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2010.07.01
ローマ観光(3)〜ヴェネツィア広場周辺とカルフール
イタリア:ローマ

 ローマ観光3日目。

 今日もまたキャンプ生活問題の解決のために観光は半日のみで切り上げて、午後からはスーパーマーケットに行くことになった。問題とは、今回初めて購入した簡易冷蔵庫のヒューズだ。これが飛びまくって付属でついていた2つも使いきっている状況なので、予のヒューズを調達しなければならない。

 この簡易冷蔵庫は、カルフールというフランスのスーパーのハウスブランドの製品で27リットルの要領で39ユーロだった。車のライターに接続する電源(12V)があって、付属部品としてヨーロッパのキャンプ場(230V)から電源を取って減圧するアダプターが付いてきていた。ライターに接続する電源部分にヒューズが使われているのだが、これが脆弱で1度は車につないだだけでヒューズが飛んだ。これが初日。次にフィレンツェのキャンプ場の電気容量が3Aだった時に飛んだ。最近のキャンプ場は6Aくらいあるために、私達も1000W(つまり230Vだと4.35A必要)を使おうとしてブレーカーを飛ばしたし、同じ電源を使っている他のキャンパーもブレーカーを飛ばしまくった。同じ電源板で何度もブレーカーが飛ぶようなことになるとヒューズが飛んでしまうらしい。これで予備の最後の1つを今使っている。このか弱いヒューズがいつまで持つのか心配で心配でたまらん。というわけで、ローマにカルフールがあると聞いてとにかくヒューズの調達に行こうってなことになったのだ。

 というわけで、今日の観光は午前中のみ。ヴェネツィア広場周辺のヴィットリオ・エマニュエル2世記念堂、サンタ・マリア・イン・アラチェリ教会、カンピドーリオ広場、市庁舎前の遺跡群を見学。約200m四方にこれだけの見所がある。

 ヴィットリオ・エマニュエル2世記念堂はヴェネツィア広場に面して立つ巨大な白亜の建物で、イタリア初代国王となったヴィットリオ・エマニュエル2世を記念して1885年着工、1911年に完成。

 北北西に向いて立つ記念堂は午前中に行くとまるで逆光になることは行ってから気付いた。ああ、仕方ない。

 ヴェネツィア広場はローマの真ん中に位置して大きな道路が交差する巨大なロータリーになっている。記念堂を正面から撮影するにはロータリーの真ん中の芝生に行かなきゃならないのだが、車がびゅんびゅん通ってなかなか渡りづらかった。こういう時は「轢けるもんなら轢いてみんしゃい!」という態度のヨーロピアンマダムがいると助かる。彼女の後から「すいませんねー」と軟弱な笑顔を浮かべてついて行けばいいからだ。

 記念堂の階段の真下までたどり着くと、その大きさを実感できる。まばゆいばかりに真っ白な階段を上ると、柱の立っている両脇の部分までは行けた。

お出迎えは翼のあるライオンの像

最初の階段をのぼると、第一次世界大戦の無名戦士戦没記念碑となっていて、火がともされて警備員がビシッと立っている。うわー、すごいなぁとこれを見上げて階段脇に座っていたら、警備員に座るなと叱られた。戦士に対して敬意がないと思われたのだろうか。

上の段から見たヴェネツィア広場

騎馬像はヴィットリオ・エマニュエル2世

 内部は御心付けを入れる箱がある博物館になっていて、第一次世界大戦だろうか、関連の写真や文書、勲章や彫刻などが展示されている。
 

 博物館の外からは周囲の風景が見渡せる。なんせこれだけ巨大な建物なので600m離れたコロッセオも肉眼で見えるからすごい。というか見えているコロッセオもかなり巨大な建物だということになる。色んな町で高台や塔から町を見渡すが、ローマのように紀元前から現代に至るまでの建物のごった煮になっている町なんてない。そういう意味でも特殊な場所だ。
 

 記念堂の裏手にまわると更に屋上へとのぼれるパノラマ・エレベーターがある。詳しい料金は忘れちゃったが、手元のガイドブックには7ユーロとあるので、それは下らない金額だったと思う。あまりに高い料金に興味を失って上には上らなかった。

 そのかわり、エレベーターの足元に記念堂建設当時の記念写真パネルの展示があったのでそちらを楽しんだ。記念堂が建てられる様子を建築の面だけでなく、関わったじんぶつの写真も掲載しているので、とてもリアルに感じられて面白かった。




建築家のジュゼッペ・サッコーニ氏。
コンクールで選ばれたのだそうだ。

サヴォイ家のマルゲリータが記念堂を訪問した時の写真。
サヴォイ家のマルゲリータといえば、あのピザの人か?

