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2013年
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11月:1,2

2012年
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11月:1
2013.7.29(月) イタリア(フィレンツェ)
久しぶりに涼しい日

 午前中は日記を更新して、イタリア語の学習。

 昨日の夜から涼しくなったと思ったら今日は朝から空いっぱいに雲が広がってどんよりとした天気だった。

 フィレンツェの天気は予測がつきにくい。曇っていても次の瞬間にパーっと晴れたりする。今日も、そんな感じだろうかと思いつつウォーキングに出たら、途中で雷と雨にたたられて木陰で雨宿りをする羽目になった。同じ場所に3分も立っていると藪蚊が体温に反応してか藪から出てきてチクチクとさすから、、同じ場所で待機できない。

 結局雨の中を走って、林地帯を抜け、町中に入ってからやっと軒下で雨宿りすることができた。

 体も濡れて蚊にもさされたが、久しぶりに涼しい一日となって体はホッとしている。曇ると途端に涼しくなるフィレンツェは北海道の旭川と同じくらいの緯度らしい。


2013.7.30(火) イタリア(フィレンツェ)
ファラオーナでそう来たか!

 朝からカッシーネの市で格闘したものの、本日は不作にて4品4ユーロのみ。真夏ど真ん中というのは売れにくいんだろうと思う。8月からのバカンスを控えて財布の紐は固めになるだろうし、9月に入ったら途端に寒くなるんだから、もう夏物は買う気がしない。かといって暑すぎてセーターなんか触る気にもなれないという状況だ。1ユーロの洋服ショップで洋服をかき回しながらも、私の意識は後ろの店主とのオカミさんとお客の女性3人の会話に注がれていた。

 内容は8月のバカンスにどこに行きたいかというテーマらしい。お客の女性はシチリア、ナポリがいいわとその周辺の地名を出し、店主たちはカラブリアに行きたいと言っていた。いずれも南イタリアだ。トスカーナの人の夢のバカンス先は南イタリアなんだなぁ。

 「シチリアに車で行くなら10日はみないとね。行きと帰りに丸1日はかかるだろうし、シチリアで1週間は必要さ。シチリアはパレルモだけじゃないぜ、タオルミーナも行かなきゃ。」と店主。店主はどうやらシチリアに詳しいらしい。っていうような会話だと思う。ま、想像も多分に含まれているが。

 さて昼は「イル・サント・ベヴィトーレ」に行ってきた。うさぎの白ワイン煮のラグーのマカロニと干しダラのムースとリゾットを取り、メインに「ファラオーナの串焼きローストとじゃがいものサンドブラスト風」を1つ取って夫とシェア。お水1本2ユーロを含めて二人で33ユーロだった。このお店は昼はコペルトを取らないから良心的だ。(でもちゃんとパンはおかわり自由で持ってきてくれる。)

 ファラオーナはエジプト王ファラオに由来し、エジプトからやってきたとネットには解説されている。日本ではホロホロ鳥と呼ばれるものだ。先日、自分でスーパーで買ってオーブン焼きしてみたが、しゃきしゃきした食感の滋味のある肉だった。

 これをベヴィトーレがどうするのかが楽しみの一つだった。やってきた串焼きはホロホロ鳥と脂身の多い豚肉のハムの厚切りと厚切りトーストのセットだった。ホロホロ鳥には強く黒コショウがふってありローズマリーもねじ込まれ、ハムは中華と思うくらいに八角のようなアニスのような甘い香りがした。なるほど。こう来たか、ベヴィトーレ。強いコショウの辛みとハーブの甘み、豚の脂のコクで、焼きしまったホロホロ鳥を食べさせるという作戦らしい。この辺のやり口はうさぎのローストに対するのにも似ている。が、アニスというか八角が来るとはねぇ。ベヴィトーレはやっぱり面白い。

 因みにお会計レシートを見たら53ユーロとなっていた。ぎょぎょぎょ。そんなに高かったっけ?チェックしたら注文していない「プリモピアット10ユーロ×2」という20ユーロが加算されていた。レジに間違いを指摘したらすぐに訂正してお詫びに3ユーロ引きして33ユーロのところ30ユーロにしてくれた。細かいけど、こういう対応がこの店を人気急上昇にしているのだろう。


