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2010.04.14
ATMにカードが飲み込まれた!
カリブ海の島、ドミニカ共和国にやってきた。
ムッと湿度の高い空気が身を包み、乾燥したメキシコとは違う国にやってきた事を感じる。
入国審査の手前でドミニカ共和国のラム酒が振る舞われ、最初っからリゾートムードを高めてくれる。
メキシコのカンクンからだと、AA(アメリカン航空)でマイアミ経由となる。最近は、アメリカ入国に際しては抜き打ち内容検査のために預け入れスーツケースのカギを開けっ放しにして預けなければならないので、誤ってカギをして壊された話、盗難にあった話などを聞いてとても不安だったが、何事もなく荷物が受け取れてひとまず安心。
楽団が奏でるドミニカ共和国発祥の音楽「バジャータ」を聞きながら、意気揚々とドミニカ共和国入りしたのだった。
宿に空港からの送迎サービスを手配していたのだが、名前を書いて立っているはずの人がいない。あらら、遅れているのだろうか。
10分程待ったがこないので、とりあえず現地通貨でも出しておこうとATM機にクレジットカードを突っ込んだ。ATM機にはクレジットカードをそのまま一旦飲み込んで手続きが終了してから吐き出されるタイプと、カードを差し込んでデータを読み込ませてカードを抜いてしまってから手続きするものとある。新しい国、新しいATMと対峙する時はどういうタイプなのかよくわからなくてドキドキするものなのだが、この時、あのラム酒がきいてしいまっていたのだろうか、一度差し込んで飲み込まれるタイプと思いこんでしまった。
カードが出ているので、もう一度差し込んだら機械に飲み込まれていったので、手続きをしようとしたら初期画面に戻ってしまった。「カードをお入れください」と。
えええ?だって今飲み込んじゃったじゃないの。
実は他の人からこういう事態について話は聞いたことがあるものの、自分たちのカードが飲み込まれたのは初めてだった。観光案内デスクがあったので、こういう助けを求めたのだが「それは私どもにはどうする事もできませんねぇ」と言われてしまった。ATMには「お困りの際にはここへお電話を」と書かれているがお金が一銭もなくて電話がかけられない。観光デスクの人が電話用のお金をくれようとした時、お願いしていた送迎タクシーの運転手が現れた。
彼は私達が滞在することになる村が経営しているタクシー会社の運転手さんで、あとで返すことにして彼に携帯電話用のプリペイドカードを買ってもらって、彼の携帯電話からATMに記載の電話番号に電話した。
ところが、この電話はプエルト・プラタではなくこの銀行の本店の顧客サービスにかかっているようで、係員の話では「もう、そうなったらクレジットカードをキャンセルしてもらうより他、仕方ありませんね」というばかりだった。いやいやいや。先日、他の旅人からボリビアで同じような目にあって、銀行の所轄支店で数日後に引き取りに行って戻ってきたという話を聞いたばかりだったのに、ボリビアよりもひどいはずがない。そう食い下がると、「それならプエルト・プラタ支店に行って直接聞いてみてください。これ以上はここでは答えかねる」ということで話が終わってしまった。
プエルト・プラタ支店は午後3時で営業が終わっているので、今から行っても無理かもしれないと運転手が言うけれど、窓口が閉まっても人は中で働いているはずだから、緊急と言えば話を聞いてもらえるかもしれないと運転手さんにプエルト・プラタの銀行支店まで行ってもらうことになった。
支店は案の定閉店されていて、警備に立っている拳銃を持った兄さんは全く相手にしてくれない。結局、明日もう一度来るしかないのかと思った時、運転手さんがこの銀行のもう一つの窓口が大型スーパーの中にある事を思い出してくれた。
Sirenaという大変に立派なスーパーの中にある銀行の窓口は英語が話せる女性がいて助かった。彼女から閉まっているプエルト・プラタ本支店に電話してもらうと、毎週火曜日がそうしたカード回収日なので今から5日後の火曜日の午後に支店に来てくれれば返却できるということになった。
他にもカードがあるので当面は困らないが、プエルト・プラタに3日くらい滞在いしてドミニカ共和国内を周遊旅行しようと考えていた計画が崩れる。困ったなぁ。とにかく、これ以上話が進展しそうもないので、この日は宿に戻ってとりあえずチェックインすることになった。
暗雲立ち込めるプエルト・プラタの中央広場は
私達の心中の様だった。 |
兄ちゃん、はよぉーしてんか、わし、待っとるんやでー! |
まともそうなお姉さまたち。 |
結局、この翌日、プエルト・プラタ本支店を訪ねて再度若い男性に聞くと内線で担当者に連絡しているらしくカードの会社名とカード名義人名を聞かれた。また届いていない事を確認の後、何やら談笑タイム。この間にも窓口に別の客が来てそちらの対応もしっている。かーーーー、一体いつになったら結論がでるんだ!こうして待つ事7-8分、来週月曜日の午後に来てくれという。お、縮まった。昨日は火曜日の午後だと言われたと言うと「いいや月曜日の午後だ」と自信たっぷりに答えた。
どーにも信用できない。
お昼ご飯を食べて時間をずらしてから、同じ支店の今度は別の女性に聞いてみた。彼女も内線でどこかに電話している。今度は無駄話なしだからかなり良かった。そして3日後の土曜日の午前11時には返却できるという話になった。聞くたびに待ち時間が縮まってくる。あと3回くらい聞いたら今日中に誰か取りに行くんじゃないかと思える展開だったが、まぁ3日後でいいだろうという決断をした。
2日目のこの日は、カード会社に電話して昨日の到着時から今まで不正利用がなかったか確認後、一時的に機能を停止してもらった。市内にはCodetelというインターネット電話屋にしか見えないのに高い国際電話屋しか見つからなかった。10分くらいのヨーロッパへの電話で600円も取られた。Skypeにすりゃぁもっと安いだろうが常にインターネット環境があるとは限らない生活なので使っていないのだ。
で、土曜日。
11時と言われたが10時に銀行に到着。土曜日の銀行は混んでいて20分くらい待たされた。でもまだ10時20分だ。届いているかどうかわからないまま、女性に事情を話すと、どこかに内線してすぐ「届いています」という答えだった。
やったー!
案外、ちゃんとしているじゃん、ドミニカ共和国。ここ数日の鬱々とした気分が一気に晴れたのだった。
週が明けて月曜日、再びカード会社に電話して機能の復元を依頼。こうしてやっと通常モードで旅を続けられるようになったのだった。
この数日の手続きの中で、くしくも色々なドミニカ共和国人と話をせざるを得ない状況となったが、それはそれで良い経験になった。到着2日目に海外青年協力隊員に偶然に出会うことができたのも、このアクシデントのお陰と言えるし、災い転じて福となすという所だろうか。協力隊員の助言としては、この国の人は悠長に構えていると1週間でも1ヵ月でも物事が先送りになるから、しつこいぐらいにせっついた方がいいということだった。夫の生来の性格がせっつき型なのが功を奏して、早くカードが返却されたのは幸いだった。
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