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2014年
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2月:1,2
3月:1,2,3,4
4月:1,2,3,4
5月:1,2,3,4,5
6月:1,2,3,4


2013年
1月:1,2,3
2月:1,2,3,4
3月:1,2,3,4
4月:1,2,3,4
5月:1,2,3,4,5
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7月:1,2,3,4
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9月:1,2,3,4
10月:1,2,3,4
11月:1,2

2012年
1-1,1-2,1-3,1-4
2-1,2-2,2-3,2-4
3-1,3-2, 3-3
5月:1,2,3,4
6月:1,2,3,4
7月:1,2,3,4
8月:1,2,3,4
9月:1,2,3,4,5
10月:1,2,3,4
11月:1
2014.3.17(月) 日本(沖縄)
有機農家でも、たまには・・・

 今日は私は終日トマトの収穫だった。ハウスの中の温度は今日は急上昇してとても暑い。両脇の窓を開けていても暑かった。そんな日のお昼ご飯に出たインスタントラーメンの塩分がとてもおいしく感じられた。有機農家といっても完全に無農薬、人畜無害な食品ばかり食べているわけではない。ま、たまにはこんな日もあっていいと思う。

 収穫は今までとは違ってグンと量が増してきた。大量のトマトに満足。


2014.3.18(火) 日本(沖縄)
お客様の来訪

 今日から農園には新しく二人のお客様が来た。2年前にも滞在したことのある農園のお父さんとお母さんの知り合いで針きゅうの先生であり日本語学校の先生でもあるKさん。そしてKさんの生徒さんの中国人のTさんの二人だ。

 Tさんは2年間日本で日本語学校に通って勉強したということだが、その流暢さは驚くほどだった。昨年の9月に来てから日本語を勉強し始めたヴィーコもこのまま日本に居続けたら肉薄するとは思うが、色んな国の若者が次々に日本語を習得している様を見ると日本人も頑張らなきゃという気になる。

 お客様を迎えて火曜日なのにビールは出るし、炭火焼BBQには肉だけでなくサンマも焼いたりして贅沢なディナー。いやー、お客様、大歓迎だ。

お客様たち

焼き肉食べ放題が大好きなヴィーコのお別れパーティーの意味もあり

何度目の乾杯?今宵も飲んでしまった。

炭火焼のサンマ、しかしちょっと火が弱くて時間がかかった


2014.3.19(水) 日本(沖縄)
ウッチン掘り出し作業開始

 ウッチンとはウコンの沖縄での呼び名。今日からウッチンの掘り出し作業が始まった。

 ウッチンはしょうがの親戚みたいな物で地下茎が売り物になる。本来ならいも掘り機で掘り出していくのだが、この畑の持ち主が、実は4年くらいうっちんをほったらかしにしていた為に畝がなくなって平らな土地になっていてその機械が使えない。困った畑の持ち主が友人であるうちの農園のお父さんにトラクターの出動と掘り出すマンパワーの要請を依頼してきたのが始まりだった。

 報酬は掘り出したウッチンの球根。うっちんは葉を伸ばして成長した後に葉が枯れて敷き草のようになってから掘り出して収穫するのだそうだ。お父さんはカボチャとウッチンを並べて植える事を目的にウッチンをもらいたいと思ったのだそうだ。

 昨年知ったのだが、カボチャは畝に沿って畝の4倍くらいの幅で敷き草を敷く必要がある。畝から伸びたカボチャのツルがこの敷き草に絡みついて先に進むのと、できたカボチャが土で汚れない2点を目的としている。昨年カボチャの手伝いをした時には、わざわざススキを刈ってきて敷き草として敷いたのだがこの作業がとても大変だった。今年は敷き草のかわりにカボチャに並列にウッチンを植えれば、敷き草をわざわざ敷く必要もなく、カボチャの収穫後にウッチンも収穫できるというお父さんの目論見だ。

ぶよが出るのでネットをかぶる。ヴィーコの頭頂が可愛い!

