> アメリカ大陸2 目次 > 詳細内容
東アジア
中国
ヨーロッパ
スペイン
フランス
イタリア
オーストリア
ドイツ
アメリカ大陸
エクアドル
メキシコ
チリ
アルゼンチン
ヨーロッパ2
スペイン
ポルトガル
ヨーロッパ3
クロアチア
ドイツ
東南アジア
タイ
マレーシア
ラオス
アメリカ大陸2
メキシコ
ドミニカ共和国
ヨーロッパ2010
フランス
イタリア
アジア2010
タイ
マレーシア
アジア2011
タイ
北米・カリブ海2011
メキシコ
キューバ
ヨーロッパ2011
フランス
イギリス
フランス2
2010.03.09
パレンケ遺跡、ミソル・ハ(滝)、アグア・アスルを巡るツアー
メキシコ:パレンケ

 カンペチェ州首都カンペチェから7時間かけてパレンケに到着したのは夕方だった。カンクンの日本人宿で出会った作家の岡崎大五さんから教えてもらったエル・パンチャンEl Panchanという森の中にある宿群の1つ、チャートーズ・カバーニャスChato's Cabanasに収まった昨日の夜は、夕方からカエルの大合唱に続き、夜は虫たちのオーケストラ、夜中からはこの辺りで有名な猿の咆哮(おっさんが叫んだあげくにオエーッと吐き気を催したような鳴き声でスピーカーを通したような大音響、5km先まで聞こえるらしい)が間近で聞こえ、まさに「森の中で暮らす」生活を満喫した夜だった。

 明けて今日は、観光だ。パレンケはパレンケ遺跡を観光するためにできたような小さな村で村自体に見どころはない。遺跡の他にはパレンケの南18kmにあるミソル・ハという滝と南66kmにあるアグア・アスルという石灰岩で棚田状になった滝に青い水が流れて泳げる場所が見どころとして挙げられている。遺跡と滝2つをまとめて観光させてくれるツアーがあったので昨日のうちに申し込みをしておいた。料金は一人140ペソ(980円)で、これに遺跡の入場料金76ペソ(532円)、ミソル・ハの入場料20ペソ(140円)、アグア・アスルの入場料20ペソ(140円)と自分の飲食代金がかかる。遺跡と2つの滝を見てからその日のうちにサンクリストバル・デ・ラスカサスまで行くバスに乗せてくれるツアーは一人250ペソだとか聞いた。サンクリストバル・デ・ラスカサスまでのバス代金が110ペソ上乗せされていることになる。アグア・アスル近くの幹線道路でツアーバスからサンクリストバル・デ・ラスカサス行きの大型バスに乗り換えるようになるのだ。しかし、夕方からサンクリストバル・デ・ラスカサスに行くバスは1社しかなく、パレンケのバスターミナル発で乗ると80ペソである。66kmも南に下った場所からこのバスに乗るのに、パレンケから乗るよりも40ペソ上乗せされているのがちょっと旅行代理店にやられている。私達は時間もあることだし、今日はパレンケにもう一泊して明日の昼間140ペソでもっとランクのいいバスでサンクリストバル・デ・ラスカサスに向かうことにした。

 このツアーに参加した他の旅行者によれば、パレンケではどこでツアーを申し込んでも元締めは1社しかないので、パレンケの街中で申し込もうとエル・パンチョスで申し込もうとも価格は同じだということだった。

 エル・パンチョスはパレンケの街から遺跡に向かう道中にあるので、遺跡まではほんの10分ほどで到着する。朝8時に宿泊する宿のフロントに来るように言われていたが、ツアーバスが来たのは8時20分、そこからエル・パンチョス内の他の宿を周って集客し、エル・パンチョスを出たのは8時半だが、8時40分には料金を支払って遺跡の中にいた。



 遺跡は高台にある入口から山の斜面に作られた遺跡村を見学しながら降りてくるようになる。順路に従って出た所にある博物館とその隣にある土産物屋の前の駐車場に12時までに戻ってくるように言い渡されて、あとは自由に見学だ。

 入口付近にはスペイン語、英語、フランス語などの言語を話すフリーランスのガイドが待機していて、人数によって交渉して料金を決めるようになっている。私達はガイドはガイドブックに任せることにしてガイドなしで入場した。

 ガイドブックによるとパレンケ遺跡は7世紀に急速に成長して最盛期を迎え、9世紀から段階的に都市が放棄され10世紀の末には既に廃墟になっていたという割合短い歴史を持つ遺跡だそうだ。入口から最初に見える立派なピラミッド(宮殿)やその手前右手にある13号神殿の内側が赤い棺のある場所は美しく修復されているが、徐々に奥に行くに従ってあまり修復もされずに森の中に放置されたままのような遺跡が、というより崩れた岩が転がったり苔むしたりしている。メキシコの遺跡というと観光目的に張り切ってバリバリに修復されたテオティワカンやチチェンイツァーのイメージがあっただけに、この投げやりというか発見した当初っぽい遺跡はそれなりに面白く、いい感じに風化している。
 
 

 あっちのピラミッドに登って、こっちのピラミッドに登って、横道の森の中で風化したピラミッドを見てとかなり足早に見て回っても2時間はたっぷりかかった。最後は小川と小さな滝などのある遊歩道を歩いて出口までたどり着く。

 遺跡もなかなかよかったのだが、出口から道路を渡った向かいにある博物館(遺跡入場のチケット半券を見せると入れる)が立派なレリーフが多くてこれまた面白かったので、ここは30分くらい時間を残しておくといいと思う。


