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2010.03.03
郊外のセレストゥン自然保護区でフラミンゴ、夜は無料ショー
今日は郊外のセレストゥン自然保護区にでかけようと、朝7時に朝食を食べ始めた。ここの宿は朝早くから朝食を用意してくれるのが助かる。食べていると、外からメキシコ人の中高年団体がぞろぞろとダイニングまで入ってきて写真は撮るは、着席するは・・・。
朝食ジャックだ!
一体何事かと思ったら、この宿の朝食が豪華なのを聞きつけた団体客が朝食だけ食べにやって来たそうなのだ。第一陣は30名、第二陣で更に30名、計60名が来ることになっているということで、たまたま早い時間に朝食を終えた私達はよかったが7時半過ぎにやってきた宿泊客はこの有様に目をパチクリさせていた。
こんな珍事もあったが、予定通りに宿を出てセレストゥン行きのバスが出るNoresteバスターミナルに向かった。9時発のチケットを一人47ペソ(329円)で購入し、予定通り9時に出発。向かう先はセレストゥン村のちょっと手前にある自然保護区だ。
2時間ちょっとで自然保護区に到着し、降り立ったのは私達ともう一組のカップルだった。セレストゥンでは1時間の周遊コース(ボート一台678ペソ)と2時間の周遊コース(ボート一台1200ペソ)があり、別途一人20ペソの保護区入場料金がかかる。2時間のコースでは砂州がビーチになっている場所に立ち寄ってゆっくりと時間を過ごすらしい。一緒のバスで来たカップルは泳ぐ気満々でビキニに着替えたりしているが、私達は1時間のコースでいいと思っていたから一緒に行くのは難しそうだ。かといって6人乗りボートを2人でチャーターしたら高くつくなぁ。そんな事を案じていたら、更に4人組がやってきた。私達もビキニのカップルも同時に話しかけてみたら、4人は1時間コースで十分という構え。ビキニカップルには悪いが、私達が4人にジョインすることになった。そうこうするうちに、2時間コースを希望するもう一組のカップルが来たので、ビキニカップルたちは4人で2時間コースに行くことで話がまとまっていった。このように、11時過ぎの自然保護区入口にはバラバラと人がやってくるようなので、少し待てば人数が集まるようだ。あまり遅くなると見つけにくいので、メリダ発8時や9時がいいようだ。
ということで、ボート代金と保護区入場料で一人133ペソ(931円)を支払って6人で出発することになった。夫婦2組の50代らしきメキシコ人はメキシコ北部の産業都市モンテレイから車で来ていて、休暇中のウキウキするハイテンションの楽しい人たちだった。一人は中国系メキシコ人で両親が移民してきて自分は2世だと言っていた。といっても、メキシコ人のメスティソ並みに日焼けしていてサングラスをかけていたらまるでメキシコ人に見える。
6人とガイドとボート操縦者の8人を乗せて、メキシコ湾から細長く陸地に入った入江をボートは進む。日差しは強いのだがスピードを出すとかなり寒くなり、予想して持ってきたウィンドブレーカーがとても役に立った。メキシコ人の女性たちは薄着だったので日の当たる場所に移動して、なんとか寒さをやり過ごしていた。
マングローブの林を右手に見ながら進むと、途中で白鷺のような鳥が休んでいる場所や、珍しい鳥の止まっている木や、数羽のフラミンゴなどが見える。快調に飛ばすボートの中ではメキシコ人が活発にガイドに質問して、全て英語に訳して私達に教えてくれたのでとてもにぎやかな事になっていた。
わき目も振らず疾走して15分後にフラミンゴが群れをなしている場所に到着。といっても遠い。100-150mくらい離れているだろうか。ここから先に近づくとボートの音でフラミンゴが逃げるのと、とても浅瀬でボートがスタックする危険性があるのとで、今いる位置が近付けるぎりぎりなのだという説明だった。
まぁ、この写真で見るよりは肉眼ではもっと近くに見えるが、それにしてもちょっと遠いし大した数でもない。
でも、ここのフラミンゴはとても美しい色をしている。その意味では見に来た甲斐があるというものだ。メキシコ人夫妻達は大興奮で、お互いに写真を撮り合ったりしているが、たぶんフラミンゴはわからないくらいに小さく写っていることが後に判明するんだろうなぁ。ま、いっか。
ここでの滞在時間は10分。
もっと別の群れを見に行くのかと思ったら、フラミンゴ観察はこれにて終了だそうだ。
来た道を戻る途中で、今度は左手になったマングローブの林にぽっかりと開いたトンネルのわき道に入った。
ぴたりと風のなくなったマングローブのトンネルの中は、複雑に絡みあう根の合間に白い鳥が見られたり、大きなスズメバチの巣が見られたり、木漏れ日の中を進むちょっとアドベンチャー気分のコースだった。
このトンネルの一番奥に桟橋があり、そこで一旦ボートを降りてマングローブの中に造られたボードウォークを散策することになっている。もの凄くゆっくり歩いて一周10分くらいのボードウォーク沿いには今まで目にしていた濁った茶色の川ではなく、とても澄んだ水になっている場所があって不思議だ。中で泳いでいる魚も上から見られるし、水着を用意してきた人はここでちょっと泳いだりもしていた。
私達は6人とも泳ぐ用意をしていなかったので10分後にはここを後にし、岐路に着いた。出発地点に戻ってきたのが丁度1時間後。お約束通りの時間のコースだった。
モンテレイから来た陽気なメキシコ人たちと別れた私達は、この昼時をどこで過ごそうかという問題があった。自然保護区の入り口にはスナックと飲み物を売る店しかない。もうメリダに帰ろうかとも思ったが、せっかく2時間もかけてここまで来てこれで帰るのも惜しい気がした。するとふーっと客を乗せたバイクタクシーが到着。聞けばセレストゥンの村まで一人10ペソで連れて行ってくれるという。それならと、バイクタクシーのお兄ちゃんに「安くてうまいレストラン」まで連れて行ってもらうことにした。
メキシコ湾が目の前というビーチにずらりとレストランが並ぶ中、バイクタクシーの兄ちゃんの知り合いらしきラストラン前で下車。レストランの脇からまっすぐ20mも歩いたら、そこはメキシコ湾の広がる海だった。まだシーズンオフのせいだろう、ビーチにはカニを見せてくれる地元の人などちらほらとしか人影がなく、ひたすら広くて青い空の下にメキシコ湾のややグレーがかった海と白い砂浜が広がっていた。天候のせいかわからないが、陽気なカンクンの水色と違ってここの水は濁ったグレーで、暑くてもあまり入りたい気分になれそうもない。でも、このレストランの行列を見ると、シーズンにはかなりの人が訪れることが予想される。水ももっと澄むのかなぁ?
