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2011.04.07
初上陸のキューバは初日から色んな事がキューバだった。
キューバ:ハバナ

 ここ数年、カンクンに来る度に多くの旅人からキューバ旅行の話を聞いてきた。2005年に初めてキューバの話を聞いた時には、とうてい魅力を感じなかった。というのも旅人の話の内容は、豊かな資本主義社会の人間が物資のなさを体験しに行くという点に集中していて「ネタはできるが体験としては苦しい」というのが本音だったからだ。

 ところがここ数年は話がぐんぐんと変わってきている。そして昨年2010年の旅人たちは純粋にキューバ旅行が楽しかったという印象になってきたので、いよいよ私達も行ってみようかということになったのだった。


メキシコ出国税を払ってボーディングチケットに貼ってもらった
シール。どうにも解せない。
 カンクンのハバナ航空オフィスで一ヶ月後のハバナ行き往復チケットを一人US$275程度で購入し、4月7日の今日、キューバに向けて飛び立った。カンクン空港のキューバ航空のカウンターに行くと、今までメキシコ出国の時に支払った事がない「メキシコ出国税」なるものを一人262ペソ(約1800円)支払わされる。メキシコに陸路で入る人はメキシコ出国時に入国税(同じく262ペソ)を支払うという話は聞いたことがあるが、空路で入っている私達には関係ないはず。そう言ってカウンターで食い下がると、「メキシコに24時間以上滞在した場合は出国税が必要なのです」とペラペラと説明された。ふーむ。そう来たか。ここで1800円支払ったせいか、海外保険証明書の提示は求められなかった。場合によってはこの証明書がないとキューバ滞在日数×US$3ないしUS$5を支払って保険を買わされるという話を聞いていた。どちらかというと出国税の方が安いからまぁ、いいか。それにしても納得がいかないなぁ。支払ってもまだ疑わしい視線を投げた私に係員は「ここに領収書代わりのシールを貼っておきました」とか言ってボーディングチケットにシールを貼った。

 更にチェックインカウンターの向かいでツーリストカード(キューバ滞在ビザ)を購入しなくてはならなかった。一人240ペソ(約1680円)。因みにキューバを出国する時には出国税CUC25(US$27)を支払うことになっていて、キューバを出入りするには航空チケット以外に6000円くらいが必要だということになる。どうにももう、ここからキューバが始まっている。いくら旅人から聞いた話がまともになってきたからといっても、気は抜けないなぁという印象がメキシコにいる時から漂ってくるのだった。

 とにかくも搭乗までこぎつけて機内に乗り込む。出発前に突然機内の足元から「シュー」っと白煙が出てきて外国人は「テロか?」度肝を抜かれるのだが、これは機内冷房装置が働いただけなようで隣の席のキューバ人に「ノー・プロブレムだから」と説明されて落ち着いた。

 キューバのハバナまではたったの2時間半のフライト。短い時間だけれど飲み物のサービスがあるのはさすが観光立国、ホスピタリティーの国だ。と感心したもののサービスが遅い。一人ひとりとゆっくりとおしゃべりしながら接客しているから、なかなか進まないようなのだ。ってなわけで、最後尾から5列くらいの人は時間切れで飲み物サービスなし。そんな事ってあるんだろうか、いや、目の前で起こっているからあるんだよね。飲み物サービスを切り上げて次は免税品のサービスをする頃には飛行機は着陸態勢で完全に降下が始まっていた。全ての仕事を終えてフライトアテンダントが着席したのは滑走路まであと数メートルという地点で座った途端に着陸というタイミング。あのー、従業員の安全基準とかって大丈夫なんでしょうか?はい、大丈夫なようです。

