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2010.05.08
アランのお陰です!ラス・ガレラスを一気に巡る
昨日、宿のオーナーのロナルドが描いてくれた周辺の手描き地図を見ながら、今日はプラヤ・マダメに歩いて行って帰ってくるのが関の山だという計画だった。ところが、朝ロナルドが部屋まで来て「友人が車でこの辺りをドライブする。プラヤ・フロントンにも行くので、そこで拾ってもらったらどうだろうか?」という提案をしてきてくれた。
どうやら昨日から隣の部屋に宿泊している白人男性らしい。それはいい話じゃないか。とロナルドに「是非、お願いしたい」と1時間後くらいに言ったら、友人は既に出発してしまったが予定は変わらないと思うし、同乗者が増えても彼なら大丈夫だからと言ってくれた。アランというその友人が予定を変更しないことを祈りながら、私たちはプラヤ・マダメはあきらめてプラヤ・フロントンに向かうことにした。ロナルドの手描き地図によれば片道7kmくらいかなぁ。これでアランに会えなかったら再び7km歩いて戻るだけだ。
お昼ご飯用にサンドイッチ、ペットボトルにたっぷりの水を詰め込んで覚悟を決めて出発したのは朝9時15分だった。途中はかなりのラフロードで石がごろごろしている場所や傾斜度50度の坂道があるというロナルドの忠告を受けて、足元はしっかりしたシューズを履いた。
宿を出て15分の地点で左に行くとプラヤ・マダメ、右に行くとプラヤ・フロントンという分岐点に到着。ロナルドの地図では宿から1kmの地点となっている。おお、正しい。きっとロナルドは自分の足で歩いた結果でこの地図を作っているのだろう。素晴らしく正しいこの地図への信頼が歩いて行くうちに段々と高まっていくのだった。何しろ、私たちの手元にはこの地図しか頼るものがないのだから、これは喜ばしい事実だった。
分岐点から1kmくらい歩いて道は再び分岐するので左、少し歩くと農家の作業小屋のある場所を右と地図通りに順調に歩いていけた。途中はパイナップル畑やサトウキビ畑の間を通ったり、目にもまぶしい青々した草原の横を通ったり、まるでジャングルというわけではないがのどかな田舎の未舗装の道を通る道だった。地図で700m、100m、50mとある場所が登り、下り、登りのアップダウンが続く場所で、その先にROCKSと描かれた道への入り口が難しかった。
左手には立ちふさぐように岩山が連なっている場所で、分岐点の100mくらい手前に作業小屋があって、そこの少年に聞いてもよくわからず、もう一度少年の所まで戻って聞くと面倒くさそうに分岐点まで案内してくれたが、言われてもまだそこが正しい道なのか確信が持てないようなけもの道。何の標識もないのだが細い道が少し林に入ってから右奥の山へと登って行くのが見えた。
畑の間の道 |
目にもまぶしい草原の風景 |
登り、下りは割合緩やか |
一番わかりにくい分岐点。右手の林の中に登って行く道が正解 |
えいやとこの道に入るとロナルドの指示通り急な登りに岩がゴロゴロと転がっている道だった。10分くらいも登ると一旦開けた場所に出て、そこから登ったり下ったりが続く。感覚としては分岐点から見上げていた岩山を登って超えてから、岩山の反対側を自分が来た方向に戻っているような感じだった。驚く事にこんな場所にも鉄条網がはり巡らされてちゃんと畑があって人が作業しているのだった。しかし、一向に海が見えてこない。そもそもアランに会えるかどうかもわからない状況で夫はあまり乗り気ではなかったので、後ろから「本当にこれで正しい道なの?」「海に到着しなかったらどーするの?」と文句ばっかり言ってうるさい。
けもの道に入って30分後にやっと1つの看板がみつかった。まっすぐ進むとFARO、右へ行くとFronton。やっとフロントンへの道をちゃんと歩いて行る事がわかった。因みにFAROはフロントンを崖の上から見下ろせる展望台のある場所だとわかったのは、フロントンから崖の上を見上げてからだった。その時にはもうあの崖を登る気力がなくて行けなかったが、本当ならFAROまで行ってフロントンの素晴らしさを見下ろしてからフロントンに降りるべきだった。
この看板でホッとした私たちは迷わずにフロントンへの矢印に従って右への道をとった。4分くらい歩くと待望の海が遠くに見えてきて15分くらい先からガクッと山道を下るようになった。とても急な坂で場所によってはロナルドの言うように50度くらいの傾斜かと思われる所もあった。そんな急な崖を下っている途中で下から登ってくる人がいる。夫が後ろから「お、あれはアランの彼女じゃないか!」と叫び、やがてアランもひょっこりと姿を現した。やった!会えた!
