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2010.04.19
プエルト・プラタのディープな観光
ドミニカ共和国に到着するなり空港のATM機にカードを飲み込まれてしまった騒動があり、カード機能を一時停止にしていた。
今日はプエルト・プラタの町に出てカード発行会社に国際電話して、機能の回復を依頼するという用事があった。そのついでといってはなんだが、先週、街中でばったりと出会って声をかけた海外青年協力隊員のミキさんのオフィスを訪ねてお昼ご飯に誘ってみようと思ったのだった。確か、月曜日なら一緒にランチできると言っていたしね。
オフィスを訪ねるとニコニコしながらミキさんが出てきてくれた。まずはオフィスを見てくださいと2階に案内され、今一緒にプロジェクトを行っている現地の男性やら、秘書の女性やら色々な人とご挨拶。「ドミニカ共和国を旅行中の日本人です」という説明にみんな「ああ、そうですか、楽しんでくださいね」と愛想がいい。ここは観光局事務所なので、旅行者には特に対応がいいのかもしれない。
既に昼近い時間になっていたので、さっそくオフィスを出てミキさん行きつけの店に連れて行ってもらうことになった。オフィスを一歩出た途端にあちこちから「ミキ、ミキ」と声がかかる。以前住んでいた場所で急に事情があって引っ越してそのままになってしまった隣人がバイクで通りかかって挨拶してきたり、日本語教室をやっているので生徒さんがあちこちから声をかけてきたり、おいしいお菓子を売っている店をのぞいたらおばちゃんが挨拶してきて、知り合いの全盲の男性がいたので声をかけると英語が上手で思わず長話になる、英語で話していたらアメリカから嫁に来たという女性が英語が懐かしてく思わずきちゃったと寄ってくる。ってな具合で、5mくらい進むのに30分はかかってミキさんの人気っぷりを目の当たりにしたのだった。彼女のお陰で、プエルト・プラタでの日本人に対する印象は大分上昇したに違いない。
お菓子はココナッツなどで作った素朴なものが多かった |
全盲の男性と思わず長話 |
近くにJICAの韓国バージョンの組織から来ている韓国人の女性がいるというので、そこにも立ち寄ってもらった。女性の自立を支援する組織で活動している彼女は、日本にもいたことがあるし米国留学もしているのでだたいまスペイン語は4ヶ国語目だそうだ。
語学だけでなく各国で培った経験をもとに色んなイベントを実行する行動派なんだそうだ。
食事の場所がホームステイ先に近いということで、今住んでいる家にも連れて行ってもらった。3人のお嬢さんと暮らすお母さんは7年前に旦那さんを心臓病で亡くしショックでげっそりと痩せてしまったのだが、子供たちの励ましでようやく立ち直って仕事をしながら治療にかかってしまった費用の借金などを返しながらも明るく暮らしている人なんだそうだ。丁度、子供たち用のお昼ご飯を作っている所で、見せてもらうとトマトとお肉やソーセージの入った炊き込みご飯だった。やっぱり。ドミニカ共和国でおいしいのは炊き込みご飯なんだろうとここ数日思っていたのだが、やっぱり家庭の定番料理はそれだった。丁子(クローブ)やオレガノなどハーブを聞かせてあるのがカリブ海風な感じで、とてもいい匂い。試食と称してお茶碗に軽く1杯くらいも頂いてしまった、すみません。
この4人の家族に混じって負けない明るさのミキさんは、居間に置かれた写真立ての中でもう立派に家族の一員のように写っていた。それにしても素敵なお宅だった。
んでもって、ようやくランチの場所に到着。一人100ペソ(250円くらい)でこんなに大量のご飯が食べられるなんて、やっぱり地元通の人が行く店は違う。中央公園付近のお店だとランチで1.5倍から2倍の値段はしていた(詳しくは「本日の献立2010年4月19日(昼)」をクリックしてご覧ください)。
そしてドミニカ共和国に来て初めて典型的なこの国の料理を食べたということにもなる。肉のトマトソース煮、ご飯、豆の煮物、サラダ、揚げバナナというのが一般的なセットらしい。
