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2014年
1月:1,
2月:1,2
3月:1,2,3,4
4月:1,2,3,4
5月:1,2,3,4,5
6月:1,2,3,4


2013年
1月:1,2,3
2月:1,2,3,4
3月:1,2,3,4
4月:1,2,3,4
5月:1,2,3,4,5
6月:1,2,3,4
7月:1,2,3,4
8月:1,2,3,4,5
9月:1,2,3,4
10月:1,2,3,4
11月:1,2

2012年
1-1,1-2,1-3,1-4
2-1,2-2,2-3,2-4
3-1,3-2, 3-3
5月:1,2,3,4
6月:1,2,3,4
7月:1,2,3,4
8月:1,2,3,4
9月:1,2,3,4,5
10月:1,2,3,4
11月:1
2014.4.14(月) 日本(沖縄)
お父さんの夢に向かってGO!

 バタバタとウーファーが去って、久しぶりに農園夫妻と我々4人だけの静かな日々が戻ってきた。

 今日は作業休日ということもあり、昼食後にトマトを納めている近所のオクマリゾートへ品物の配送がてら4人でドライブに行く事になった。オクマリゾートはその名の通りリゾートホテルなのだが、すぐ隣に米軍保有の保養エリアがある。農園のある村とその両隣の3村の住民がIDを提示すると、この米軍基地に入る事ができるというので、配達後に連れて行ってもらった。

 平日かつ、まだ海に入るには早いシーズンとあって、人気がなく静まり返った保養エリアだったが、ミニゴルフ場あり、海水浴客向けのコテージあり、BBQエリアあり、レストラン、ショップありと、楽しそうな設備が整った場所だった。ショップは小さな規模だがアメリカ直輸入製品のお菓子やらスナックが買える。この施設内で飲むならアメリカ産のビールも一本1ドル強で買える(レジで開栓される)。私たちにとってはアメリカというよりメキシコで見慣れた商品ばかりなので、逆にちょっと懐かしいような不思議な気分になる場所だった。

 お父さん達はレストランでスターバックスのコーヒーと濃厚なケーキをごちそうしてくれた。お店の雰囲気といい、ケーキの濃厚さといい、まさにアメリカ直輸入。こんな田舎に突如として「生」のアメリカが存在しているというのが、まさに「沖縄体験」だった。沖縄の人はずっとこんな中で暮らしているのだ。

 さて、おいしいティータイムの後は、お父さんがこの夏に構想しているコテージ作りのイメージを高めるために理想としているいくつかの物件見学。

沖縄の伝統的な民家をモデルにした保養施設。

内部は2LDKで間仕切りを取り払って一つの空間になれる

前の設備に比べるとかなり安普請に見えてしまう。

海の見えるカフェが2階にある手作り家具の工房。板塀をペンキで黒塗りしてあるので高級感があった。

 途中でガイドブックにも紹介されている森の中のカフェがあったので立ち寄ってもらった。鬱蒼とした森の奥の奥、川沿いの斜面に建てられたこのカフェは、バリ島やアフリカのマラウィを彷彿とさせる日本ではない空気を漂わせていた。その空気は安い素材で手作りされた建物自体や客席に使われているパイプ椅子やエコなトイレ(使用したトイレットペーパーは流さずにゴミ箱に入れる)、川沿いのジメッとした湿度とおかまいなしに這う巨大な毛虫なんかから感じられるものだろう。異文化、異空間の香りがバックパッカーで世界を旅した経験がある者にとっては懐かしく、またそういう物に憧れる人には興味深く感じられるカフェだった。

 ああ、こういう雰囲気の場所で色んな旅行者とまったりと時間を過ごしたなぁ。そんな感慨は、お母さんの「じめじめして気持ち悪い所ねぇ」という言葉で打ち消された。日本の一般的な清潔感の中で暮らしてきたお父さんとお母さんには、ここは到底受け入れられない空気だったようだ。不衛生で、湿度が高すぎて、値段も高いこのカフェは正直、相当不評だった。ま、確かに一般受けはしないだろうな。