その場で事情を話して、車への同乗をお願いするとアランは、車はこの先1時間くらい歩いた場所に停めてあって、それでよければと気持ちよく引き受けてくれた。この崖を上って歩いて帰るなら1時間くらい歩くのは何ともない。是非、お願いしますという事になった。アランは崖を上ってFAROまで行ってみたいらしかったので、私たちはフロントンで彼らを待つ事になった。
結局プラヤ・フロントンまでは1時間45分かかったので7kmというのはだいたい正しい距離じゃないかと思われた。岸壁の直下、岩壁が湾曲した部分に砂がたまってできた遠浅のビーチで車で近付く事はできない。ガイドブックにあったようにロビンソンクルーソーの到着した場所というイメージがぴったりだった。遠浅の海は少し入っただけで魚が足元まで寄ってきた。私達が到着した日の時間帯では水が浅すぎてスノーケリングするとお腹をすってしまいそうだったが、こんなに岸辺で透明度が高くて魚がたくさんいる場所はドミニカ共和国では初めてだった。
左手は50mも行くと岸壁が立ちはだかってそれ以上は進めないようになっている。砂浜からゴツゴツした大きな岩があって足元が砂利に変わってくる辺りはますます透明度が高くて美しい水の色をしていた。右手はややベージュの砂浜が続いてビーチらしい。ここにはレストランも1軒あってちゃんと人がいて待機していた。裏手の木に馬がつながれていて彼らの通勤手段は馬であるらしいことがわかる。岸壁の下にはヤシの木が密集していて、これもまたロビンソンクルーソー的世界を演出していた。もっと右に行くと足元に平たい岩がある場所になり、その先がまた大きな岩でブロックしてそれ以上は行けないようになっている。フロントンはほんの300mくらいの隠れ家的なビーチなのだった。ボートか苦労して徒歩か馬でしか来られないこの場所がプラヤ・リンコンを追って今ラス・ガレラスでは一番ホットな場所になりつつあるそうだ。
やがてアランが彼女と戻ってきた。アランはベルギー人だがプエルト・プラタで旅行代理店を営んでおり、ここプラヤ・フロントンでキャンプするツアーも催行しているのだそうだ。今日もここで一泊しようとしたのだが、ローシーズンのこの近辺は夕方から貧しい人々による盗難事件も発生していて勧められないとロナルドに言われて諦めたらしい。私達もロナルドから午後3時にはここを引き上げるよう忠告を受けていた。
私たちは持参したサンドイッチをぱくつき、アランたちはしばし休憩した後、ここから1時間離れた車まで行く事になった。海岸沿いは大きな岩に遮られて行けないのだが、実は少し裏手に先に進む道があるのだった。大きな岩の向こうには再びビーチが広がっていて、ヤシの木からは垣間見える海は狂おしい美しさだった。ここで一泊キャンプして隅々までこのビーチを探索できたら本当に楽しいだろう。アランはいい所に目を付けているなぁ。
やがて、やしの実が山のように積んである場所を通った。この国ではヤシの実は落ちるに任せて誰も何にも使おうとしないとアランがなげく。ヤシの実からは繊維を使って様々な産業ができるのに惜しいなぁと事業家らしい感想をもらしている。キャンプしようと思っていた彼らはナイフを持っていたので、良さそうなヤシの実を選んで割ってくれた。新鮮なヤシの実ジュースはタイの屋台で放置されて大分時間が経ったものとは味が違う。初めておいしいと思った。
ここからも林の向こうに美しい海を見ながらしばらく歩いたが、だんだんと内陸に入ってジャングルの中の道になってきた。といってもおそらくフロントンでレストランを開いている人などが馬で通勤しているのだろう、歩きにくい道ではなくちゃんと踏みならされた道だ。再び海に出た時はすっかり浜辺はなくなって、切り立つ崖の下に荒い波がぶつかる場所になっていた。
この崖が少し切り込んだ場所があるのだが、その場所の海の色がとても美しかった。ここはアランもお気に入りの場所だそうだ。そういえばFARO岬に行こうとしたのもフロントンの美しい海の色を彼女に見せたかったからだそうで、「美しい海の色好き」として話が合いそうだった。因みに彼女があの崖登りでへたばってFARO岬にはたどり着けずに戻ってきていたが。
ここから更に5分くらい歩いた場所が車が駐車できる場所のあるボカ・ディアブロ(悪魔の口)という場所だった。ここも岩が海に突き出した場所で岩の上を歩くようになるのだが、一ヵ所海から内陸に向けてトンネルが通っていてある場所で地上に穴が抜けている場所がある。そこが悪魔の口と言われている場所で、海から圧縮された空気が波の動きによって穴からバフッと吐き出されるのだった。結構な風圧で、悪魔と命名されるのもわかる気がする。
ということで駐車場に到着。ここからは快適に宿に戻れる!
