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2009.07.26
プリトヴィッツェ国立公園で約6時間ハイキング
ヴォディチェにいる時にクルカ国立公園に行った。大理石が透けて見えるエメラルドグリーンの湖。大きな滝を目の前に泳ぐことができる場所で、私たちは大満足で宿に戻ってきたのだった。そして宿のオーナーの娘イヴァナに「クルカ良かったわぁ。もうプリトヴィッツェに行かなくてもいいかもね!」と言うと、イヴァナは「とんでもない、プリトヴィッツェはもっともっと美しいので絶対に行かなくてはいけない」ときっぱりと言い放った。
プリトヴィッツェへの期待はクロアチアに来る前からあったが、クルカに満足した私たちの心はやや冷めかけていた。そこにイヴァナの一言。期待が再燃したのは言うまでもない。
知り合いのブログの情報などからプリトヴィッツェには1泊してゆっくりと散策を楽しんだ方がいいと判断し、ヴォディチェからプリトヴィッツエに移動してきた昨日は宿探しと食料調達と休憩にした。絶対に快晴の日にハイキングしたいと思っていたので4泊をあてていたが、翌日の今日は快晴。まさにハイキング日和となったので早速出発することにした。
宿のあるJezerce村からプリトヴッツェの南側入り口までは徒歩で30分。気持ちの良い木立の中を歩いて行けるので苦にはならなかった。
ただし、この道はやや表示が少なくて歩きにくい。昨日の時点で下見をしておいて良かった。そうでなかったら入り口まで迷ってしまっただろう。
まずは駐車場や屋外レストランのある区域の観光案内所でチケットを購入。一人KN110(=2200円)だった。これには公園内のバスとボートの利用費用も含まれている。チケットの裏側には地図が描かれているのだが、これだけではどこをどうやって歩けばいいのかわからない。案内所にはモデルコースを説明した紙がカウンターにあるのだが、それはもらえない。ここでもらえる資料は美しいカラー写真刷りのプリトヴィッツェがいかに素晴らしいかを説明したリーフレットだけ。具体的に歩くために何の役にも立たないリーフレットが7ヶ国語分用意されている。はぁーーーー。プリトヴィッツェ国立公園の広報担当はナルシストに違いない。
チケットの隅に「やっちゃいけません」アイコンがたくさん並んでいて可愛かったので紹介しておく。
左上から「コースはずれたらダメ」「草花摘んじゃダメ」「ゴミポイ捨て禁止」「焚き火禁止」「鍾乳洞折っちゃダメ」「木への落書き禁止」「テント泊禁止」「水泳禁止」「釣り禁止」「犬の放し飼い禁止」。
「鍾乳洞折っちゃダメ」って、そんな事をする奴いるか?と思っていたが、歩いてみると折られた形跡のある場所が見つかった。木じゃないけど岩に名前を彫った場所もある。こういう注意書きは必要らしい。
チケットを購入した場所から入り口まで10分くらい歩くとポイント4へのバス乗り場となった。ここに大きな看板があって、各モデルコースの説明がしてあるので、自分の歩きたいコースをここで再確認できる。因みに入場チケットはここでも販売されていたので、直接ここに来ればよかった。今日の私たちはコースHを歩くことにしていた。
このルートでは主に湖を間近に見られる湖沿いの散策路を歩くコースになっているのだが、対岸のもっと高い場所を歩く展望コースもある。しかし日本人で展望コースを歩いた人のサイトやブログを見ると、大滝を見下ろせる位置から渓谷が両脇に続いて真ん中に美しい湖のみえる写真が多い。つまり、ここが展望コースのハイライトだと思われる。実はこのポイントはコースHで大滝まで行った時、滝の左手から登る階段を上がりきると行けるのだ。美しい湖をずーっと間近に感じて歩きながら、最後にちょっと展望コースのおいしい所だけ寄り道するという、つまみ食い歩きだ。
所要時間4〜6時間とあるが、途中で休憩したり、上から湖を眺められる脇道にそれたり、最後の方に大滝を上から見られる方に行ったりと寄り道していたのでたっぷり6時間かかった。
全体のイメージはこんな感じ。散策コースは16個ある湖の縁を歩いたり、もっと高い場所から湖を見下ろしたりしながら歩くことになる。目線が変わると湖の色が違って見えるので、上がったり下がったりしながら湖を楽しめるこのコースはよくできている。
コースHはNo2と書かれた第二入り口からバスでSt4まで上る。散策コースの中で一番高い地点だ。そこからAの道を下りSt2までハイキング。St2からボートでSt3に行き、St1まで散策。St1から2までバスで戻って来られる。ザグレブから日帰りで来る人は第二入り口までバスで行ってSt1で終了してバスに乗ってザグレブまで帰ってくればいい。
