|
2009.08.13
ロパール岬のビーチ巡り
さて、今日は先日も少し行ってみた島北部のロパール岬の北端のビーチを巡ってみよう。まずはアパートの目の前を走る幹線道路を通るバスに乗ってロパール岬の中心地まで行く。
この日は他の岬にも立ち寄った大回り路線だったのでいつもより10分余計に時間がかかり、30分かかった。
バスを降りた場所の道路をはさんで反対側に観光案内所があって、ロパール岬の詳細地図が手に入る。
詳細地図は2種類ある。左の上写真の島全体の地図と同じ系列でロパールに特化したバージョンのものと、航空写真を使ってロパールを解説したものだ。
前者は幹線道路、細い自動車道、トレッキングパスと色分けした道が描かれている他、バス停、レストラン、ビーチマーク、はては人が万歳したマークのヌーディストビーチ(FKK)マークまで描かれていてアニメチックでアイコンもわかりやすいが、実際に歩こうとすると道はあいまいで現実と違っている。一方の航空写真の地図は訪れた先に何があるかというアイコンはわかりにくいものの、正しい縮尺で正しい道が(写真だからね)引かれているので歩くにはこちらが適している。両方入手して場面によって使い分けるのが理想的だ。
最初の計画ではバスで終点の、ロパール岬付け根の右側のパラダイスビーチまで行き、そこから反時計回りに自転車でビーチを巡ろうと考えていた。しかし、航空写真で見ると起伏が激しくなかなか自転車では行き辛い場所もあることを発見し、自転車で回るのは断念したのだった。
徒歩となるとそんなにたくさんの場所は行けない。
そこでロパールの中心地でバスを降りて、そのまま北上してPodsiloビーチ、Dubacビーチ、Sturicビーチくらいまでを目標に行くことにした。
バスが走る道路から岬の中腹を左右に走る自転車マークがついたオレンジ色の道まではずっと登り坂だが15分くらいで到着する。あら、思ったよりも近いのね。
このオレンジ色の道は車も入ることができ、手書き風の看板に「○○ビーチまであと○○m」と看板が出ていた。最初の目的地はPodsiloなので左に1km歩けばあるらしい。なーんだ楽勝じゃないか。
Podsiloの入り口まで来ると多くの車が駐車してある。みんなここに車をおいて、ここからは徒歩でビーチまで行っているようだ。私達も行こうとしたら、クロアチア人のおじさんが息せき切ってこちらに駆け寄ってきた。「おい、おまいら、駐車場を払わんといかん!」。
「いやいや、私達徒歩で来たので車はありませんから」と言っても、あまり英語を解さないのか「パークフィー、パークフィー」を繰り返すばかり。終いには「こいつ踏み倒すのか!」的に怒り始めてきたので、夫が逆切れして「ノーカー、ノーフィー」とでかい声で怒鳴ったらヒェーっと立ち去っていった。まさか徒歩でここまで来る観光客がいるとは思ってもいなかったのだろう。
ここから森の中の道を突っ切ってPodsiloとDuacの分岐点で右に折れればビーチに行くと思っていた。ところが右に折れた道が更に2つに分岐している。看板もないし他に人もいない。どう見ても右の道の方がいい道で正しそうに見えたのでそちらに進んで歩くこと10分。あと1kmと出ていた割にはちっとも海に近づかないじゃないか。こういう事態になると我が家では必ず言い争いになる。「さっきの分岐点で左に行くべきだったんじゃない?」と私が言えば、「何で今更そんなことを。あの時に言えよ、あの時に。っていうか、こっちが正しかったらどうするんだよ。どうして根拠もなくこっちが間違ってるっていうんだ。行くだけ行くんだよ、こういう時は」と夫が言う。激しく言い合いしながら更に15分歩いて行き止まり。はい。行くだけ行きました。
ということで、途中ロスタイムがあったものの今度は道に明るそうなクロアチア人との出会いもあってPodsiloに正しく到着することができた。ここはビーチに到達する手前から砂地になって紅葉したように茎も花も枯れたピンクに染まった草が一面に生え、その先からは潅木の針葉樹が所々に生える風景になった。珍しく砂のビーチになっている湾の両脇はごつごつとした岩肌が見える小さな岬で、荒涼とした風景がメキシコの西端にあるバハカリフォルニア半島南端のラ・パスのビーチを思い出させた。あそこも砂漠の端に突然海がある場所で白に近いベージュの砂が強い光で輝いて、その先に突然海が出現する。砂漠と海という相容れないイメージが目の前で合体しているのでとても不思議な気がしたものだった。ここの風景はあの時の驚いた自分を思い出させてくれた。
先日行ったラブ島西側のサイクリングかボートでしか行けないビーチとは違って、ここは車でもアプローチが簡単なためか人の数が多かった。とても遠浅なビーチは珍しさはあるものの見ていてそんなに美しくもない。お昼ご飯を食べて一度水につかったら、どちらともなく「もう移動しようか」という話になった。