 たっぷり夕方まで時間を過ごしてから帰宅。

 夕食には米軍基地のレストランでテイクアウトしたピッツァとビール。このピッツァがなかなかおいしかった。










2014.4.15(火) 日本(沖縄)
ベジタリアンについて

 作業はトマトの収穫。Aも去り、研修のMさんも今日は来ないので一人でハウスでの作業。黙々と仕事をしていると色んな考えが浮かんでは消えていく。

 トマトハウスの畝の土の上にはお父さんが置いていった鶏糞が新しく乗っていた。

 ここでは化学肥料をやる代わりに鶏糞や魚を発酵させた物を水と混ぜた液肥とよばれる水溶液を根にやっている。

 Aがベジタリアンだった事もあって、今日はベジタリアンについても思いを馳せた。ベジタリアンの人は肉食が地球に与える負担を考えた事があるか?と言う。育った野菜を食べるのに比べて、食肉を得るためにはその5倍の野菜が必要だ。5倍の野菜を動物にあたえてやっと食肉が得られる。つまり肉を食べるのは非常に地球環境に悪いという論理だ。

 でも、こうやって鶏の糞や魚の液をトマトにまいて有機野菜が作られる現状を見ていると、そんな現状を含めての論理なのだろうかと疑わしくなってくる。食肉用の鶏を育てる養鶏所があるから鶏糞が入手できるわけであって、養鶏所がなかったら有機野菜用の肥料が調達できないと思えば有機野菜も肉食に劣らず贅沢だということになる。

 そんな事を考えながら作業。


2014.4.16(水) 日本(沖縄)
新しい仲間

 農業実習希望のMさんと一緒に新しいトマトのハウスの草取りの作業。ハウス「ワイルド」は命名通りに激しく雑草が生い茂って、どこが通路かも見えないくらいだったが一日かけて2本通路を確保。二人でハウスの半分の雑草を抜いた。著しく成果が見えるので気持ちがいい。

 Mさんはこの近所の出身者だが、10年以上前に一度大阪に出て仕事をしていたのだが今は息子一人と親元の近くに戻って4年になる。友人が開いたエステサロンの手伝いをしているのだが、そこで月桃というこの辺りでよく生えている植物から抽出したエキス入りの化粧水などの販売もしている。

 Mさんはこの地域に畑を借りて自分たちで無農薬の月桃を育てられないかを模索していて、同時に自宅用の野菜も育ててみたいので農作業も勉強したいと思っていた。そこで、この農園がある村役場を訪ねて無農薬野菜を作っている農家で研修したいので紹介して欲しいと言ってみたところ、「この村では有機野菜を作っている人なんていないので紹介できない」と即座に断られたそうだ。そこで、有機野菜を作っていそうな農家を直接訪ね歩いて聞き込みした結果、ここの農家にたどりついたのだった。

 この村では高齢化が進んで、山の斜面の狭い農地は誰も耕す人がいなくて打ち捨てられているのも目にした。新たに農業に参入したいという人や山の斜面の農地を利用して作物を作りたい人には補助金を出す制度まである。が、同時にひどく排他的な性格を持っているようだ。その排他性の根拠は何なのだろうか?「村社会」の一面がはらりと見える話だった。


2014.4.17(木) 日本(沖縄)
夜の珍客

 作業はトマトの収穫。

 農業体験が初めてのMさんは手押し車さえも興味深く「うわー、これ、すごい、すごい」と楽しみながら作業してくれている。こういう人がいると我々も楽しい。

 今日は午後から民泊の女子中学生4名も農園にやってきて賑やかになった。

 お天気が芳しくなかったので、中学生の農作業体験は室内で収穫したトマトをタオルでふきながら製品と不合格品に選別する作業をお父さんと行っていた。お父さんの沖縄イントネーショントークが冴えて、中学生がころころと笑う声が家に響いていた。

