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2010.07.27
ソレント観光
ポンペイからソレントへの移動の道はヴェスーヴィオ火山やナポリ湾を楽しみ、アマルフィ海岸の始まりのリアス式な海岸線を楽しむシーニックドライブだった。
しかし、それは助手席に座っている私の感想で、このクネクネと曲がりくねる断崖絶壁の道を走る夫は神経をすり減らしているようだった。しかもソレントの1つ手前の町くらいから街中を走ることになり、違法駐車の車あり、違法駐車しようとする車で道が塞がれることあり、それを待っていると後ろから早く行けとクラクションをならし、じいちゃんはよろよろと自転車に乗って、若者はバイクでS字を描きながら車の間を縫うように走るという具合で、とにかく口から呪いの言葉を吐き出しまくりながらの運転だった。ナポリに来て以来、特にローカルの運転が荒いしマナーが悪い。
ポンペイからたった30kmしか離れていないのに1時間もかかってしまうドライブだった。
予定していたキャンプ場は宿泊費が高めな分、ポンペイのキャンプ場とは打って変わってスタッフは愛想よく礼儀正しく、プールは美しくてレストランもやる気がある。いやー、来てよかった。スタッフがいくつかくれた候補の中からキャンプ地を決めてテントを立て終わったのが11時だった。
ここに来るまでの道中の町には魚屋がたくさんあった。もし、ソレントに魚市場があるならまだ買えるかもしれない!「お昼にフレッシュなシーフード」という思いに取りつかれた私達はとにかく町に出て魚を入手しようと、さっそくキャンプ場を飛びだしたのだった。
ソレントの旧市街は細い路地が碁盤の目ほど整然とではないが縦横数本ずつ直角に交差している。どの道沿いにも土産物屋やレストランがあり、道が交差している場所にはカフェがテーブルを出していたりして、狭いながらもにぎやかで楽しい雰囲気の町だった。
途中で観光案内がデスクを出していたのでその女性に魚市場があるかと聞くと、あるといって地図にぐりぐりとマークして渡してくれた。ところが、その場所に行っても市場どころかそんな空間もない。一体、どういう情報だったのだろうか。
勇んで出てきたのに魚が全く見つからない。困ったなぁ。
そこで路地でおしゃべりを楽しんでいる地元の人らしいちょっと洒落た老人二人に聞いてみた。すると市場はないが小さな魚屋が一軒あると言う。そこに警官が通りかかって二人の老人に挨拶。ちょっとおしゃべりに花が咲いて魚屋の話はひとまず横に置かれてしまった。ひとしきり挨拶の話が済むと、老人は警官に「こちらのご婦人が魚屋の場所を知りたいと仰っている。そういう事を知らせるのは本来は警官の義務だと思うのだが、私が代わりに答えていいものだろうか」なんて言っちゃってる。いかにもイタリアらしいこのユーモラスな会話運びが楽しい。そうしてようやく魚屋の場所を教えてもらえたのだった。なかなか入り組んだ場所にあって、地元の人ではないとたどり着けない場所にあった。
小さな店だが、並んでいる魚介類はどれも活きがよくて新鮮そのものだった。昼用にイカ、夜用にスパーダと呼ばれるカジキマグロの切り身を2つ買う事にした。朝は獲れたての新鮮な物を店頭に並べ、昼の4時から冷蔵庫で販売して店頭には出さないから、午後から来るなら店の中まで入って声をかけてねとご主人が言っていた。
イカ、タコ、数種の魚が出ていた。 |
あたしを撮るんかい?とユーモラスな表情のおばあちゃん |
とりあえず目的は達したので、一度宿に戻ってパスタのレシピ本を見ながらイカのトマト煮パスタを作ってランチとした。うーん、旨い(詳しくは「本日の献立2010年7月27日(昼)」をクリックしてください)。
さて、午後からは海水浴も含めて再びソレント散策にでかけよう。
キャンプ場の海側の端には小さな門がある。そこから一気に階段を下って行くと海に出られるようになっていた。ソレントの町の西端にある岬を回りこんだこの場所は小さな漁村という感じの場所で、漁船が停泊している横にビーチがあって人々がパラソルの下で寛ぎ、気楽なカフェや新鮮な物を出してくれそうなレストランがあった。ここからもヴェスーヴィオ火山がよく見える。
ここから再びキャンプ場への急な階段を上る気がしないので、岬の方にずれてソレントの町に入れないかと探った。すると岬を少しのぼる階段がみつかった。これも上り階段なのだがキャンプ場に帰るよりは楽そうなのでこの階段を上ってみることにした。住宅街のような細い道を抜けると岬の東側、つまりソレント側に出てくる。絶壁沿いの遊歩道から下を見下ろすと防波堤のような物に囲まれた海水浴場がいくつも並んでいるのが見えた。
後でわかったのだが、この1つ1つの区切りが別の会社が経営している海の家になっていて、入場料を支払ってこの囲いの1つを利用することになっているようだ。
遊歩道沿いには白亜の教会やヤシの木があり、南国的なリゾートの雰囲気を高めてくれる。気持ちのいい散策路だった。
今朝訪れた町の中心部までやってきた時、ある建物の壁にコンサート情報のポスターが貼り出されているのを見かけた。今日の催しは若者オーケストラによる無料コンサートで希望者は事前に観光案内所でチケットを配布すると書かれていたので、早速、観光案内所に行ってチケットをもらった。いやいや、充実のソレントライフになりそうだ。中心部から見下ろす海はますます美しく私達を誘っている。さぁ、下に泳ぎに行こう!
