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2010.09.24
久しぶりのクアラ・ルンプール
マレーシア:クアラ・ルンプール

 12年ぶりにクアラ・ルンプールにやってきた。今回の滞在先はブキッ・ビンタンという繁華街に近いバックパッカー宿が並んでいる通り。12年前に駐在員家族として滞在していた時とは異なる視点から見たクアラ・ルンプールは以前に持っていたイメージとは全く違う町に見えた。

 到着して驚いたのは市内交通の発達ぶりだった。LRTと呼ばれるモノレールが数路線走っていて、初めてここを訪れる外国人でも主要な場所には大抵簡単にアクセスできるようになっていた。ほー、便利になったなぁ。

 12年前はコモンウェルスという、元英国植民地国が集まって行うスポーツ大会がマレーシアで行われるということでLRTの建設が始まったばかりだった。KLCCもまだ工事中で広大な敷地は封鎖されて横切る事ができなかった。ペトロナスツインタワーの足元に住んでいたので、KLCCの敷地の南側にある伊勢丹が入っているロット10というショッピングモールに行くには、大きく道を迂回して行かなければならなかった。大抵の日本人奥さまはタクシーを使っていたが、わたしはバスを使っていた。時計周りのバスに乗るとバングラデシュ大使館の前を通るのでバスの乗客はバングラデシュ人ばかりになる。バス内にはインド風の高い声で女性が歌う曲が大音量でかかっていて、バングラデシュ人の陽気な男たちの話声が響き、窓から入る埃っぽい暑い風に吹かれていると、異国で大冒険をしているような気分になったものだった。

 そんな風景が日常的になっている今から思えば冒険でも何でもないのだが、人は立ち位置によって物の見方がガラっと変わることを自らの体験から感じる。今回のクアラ・ルンプール滞在はそんな事ばかりが頭をよぎった。

 ブキッ・ビンタン地区。12年前もKL随一の繁華街だったが、ショッピングモールはロット・テンとスンガイワン・プラザくらいしかなかった。ところが今回訪れるとニョキニョキと新しいショッピングモールができて、特に最新のパビリオンというショッピングモールなんて世界レベルで見ても最先端のクオリティーで本当に驚いた。テナントの店もフードコートの食事も高級で、ランチは日本でいったら1500円〜1800円という感覚だろう。毎日来られるわけじゃないけど、たまには贅沢したいと考えるOLさんや昼の接待などに使われているようだ。そういう需要があるくらいクアラルンプールは経済的にも発達してきている。12年前にもポテンシャルは感じていた。特に中華系マレー人は常にもっと上をめざしているキャリアウーマンもいて、「この国は伸びて行くなぁ」と思っていたが、今のタイと比べてもぐんと抜けた感じがする。そうそう、トイレにトイレットペーパーがあってお尻を洗うホースが消えてきているのにもビックリしたなぁ。

モール前には美しいオブジェの噴水。

地上階から入ると地下3階へのサンクンガーデンになっている。

台北の鼎泰豊がKLにも進出!日本よりは安いので絶対に食べに来よう。

食べ物フロアーの話ばかりで恐縮だが、地下のフードコートもとにかくかっこいいだけでなく、おいしそう。


アロー通り

チョーキット市場
 12年前とは違う感想を持った場所がもう2つあった。1つはアロー通りというブキッ・ビンタン地区にある屋台街。昼間はそうでもないが夜になると通りの両脇に並ぶレストランにはぎっしりとお客さんが座ってにぎわう場所だ。ここも以前は地元の人しか行かない「通(つう)」な通りという感覚だったが、今回近くに宿泊して毎日のように通りかかると地元の人は少なく、むしろツーリスティックだとわかった。12年前からそうだったのを知らなかったのか、昔と比べてツーリスティックになってしまったのかわからない。

 もう1つはチョーキット市場。市民の台所として知られる大きな市場だが下手に外国人が入ると盗難にあったりして怖い場所だと聞いていた。だから12年前はそれこそドキドキしながら市場に入り、未舗装で足元が泥でぐちゃぐちゃになる通路を歩きながら血まみれの羊や牛の頭や内臓を置く肉屋に驚いたりしたもので、楽しいというよりも「潜入した!チョーキットを見てやった!」という気持が強かった。あれから12年、市場の通路は舗装され、マレーシア人も外国人慣れしてきたのか当時のような鋭い視線も感じず、私自身この5年間こういう市場にお世話になりっぱなしで見慣れていることもあって、「あっれー?チョーキット市場ってこんなに普通だったっけ?」というのが驚きだった。

 世界中を旅行しているというと中には「そんなに旅行ばかりしていて飽きませんか?」という人がいる。そういう人は、今回私がクアラ・ルンプールで感じたような事を恐れているんじゃないだろうか。旅先で目にする物事が常に新鮮に感じられなくなってしまうということを。旅が非日常でなくなるということを。確かにどこに行ってもどこかで見たような光景に見えるという意味では、非日常に簡単に出会うことはなくなった。しかし、「驚き」や「新鮮さ」を取りはらってなおも魅力を感じる所に本質が見えてくるんじゃないかと思う今日この頃である。今回のクアラルンプールではこの思いをまた一層強く感じたのだった。


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