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2009.10.03
プロボシス・モンキーProboscis Monkey(テングザル)に会いに行こう!
マレーシア:セピロック

 セピロックから見て北西方向にあるラブック湾Labuk Bay沿いにLabuk Bay Proboscis Monkey Sanctuaryというテングザルの私設保護区がある。パームオイルの農場主が開発中に追い立てられるテングザルを見て、土地の一部のマングローブ林をそのままに残して餌付けしているという場所だ。

 ここに行く公共の交通機関がなく、タクシーを使うととても高くなるとガイドブックに書かれていたので行くのを迷っていたのだが、セピロックの宿にテングザル・サンクチュアリーが出しているシャトルバスのリーフレットが見つかった。

・朝9時半サンダカン→10時半セピロック・オランウータン・リハビリセンター→テングザル・サンクチュアリー

・午後4時半サンクチュアリー発で 逆方向

 というシャトルバスで、片道一人RM15=\300で行ってくれるというのだ。

 私達は宿の人にこのシャトルバスの往復を使いたいと手配をお願いした。オランウータン・センターでのピックアップ時間が10時半だということなので、それに合わせて宿がセンターまで無料で車を出してくれたのだが、シャトルバスは誰かを待っているらしくなかなか出ない。やっと10時40分に出発したのだが結局乗客は私達だけだった。サンクチュアリまでは1時間くらいかかると聞いており、次の餌付けの時間11時半に間に合うかとやきもきした。

 幹線道路からラブック・ベイに向かう道に入るとパームオイルのためのヤシの木がびっしりが両側に植えられた道になった。もうここはサンクチュアリーの持ち主の敷地内なのかもしれない。

 途中で車を降りて入場料金(RM60=\1800、カメラ持ち込み料金RM10=\300)を支払い、再び車に乗ってプラットフォームBに到着したのは11時10分だった。オランウータン・センターからテングザル・サンクチュアリーまでは30分しかかかっていない。思ったよりも速かった。

 サンクチュアリーには餌付けを行うプラットフォームAとB、それにドミトリー(一泊RM28)を含む宿泊施設とレストランのあるNipah Lodgeという3つの施設から成り立っているが、各施設どうしがとても遠くて車がないと移動できない。どうなるのかと思っていたら、最初にプラットフォームAで餌付け見学、後にレストランで昼食、次に午後2時半のプラットフォームBでの見学、最後に再びプラットフォームAに戻るという予定になっていて、サンクチュアリー内の車代金はかからなかった。

 プラットフォームAはアジアらしく靴を脱いで上がる場所だった。2階の高さから小さな川をはさんで向こう側の林の中に作られたプラットフォームで餌付けされるのを観察する。
 

 午前11時半に係員が餌を運ぶ前から、マングローブの林の向こうから待ちかねたテングザルたちが一匹、また一匹と姿をあらわして観光客を喜ばせた。オランウータン・リハビリセンターと同じくらい距離が離れているがプラットフォームが木陰に覆われていないのでとてもよく見えるし、集まってくる数がオランウータンよりもずっと多い。本当に天狗のような大きな鼻の体の大きな猿がハーレムのオスで、あとは鼻がツンと上に向いたメス達と子供のグループがやってきてプラットフォームの1つを占領した。

 強いボルネオの日差しに照らされたテングザルの毛はつやつやと美しく輝いている。野生というと汚れているようなイメージがあったのだが、全くそうではなく、とても美しい猿だった。しかも意匠が変わっている。登頂は帽子をかぶっているように濃い茶色で、首筋からは淡い柔らかそうな薄茶なのだが、ベストを着ているように肩から背中にかけてはまた濃い茶色になっている。腕、腹、足はグレーなのだが、特徴的なのは後ろ姿で、濃い茶色のベストの下に白いパンツをはいているように真っ白なお尻なのだ。
 
  

 テングザルを見た誰もが指摘するように、特にオスは座る時に膝に手をあてることが多く、その姿が人間の「おっさん」そのものに見える。帽子をかぶってチョッキを着て洒落ているのに、ズボンをはき忘れてパンツ丸見えのおっさん。おっさん、面白いなぁ。

 食事を終えた一家は川にアーチ状に渡された木に一列になって食後の休憩だろうか。この頃になると、他の家族もあちこちにやってきているせいか、おっさんは勃起して興奮状態だった。食後だからといって、テレビの前に寝転がって転寝できないのが野生の辛いところである。



 私達はレストハウスに車で移動して食事を摂ることにした。次のプラットフォームAへの移動までに2時間も時間があったので、ついでに宿泊施設のドミトリーを見せてもらったりした。