そう思っていたら、アランが「プラヤ・リンコンで泳いで帰ろうと思うんだけど一緒に来る?」と嬉しいお誘いをしてくる。願ってもない事です。明日ボートで行こうと思っていたので、車で連れて行ってもらえるならそれに越したことはない。ボカ・ディアブロからプラヤ・フロントンへは内陸の未舗装の道を行く。かなりの悪路だがプラヤ・フロントンエリアには外国人を対象としたホテルがいくつかあってバギーカーを借りて楽しむ白人観光客の姿が見られた。1時間のドライブの後、プラヤ・リンコンの北端に到着した。
プラヤ・リンコンは南北に3kmほど続くビーチで、ラス・ガレラスからボートを頼むと外国人が集まる南端に到着する。ロナルドからは南端に到着しても頑張って北へ3km歩けば地元民が集まる安い食堂があると聞いていた。アランはさすがにその辺りに詳しくて、北端にあらかじめ来てそこで昼食を取る予定にしていたらしい。しかし、魚一匹のグリルとご飯とバナナフライがついて350ペソ(US$9.46)はあまり安くはない。私たちは既に持参のサンドイッチで昼食を済ませていたので、アランたちがお昼ご飯を食べている間にこの辺りで寛ぐことにした。
レストランが割高で来るに値しなくても、北端に来る理由はまだある。陸からとても美しい真水の川が海に流れ込んでいる場所でもあり、川で泳ぐ事ができるのだ。北端のビーチは海藻が多く波も荒いので海水浴にはあまり適していないと思われたが、この川は魅力的だった。地元民が大勢遊びに来ていて、みんなこの川で泳いでいた。ボートで1kmほど上流に行くサービスもあって、利用しなかったがそれも面白そうだった。
やがて川上から地元民の男性たちが大騒ぎしながらやって来た。何事かと思って群衆に近づくと一人の男性がとても太いウナギを素手で捕まえたようなのだった。昨日「海王」さんからこの近辺にウナギが産卵して稚魚がいるという話を聞いたばかりなので、ウナギが捕まるというのもうなずける。それにしても群衆の集まり具合からウナギはかなり珍しい生き物なのかと思っていたら、男性は即座にレストランに持ち込んでさばいて食べるつもりなようだ。まず頭をスパッと落として砂をまぶしてヌメリをとってから皮を首側から尻尾に向けてバリバリっと一気に剥いてしまった。これを炭火焼するつもりだろうが、小骨があるだろうし身がブリブリしすぎてあまりおいしくないだろう。だからこの国ではあまりウナギが食べられないんだろうな。
黄金色のウナギだった |
遠巻きに見守るローカルの姿が面白い |
ヌルヌルして皮が剥けない。するとレストランの主人がこうするんだと地面にこすりつけて砂にまぶしてヌメリを取った。 |
因みにプラヤ・リンコンの北端のビーチはこんな感じ。
まぁ、泳ぐ人もいるが川の方が人気。 |
さて、アランたちの食事も終了し車で南側に移動することになった。
こちらは北端に比べると海藻もなく右手に岬が突き出しているので波もあまりない。よって砂の巻き上げもなくて水がとても澄んでいる泳ぎやすいビーチだった。
ビーチベッドが並び白人客が訪れてちょっとリッチな感じが漂っていて、レストランも数軒あった。これがいわゆる皆が訪れるプラヤ・リンコンだ。
ここで海水浴したり日光浴したりして1時間、午後4時に引き上げることにした。
今日は偶然にもアランのお陰で予定していなかったボカ・ディアブロやプラヤ・リンコンまで行けてしまった。場所によってガラっと雰囲気が変わるビーチがいくつもあるラス・ガレラスは非常に魅力的で来て良かったと思わせてくれる場所だった。ただし交通機関が高いのがねぇ、難点だ。
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