2013.7.31(水) イタリア(フィレンツェ)
満足の線引き

 フィレンツェ最終日の今日は、本来ならウォーキングする日だがさすがに休憩。

 最後のお昼ご飯はVini e Vecchi Saporiでとびっきり気に入ったパッパルデッレを食べようと思っていた。

 午前中は荷造りに専念し、さーてそろそろ昼だとネットで確認したら、がびーん!水曜休みだったのだ。

 仕方なく中央市場近くにある安い、旨いと評判だと市場に働くハウスメイトが教えてくれたLa Capannina Bistroに行くことにした。

 本日のお勧めの黒板に手書きされたパスタ類は4ユーロ、5ユーロという安さ。肉も10ユーロの皿にしてはたっぷりの量の肉でお腹いっぱいになった。ボリュームも多くて確かに安い、旨いの店だった。しかし、この「旨い」は括弧で「この値段にしては」という条件付きだ。確かにまずくはないが、自分で作るならもっと材料を豊富に使って味の濃いラグーにできるだろうし、自炊ならもっと安い。お金を出して食べるならもう1.5倍強出して10ユーロ前後で食べられるイル・サント・ベヴィトーレや今日行きそびれたヴィーノ・エ・ヴェッキ・サポーリの方が、面白い組み合わせや自分じゃ使いにくい素材に出会えるから食べる意味がある。

 満足の線引きは人それぞれだから、なかなか単純にその店がいいとか悪いとかは言えない。ただし、トリップアドヴァイザーで今日訪れたこの店に対するイタリア人のコメントが「まるで家で食べているみたい」というのがいくつかあった。好意的な書き方なので書いている人も悪く言うつもりはないのだろうが、私がこういうコメントを見た時に自分では満足できない店だろうという判断をできるようにしないとね。


2013.8.1(木) イタリア(フィレンツェ)→(ローマ)
新たなる攻防戦

 朝10時38分発の列車は遅れることなく午後0時20分にローマに到着した。

 フィレンツェのアパートから中央駅までゆっくり歩いて20分。買い込んだ洋服が荷物を増大させて驚くほど大量の荷物で移動する羽目になったが、何とか歩いて駅までたどりついた。

 ネットで予約していた2等車は1等車に変更されていたが車掌さんにチケットを見せたらこのまま座っていていいということで、食堂車隣の10人用の車両を2人だけで利用するというラッキーな事になっていた。隣の食堂車でエスプレッソを飲んだりして快適な旅で1時間半なんてあっという間だった。

 ローマのテルミニ駅ではアパート管理の男性にピックアップしてもらう約束になっていた。駅そばのネットカフェから電話して自分たちが到着したプラットフォームを告げると、もう駅に来ていた彼とすぐに会う事ができた。

 今度の管理人さんはエジプト人の30代半ばの男性。15年前にエジプトからやってきて今はイタリア人の奥さんとの間に2人の子供がいるそうだ。ネットでやりとりしている時から、彼の名前から見てアラブ系の人だとは思っていたが、今日初めてエジプト人である事を知った。エジプト人・・・。私たちが知るエジプト人といえば、エジプトに旅行した時に関わったエジプト人ということになる。申し訳ないが旅でエジプトを訪れて出会うエジプト人の8割くらいはいい印象を抱けない人だったので、エジプト人と聞くと体がふっと緊張する事になっている。

 新しいアパートは彼がドアボーイをしていて、彼らの家は地階にあり私たちの部屋のあるアパートは最上階。彼はドアボーイをしながら最上階のアパートの一軒を借りて、それをシェアハウスにして分譲賃貸して副収入を得ているようだ。他にも、お金持ち家で仕出しパーティーがある時の臨時コック、パーティーのカメラマンなど細かく仕事をやっていると語った。苦労して異国で一生懸命に働いているという印象だ。

 家の説明があってから、すぐに近所のスーパーに一緒に買い物に行く事になった。そして家賃支払用の金を引き出すために銀行のある場所まで案内するという。とても親切に思える行為だが、実際にお金を払うまでは家のカギを渡さないという計画らしかった。