 自分は全くマヤ文明フリークでもないし遺跡好きでもないが5年ぶりにメキシコのマヤ文明に触れてみると世界一周を行った最初の頃に見た5年前とはまた違った感慨がある。あの頃は「なんじゃこりゃー」と見たこともない文化に対しての驚きだけで過ごしてしまったが、世界の色々な遺跡にまつわるレリーフをいくつか見てきた今、あらためてマヤ文明に残されているレリーフの精巧さ独自性に驚かされる。レリーフも彫刻もこんなに美しかったのか。それとは別に今回はマヤ文字がとても可愛い顔付だったりするという発見もあった。

 こうして11時半に全ての見学を終えて、土産物屋の隣の休憩所でお迎え待ち。ここにはポテトチップスやチョコレートや飲み物の自動販売機はあるがその他の食べ物などは販売していなかった。お昼ごはんはどこで食べるのだろうか。

 そう思っていたら次の目的地ミソル・ハの滝に向かう途中にコンビニのあるガソリンスタンドに停車。「ここで飲み物などを調達したらいいでしょう」とガイドが言うので、みんなぞろぞろと店に入って飲み物などを買っていたのだが、ここに立ち寄った理由はガイドが昼飯を調達するためだったようだ。コンビニで買い物を済ませてふと見ると、ガイドがなにか弁当のようなパックを抱えてこちらに来ている。ツアーの予定では、この後ミソル・ハの滝にちょっと立ち寄ってアグア・アスルでレストランがあるので、そこでお昼ごはんをどうぞという事になっている。ガイドがここで昼飯を調達しているということは、この先、こういう値段で買える場所がないに違いない。ご飯については人一倍嗅覚がきく私達は即座に判断して、ここで大急ぎで屋台のタコスをパック詰めにしてもらった。レストランでは一人50ペソくらいかかるが、屋台のタコスは1つ6ペソ、2つも食べればお腹いっぱいになるから大分お得だ。

 ミソル・ハの滝には午後1時くらいに到着した。ここでの停車時間は30分。滝はまぁまぁの規模で感心する程でもないのだが、滝の裏側に遊歩道が渡っていて裏側から滝を見られるのは涼しげで良かった。気の早い客はアグア・アスルへの到着を待ち切れずに、ここで水着になって泳ぎ始めたが、水質があまり良いとはいえないので泳ぐ気にはなれなかった。ここにも飲み物やスナックを買える土産物屋があるが、すでに観光地値段になっていた。
 

 更にツアーバスに乗って1時間、最後の目的地のアグア・アスルに到着。ここでは2時間半があてられ、レストランでお昼ごはんを食べてからゆっくりと泳いだり、川の上流まで散策できる。まずは駐車場がレストランのあるエリアと同じレベルから大きな滝と、それに続く川を見学。名前通りにアスル(青い)水は、さっきのミソル・ハの滝よりも水が随分ときれいで泳ぐ気になる。滝から100mくらい川下には石灰が天然のプールのような区切りを形成している場所があって、多くの人はそこで温泉にでもつかるようにゆったりとして冷たい水を楽しんでいた。といっても水温が低いので、ひざしがカーッと照りつけて暑い暑いと思っていたのに一瞬で冷えてそんなに長くは浸かっていられなかった。

 身体も冷えた所で、もう少し上流に向かって遊歩道を登ってみる。途中、長い年月をかけて鍾乳洞のように垂れ下がるように石が柱を作っている滝や、こんもり岩が盛り上がった滝、川が棚田状になった様子が上流からよく見えるポイントなどがあった。上流には澄んで水がきれいな場所がいくつかあるので、身体が暑くなると水に入って冷やしながら歩けるという大好きなシチュエーションの場所だった。かなりゆっくりと写真を撮ったり水に浸かりながら歩いて30分。滝がなくなり川がすっかりなだらかになった場所に、石灰石で天然の堤防ができてプールを形成している場所に行きついた。そろそろ陽も傾いてきたので、ここで最後に泳いで下流に戻る事にした。

 残りの時間は着替えてから濡れた物を辺りの木にぶらさげて、何となく乾かしながら泳ぐ人たちを見物して終了。さすがに午後4時半以降は水に入る人が少なくて、皆、芝生で寝転んで日光浴タイムという感じだ。

 このアグア・アスルはトルコのパムッカレ、クロアチアのプリトヴィッツェの仲間だと思われるが、世界に名だたるこの場所に比べると迫力には欠ける。また、良く似たクロアチアのクルカ国立公園にも規模がちょっと劣る。が、暑い日差しの中、遺跡を見学して、午後からここで泳いだり日光浴するというプランは丸一日ゆっくり遊べて楽しかった。

 帰りはここからサンクリストバル・デ・ラスカサスに行く人たちが途中で大型バスに乗り換えるために、幹線道路で待機。バスが来たのは午後6時近くになってからだった。サンクリまではここからでも4時間はかかるだろう。パレンケでの一泊分を浮かせたいという人と、時間がないという人はこのプランもいいと思うが、夜10時に新しい街に到着するというのは、私は好きではない。


 夜は宿併設のレストランで夕食。エル・パンチャンは街から離れた森の中にあるので、ここの宿には別々にレストランがある。数泊する人は他の宿のレストランに食べに行ったりもできる。私達の宿泊した宿併設のレストランは毎晩8時からライブステージがあるので、今日はそれを聞きながら食事を楽しんだ。

 昼間はツアーに参加して夜はライブミュージックを聞きながらレストランでお食事なんて、ちょっと贅沢な短期旅行みたいなことがとても安くできるのがここの魅力だ。


Copyright (C) 2008 World Mover All rights reserved