで活躍した作曲家の手法が多くのドイツ出身の作曲家に学ばれて、後のバッハを頂点とするバロック音楽の礎になったと書かれている。演奏されたのも、めちゃくちゃ宗教音楽っぽい合唱だ。

 しかし。素人の私が聞くとどれを聞いても同じに聞こえる。しかも、この有名な「花の教会」のドームの下の反響は、音が止まってから8秒も続くほどにすごい。合唱がとまって和音が響きながらドーム上方に吸いこまれるように消えていくのは最初こそ驚きと厳かな気分を味わったものの、直にあまりの和音の残響に音楽を楽しめなくなってしまった。

 ということで30分ほど聞いて限界を感じて帰宅。


2012.05.14(月) フィレンツェ(イタリア)
青春リポートと気楽なコンサート

 今夜の夜9時から行われる、サン・ステファノ教会でのコンサートに向けて、朝から作業、自炊で昼食、10kmの散歩、買物、明日の昼食の下準備、夕食と順調に予定をこなし、あとはシャワーを浴びて出発するだけとなった午後7時、バスルームでまたもや涙ちょちょぎれるガガちゃんと対面。

 一体、今日は何があったんだ!

 そう聞くと、せきを切ったようにH&Mでスリにあってシャネルの財布を盗まれた経緯を話された。19歳の割合裕福な中国沿岸部の中国人の思考回路を30分くらいに渡って聞かされるという体験は、極彩色の現代アートのエキシビジョンを見ているようで、私的にはかなり面白かった。

 エキシビションの内容はこんな感じだ。

 あのね、中味の100ユーロはバカンスに行くためにお友達との飲み会もお食事もお洋服も買わずに貯めてきたものだったの。それがこんなにあっさり盗まれるなんて、私の苦労は何だったんだ!あの100ユーロでうんと楽しめたはずなのに。いつもは大金は部屋に置いて行くのに、今日に限って置き忘れて持っていっちゃってたのよね。それにお金よりも人からもらったシャネルの財布、あれがよっぽど高かったのよ。悔しい。だいたい、一緒にいた友人は私よりも先に気付いて犯人が扉を出ていくのも目撃していたのに、アホ―のようにつったって「どうしたらいいの?」ってバカじゃない?私が彼女なら追いかけて行ってとっ捕まえるのに、ああ悔しい。どうして彼女はあんなにスローなのかしら。あとね、友人だと思っていた年上のフィレンツェ在住の中国人実業家男性に話したら、「お金もあげるし、使っていないグッチの財布もあげるから」って言ってきたのは、私の不幸につけこんで私を好きにしようとしているに違いないの、あんな人だと思わなかったわ。これって罠よね、危ないわ。それにしても、たった2週間の間に、なぜ私にだけこんなに不幸が訪れるのかしら。こんな調子が4年間も続くんなら、私、耐えられない・・・。

 興奮状態も徐々におさまってきたので、「あなたのその強烈な不運が4年間続くほど、不運のネタというのは世の中にないから、大丈夫だ」と言ってみた。彼女も「そういえば、そうね」と納得。そろそろシャワーを浴びたいと言ってバスルームから退出願うと、「とにかく、このイラつきをまずはどうにかしなきゃ」と言いながら彼女は部屋に戻っていった。いやー、青春だなぁ。しかし、私が21歳で初めてアメリカの語学学校に3週間行った時は、もっと穏やかな日々だった。必死にバイトしたお金のほとんどは航空代金と学校の代金に消え、夜遊びするお金も、バカンスに行くお金もなかったからね。

 さて、夜9時からのコンサートにむけて宿を8時に出たら、8時半近くのアルノ川はとても素敵な夕焼けに包まれていた。ベッキオ橋やその1つ手前の橋にはこの夕景を楽しもうと多くの観光客が鈴なりになっていて、もの凄くロマンチックな事を考えているっていう、うっとりした表情になっていた。ルネッサンスのメディチ家の古都フィレンツェに来ているんだもの。そこでこんな夕焼けに出会ったら、こういう表情になるよね。

 その横をさーっと通り過ぎてベッキオ橋からほど近いサン・ステファノ教会に到着したのが午後8時半くらい。チケットを買って5分くらいで会場となった。

 今日はOrchestra de Toscana Classicaというオケで指揮者はGiuseppe Lanzettaさん。演目は「イタリア映画に使われた音楽たち」ということで、ライフ・イズ・ビューティフルやニュー・シネマ・パラダイスなど所々で知っている曲もあり、最後はフェデリコ・フェリーニの「道」のテーマソングで終わった。

 この教会で行われるコンサートにはこれまでも数回足を運んでいるが、クラシック音楽ではない肩の力の抜けたコンサートは初めて。映画音楽というのはそもそもBGMという要素があるためか、音楽だけで盛り上がるのが難しい。コンサートは微妙な盛り上がりのまま「道」のテーマソングを迎えたのだが、この曲はさすがにスター映画の看板曲だけあって、いきなり会場は最後の曲にして初めての興奮に達してしまった。

 おきまりのアンコールを2曲はWhat a wonderful worldとMyway。これもまた盛り上げに一役かってしまったようで、一旦、オケの全員が楽器をもって撤収したのに無理やり拍手で引き戻してもう2曲演奏させるという展開になった。最後の最後に演奏する前に、指揮者が観客に向かって「これで本当に最後だから」とイタリア語でいうと、観客席から「いや、一晩中やってもらいたいんだが」と声があがり、それに対してまた指揮者が何か言うという漫才と爆笑のシーンもあり、クラシック音楽のコンサートでは見られないようなリラックスした雰囲気とイタリア人特有のかけあいの場面が、私にとっての今夜のハイライトになった。


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