土の中のウッチンを掘り出す

掘っていたら土の中からこんな奴が出てきてビックリした。

結構な量を掘り出せた。

 クワをふるってはウッチンを掘り出す作業は結構大変だった。あー、疲れた。

 夜は針きゅうの先生がお父さんを治療。

 農家での仕事は手の指を使う事が多い。以前、観葉植物の事業をしていたお父さんの指は、はさみの使い過ぎで腱鞘炎をおこしている。

 ここでゆっくりと滞在する費用の代わりに、マッサージと針とお灸での治療し放題ということになっているらしく、早速、今夜からの治療が始まったというわけだ。

 お灸って初めて目撃。針も初めて目撃。なーるほど、こうやってやるんですね。


2014.3.20(木) 日本(沖縄)
ウッチン掘り出し作業、再び

 朝はヴィーコが去って行った。

 1ヵ月近くここに滞在していたのだが、19歳という年齢を考えたらよくやったなぁと心からほめてあげたい頑張りだった。

 よくわからない日本語に囲まれて、よくわからない大人に囲まれて、慣れない農業三昧の日々。同年代の若者もない中で粛々と農作業した日々は、決して楽しいばかりじゃなかったと思う。

 「もうすぐ彼女に会えるね、帰ったら焼肉食べ放題が食べられるね!」と言うと、太陽のような笑顔で「そうですね!」と言っていた。

 別れ際に一人ずつと握手して「私の留学先に来た時は連絡ください。ご案内いたしますから」とリップーサービスをする。フランス人ってこういう作法には本当にスマートだ。

 さて、作業はウッチンの掘り出し、再び。今日は軽トラの後ろに乗って風を受けながら現場に向かった。旅をする生活の中では軽トラが公共の交通機関だったグアテマラ、ヒッチハイクしてスーツケースと一緒に軽トラの後ろで風を受けたボツワナと、軽トラの後ろには思い出があるが、まさか日本で軽トラの後ろに乗るとは思わなかったのでこれも新たな思い出に加わった。

 夕飯はお刺身の盛り合わせ。イラブチ(左側)、アシチン(右上)、サバ(右下)。沖縄の魚は冷凍していないから、ネットリした舌触りで水っぽくない。サバもしめサバではなく生だ。

 この盛り合わせには海ブドウもわんさかと付けられた。中国人のT君も針きゅうの先生も大喜びだった。







2014.3.21(金) 日本(沖縄)
ワイヤー配布とウッチン選別

 作業はウッチンの選別。ウッチンは黄色い春ウッチンとオレンジ色の秋ウッチンがある。掘ってきたウッチンを春と夏、更に球根部分と販売部分に、つまり4種類に分けていく作業だ。

 作業をしている最中に農園にワイヤーネットが運ばれてきた。村の予算で希望者に配布される事が決まって応募したらもらえることになったそうだ。ここやんばる地域にはイノシシが多く、植えたイモ類などはのきなみイノシシに掘り返される被害が多発している。イノシシさえいなければ植えてみたい植物がたくさんあるのにといつも言っていたお父さんにとってワイヤーネットの配布はまさに夢に向かう翼のようだった。

 話を聞いていた私は、このワイヤーをうまく使ってイモ類の収穫と、イモにおびき寄せられたイノシシの獲得という一石二鳥を狙ってもらいたいもんだとこれまた想像の翼を広げているのだった。

 ウッチン選別作業は座って行う。あまり体力は使わないが、春、夏、球根、その他、その他の中でも小さな物は別かごにと6種類に分別する。瞬時に判別するのが老化防止にいいんじゃないかなぁ、老人ホームに提案しようかなぁ、っつーか私の脳みその老化防止にいいのかぁとか考えながらの作業だった。かなりグロテスクな容貌のウッチンも楽しみつつ一日が終了。


2014.3.22(土) 日本(沖縄)
一石二鳥の話

 午前中はトマトの収穫、午後からはウッチン掘り出しに駆り出された。

 ウッチン掘りに行く軽トラックの後ろで、私は昨日自分が考えていた芋とイノシシの一石二鳥の話を思い出して、一緒に軽トラの後ろに乗っていたイタリア人のトキに、、日本語には一石二鳥という言葉があるんだという事を話した。

 するとトキがイタリアにも同じ意味の言葉があるんだと話してくれた。

 イタリアでは「一つの豆にハトが二羽」というそうだ。一つの豆でハトを一羽獲ろうかと思っていたらラッキーな事に二羽やってきた。思わぬ幸運がやってきた。という意味と、日本と同じく最初から意図して二羽を獲ろうとする場合の二通りの使い方があるらしい。