 空港に到着してまず行うべきことは、持参してきたユーロをキューバ・ペソに換金すること。これは外国人の誰もが行っているのでスムーズに終了。

 お次は空港内にあるバス会社のブースで翌日のサンティアゴ・デ・クーバ行きのチケットを買いたかったのだがViazulというバス会社の窓口に人がいない。観光案内のおばちゃんに聞くと「ああ、ヴィアスールのバスチケットはここから2km離れた第一ターミナルじゃないと買えないのよねぇ」と言う。いや、嘘だ、そんな話は聞いていない。別の女性は2階の旅行代理店で扱っているという。2階にあがっても旅行代理店はなく、2階の観光案内の女性に聞くと1階のヴィアスールのブースに行けと言う。いやいやいや、それじゃグルグル回ってるだけじゃないですか。あそこに人がいないからこーゆー事になってるんですけど。と説明すると2階の観光案内の女性が一緒に1階のヴィアスールのブースに行ってくれて誰もいない事を確認してから、近所の店やカフェをのぞいてヴィアスール担当者を探し出してくれたのだった。そう、ヴィアスールのブースは休業だったわけじゃない。ただ、あんまり暇だから担当者がおしゃべりしに出かけていただけだったのだ。これもまた、キューバな感じだねぇ。

 無事にサンティアゴ・デ・クーバ行きのチケットも購入。ついでにこのブースに遊びにきていた運転手らしきシャツとネクタイ姿の男性が市内までCUC25(US$27)で町まで連れて行ってあげようと申し出てきた。バス会社のお姉さんも「この人は信用できるわよ。中には信用できない人もいるから、この人なら大丈夫」と勧めてくる。信じるべきか、信じざるべきか。とりあえず、さっきCUC20で申し出てきた運転手がいたというとあっさりその値段までさがったので、こちらの運転手に連れて行ってもらうことにした。案内された車はタクシーというよりは旅行者の送迎に使うような大型車で、いずれにせよ正規タクシーではなく白タクだった。昨年、ドミニカ共和国でもさんざん白タクの世話になって危ない事もなかったので乗りこむ。今回の白タクも大丈夫だった。

 めざして行ったのはカピトリオという昔の国会議事堂の北側にある民宿「カサ・カピトリオ」。キューバでは政府公認の民宿が数多くあってホテルに比べると安いので利用する旅行者が多いのだ。中でもこのカサ・カピトリオは韓国人と日本人の利用が多く、情報ノートもあるというので訪ねてみることにしたのだった。

 カサ・カピトリオのホアキナさんの家ってここだろうなぁと下から2階を見上げていたら、左手から「いやー、遠い所からようこそ、宿を探しにきたんだよね」とスキンヘッドで刺青のよれっとした男が近づいてきた。男は「ホアキナさん所は満室だから別の場所を案内するよ」と私達の手をとろうとする。

 いや、あんた誰?

 「とにかくホアキナさんの家に入って確認しなくちゃ。」私達がそういうと男はホアキナさんの家の呼び鈴を押して、2階のベランダから投げてもらった家のカギを使って建物の中に一緒に入ることになった。ホアキナさんの家にいる男は確かに今日は満室だという。この怪しそうな男とも一応握手しているし顔見知りは顔見知りらしい。ホアキナさんの家は古い作りでドミトリーは窓のない薄暗い部屋になっていた。ふーん、こういうのがカサ(民宿)なのかぁ。

 結局、この怪しい男の紹介で2軒家を見てまわってアパートの8階にあるこじんまりとしているけれど、ホアキナさんの家と比べたら段違いに明るくてきれいな家に滞在できることが決まった。一泊一部屋CUC25(US$27)だった。怪しい男は「ということで、奥さん、案内した私にちょっとお金ちょーだい」と私に言うのでCUC1を渡すと「なんだったら、今日一緒にお食事でもどうでしょうか?」と言ってくる。いやもう、いいから、お引き取りくださいとお帰り願った。あらためて、民宿のソイカさん(奥さん)に、あの男は一体何者なんですか?と尋ねると、ソイカさんも「さぁ?」と首をひねった。カサ・パルティクラルは政府公認の青い錨マークの看板を出しているから、ああいうゴロツキでも客引ができてしまうようだ。ソイカさんもかなり気味悪がっていた。

 ということで、メキシコを出て無事に宿までたどり着くことができたのだが、キューバはやっぱりメキシコとは全然違う。普通の空気の中にすーっと怪しい線がレイヤーのように入りこんでいるのが見え隠れする。うーん、ドキドキするなぁ。さぁ、どーなるキューバ。楽しみになってきた。


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