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2009.08.09
商店街のインターネット意識
ラブ島旧市街のコマーシャルエリアは行政の計らいでWifiフリーゾーンになっている。コマーシャルエリアのメインストリートの端っこにある観光案内所でこれを聞いた時、私達は「ラブ島、なかなか進んでいるなぁ」と感心したのだった。
しかし、困ったのは電源だ。この情報を教えてくれた観光案内所の兄さんは案内所内の電気は公共の物だから使っちゃいかんという。じゃぁメインストリート沿いにあるカフェは電源を使わせてくれるかのかと質問すると、「聞いてみないとわからないけど、たぶんダメじゃないかなぁ」という回答だった。
さっそく案内所の2軒隣のケバブとアイスクリームを売る店で聞いてみたら、「店の中の電源を使っていいよ」という話。なんだ、話がわかるじゃないかと翌日コンピュータを持ち込んで、メールチェックや今後の宿探しやサイトアップなど3時間半使わせてもらった。
この間、私達がオーダーしたのは水とコーヒー、KN17.5(=350円)だった。
数日後、同じ店にコンピュータを持って立ち寄ると、電源の前にはコカコーラのケースが積み上げられて「電源を使うなよ」という無言の意思表示。今回は水2つだけ、KN10(=200円)で3時間15分の利用。意地悪そうな店の女の子は、途中で何度も私達の所に来て追加注文がないかと聞いたが全て断った。
そして今日、再びコンピュータを持って訪れると店の主人が嫌そうな顔をしてこちらを見ている。たぶん、断られるだろうなと思いつつ「電源使ってもいい?」と聞くと、案の定「NO」。そして「うちはインターネット屋じゃないんだ。インターネットをやりたきゃネットカフェに行けばいいだろう」と言うのだった。
このお店、私達が利用する時間帯には1組か2組のお客しかいない。最低でも200円の注文(しかも水だ)をするのだから3時間くらい電気をコンピュータに使われても儲かるはすなのだが、「店の電気をタダで使われている」ということで頭が一杯になってしまっているようなのだ。こんな時、今まで世界中で出会ったインド人や中国人ならどうするだろうか。彼らなら別途電気代金を取るとか、インターネット1時間使用につき一定金額以上の注文をしないとダメなど新しいルールを使って何としても客を店につなぎとめるだろう。夏になると黙っていても先進国からお客が押し寄せて高いビールやお酒やサンドイッチを次々と注文して、さっさと飲み食いしてビーチに行ってしまう。そういうおいしい商売をしているこの商店街の人にとっては、私達はさぞや迷惑でややこしい客に見えたことだろう。
島ではインターネットは子供のゲーム機器、若いお姉さんや青年のチャットの道具くらいの認識しかない。私達のように次の旅の手配にインターネットがどれ程必要かということなどは理解の範囲外。観光案内所が電源を開放しないというのも、インターネットが旅のツールだとは思っていないからだと考えられた。
最近の旅の経験から言うと、ヨーロッパのバックパッカー宿はかなりの比率で無料Wifiを用意している。南米の宿でも先進国からのバックパッカーが集まる宿には無料あるいは一部有料でWifiがある。ところがバックパッカーとはあまり縁のないヨーロッパのキャンプ場では、無料Wifiは少しずつ普及しているものの、依然として「インターネットは仕事で使うもの、休暇の時はネットは忘れましょう」と言わんばかりに高い料金を設定しているかそもそも設備のない場所も多い。インターネットというのは多分にリージョンギャップというよりはジェネレーションギャップのあるものだというのが私の感想だ。ラブ島について言えば、商店街が次世代になったら今日のような問題は発生しなくなるだろうから、あと30年くらいかかるかもしれない。
さて、今日の電源問題はどうしようか。
クロアチアでどうやって有効にお金を落とそうか考えているんだから、電気くらい使わせてくれてもいいのにねぇ。とは言わなかったが、もう一度観光案内所に行って電源を使わせてくれないか頼んでみると、今日の中年女性担当者はあっさりと「いいわよ」と承諾してくれた。こうしてめでたく電気を確保しながら、案内所外のベンチで悠々とインターネットすることができたのだった。
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