 ここが気に入って宿泊している白人カップルに話を聞いたところ、宿泊者はプラットフォームまでは無料送迎、別途料金を支払えばマングローブ林をガイドと散策(朝早い時間帯がいいらしい)したり、リバークルーズができるようだ。私達もサンクチュアリー側からこの休憩時間を使ってのマングローブ散策を勧められたのだが、時間帯がよくないからと断った。料金は一人RM50=\1500だそうだ。宿泊費はリーズナブルだとは思うが、食事がおいしくなかったのと、ここから動きにくい事を考えると、セピロックを拠点にしてここは日帰りで訪れるので丁度良かったと思われた。

 施設内を見回っていたら、裏手のテラスの下が池になっていて何かがスーッと近寄ってくる。キッチン係の男性が出てきて、食事の余りのチキン骨などをあげているうちに住みつく様になったオオトカゲだと教えてくれた。体調2mはあるだろうか、大きかった。
 

 次はプラットフォームAへ。ここはマングローブの林の間のボードウォークを歩いてプラットフォームへと向かう。午後2時半の見学客はマレーシア人が多かった。彼らはとてもにぎやかなお客さんでテングザルが逃げてしまうのではないかと心配したのだが、オランウータンに比べるとテングザルはあまり繊細ではないというか、貪欲な感じで、観光客の子供が泣こうが、母親が大きな声で叱ろうが、大爆笑しようが、おかまいなしに餌をむしゃむしゃと食べ続けていた。お陰でここでも非常に多くのテングザルを見ることができた。

 見ているとオスだけでなくメスもいきなり戦闘体制に入ったりする。こちらから見ていると何が理由で血をたぎらせているのか全くわからないので、逆に急に怒り出す姿が滑稽に見えた。

 午後3時にプラットフォームBに戻る。ビデオ上映があるというので、どこでやるのか探していたらプラットフォームの一角に置いたテレビの前に椅子が置いてあり、そこが会場だった。

 オランウータン・リハビリテーション・センターと同様にテングザルの生態とこのサンクチュアリーの成り立ちのお話で、パームオイルのために森林を開発してしまった農園主がお詫びの意味もこめてサンクチュアリーを作っているという説明だった。

 ビデオを見終わって、ちょっとトイレに行って戻ってくると餌付けの4時半になっていないのに別の種類のSilverred Leaf Monkeyという猿が私達が見学している場所に上がってきている。

 緑色の柔らかい茎を係員が配って歩いているからなのだった。シルバー・リーフ・モンキーは頭の毛がキュッと真ん中に向かって立っているのが可愛い。ここのは人なれしているので、かなり近寄っても全く逃げようとしないし、かといって人間のハンドバッグなどから餌を探そうともしないので、こちらも落ち着いて見学できてとても良かった。

 そぉーっと近づいて触らなければ2ショット写真も可能だった。遠くに一家が来ていて中に小猿がいた。シルバー・リーフ・モンキーは小猿の時はとてもきれいな黄金色。もっと近くに来ないかなぁ、そばで見たいなぁと思っていたが警戒してそれ以上は寄って来なかった。

 近くで見られるので個体の違いもよくわかる。左の猿はまだ若いので顔が可愛らしいが、年をとった猿はうちの亡くなったおばあちゃんに似ていて懐かしいような気持ちになった。

 そうこうするうちに、サンクチュアリーの係員が「こんどはホーンビルを呼んでみましょう」とホーンビルの好きなバナナを置き始めた。

 ホーンビルは警戒心が強いので、観光客は後ろに下がって待機するように言われて、みんな静かにまった。餌と係員の鳴き声のおかげでホーンビルがじょじょに近くにやってきた。ジャングルクルーズではこんな近くで見られないという距離、3mくらいまで近づいて見られる。

 ホーンビルが去っていってから、プラットフォームに餌が撒かれてテングザルの番となった。今日は散々テングザルを見てしまったので、そんなに興味はなくなってしまったが最後に見たグループはメスが1頭もいないバチェラーグループ、独身男性軍団だった。バチェラーはまだ若いオスザルのようだが、みんなガツガツと餌を食べながらオス1頭がひきいるハーレムをちらちらと見ている。

 「いつか俺もあんな風にメスを引き連れたい!」

 そんな風に思っているように見えた。

 見物デッキには相変わらずシルバー・リーフ・モンキーがいたが、テングザルの登場で観光客の興味がそちらにいってしまい警戒心がより薄くなっている。最後に思いっきり近くで横顔を撮ることができた。

 こうして午後5時にシャトルバスが出るまでたっぷりと見学して、なかなか満足できた。帰りのシャトルバスは宿のフロント棟まで送ってくれたので大変に助かった。このシャトルバスを出しているNipah Lodgeといい、私達が宿泊しているPaganakan Diiといい、セピロックに新しく観光の潮流を作り出そうと頑張っている人たちで、よく連絡を取り合って観光客に都合の良いサービスを考えている。こういうサービスを上手に使うと、既存のツアーを使わなくとも安心して安く楽しめるようになってきているようだ。


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