 次にお母さんとサンターアンダーギー作りを体験。民泊の中学生はなかなか忙しいスケジュールになっている。

 そして夕飯前に一人ずつシャワーを浴びていると、近所の人が道端でうずくまっているみみずくを捕獲したと見せに来てくれた。こんな生き物が道路でうずくまっているなんて、さすがやんばる地区だ!みみずくをこんな近くで見たのは初めてだが、かなり可愛い奴だった。

 みみずくは翌日、動物保護センターに渡されたそうだ。

2014.4.18(金) 日本(沖縄)
芽かき

 トマトの芽かき作業。かなりやりがいのある状況になってしまっている。

 うっちん(うこん)の収穫がひと段落したので夫もトマトの芽かきに参加できるようになった。

 トマトは脇芽を摘んでいかないと養分を脇目に取られてトマトの実が大きく育たないのだが、ここまで大きく育ってしまった脇芽をどんどん取り去ってしまうと木が弱ってしまうのではないだろうかと、かなり心配にもなる。

 脇芽を摘んだトマトはいわば手術後の病人状態になるので、そこに栄養分の液肥をかけてあげたり、害虫や病気よけの液をかけてあげながら木の回復をさせるのだが、ここの農園ではなかなか手が回らない。

 さぁ、どーなる?

 そんな心配はあるのだが、芽かきの作業自体は私のお気に入り。特に見逃されて大きくなってしまった芽を引き抜く快感ったらない。


2014.4.19(土) 日本(沖縄)
とうとう29度

 ハウス内でトマトの芽かき作業続行。朝から暑い、暑いと思っていたら昼前にとうとう気温が29度に到達した。4月半ばでこの温度を体感できるのは沖縄と言えどどもハウスの中ならではだろう。29度の中で作業していると、汗はダラーッと汗をかくというよりは知らないうちにツーッと冷たく滴になる。サウナに入っているような心地よい疲労感だ。

 昼はお父さんとお母さんが用事で出かけてしまったので、自分たちで自炊。鶏肉のソテーに自家製トマトソース。昨日出されたけれど食べきれなかったスイカをデザートにした。トマトの酸味に肉、そして冷たいスイカ。汗だく作業の後のこんな食事はとてもおいしく感じられた。


2014.4.20(日) 日本(沖縄)
トマトの収穫方法

 今日は夫も収穫作業に借り出されることになった。トマトの収穫はトマトのヘタの上部の茎が関節のようになっている部分に親指を押し当てて採取する。

 生えている茎に対して垂直に持ち上げるようにすると簡単にポキッと採取できるのだが、茎の状態や採取する角度によってはなかなかうまく採れず、親指と人差し指の爪でペンチのようにはさんで取らないといけない場合もある。

 一日中こういう作業をすると親指の爪がトマトの汁で真っ黒に染まり、トマトの茎の汁の成分で爪が崩壊していく。そんな私の爪を見て「俺は絶対に嫌だ、そんな爪になりたくない」とオシャレ宣言した夫はトマト採取にハサミを使うといってきかなかった。

 トマトの芽かきにせよ採取にせよ、ハサミを使うとその切り口が鋭利故に病原菌が入りやすくなるので、ハサミなどを使わずに茎の導管をあえてつぶすように手を使うのが常套手段と言われている。しかし、優しいお父さんは、夫に「今までハサミを使って、実際に木が病気になった経験はあるのか?」と詰問されて、「いや、ないねぇ。大丈夫だろう」と答えてしまったものだから、夫は大手を振ってハサミを使える身分となった。

 しかし、ここの農園では今までハサミを使っていないから経験がないだけで使ったらどうなるかわからないというのが実情だと私は思う。都会の大会社で働いていた夫は、そうやって口で人をねじ伏せてやりたい事を実現、推進してきただろうが、自然相手ではそううまくいかないだろうと思うし、そういう大きな自然を相手にしてきたお父さんに対してはもっと言外の意味を汲み取るようにしないといけないのではないだろうか。

 しかしまぁ、私がそんな事を言っても聞く耳を持たずに余計に反発するだけの夫はハサミを使って採取をやめなかった。俺の態度を変えさせたかったらちゃんと論理で攻めてこいというわけだ。本当の相手は私じゃなくて自然なのにねぇ。


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