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2009.09.14
スーツケース破損で知ったバンコクのサービス度
タイ:バンコク

 今使っているスーツケースは旅を始めてから4代目。オーストラリアのシドニーで購入した。サムソナイトの普及版ハードケースで、世界中のフライトアテンダント御用達ということで安価で丈夫が売りだというのが購入の決定打だった。なるほど、今までのに比べると壊れずによく働いてくれている。

 だから、今回タイのバンコク国際空港でターンテーブルを回ってきた4代目の留め金が半分折れてなくなっていたのを見た時は「まさか・・・」とショックが走った。今回のバンコク滞在はわずか3泊、その後クアラルンプールで1泊してボルネオ島のコタ・キナバルに落ち着く予定だった。たった3日で修理ができるのか、できなかったらボルネオまでの2フライト持ちこたえるのにどうしたらいいのかと、頭の中をぐるぐると考えがよぎった。日本に住んでいたらこんな風には思わなかったかもしれない。恐ろしくスピーディーな対応が当たり前に受けられるからだ。

 しかし、今までにスーツケースが壊れた国では「100ドル以下で新しいスーツケースを見つけてきなさい、お金はあげるから」(コスタリカ)と言われたり、「自分で修理してきなさい、お金はあげるから」(ケニア)と言われたりで非常な時間と労力が必要なのが常だった。時間があれば、これもイベントと楽しめるんだけど今回はいかんせん3泊だからなぁ。

 バゲッジクレームにあるPassenger Serviceカウンターが近くにあったので、係員の若い男性に状況を説明した。

 この男性は私達の利用したエアーベルリンの社員ではなく、この空港の係員だった。コスタリカやケニアでは空港の係員ではなく利用した航空会社の人じゃないと対応してくれなかった。こういう人を置いている空港のシステムにまず感心した。やるじゃん、タイ。

 流暢な英語が話せる男性は、私達の日程と今後の行き先を確認すると、専用のレポート用紙に必要事項を書き込み、「修理業者から宿に連絡をいれるように言っておきます」と控えを渡してくれた。それでも心配だった私達は、今すぐに修理業者に連絡を取ってアポを入れ、何時に宿に引き取りにくるのか、いつ修理が終了して戻してくれるのかを、この場で確定して欲しいと申し出た。こんな申し出にも面倒がらずに対応してくれて、その場で修理業者に電話して明日朝一番の便で宿までスーツケースを取りに来ることまで決まった。業者としても修繕ヶ所を見ないことにははっきりと返却時が決められないと言う。それは納得のいく話だったので、とにかく取りに来る日と時間帯まで確定してもらった。

 更に彼は私達が予約している宿に電話して、事情を話しておいてくれた。この電話のお陰で宿に行ってからも非常に話がスムーズになった。

 本当は部品がない等で3日以内に修理できなかった場合はどう弁償してくれるのかまで聞いたのだが、「経験からこの部品は必ずあります、直ります」と言われて、そこまでは話を詰められなかった。この時点でかなりの不安は解消されたが全てクリアになったわけではないので、どうにももやもやしながら空港を出ることになった。

 宿に到着すると、フロントの女性がチェックインより前に「スーツケースの件は話を聞いています」と申し出てくれたので、もう一度修理業者に電話してもらって引き取り日時を確認したのだった。その時点で、業者から明日引取りで明後日返却の予定だと聞かされていた。

 明けて今日14日。一晩考えて、もし明日返却という予定で返却されなかったら明後日はもう出発する日になる。それはまずいだろうと、今日修理に出して今日中に返却するという約束に変更してもらうようフロントに依頼して、壊れたスーツケースをフロントに預けた。

 外出から戻るとフロントの女性が、スーツケースを持って行ったことと今日中に返却することを報告してくれた。この女性も素晴らしい。

 午後3時、それでも信じられない夫は更に催促の電話をフロントに依頼した。あー、フロントの女性もそろそろ嫌な表情になっているなぁと思いながらも、走り始めた夫は誰にも止めることはできないし、今までにこのしつこさのお陰で数々の難関を突破したこともあるので仕方ない。電話した結果、「今そちらに持っていく途中です」という回答だった。もともと不信感がある時はこういう回答も「蕎麦屋の出前みたいに適当に誤魔化して言ってるんじゃないのぉ」と勘ぐってしまうのだが、30分後にバイクに乗ってスーツケースを小脇に抱えた(かなり大変だったと思うが)おっちゃんが宿に本当に届けに来てくれたのだった。

 こうして何と到着して2日目にして修理されたスーツケースを手に入れることができたのだった。

 バンコクの空港に特別な係員がいること、彼が気が利いていること、宿を予約していたこと、宿のフロントがちゃんと要求にこたえてくれたこと、部品があるメーカー(サムソナイト)のスーツケースだったこと、修理店が真面目に対応してくれたこと。色々な要因はあるけれど、今回のことで私達の抱いていたタイのイメージが刷新された。

 タイはかなりちゃんとした社会になりつつあるのだ。


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