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2009.09.19
キナバル山登山前日
マレーシア:キナバル公園

 ハリラヤというイスラム教のお祭りのために、明後日からキナバル山にも人が押し寄せて3200m地点のラバンラタの宿は満室が続く。ということで、コタキナバルに到着して3日目にしてキナバル山をめざすことになった。本当は1週間くらいコタキナバルでゆっくりして、心の準備をしたかったのに、そんな暇もなくあわただしい出発だ。あー、何だかドキドキする。

 日本で働いている時は全くのインドア人間だった。土日はとにかく動く気力も起こらず、唯一の外食が近所のスーパーという週末も少なくないくらいだった。それが旅に出て歩くようになった。始まりはグアテマラのパカヤ火山。ツアー代金がたった700円という登山ツアーなので近所の丘に登るくらいのつもりで参加したら、これが本当に火口までのぞきに行くような登山だったのだ。それから中南米を周る中で、トレッキングやハイキングが観光のメインという場所がいくつもあって、その都度、参加しているうちにだんだんと面白くなってきたのだった。といっても、登山はあまりやらない。もっぱらハイキングが好みなので、今回のキナバル山も周辺をハイキングするくらいなつもりでいたのだが、コタキナバルに到着してステラ・サンクチュアリー・ロッジの事務所で話を聞いているうちに、「3200m地点のラバンラタ、20日の予約をのがしたら数日満室です」なんて言われて、あれよあれよと登山することになってしまった。

 キナバル山の頂上は4000mを越える。ネパールのアンナプルナ・ベースキャンプまでのトレッキングで4130mを経験しているので大丈夫かなぁとも思ったが、あの時は5日かけてそこまで行った。今回たった1日で3300mまで登って、次の日に登頂して下ってくるというのはできるのだろうか。最後にトレッキングをしたのは昨年12月のパイネ国立公園なのでかれこれ9ヶ月も経っている。足の筋肉は大丈夫なんだろうか。予約しちゃってから、色々な事が頭に浮かんでだんだんと心配になってきてしまったが、こうなったら、もう、行くしかない。だいたいトレッキングに行く時も常にそうなんだけど、行きたい気持ちと行きたくない気持ちが拮抗して、根はインドアなんだなぁと実感するのだ。

 コタキナバルからキナバル公園までは2通りの行き方がある。1つはキナバル公園内の宿を管轄しているステラ・サンクチュアリー・ロッジのシャトルバスを利用する方法で片道RM50=1500円也。ステラではハリラヤの祭りにかかるので、一般のバスは運休する可能性があるのでと、シャトルバスを往復予約することを勧められたが、ムルカデ独立広場の隣にある長距離バスターミナルに行ってドライバー達に確かめたら、「そりぁ、ハリラヤだけど、商売の方が大事でしょう、問題ないない」と胸を張って言うので、一般バスで行くことにした。一般バスは朝8時半に1本だけあるTUTというやや大きめのバスと、ミニバスの2種類があり、料金はともに一人片道RM15=300円。途中で人が乗り降りするのでシャトルバスよりも時間がかかるが、前日泊する私達にはコストパフォーマンスがいい交通機関だ。

 TUTのバスアシスタントでフィリピン人の男性は前日にチケットを買った方がいいというが、乗れなかったらミニバスに乗ればいいと当日チケットを買うことにした。念のため出発の1時間前にバスに乗り込んだがだーーーれもいない。バスは定刻8時半に満席にならずに出発した。

 バスは町を抜けて山道に入っていく。どんどん、どんどんと坂道を上がるのだが、このTUT、とにかく遅い。ガソリンをけちっているのか乗用車、大型バス、果てはミニバスにがんがんと抜かされていく。あああ、ミニバスにすりゃぁ良かった。

 途中からキナバル山の偉大な姿が拝めるはずなのだが、曇っていて山頂が少し見える程度だった。天気は大丈夫なのだろうか。


 キナバル公園の坂の下に午前10時10分に到着した。所要時間1時間40分だ。あんなに遅く走っていたのに意外に早い時間に到着できた。この分なら午後からコタキナバルを出てきても良かったなぁ。

 坂を50mくらい登ると公園入り口。ここで公園入場料金一人RM15=300円を支払ったのだが、この入り口の係員は支払っていようといまいと関知していない様子で、何だか払い損みたいな気分にさせられた。右手の事務所に入って、コタキナバルのステラ・サンクチュアリー・ロッジで予約した時の領収書を見せ、公園内の施設案内、明日の予定などを聞いて手続き終了だ。

