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2011.04.10
今日も4ヶ所で音楽三昧
昨日の夜に遅く帰ってきたこともあり、午前中はゆっくりと宿で過して昼から出動だ。ランチにめざしたのは人民ペソで食事ができるレストラン。セスペデス公園から1ブロック北上したJose A Saco通り沿いにある。たっぷり食べて二人で500円くらいで、サービスもよくて味も量も質もいい。しかも今日行ったら、昼から歌手の歌付きというサービスだった。人民ペソレストラン、万歳だ。
ランチの後、昨夜も訪れたカサ・デ・ラ・トローバを通りかかると1階でまたもや無料の演奏会が開かれている。ホールの中に入ると若いキューバ人カップルが席を譲ってどうぞどうぞと椅子を勧めてくれた。少し年配の人たちが、ルンバだろうかこなれた歌い方でいい感じの演奏をしてくれている。左手では50代のヨーロピアンカップルが凄い勢いでダンスをしていた。席を勧めてくれた女性が隣に座って話しかけてきて、少しずつ話をしているうちに「じゃぁ、折角だから踊ってみない?」ってことになっていった。私は彼氏、夫は彼女に稽古をつけてもらって2、3曲踊ったら、もう汗が噴き出してくる。私が踊った彼は、まるで脂肪というものが感じられない筋肉質でよく踊っているなぁという感じだが、先生ではないのでこちらがどうしていいかはよくわからない。もっと踊り方を知っている人なら彼とのダンスも楽しめたんだろうな。
そうこうするうちに、バンド演奏中にバンドマンの一人が自分たちのCDを持って私達のもとに一直線にやってきた。CDは一枚CUC10(US$10.8)だそうで、踊っていい気になった私たちはついついCDも購入。これを見て踊りの相手をしてくれた女性が「私、もっとカリエンテに(熱く)なりたいの、モヒート(ラム酒のミントと砂糖割)をご馳走してくださらないかしら」としきりに夫に話しかけている。まぁ、これだけ踊ってくれたのだからビールくらいはご馳走しましょうと、彼女と彼にビールを一杯ずつおごってあげる。あれー?あっという間にお財布からどんどんお金が飛んでいる。いやー、キューバ音楽のマジックパワーということだろうか。
昨晩、大勢の人が繰り出していたガルソン通りに行ってみるとあちこちで豚の丸焼きがまわっている。週末は豚の丸焼きで楽しむのがサンティアゴの人びとの習慣なのか?
そう言えば、今朝、部屋でサイト作成作業をしていたらあちこちから豚の「キョイェェェェェェー」という鳴き声が響いていて何事かと思っていたのだった。つまり、うちの宿の近所で豚をしめていたようなのだった。
豚はまだ食べている人がいなかったので、遅い昼ご飯のお楽しみらしい。それまでの時間は屋外の大きなアイスクリームパーラーで家族揃ってアイスクリームを食べている。
1スクープあたり5円くらいで、2スクープ入りのパフェの入れ物のを注文してみたら、ズルズルに溶けた飲み物のようなものがきた。もっと溶けてなけりゃおいしいだろうに。ちょっと残念だ。周囲の家族を見ると、みんな5スクープなどの山盛りアイスを旺盛に食べている。キューバってとても豊かな家族の光景が至る所で見られるという印象があるが、ここでもそうだった。
さて夕方になったら、ドロレス広場で昨日と同じ人たちによるパフォーマンスが午後5時から始まっていた。出し物の内容はほぼ昨日と同じだったが、違う角度から見たので別ものを見るような新鮮さがあって楽しかった。今日もテーブル席で座ってみているのは地元民。昨日見た顔がかなり多い。
昨日と同じ人たちによるパフォーマンス。若いけど歌手が上手い。 |
このお姉さんの腰振りが素晴らしかった! |
太鼓とダンスのセッションも素晴らしかった。 |
昨日知り合ったユータ君と待ち合わせ |