次のDudacビーチは地図では元来た道を戻っていくようだった、Podsiloビーチの左側に向かって人が歩いていっている。どうやら行けそうだったので、私達もビーチ沿いに左へ左へと歩いていった。Podsiloビーチの左側は小さな岬が突き出して細かい湾を作っているのだが、メインビーチから1つ目の岬を越えた場所にビニールシートとポールで日陰を作って寝そべっているカップルがいた。見るともなしに見てしまったら2人とも全裸。おお、今日もまたFKKさんと遭遇してしまった。
次の岬を越えると、ほぉーっとため息が出るような美しい色の海が広がっていた。
訪れた時期や時間帯が良かったのかもしれないが、今回のクロアチアでの滞在全ての中で一番透明度が高くて見下ろしの海の色が美しかったのがこの場所だった。広角レンズじゃないから2枚の写真をひっつけて真ん中に歪みが出ているのがとても残念だが、肉眼で見た時のお楽しみってことで。最初のビーチにあまり感心できなかった私達も、ここは大満足。魚はそんなにいないのだが、とにかく透明度が高くて泳いでいても気持ちが良かった。
もしかしたら、次にもっと魅力的なビーチに出会えるかも!と後ろ髪を引かれながらもこのビーチを後にしたのだった。
PodsiloとDuacを隔てている比較的大きな岬の途中でDuacに抜けられないかと岬の先まで行って反対側に回り込むと、こちら側もとても美しい色合いの海が広がっている。崖になっていて下まで降りていくことができないのだが、ボートで来ている人がちらほらと見えた。話し声を聞くとイタリア人が多いようだ。
イタリア人はこういう隠れ家的な入り江が好みなのかもしれない。
アフリカのケニアの東海岸にモンバサという大きなビーチリゾートの町があるのだが、イタリア人が集まっているのはそこから北に車で40分ほど行ったワタムという小さな村だった。オーストラリアの海岸のように長く広く広がるモンバサと比べると、ワタムは岩と砂浜が複雑に入り組んだ地形。
イタリア人というと「入り江好き」というイメージはあそこで初めて持ったが、今日もまた入り江でイタリア人を見てその思いが強くなった。美しい色合いの海の左には、もうDudacに来ているボートが見えているのだが、ここから先が道がなくてビーチまで行けない。岬の中ほどに生えている森林の中を、ここかここかといつくかの獣道を探してようやくDuacビーチに抜ける道を発見したのだった。
行ったり来たりして苦労してたどり着いたDudacビーチは、私達の好みとは全く違っていた。岬一つ隔てただけでこうも違うのかと思うほど、趣が違っていた。
Dudacは細かい砂が遠浅に広がる場所で、今まで目にしていた美しいエメラルドグリーンはなく、どちらかというとベージュや茶色の風景が広がっているのだった。遠浅なので水が温かいのが人気なのだろう。子供連れでずーっと水につかってゆっくりと過ごしている人が多い。言葉を聞くと多くがクロアチア人らしかった。国によって好みが違うものだ。
このビーチは横切るのみしてにお次に向かおう。
航空写真地図ではDudacビーチを左に回りこんだ最後に次のSturicビーチへの道があるようだ。Dudacビーチの左端には森へと上がっていく道らしきものが続いている。看板などはなかった。ラブ島でのトレッキングは時々マークがないのでサバイバルな気分にさせてくる。これもまた、慣れてくるとゲームのようで面白い。
今回は迷うことなく簡単にSturicビーチに抜けられた。ここも多くのボートが来ていて人気のビーチだった。
Dudac程でないが、湾の一番奥に行ってしまうと泥っぽくて浅いので、私達は湾の出口付近に場所を構えて海水浴。ここもなかなか透明度が高く、岩陰に魚もちらほら見られる。でもPodsiloの透明度の衝撃と比べたら劣るなぁ。時間帯が良かったのだろうか。
午後4時20分までここで遊んでから帰ることにした。
最初は鬱蒼とした森の中の道を歩き、やがて細いけれど舗装されて車が走れる道からは潅木の中を歩くようになった。この時間からビーチに向かう人に少なくとも5組以上すれ違った。バカンスに来たばかりの人は、あまり最初から飛ばすと火傷しちゃうから用心しているんだろう。
どのくらいの時間を歩けばバス停までたどり着けるのか、全く見当がつかなかったので、時間に余裕を見た上でとても早足で歩いて帰ったら、Sturicビーチからロパール岬中心地のバス停まで35
分で到着してしまった。普通に歩いたら50分くらいだろうか。
バスが来るまでの1時間、観光案内所脇のレストランでアイスクリームを食べたり、バス停手前のスーパーで物色してピーナツ1kgを買ったりして過ごして帰って来た。
朝から夕方まで、たった3つのビーチしか行っていないけれど、歩いているのでとても満足感が高い。しかも今日は素晴らしい透明度のビーチを発見したし。ラブ島は本当に遊べる島でだ。
|