 彼の要求額は滞在2か月に対して1か月分のデポジットを含めて3ヶ月分。この要求についてはこのアパートを探すにあたって利用したウェブサイトの相談係に聞いても、フィレンツェで大家業を始めた友達に聞いても、「たった2か月の滞在で1か月のデポジットは取りすぎだ、払うべきじゃない」と忠告を受けた。そこで、「ちょっと多すぎるからデポジットは勘弁して欲しい」と言うと、「何もなかったら絶対に1か月分は返却するから大丈夫だ」「ここではたとえ1日だけ宿泊する人にも同じようにもらっている」「私はここでドアマンをしていて、住人ほぼ全員と知り合いなのだから、返却しないというような信用のない行為はできないから大丈夫だ」という。困ったなぁ。

 ま、今日のところは1ヶ月分しか銀行から引き出せないからという理由で満足してもらって、1ヶ月分を支払ってカギをもらう事になった。ところがお金を払ったのに表玄関のカギが見つからない。私たちが再び外出して戻るまでに探しておくという。外出中に私たちの不安はウナギ登りになった。こんな風に支払ったデポジットが「ちょっと事情があって今日は返せない」などとズルズルと引き延ばされて結局戻ってこないということになりはしないのだろうか?2か月前から来る事がわかっているのに、何故カギがないのか?

 夜になって他の住人が戻ってきた頃、管理人の男性が私たちの部屋をノックした。彼が私たちに紹介したのが、彼の兄弟だというティトという男性だった。ティトはキッチンのソファーベッドで寝泊まりしていて、外で働きながら家の清掃もやってもらっているという。「それで」と管理人が私たちに言う。掃除の洗剤やごみ袋などの費用とティトへの清掃代金として一人一カ月15ユーロ、二人で30ユーロをティトに支払うことになっていると説明した。

 私たちの不安メーターのピンがまたまた上昇してきた。なんじゃそりゃ?明日になったら他の兄弟が来て他の費用を要求されるんじゃないだろうか?

 払いを渋る私たちに管理人男性は、一人一日0.5ユーロで何もせずに家がきれいに保てるのなら安いじゃないか、そんなスモールマネーをけちるよりも外に出てもっとローマを体験して楽しんできて欲しいんだという。その言い方がエジプトでのやり取りを思い出させた。人にお金を出させるにあたって、出さないのはケチ根性だとか貧乏根性だっと思わせようとするやり口は彼らの常とう手段だった。バクシーシ(喜捨)という考え方があって、お金を持っている者は持たざる者に差し出すのが当然だというものだ。このティトに対しての清掃代金はバクシーシの考えが入っている。

 私は「スモール、ビッグの問題じゃない。事前にそういう出費がある事を知らされていなかったのに、今になって言われるのが納得がいかない」というと、そんなんなら俺が払うからそれでいいだろう、という事を言い始めた。

 それも違う。

 事前通告がなかったのが払いたくない理由の一点ではあるが、毎日のゴミ出しと10日に一度の清掃くらいなら前の家でも自分でやっていた。あなたはスモールマネーというが、自分たちができるのに人に任せるという贅沢に対して使うお金は金額にかかわらず払うの事は私の主義に反する。お金はとても大切なので、使うときは常にその内容を慎重に考える事にしている。スモール、ビッグの問題ではない。だから他の住人と話をして、他の人も自分たちでやるというならこのシステムはなくなるのだが、そういう話し合いを持ってもいいかと聞いた。

 すると管理人の男性は、他の住人は若者の学生でローテーションを組んでも決してやらないし、ちゃんと掃除できないから無駄だという。それなら、若者にはお金を払ってもらってティトと我々3人で掃除するのはどうだろうかというと、管理人の男性はティトはお金を集めるが君たちには渡さない、そのかわり君たちはティトにお金を払わないというのならいいという結論に達した。先進国的には3人で清掃ローテーションを組んで、集めたお金から必要経費を引いて残りは労働賃金として3分割するのが筋だろうと思うが、そこは管理人の男性が少しでもティトに収入を与えてやりたいというバクシーシの気持ちを組んであげて譲歩した形となった。

 初日からいきなりガブリ四つの話し合いになった。アラブ系がやりづらいのはビジネスの話なのに、すぐに友情を育てたいとか、一緒に住むから家族だなどと情をさしはさんでくることだ。一緒に暮らして情が湧くのは当たり前だから悪いことではないが、金の支払いや実際的な事と絡めるのはよくない。表玄関のカギを受け取った夫がさっそくカギが使えるか試そうとしたら「私が信用できないのか」と言う。ま、信用してないと思われていた方が楽だから、いいっか。