実は、昨日偶然に出会ったユータ君を食事に誘っていて、ここで待ち合わせしていた。ユータ君と知り合いのアヤさんが時間通りやってきてくれたのだが、彼らの太鼓の先生やダンスの先生も来て今後の打ち合わせをしたいというので、待つことになった。私たちは最初、打ち合わせの輪の外で待っていたのだが、そうすると色んな人が話しかけてきてややこしいので、ユータ君が気をきかせて、関係ないけど輪の中に入れてくれた。色んな人が話しかけてきた理由の一つに、退屈しのぎに買ったハーフボトルのハバナクラブ(ラム酒)のアネッホ(1年物、黄金色)を飲んでいたからという理由がある。これをチビチビと飲んでいると、色んな人が寄って来て話しかけて、結局「一口チョーダイ」ということになるのだ。結局、輪の中に入っても、ユータ君の太鼓の先生連中が「ちょっと、くれないかなぁ」と言ってくるので同じ事となったのだが、ここでもユータ君が気をきかせて自分で先生たち用に1本買い与えたので先生たちからの「チョーダイ」リクエストはおさまった。今日は昼からキューバ人の「ちょっとチョーダイ」文化によく触れる。こういう世界で半年近くも暮らしているユータ君は絶妙なバランス感覚を培っているようで、太鼓のみならず色々学んでいるようだった。
ドロレス公園に面した人民ペソのシーフードレストランで食事していたらあっという間に午後8時をまわっている。今日は午後8時からドロレス公園のすぐ東側の広場でアフリカ系音楽のパフォーマンスがあるとユータ君から聞いていたので、夕食後にすぐに広場に向かったのだった。
ここでの演奏は昔から伝わるルンバの演奏だそうだ。ルンバというといわゆる社交ダンスの1部門に入っているルンバを思いだすが、キューバンルンバはそれとは全く違ってもっと土着な感じだった。曲は力強いパーカッションの複雑なリズムに乗せて人間が歌うのだがメロディアスな節ではなく、もっと宗教的で繰り返しの多い読経のような感じ。これに合わせた踊りもダンスという形式というよりは、農作業や狩猟などのあるシーンを模した踊りに思われた。とはいえ、キューバンルンバはアフリカ伝来の音楽舞踊ではなく、ハバナの下町で黒人労働者が余暇に歌って踊ったパーティーに起源を持つキューバ独自の音楽なのだそうだ。
ここのパフォーマンスにはユータ君が教わっている太鼓レッスン仲間のドイツ人2人もきていた。一人のドイツ人青年はなんと16歳で、今回はそのお母さんも来ていてちょっとサルサレッスンを受けているんだそうだ。キューバの東の果てでこんな外国人コミュニティーができるくらいキューバの音楽は魅力的なのだった。
午後10時をまわったので、お次はカサ・デ・ラ・トローバに向かう。今日はメンバーの平均年齢65歳以上か?という高年齢バンドで、その力の抜け感がいいとユータ君お勧めのバンドだった。
先日ユータ君たちは、一人CUC5の入場料を3人でCUC10にしてもらったそうで、今日も交渉してみたのだが、上司の男性マネージャーが貼りつきで監視していてなかなかやりにくそうだ。結局、4人でCUC15にしてくれて話がまとまった。粘っているとだんだんと親近感がわいてきて値段が下がるというのもキューバらしくて面白い。
ユータ君の言う通り高年齢メンバーのバンドだが、ピンと張った太鼓の甲高い音のように張りのある高い声は、全く見た目の年齢を感じさせない。昨日にもまして会場は大混雑していて席がないので最初はベランダで立ち見しなくちゃならないほどだった。音楽がいいとすぐに上手い踊り手が出てきてスルスルとダンスし始め、ますます素敵なステージになる。先進国からいらっしゃった踊れない面々の羨望の視線を浴びながら思いっきりダンスを楽しめるのは、キューバ人として最高の瞬間であるに違いない。中には70に手が届こうかというカップルも来ていて枯れた足さばきで観客内をするすると動き回り拍手喝さいを浴びていた。いいなぁ、あんな年齢になっても踊れるなんて。この夜、会場にいた女性で「キューバ人女性に生れてきたかった」とちらとでも思わなかった人がいるだろうか。ほぼ全員の頭をこの考えがよぎったと確信するね、私は。
気がつけば25時。今日も昼から、サルサ→サンテリア→ルンバ→ソンと4ヶ所で色濃い音楽を楽しむことができた。いやー、最高。
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