タッソ広場から階段で下の港まで降りる。降りた場所はカプリ島行きのフェリーの発着所でチケット売り場もあるので、ついでに料金や発着時間を確認した。
港から左手に歩いて行くとソレントの海水浴場が並ぶ場所になっている。有料ビーチに挟まれてちょびっとした無料ビーチがみつかった。ここはもうアザラシのように人がぎっしりといて大混雑だった。何とか隙間を見つけてこのグループに参入。無料ビーチとはいえ海の美しさに変わりはなく、1時間ほどここで水浴びしてキャンプ場に戻ることにした。
有料ビーチはこんな感じ。デッキが作られて砂まみれにならないでも済むようになっているし、シャワーや軽食レストランもある。1日ここで寛ぐなら料金を払ってもいいかもしれない。 |
料金表。入場料+サンベッドで11ユーロ、入場料+デッキチェアーで8ユーロ、パラソルが5ユーロ、4人用キャビンが18ユーロ。日本の海の家の料金と同じくらいだろうか。 |
「無料ビーチはこちら」という手書き看板からしてもう格が違う。 |
有料ビーチの裏手の路地を通って無料ビーチに行く。 |
午後4時。人は減るどころか増えてきて寝る場所がないくらい。
イタリア人ばかりでなくフランス人、ドイツ人なども多い。 |
海は無料、有料にかかわらず美しく、満足度は変わらない。 |
夕飯は今朝買ったスパーダのソテー。スパーダは南イタリアからシチリアに至るまでレストランでも魚屋でも高級魚として勧められる。鼻が長い剣になっているような魚だからスパーダ(剣)という名前になっていると思われるのだが、これってカジキマグロってやつじゃないだろうか。
味は・・・。皆が勧めるほどおいしいとは思えなかった。味が淡いのだ。本マグロのステーキの方がおいしいと思うなぁ。
夕飯後はお楽しみのコンサートを聞きに再びソレントの町に繰り出した。
場所は中心部にある修道院のような場所の中庭だ。昼間に下見したがなかなか素敵な場所だった。9時半開演ということで8時50分に会場に着くと既に長蛇の列。9時に門が開いて会場になだれ込んだのだが席が確保できなくて立ち見となった。演奏者は10代から20代そこそこという感じの若者なのだが演奏のレベルが高くてびっくりした。これで無料なんてお得な気分だ。
ところでコンサート中のイタリア人の行動もかなり面白かった。例えば席が圧倒的に足りなくて立ち見をしている人がいるのに平気で来もしない知り合い分の席を確保している人がいる。何度も色んな人が「この席、空いていますか?」と聞きにくるのだがその度に首を横に振っていた。しかし、コンサートが始まって30分ほどたち、いよいよ業を煮やしたある奥さんが「あんたねぇ、さっきから誰も来ないじゃない」と本気で怒りをぶつけて、ようやくその席は奥さんに開放された。
目の前ではおばあちゃんにつれられた孫の女の子二人が席を探している。結局席がないのでおばあちゃんは孫に座席の前にある欄干に座るように指示した。人の視界を遮るような場所に孫を座らせるおばあちゃんもおばあちゃんだが、その血筋を受けた孫もすごい。ちょっと小太りな彼女はパンツ丸見えで体育座りをするや、席に座っている年下のメガネをかけたインテリ風の少年に目をつけて話し始めている。少年は「そんな場所に座ったらいけないんだぞ」と言っているようなのだが、少女は「事情が事情だから仕方ないのよ、わかるわよね。」と全体を指差しながら諭すように少年に語っていた。その表情がもう大人顔負けの女優ばりの表現力でコンサートも楽しいのだが、こっちの寸劇もかなり楽しめた。
ソレントに朝到着してから夜のコンサートまで、密度の濃い一日を過ごせてソレント満喫。明日はいよいよカプリ島に行く。
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