2013.8.2(金) イタリア(ローマ)
ウォーキング in ローマ、夜は交渉のお勉強

 朝のうちはすぐそばにある市場へ見学。

 大規模ではないが新鮮な魚、肉、野菜が手に入る。ローマに来る前にスーパーマーケットの事を調べていて、フィレンツェに比べて大都会のはずのローマになぜ小さなスーパーしかないのかが不思議だった。

 が、こうして暮らしてみると市場がちょこちょこあってスーパーで生鮮食品を買う必要がないようなのだ。肉や、ワイン屋、チーズ屋などの専門店も多い。ちょっと時代を逆戻りしたような気分になる町だ。

 さて今日からのウォーキングはローマである。ヴァチカンやや北部に滞在しているので、テヴェレ川を渡った向こう側にあるボルゲーゼ公園まで行って、公園内をぐるーっと一周して帰ったら丁度いい時間のコースになった。

 フィレンツェの中世の景色から一転して、ローマはやはりローマ時代の面影を残す噴水や競技場が眼を引く。のびのびと大きな作品や遺跡は紀元前のゆったりした時間の流れを感じさせてくれた。そしてバオバブに負けず劣らず魅力的なローマ松もローマに来た実感を湧かせてくれる。ボルゲーゼ公園内の散策は彫刻あり、池ありの面白いコースだった。

ローマ松が面白い並木

泳いでいいのか?確かに魅力的な人工池だけど。

 一旦アパートに戻ってシエスタ、シャワー。午後5時半から近所のワイン屋とチーズ・ハム屋で買い物をしてきた。昔からやっている風のエノテカ(ワイン屋)だが、「値段5-12ユーロくらいで赤ワインで複数のブドウを混ぜたおすすめは?」と聞いたら、じいちゃんは「これじゃ!」とフリウリ州のカヴェルネ・ソーヴィニヨンを出してきた。「これはカベルネとソーヴィニヨンの2種類のぶどうを使っている!」。やばい。カヴェルネ・ソーヴィニヨンという名前で1つのぶどうを表しているのだがなぁ。じゃ、次。「これはカヴェルネとサンジョベーゼとモンテ・プルチアーノじゃ!」。それは面白そうだと手にとってみたら「モンテプルチアーノ」じゃなくて「メルロー」だった。じいちゃんに「モンテプルチアーノじゃなくてメルローって書いてありますぜ」というと、「がははは、そうだ、メルローだ」と言っていた。ローマの味わいってこんな感じだろうか。お勧めの中から9.8ユーロのを1本買った。じいちゃんも愛嬌があっていいが、次回は近所の別のエノテカも訪ねてみよう。

 チーズ屋では「とにかく味の強いやつを」とリクエストしたら、「vecchio」(古い)という名のつくチーズ他数種類を味見させてくれた。旨い。で、その中から2種類を200gずつ購入した。このチーズ屋さんはとても熱心に説明してくれて好感触。色々通って食べ比べてみよう。

 さて、夜になって管理人が今日の支払いを受け取りに部屋にやってきた。

 実は夫は最初から3ヶ月分の金など払う気はなかったのだが、それをメールでの交渉段階から言うと話がごちゃごちゃになるので私には告げずにいた。お陰で私は管理人に到着時には3ヶ月分を支払うということで話を進め、昨日も残額を今日と明日の二日に分けて払うと彼の前で約束していた。夫は私の後ろで話を聞いていたが、疲れていたので何も言わなかったのだそうだ。

 で、今日になってデポジット1ヶ月分?そんなもん、払うわけないじゃん。来月分?そんなん来月払うにきまってるじゃん、と言い始めた夫。そんな事を言ったら私と管理人との取り決めが反故になると、実は朝から喧嘩になっていた。しかし、夫は引かない。兄弟がキッチンに住んでいるなんて聞いてないし、そいつに掃除代金を払う話も聞いていない。相手が聞いていない話を持ち出すのなら、こちらも約束を変更しても当たり前ではないか。これが彼の言い分だった。