私たちはここに宿泊して数日後の朝ザダルに行った。宿から近かったのでSt2からバス乗ったのだが、ザグレブから来たバスはSt2で満席になり次の停留所は待っているバックパッカーがいたにもかかわらずバスは素通りだった。宿を決める際に次に向かう方向から見て遠いバス停近くの宿にしないと、バスに乗れなくなる可能性があることを考慮した方がいい。
さて、第二入り口に来ていたSt2に向かう無料バスに乗り込んで待つこと10分。ほぼ満席になってからバスは走り出した。川を遡る道なのでほぼ登りの道沿いだった。わざわざ歩いている人もいたが、結局バス道よりも下の道を歩いて下ることになるので歩くのが好きな人以外は意味がない。
St2からいよいよハイキング開始だ。流れがなだらかになっている湖の上に遊歩道が作られて水の上を歩いたり、湖の横を散策しながら進む道沿いには早くもエメラルドグリーンの美しい湖が見えている。所々で小さな滝があり、足元では段差のある流れがコポコポと気持ちのいい音を立てていた。浅い湖は水面近くまで藻が茂っていて、ぬいぐるみのようにやわらかい藻が水中でそよいでいる。いつからそこにあるのか朽ちた木は水分に含まれる石灰だろうか鉱物がまとわり付いてオブジェのようになっていた。
やがてグラデーションの美しい湖に到着。手前の水草が生えている所には黒い魚が多く見られた。そこから目線を徐々に遠方に映すとかすかにブルーがかった水が段々と濃くなって向こう岸近くでは深い色合いになっていた。この比較的大きな湖の反対側の小さな湖は岸辺からいきなり深くなって中に倒れた大きな木が美しくおさまっている。透明度が高いので色がついていても底までくっきりと見えているので遠近の感覚が通常の意識とは違うのが面白い。
とにかく「わー、キレイ、ここも凄い!」を繰り返しながら歩いてたらSt2に到着。丁度ボートが来ていたので飛び乗ってボートの中でサンドイッチの昼食を食べた。ボートが到着したSt3にはおいしそうな炭火焼のソーセージやらハンバーガーやらチキンを売るレストランがある。ただし、お安くはない(ソーセージとパンやらハンバーガーのセットが700円くらい)ので昼食を持ってきて正解だった。ここは、広い芝生に寝転ぶとエメラルドグリーンの湖が見えるという昼寝に最適な場所だった。
さて後半戦だ。上流よりもこちらの方がよりエメラルドグリーンの度合いが強くなって驚きが大きい。短いコースの人はこちらを歩くようにしているのは正解だろうなぁ。
やがて通路前方には右手にそれて洞窟の中に消える階段があったので、寄り道して行ってみた。どんどんと上に上って行くと、高い場所を通る道に通じているのだった。洞窟を通り抜ける体験は面白かったのだが、この上の道はいずれ回りこんで歩く予定になっている道だったので洞窟を通り抜けて上まで行く苦労はしなくてよかったと言ったらそれまでだが、途中の洞穴から見える湖の色、こんな岩をくり貫いて作ったトンネルを歩くことはなかなか冒険チックだ。
もとの通路に戻って進むと、最後の見所「グレートフォール」に到着する。グレートか?と疑問が沸くグレートさではあるが、公園内で見る滝の中では一番の高低差だった。
この滝の左手から登る階段がある。滝を高い視点から見られる場所に出られるようだ。本来のコースではこの滝から引き返すことになっているが、再び寄り道。
予想通り滝はどこから見てもたいした変化はないのだが、この地点からは今まで歩いてきた渓谷が奥まで見渡せるのとこちら側から見た違う湖の色が楽しめる。そういう意味では階段を上がる苦労は価値があった。
これで一応、端から端まで歩ききったことになる。滝からは引き返してもとの順路に戻って、St1まで川を遡って引き返すようになっていた。この引き返す道が川沿いの道よりも目線が高い場所にある道で、さきほど洞窟のトンネルを上がって出た場所と合流するようになっているのだ。洞窟から上がってきたあたりから見る見下ろしの湖の景色。これが一番絵葉書やポスターに見られる「プリトヴィッツェでござーい」という景色になっている。ハイキングの最後にハイライトを置くのはなかなか素敵な演出だ。
St1からはチケットに含まれるバスに乗ってSt2に戻って午後3時55分、今日のハイキングが終了した。
無理やり微笑んで終了記念の写真を撮影しているが、余計な登り階段の寄り道を2ヶ所もしたとあってぐったり疲れた。でも久しぶりに激しく運動して心地よい疲労感でもあった。
ということでプリトヴィッツェ。今回のクロアチア滞在を通じてクロアチアナンバーワン、マストな観光場所だと思う。
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