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2009.09.20
キナバル山登山第一日目
マレーシア:キナバル公園

 朝6時45分に朝食を摂るために公園事務所近くのレストランに行くと、曇り空を背景にキナバル山が全容を見せていた。

 明日の夜明けにはあの頂上の真ん中辺りのギザギザした所に立つ予定だ。見上げるように大きな山の頂上は、果てしなく遠い目標に見えるのだった。


 レストランのビュッフェ朝食はアジアによくある高級リゾートホテルのそれだった。アジア料理から洋食までが並んでいた。ヒュー!これは凄い。かつて短期でアジアンリゾートを旅行した時はこんなの当たり前だと思っていたが、ここ数年こうしたビュッフェから縁遠かった私達は新鮮にこのビュッフェを楽しんだのだった。

 一旦ホステルに戻って出発の準備を整えた。そんなに寒くもないので、下は夏用のトレッキングパンツ、上は半袖に厚めのウォータープルーフ・ウィンドブレーカーという格好で丁度良かった。

 出発地点で行うことは2つ。1つはガイドの手配だ。事務所の建物が3つ並ぶ一番左側でガイド料金を支払う。一人のガイドにつき4人のトレッカーまで同行できるので、昨晩同じ部屋に宿泊することになった日本人男性を誘って3人で一人のガイドを雇うことにした。料金はRM85=\2550なので一人あたりRM28.33=\850ということになる。

 もう一つは事務所前から登山開始場所のTimpohon Gateまでの交通の手配だ。真ん中の建物で一人RM16.5=\495を支払ってチケットをもらう。

 待っているとガイドがやってきて、一緒に車に乗り込んでTimpohonまでのドライブだ。Timpohonまでは4kmと聞いているが、上り坂で景色もさして面白くないので車を使った方がいいようだ。

 Timpohonに到着してトイレを済ませたらゲートをくぐっていよいよ登山開始だ。8時40分だった。ゲートには水やスナックを買える売店があり、「何かもらえるかなぁ?」とリス君が登場して愛嬌を振りまいていた。最初にがくんと下り坂になって小さな滝が出た後は、ひたすら登り道だ。坂道というよりは階段が多くて、しかも所によっては段差が大きいので最初からハードな感じがした。道は最初、鬱蒼とした森の中を歩くようになるので景色は見えないが薄日が差しているので、木陰が涼しかった。
 

 トレイルは比較的よく整備されていて、何よりも500mごとに距離表示があり時には地図で現在地を示す看板があった。これは長く歩く上で非常に励みになるので助った。

 私達は同行することになった日本人男性が(後で聞いたら70歳ということでびっくり。60代前半かと思った)富士山登頂経験3回という話を聞いて、彼の方法に従って30分に1度、5分休憩を取って進むことにした。

 今日の目標地点ラバンラタまでは6kmの道のりだが半分の3kmまで来たころから霧が立ち込めて天候が崩れてきた。相変わらず森の中を歩いているので天気の崩れはあまり気にならない所だ。3kmを越えるあたりから珍しい花や名物のうずぼかずらを見ることができた。雇ったガイドの青年は英語は話せないがうつぼかずらの場所は一生懸命に教えてくれた。最初はトレイル傍の人差し指くらいの大きさのものから、最後には言われなければ気づかないような藪の中に群生する30cmくらいの大きなものまで見ることができたのは、ガイド氏のお陰だった。
  
鮮やかな色合い、入り口の装飾、そして中に入った虫を溶かすという溶液は外側の赤い色を映して血のように赤く見える。
うーん、まがまがしい生き物だ。

 最初は調子よく登っていたのだが、4kmくらいからがくんと疲れが出てきた。あー、それなのに道は一向に優しくない。
  

 それどころかお昼ご飯を食べたVillosa休憩所から更に岩山を登るような急ですべりやすい道になっていく。お昼ご飯を食べている時から一層霧が濃くなってきたので早めに切り上げてラバンラタをめざしたのだが、Pakaという休憩所を超えた所で一瞬晴れ間が出て、雲の間に下の景色が見えた。今回の登山で下界を見たのはここが唯一の場所となった。


 とにかく雨が降り出す前に宿にたどり着こうと、急ピッチで歩き続けたのだが、高度がすでに3000m近くに達しているので息が苦しい。しかもついに雨がごうごうと降り始めてしまった。

 ラバンラタのレストハウスに到着したのが午後1時40分、フロントでチェックインの手続きをしてロッジの鍵を受け取り、そこから自分達が宿泊する宿まで更に登って到着したのは午後2時9分のことだった。何と宿に入ったのは一番。他には誰もいないようだ。

 途中で出会った下山者から、ラバンラタで熱いシャワーを浴びたかったら、まず一番乗りでシャワーを使うことだというアドヴァイスを得ていた私達は、とにかくまずシャワーを浴びることにした。

 出てきたのはお湯ならず熱湯でまともに浴びることのできないほど。これはいい。足元のバケツの水を柄杓ですくって、蛇口から出る熱湯を混ぜて十分に熱いお風呂を楽しむことができた。ロッジの部屋は2段ベッド2つで一部屋。ベッドの長さが奥行きでベッドとベッドの間は1mくらい。ブランケットが2枚ついているので、着こんでブランケットをかぶれば夜は越せそうだ。

 明日は未明2時に頂上を目指すので、今夜は午後5時から食事してさっさと寝るという予定になっているが、午後2時過ぎから再び激しい雨。ロッジ右手の岩山にちょろちょろと走っていた水の流れが見る見ると太くなっていくのがわかった。
 

 午後4時半に大雨の中、60m下のレストハウスに食事に向かった。この高度で60mの行き来は面倒くさい。レストハウス内の宿泊施設が確保できれば良かったが前日に予約したので、Gunting Lagadanというロッジにしか空きがなかったのだ。

 レストハウスはGunting Lagadanに比べると高級感のあるロッジで、ここで食事をしていると標高3200mにいることを忘れてしまう。同行した日本人男性は山のロッジで酒を飲むのが楽しみだとビールを飲んでいて、高山病を恐れる私達はそんな彼を尊敬のまなざしで見守った。高山病にならない秘訣は?と聞くと「考えないことです」と彼は答えた。「心頭滅却すれば火もまた涼し」という事だろうか。いやいや、私達にはできない。食事を終えて雨が小止みになったのを見計らってロッジに戻ることにした。少し止んだ空に、朝見たギザギザがかなり近づいて浮かんでいた。あそこまで行けるのだろうか?
 

 ロッジに戻ってからはとにかく横になって眠る事を考えた。持っている全ての服を着てブランケットを2枚かけたら暑くて眠れない。Tシャツ、長袖、厚手のウィンドブレーカーくらいで良かったのかもしれないな。そんな事を思いながらも、疲労困憊していたのですぐに深い眠りに落ちていった。


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