ふーん、これがメキシコ湾か。
これにジュースを2つつけて225ペソ(1575円)。 |
ひとしきり感心して、紹介されたレストランに入った。ここでのお勧め料理は「魚介のトマト煮詰、魚のフィレのフライ」。ボリュームのある一品でしかもとてもおいしい。ご飯とサラダも少々ついてきて1000円くらいならダス価値あったと納得した(詳しくは「本日の献立2010年3月3日(昼)」をクリック)。
セレストゥンの村はビーチ以外には本当に何もないような場所で、村をぐるっと回ってみたが休眠しているような場所だった。
村の中心と思われる公園沿いに乗ってきたバスの名前(Oriente社)の看板を掲げた場所を発見。時刻表を見ると午後3時の便があったので、それに乗って帰ることにした。料金は来る時と同じく一人47ペソだった。
こうしてメリダまで戻ってきたのが午後5時20分。のんびりとした1日エクスカーションにぴったりな場所だった。
さーて、今夜もソカロ近くのCentro Cultual Olimpoで無料のコンサートがあるというので、夕食を済ませてから宿を出た。ソカロが目の前の宿だから非常に便利だ。会場まで徒歩3分しかかからない。この場所は、昨日の昼間も訪れた。美術館になっていて無料でダリのエキシビションが行われているからだ。円柱で中庭のある建物のどこで無料ショーが行われるのかと思ったら、円柱の建物内に屋内劇場があった。随分と今日は立派な場所でショーが行われるようだ。
開始10分前の8時50分の時点で既に会場は8割方席が埋まっていて、これから始まるショーに期待が高まった。やがて開始のベルがなり、入口のドアが閉じられて客席の照明が落とされ、するすると幕があがったそのステージには、なんと60歳以上と思われる、どう見ても婦人コーラス部というおばちゃんたちが立っていた。
うわっ、一昨日のショーよりも更に素人度が増している。しかも、今日は閉じられた空間で逃げることもできない。
予想通り、ちょっと裏声みたいなおばちゃんたちの合唱が続いてもう帰りたいなぁと思っていたら、70歳くらいの男性司会者がユカタンの民族衣装に身をまとった同じく70代の女性2人を引き連れて登場。今日はメキシコの様々な地域の歌と踊りを披露するというような話をしているようだ。またもや話が長いが、観客はとてもうれしそうだ。やがて始まったダンスは予想通り、婦人会盆踊りのようで、もう温かい目で見るしかないじゃないかという気持ちに落ち着いてきた。
途中休憩が入って、会場の4分の1くらいは出て行ってしまったのだが、もうこうなったら怖いもの見たさに近い感覚で残る事にした。70代ダンサーの次に出てきたのは、30代サルサダンサーカップルだった。こちらはプロとも言える動きでなかなか見応えがあったのだが、衣装替えして出てきた時、シースルーのお腹がぽっちゃりしている女性ダンサーを見て、「やっぱり今夜は裏切らない」と確信したのだった。
まぁでも、ぽっちゃりしていても動きは非常に機敏で残って見ていて良かったと思わせるダンスだった。
今日のショータイムは何と1時間半にも及んだ。これだけ楽しませてもらって無料なんだから文句は言えない。
それにしてもメキシコというのは、全国でこんな事をやっているのだろうか。つまり、国内旅行をすると各地で婦人会のコーラス発表会みたいなのを無料で見られるようになっているのだろうか。だとしたら、とても面白い。たとえプロフェッショナルじゃなくとも、訪ねた土地の人々と無料で交流できると思えば、案外これはいいプロジェクトだなぁと思うのだ。政府が作った箱モノも生きてくるってものだ。
もっとも日本人の場合、旅行に非常にお金をかけたがるので、国内旅行といえば一流の旅館、ショーも高くてもいいからプロの質の高い歌謡ショーなどが受けるのだろう。でもメキシコみたいに肩の力を抜いた国内旅行の楽しみ方があってもいいだろうにと思った夜だった。
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