お腹も一杯になった所で、ドミニカ共和国の人々がお昼ご飯の後にちょっと飲み物を飲みながら踊るような場所がある、というので連れて行ってもらうことにした。
でもちょっとその前に、お勧めの音楽CDを買いたいというと、知り合いの路上CD売りがいいだろうと海沿いのマレコン通りに探しにいった。いわば違法コピーを売っている彼らはマレコンの大通りから市街地に入ってくるなと言われているそうで、海沿いの道で商売していると聞いた。でも確か市街地ど真ん中の中央公園の目の前でもこういう人たちっているよなぁ。違法コピーかどうかの問題ではなくて、縄張りの問題のような気もするが。
ここでドミニカ共和国発祥の音楽、バジャータとメレンゲの最近の人気曲を集めたCDを2枚購入。1枚50ペソ(130円くらい)だった。安いが、メキシコ・シティーのテピート地区では1枚5ペソ(35円)でそれを考えるとテピートの激安ぶりはものすごいものがあるとあらためて驚いた。
さて、ミキさんが連れて行ってくれたのは簡単な作りの建物の中で音楽がかかっていて、ダンスフロアーの周りに椅子とテーブルがあるような場所だった。時間が少しずれていたためかお客さんは私達以外には1組しかいなかったが、それでも平日の昼の日中にこういう場所で踊っている人がいる、というのがやっぱりカリビアーンな文化だなぁ。
プレジテンテというビールを注文して喉をうるおしたら、さっそくミキさんによるバジャータとメレンゲのダンスレッスン。日本にいた時はサルサも踊った事がなかったというミキさんだが、私達が見る限りかなりのハイレベルで踊れている。この1年間でかなり踊りこんだのだろう。ダンスは、特に女性の場合は上手なパートナーと踊ることで自然と動きが身につく。ミキさんなら相手に事欠かないだろうなぁ。この人は日本人離れして足が長くて腰高なので、とてもダンスがさまになるのだ。
私もサルサはちょっとかじったんですよね、とか言いながら夫もレッスンを受けるが猫背を指摘されたりしてなかなか手厳しい。真剣モードのレッスンをつけてもらって短い時間だったがなんとか人前で踊れるかも?という形にしてもらった。
もう一組いたお客の男性が見るに見かねてレッスンに割り込んできてくれる、という場面もありつつ非常に楽しい時間を過ごさせてもらった。
ということで、そろそろオフィスに戻らなくてはいけないミキさんと別れて、私達はスーパーで買い物して帰ることにした。先週の土曜日に琥珀ギャラリーを観光した時、プエルト・プラタでもう見るべきものはないなぁなんて思ったのだが、アテンドがいるとこんなにもディープに遊べるのだ。こういう体験型の観光ツアーをオールインクルーシブホテルの人にも勧めたら絶対に受けると思うんだけどなぁ。ま、あり得ないだろうけど。というのもリゾートホテルではタクシー代金やお土産物など先進国並みの値段設定にしているので、なるべく地元と接触を持たせないように努力している節があるからだ。体験型観光ツアーをしたら色んな値段がばれちゃうもんね。しかも、意外に町が安全だっていうのもばれちゃうしね。
今日一日ミキさんと話をしていてオールインクルーシブという囲い込み型の観光方式がいかに町から活気を奪うかを痛感した。本来なら全てお任せのオールインクルーシブではなく、自分で街中の宿に宿泊して自分でレストランに行ったりバーに行ったりすることで、その国の文化に触れるのが旅だし、そういう旅人が増えることで町も面白くなってくるのに、オールインクルーシブはその流れを全て止めてしまっている。これからドミニカ共和国が盛り上がるにはオールインクルーシブは少なくした方がいいと感じた一日でもあった。
色々な人に引き合わせてくれて、とびっきり面白い時間を過ごさせてくれたミキさんには大感謝。本当にありがとうございました。
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