 でも、そんな理屈は管理人に絶対に通用しないと私は思っていた。

 案の定、さっさと金を受け取って帰るだけだと思っていた管理人は、あらためて夫が「なぜ、翌月分も先払いしなくてはいけないのか?」という問いに対してさっと不愉快な表情になった。それでも、じょじょに事情を明らかにしていったことには、彼はこのアパートの持ち主であり、他にも管理人として預かっている物件があるようだ。9月の新学期をにらんで設備投資する資金が欲しいので、翌月分を前倒ししてもらえたらありがたいということだった。

 でも、そう説明しながらも約束を翻された怒りが高まってきているようで、「気に入らない、こんな風に約束をずるずると引き延ばされるのは、本当に気に入らない」と言い、最終的にはそんなに自分が信用できないんなら出ていけばいいだろうとまで言い始めた。

 結局、この夜は1ヶ月分をデポジットとして払い、9月分は8月最終週に払う事で話がついた。デポジット支払い分に関しても私は再び領収書を書いて彼にサインしてもらった。

 昨日と今日の2日間のできごとを振り返ってみよう。

 昨日出会った時に、到着時に3ヶ月分支払うという約束を3日に分割すると引き延ばされた。

 そして、昨日1ヶ月分を支払った時に私に領収書を書かされたという屈辱がある。今まで彼は口頭の信用で家を借りる人にはただの一度も領収書を書いた事がなかったのだそうだ。それが、昨日私に領収書を書かされた(私の手帳に金額と日付とサインをしてもらった)のがカチンときていたようだ。

 そして昨晩のキッチンに住む兄弟分への掃除代金を拒否されたことがある。

 で、今晩この話し合い。まぁ、彼が怒るのも無理はない。

 結果的に彼をだますようにして交渉に持ち込んでしまった事になったのは後味が悪かったが、夫が言うように出会う前のメールでのやりとりで正攻法の交渉をしていたら話は決裂していたかもしれなかった。場所もいい、値段もそこそこのこの物件を抑えるには、とにかくここまで来て顔を見てから支払いを決めるしかなかったという夫の主張は交渉術としては正しかったのだろう。それでも、約束を反故にせずにここまでたどり着く方法はなかったのか?支払いに関しては到着時に会って話す事にするとか、デポジットに関してはもっと事前に話を聞いて詰めておくとか。大家を怒らせた事で後味が悪いだけでなく、今回はメールでのやり取りをしている私をも騙していたという夫の態度にも腹立たしさを感じたし、交渉相手の大家さんに関しても全く論理的でなく、「尊厳」と「人間関係」だけで押し切ってこようとする態度が腹立たしい。

 色んな意味で「交渉する」ことのお勉強になった夜だった。


2013.8.3(土) イタリア(ローマ)
ローマ散策

 朝、ゴルゴンゾーラを買いに近所のチーズ屋に行ってきた。土曜日の朝10時半のハム・チーズ屋は5-6人ものお客さんがいて混んでいた。

 「ちょっと山の方のチーズがいいんだけど」とか相談して買っている。今日の私たちはゴルゴンゾーラと決めていたので相談事はなし。欲しい量だけ告げて買ったのだが、こういうお店でチーズを買うとそれだけでおいしそうな気がしてくる。

 今日は昼にカルボナーラというお店でカルボナーラなどローマ料理を食べて、あとは観光地を散策する予定で家を出た。

 途中、テルミニ駅の観光案内所に立ち寄って無料の地図をもらおうと思ったら、担当の女性が「今日はない」と言う。「じゃ、明日は?」と聞くと「明日もない」という。「じゃ、いつ来るの?」と聞くと「知らなーい」と言う。50代くらいの女性だ。その小学生のようなやりとり、ホスピタリティーのなさ、傲岸な態度がフェデリコ・フェリーニの「ローマ」という映画を思い出させた。大都会ローマの退廃的な雰囲気がこの役所の女性によくあらわされていたからだ。いやー、ローマなんだねぇ、ここは。

 予定通りカルボナーラでランチ。外国人観光客も多く訪れる店のようで、店員はかなり流暢に英語が話せる男性だった。

 私たちはイレギュラーなのだがサラダとメインを先に食べて、しめでスパゲッティーを食べたいと言うと、ちゃんとその順番で出してくれた。食べ終わったお皿もさっさと片付けるし、なかなか腕のいいカメリエレだ。