 同じ意味でも、日本ではこちらから石を投げるのに対して、イタリアは豆を置いてハトがやってくるのを待つ。この一つの例で国民性まで語る事はできないが、イタリアの方が楽天的でのんびりと構えているように聞こえる。

 夜になると、針きゅうの先生で、以前、この農園にも宿泊した事のある那覇在住のお友達が一泊するためにやってきた。

 ビールやら那覇の洒落たフランス菓子などを土産に持ってきてくれて、皆で楽しく飲み会となったのだった。








2014.3.23(日) 日本(沖縄)
被爆の話など

 一日中トマトの収穫。今日は針きゅうの先生とそのお友達のFさんの3人で作業。

 針きゅうの先生は、続々と近所の人が無料マッサージを求めてやってきてトマトの収穫にはあまり参加できなかったので、まぁ実質二人で作業をしているような感じになった。

 Fさんは3年前の福島の原発で被爆体験をしている人だと他の人から聞いていた。ハウスで作業をしながら、一体何が起こったのかを聞いてみた。

 3年前、Fさんは東京で働いていた。原発事故の数ヶ月後、在住していた神奈川県である日黒っぽい雨にあたったら、ケロイドのような状態になったので、驚いて病院に行くと被爆の症状だと診断されたそうだ。恐ろしくなったFさんは沖縄に移住を決意。農業を目指してここの農園で実習をしたものの、足に鍬があたってできた傷の流血が止まらなくて断念。傷は治るまでに2ヵ月もかかったのだそうだ。当時は頭痛や吐き気もあり、とても正常な体調ではなかったそうっだが、沖縄で無農薬野菜を食べながら療養していくうちに体調はかなり戻っているそうだ。今は沖縄のある町の観光局の臨時職員として働きながら、今後の展開を考えている。Fさんのような体験をした人は数多くはないそうだが存在はする。Fさんは福島県をボランティアで訪れたある作家が自分と全く同じような黒い雨とケロイド体験した話をテレビで語っているのを聞いて、自分だけではないと確信したそうだ。

 こういう話を体験者から聞いたのは初めてだったので、あらためて恐ろしい事だと思った。風評、風評というが、どこまでが本当かがわからない。この件に関してはとても慎重にならざるを得ない。

 Fさんとはそんな話を皮きりに、色んな事を話した。私と旦那の出会いから旅の話から日本人一般的な性格まで。私の方が作業に慣れているので二人の距離がどんどん離れていく。気づいたらハウスの端と端で大声を出しながらしゃべっていた。

 彼女は一泊だけなので今日でお別れ。短い時間だったが面白い話ができてよかった。

 今夜はイタリア人ウーファーのトキにとって最後の日曜日ということもあり、近隣の珍しい食材で酒盛りを楽しもうという趣旨で夕食会が行われた。

 本当は色んなメニューがラインアップされていたのだが、どうにも全員が忙しくて、結局は長命草の天ぷら、青竹の炒め物、フーチバージューシーの3品となった。

 長命草は柔らかい新葉の部分だけを取ってきて天ぷらにする。かの資生堂がこの植物を使って化粧品を作っているらしいので美容にもよく、薬用成分もあるとか。ほろ苦い味わいは本島で言ったらタラの芽など春野菜の天ぷらの風味で大人の味のおいしさだった。

 青竹はこの周辺で採れる細い竹の柔らかい部分。私たちの経験ではベトナム北部の少数民族がいる辺りで食べた記憶がある。瑞々しくて柔らかい。

 そしてフーチバーはよもぎ、ジューシーは炊き込みご飯あるいは雑炊を意味する沖縄方言だが、フーチバージューシーといったら魚やかつおだしの雑炊にたっぷりのよもぎを入れた物を指す。いかにも血圧を下げてくれそうな苦みの効いた一品は食べ慣れてくるとやみつきになるかも。いや、私はまだその域に達しないが。

 トキと同年代の近所の男性もやってきて、今までお疲れ様という会が始まった。寡黙で仕事の飲みこみが早くてハンサムで優しいトキはお母さんからも絶大な信頼を受けていた。「もうすぐトキがいっちゃうのね」とつぶやいただけで、お母さんは既に目の縁を赤くしている。国境を越えた人のつながり、ウーファーの醍醐味を目の当たりにした夜だった。


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