公園入場料金を支払う

公園事務所の立派な建物

 チェックインは午後2時からだというので、荷物を預けてお昼ご飯でも食べようかと目の前にあるレストランに行ってみてびっくり。ビュッフェ一人RM60=1800円という選択肢しかないというのだ。私達はこの日、昼、夜とここで食べようと思っていたのだが一人当たりの2食の予算を500円くらいしか取っていない。いきなりのあまりの予算オーバーに呆然としてしまった。思えばガイドブックの情報から大きくシステムが変更されて宿代も驚異的に値上がりしたのだが、レストランもそうだと思うべきだった。ガイドブックでは1食250円くらいで食べられそうなことが書いてあったのだ。

事務所で予約領収書を見せる

事務所前の素敵なレストランは料金を前に敗退

 途方にくれて敷石に座って考えていたら、そう言えばここに到着した時に道路の反対側に何か建物があったなぁと思い出した。あれって、レストランじゃないだろうか?

 坂を降りて見に行ってみると、安食堂だった。やったー!救世主ー!

 メニューは中華で麺類はRm5=150円。思っていた通りのお値段だった。私はあんかけラーメン、夫はあんかけラーメンと魚肉団子スープ、コーヒー2杯でRM16.5=495円と予算ぴったりでおさまったのだった。


 天気はますます悪くなり、辺りには霧が立ち込めて真っ白になってしまった。本当に明日は大丈夫なのだろうか。この辺りの天気は朝晴れて、昼からは霧が出ると聞いているので普通だと思いたいが、やっぱり気になった。

 午後2時になったので再度事務所に行って、荷物を受け取ってチェックインすることになった。定められた宿は事務所から舗装道路沿いに200mくらい奥に入った棟だった。到着すると係員の男性が待っていてくれて、部屋に案内してくれた。簡単な作りのロッジで2段ベッドが3つある6人ドミトリーだがスペースが広い。久しぶりにこんなアメニティーグッズの素敵な宿に宿泊したなぁ。スリッパは人が使ったものだったけど。トイレ・シャワーには生の花が飾られて一流ホテルのようだし、ラウンジはシックな椅子とテーブルと調度品があって高級感がいっぱいだった。

 相変わらず雨がしとしと降っている。公園内の山の麓にはいくつかの気楽なトレールがあって天気が良ければ1本くらい歩いてもいいと思っていたのだが、この雨では靴はどろどろ、ヒルも飛んできそうな予感もあったので、素敵なラウンジで部屋に置いてあったフリーのお茶を飲んでゆっくりと過ごした。

 その間、何を言っているのかよくわからないアイリッシュの兄ちゃんが一人やってきただけだった。どうやら案内人なしでここまで勝手に来てしまったらしい。自分はツアーに参加しているのだが他の人はどうしたんだと言う。私に聞いてもわかるわけないじゃーん。というか、英語がわかりにくいなぁ。お互いコミュニケーションが困難なので話も続かず面白くなかった。暇なので、もう少し奥にあるレストハウスに行った。ここのレストランはアラカルトだがやはり一人2000円くらい出せば食事ができる高級メニューなのでやはり外に食べに行くしかない。お土産物屋さんを物色して、2階のミニ博物館に行くとボルネオを感じられる生々しい展示物があって、ここはかなり面白かった。全長30cmありそうな巨大昆虫、巨大蛇、宇宙人のような巨大な目の夜行性動物の剥製などを見ていると目が離せない。こんな奴らが生きているジャングルを登山するというのはワクワクするじゃないか。実際には奴らには全然出会えなかったけど。

ホテルラウンジのようなレストハウス

巨大昆虫、これはすごい

全長5mくらいだろうか、太さに驚く

これが一番気になった生物。マダガスカルのアイアイ系だよね。

 午後6時の公園外のレストランは大盛況だった。白人さんは少ないが中国語を話す宿泊客はすべからず、ここに終結しているとさえ思えるくらい満席だった。

 すっかり暗くなった公園は、所々にボーっとオレンジ色の照明が灯っているだけで、あとは吸い込まれそうな闇がジャングルに広がっている。ジャングルの夜は意外ににぎやかだと思ったのは、コスタリカのアレナル火山国立公園内のホテルに宿泊した時だったが、ここでもさまざまな生き物が独自の鳴き声を発していた。

 宿泊する棟の照明には昆虫が集まっているのだが、よく見ると木の葉そっくりの虫やとても美しい色や模様の虫が来ていた。鳥の声、虫の声や姿に触れているうちに、じょじょにボルネオ島にいるんだなぁという気持ちが高まってくる夜だった。


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