 近くのテーブルの韓国系アメリカ人がスパゲッティーが出てくると同時に「チリソースください」と言うと、カメリエレの男性は生のトウガラシをさーっと持ってきていた。パスタにタバスコという感覚、ローマ人はどう思っているのだろうか。

 隣のテーブルのイタリア人老人4人組は、生ハムとモッツァレラチーズの盛り合わせを一人一皿注文して平らげ、大きなステーキ1枚を4人でわけて食べ、エスプレッソでしめてさっさと出て行った。イタリア人というと長い時間かけて食事をするものだという思い込みがあったが、こんな風にかけそば的にステーキを食べて出ていく人もいるというのが面白かった。

 この店は割と安めの値段でボリュームもたっぷり。フィレンツェでいったらVini e Vecchio Saporiくらいの感覚だが、こっちの方が安めだ。

 昼食後は散策。7つの丘のあるローマは起伏の多い町。坂道や地形の段差が思わぬ面白い景色を作り出している上に、壮麗な建築物や装飾が町中に散りばめられているから、歩いているだけで楽しい。トレビの泉には相変わらず世界中からの観光客が集まってわんわんと賑やかだったが、観光地を少し離れると8月に入ったローマは静かになりつつある事を感じた。

 アパートまでは食後の散歩を兼ねて、結局歩いて帰ってきた。

 シャワーを浴びてきんきんに冷えたビールがとてもおいしい。ペロー二は辛口でこういう暑い日に歩き回った後に飲むには最適のビールだった。

 夜は昨日から買い込んだハム、チーズ、いちじくをつまみにワイン。仕上げにグラッパを飲んだらもうベッドの上で意識不明になった。





2013.8.4(日) イタリア(ローマ)
ポルタ・ポルテーゼの市

 フィレンツェのカッシーネの市にひき続き、ローマで毎週日曜日に開催されるポルタ・ポルテーゼの市に潜入。

 ここはカッシーネよりも更に長い距離に店が並んでいるローマで一番規模の大きいメルカートだそうだ。並んでいる店はだいたい同じような感じで、衣類も雑貨も中古と新品の店がある。ただし、カッシーネで中古品衣料を扱っているのはアラブ系だったが、こちらはインド系の人たちだった。

 3時間半くらい1ユーロの店ばかり見てみたのだが、今回見る限り出ている洋服はフィレンツェの方が品物の保存状態もブランドもレベルが高かった。来週も見に来てみよう。

 お昼御飯はトラステヴェレ地区でピザでも食べようと思っていたのだが、ピザは夜の食べ物なので昼からやっている所が少ない上に有名店は8月に入って休み。

 ガイドブックにも掲載されているGinoというピッツェリア兼リストランテは開いていたので入ってみたら、これが当たりだった。近所の店は混んでいて、この店にはあまり人がいなかったのでどうかと思ったけどとてもよかった。

 近所の店は観光客向けのランチセットをやっていて、それで混んでいるようだった。

 ピザを見たら近所の店とGinoは全然違っていた。Ginoのピザはいわゆる有名店のピザと同じ感じなのだ。多少割高でも、ツーリストメニューを出さないで自信の味で勝負している店のほうが最終的にはコスパが高いのがトラステヴェレ地区の暗黙の掟とみた。

 ナヴォナ広場を通り抜けてジェラート激戦区にあるバール・デッラ・パルマBar della Palmaでデザートを食べた。豊富な品ぞろえで広い店内はおおにぎわいだっが、味はクリームっぽさが目立ち素材の味が薄くて私たちとしてNGだった。

 今日の教訓は「ローマでは、混んでいる店と旨さはリンクしない」。

 もうしばらく歩き回ったが、どうにも暑くて本当に体が沸騰しそうだったので今日はバスに乗って帰宅。同居人の超ハンサムなエジプト人君は自分の部屋の窓の縁によじのぼって鎧戸を掃除していた。そこまで掃除するか?めっちゃきれい好きなんだろうか?

 そして日曜日なのにキッチンに住んでいる大家さんの兄弟分は夜10時まで戻ってこなかった。気を使っているのか、働いているのか。まだまだこの家には謎が多い。


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