街中を運ばれる騎馬像のパーツ。まだ馬だったんだなぁと感心。

サッコーニ先生とモックアップの建設者たち。先生偉そうだ。

一番気に入ったのはこの写真。騎馬像のお腹の中で関係者一同の祝賀会風景。図らずも下座の職人棟梁のような人たちが大きく写っているのがいい。右端のおっちゃんなんていい仕事してそうな顔だ。卓上のワインはキャンティかなぁと考えるのも楽しかった。

 お次は記念堂の裏手にあるサンタ・マリア・イン・アラチェリ教会に行った。アラ・チェリとは「神の子の祭壇」という意味だそうで、アウグストゥス帝がこの場所で幼子を腕に抱く聖母を見たという伝説に基づいて、7世紀にはすでにここに建てられていたというからとても歴史ある教会だった。といっても1300年代に建てなおされたので、建物は驚くほど古くはない。入場は無料で内部の美しい装飾やフレスコ画が見られてよかった。

17世紀に建てなおされた当時のゴシック様式のファサード

内部の様子

右側廊の最初にあるブファリーニの礼拝堂にある
ピントゥリッキオ作「聖ベルナルドの生涯」

幼子の礼拝堂は中央に金ぴか衣装の上にライトで照らされてピカピカの幼子がいる。世界中から奇跡を願う人の手紙が祭壇の左右にたくさん見られたのには驚いた。

 教会の裏手から階段を上るとカンピドーリオの丘となり、丘の上にはカンピドーリオ広場がある。広場の階段をあがって正面に立つのが市庁舎で、左右がカピトリーニ美術館になっている。この美術館、ボリュームがありそうなので今日は無理。後日回しとなった。

 ところで、敷地いっぱいに白い敷石で模様をつけた広場、はてどこかで見たような気がする。と過去のスケッチをひもとけば2008年に訪れたミラノ近郊のヴィジェーヴァノでダ・ヴィンチ設計の広場で見ていた。敷石はミケランジェロの死後400年を経た1940年というし、設計の段階で入っていたのかどうか、どちらが先なのか、ちょっと興味が沸く。階段側を狭く、市庁舎側を広くして広がりを演出したり、広場の高さを下げて中央の騎馬像の高さを強調するなどおそらく現在にも使える効果的な演出がいくつも入っていると思われる広場で大変に美しかった。もっとも中央のマルクス・アウレリウス帝の騎馬像はコピーでオリジナルは美術館内ということで、後日のお楽しみとなった。

 市庁舎の左手を回り込むとカンピドーリオの丘からフォロ・ロマーノが見える。夏の日差しに照らされて白く輝くローマの遺跡。

 すごいなぁと思うと同時に、この暑さの中、遺跡を歩きまわるかと思うとネパールのトレッキング前のような気分。期待半分と疲れるだろうなぁという行きたくない気持ち半分というところだ。

 見ている遺跡の一番手前が市庁舎前の遺跡群だろうか。区別している理由がよくわからないし、どの部分を指すのかもよくわからないので市庁舎裏手の展望ポイントから見たフォロ・ロマーノ撮影にて本日の観光は終了だ。

 12時半前にローマを出てキャンプ場に戻り、大急ぎでお昼ご飯、メールチェック、そして午後2時半にカルフールに向かった。カルフールはローマ大環状線の北北東あたりにあるBuffalottaという道沿いにあり、「大変に行きづらい、おれも弟と行こうとして2回も道を間違えたんだ」というキャンプ場フロント係の兄さんの経験に基づく詳細な説明により、なんとかたどり着いた。大環状線から随分と中に入り込んだ住宅街にあるショッピングモールは、今では環状線沿いのもっと大きなモールに客を取られているのかちょっと元気のない場所だった。

 カルフール製の簡易冷蔵庫は販売されているが、ヒューズだけは販売していない。家電売り場にもキャンプ用品売り場にもない。そこで電気売り場の質問コーナーの女性に問い合わせると、イタリア語で「ああ、そういうのはないない、売っていませんね、はい、これにて終了」という感じの回答だった。まぁそう言うだろうとは思っていたので、製品をカルフールで買った事、その時に1年間保証するということでレシートをまだ持っていると告げたら、「ギャランティー」という言葉にビビビッと反応して、もっと偉い人を引っ張ってきてくれた。偉い人は家電マネージャーなのかフロアマネージャーなのか、とても感じのいい英語も卒なく話せるインド人だった。さすが国際企業だ。

 このマネージャーとその下の白人イタリア人の係長っぽい男性3人が私の話を聞くと、係長クラスはカルフールでは販売していないが、ローマの地下鉄で行ける市街地の大型電気店にあるかもしれないので、その場所を教えてくれようという話になった。お、さっきよりも進展した。まぁ、そこで手を打つかと思ってマネージャーのインド人がメモに住所を書くのを待ちながら、「まぁ、電気店に買いに行く事は行きますが、まだ使用して1ヵ月ちょっとというのに次々に部品が壊れて、しかもパーツの代替製品の販売がないというのはおかしい、是非ヒューズを販売してくれるようと上層部に報告してほしい」と言うと、住所を書き終わったマネージャーは「確かに、代替品の販売がないのはおかしいし、あなたのような外国人客の夏のバカンスの時間を使って郊外まで買いに行かせるのもおかしいですね」とか言い始めて、結局、この店で販売している製品からヒューズをもぎとって「ロジスティックにはヒューズがついていない不良品だと報告して戻すので、このヒューズを差し上げますよ」と言ってくれたのだった。

 これには大感激した。何かと杓子定規なヨーロッパのサービスだが、こんな風に柔軟に対応してくれる場合もあるの本当に驚いたのだった。

 こうして無事にヒューズを入手してウキウキした気分でキャンプ場に戻ったのだった。これから更に1ヵ月後、今度は暑過ぎてヒューズを囲むプラスティック部分が溶けてしまい結局、単なるクーラーボックスになってしまう日が来ようとは、この時は考えもしなかったのだった。


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