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2009.08.02
想像以上の混雑!ノヴァラの人気っぷり
今回の旅行ではザダルからラブ島に行って、ラブ島でゆっくりと過ごそうと計画していた。
ラブ島も8月はイタリア人やドイツ人で満杯になるとガイドブックにあったので7月中に大急ぎでアパートに問い合わせして1軒のアパートを押さえておいた。
アパートを押さえてから、さてザダルからラブ島にどうやって行くのかなぁと真剣に調べたら、これが簡単ではなかった。
1つにはザダルから本土の海岸線沿いを北上してラブ島が本土に一番近くなるJablanacからフェリーで島に渡り、渡った先のラブ島Misnjakから中心地のラブ・タウンに行く方法があるようなのだが、この方法でラブ島に渡った白人青年のブログを見るとJablanacでバスを降ろされた場所からフェリー乗り場までが遠いらしい、さらにMusnjakからラブ・タウン行きのバスの時間が不確定。うーむ。問題が多い。
もう1つはザダルからバスでパグ島(島といいつつ陸路でつながっている)の先端の町ノヴァラまで行き、そこからフェリーでラブ・タウンに行く方法。
2番目の方がたやすいように思えた。しかしノヴァラからパグ・タウン行きのフェリーは1日1便で朝6時発しかない。ということで、私達はノヴァラ1泊を余儀なくされたのだった。
ザダルからノヴァラのバスターミナルまでは快適だった。バスはAntoni Tours社の大型バスで問題ないし、入り組んだ地形の海岸線は細い海峡をはさんで向かい側に木の生えない真っ白な砂丘のような対岸が見えて、それが美しい海水に映りこむ景色。沿道でワインや名物のパグチーズを売る老婆の姿が見えたり、途中のパグ町で大勢の観光客を目にしたりして楽しいバス旅行だった。
パグ島へは橋を渡って入る。入り組んだ地形が面白い。 |
美しい海峡のすぐ向こうに無人らしい山。変わった景色だ。 |
パグ島は塩で有名。パグ町近くには塩田が多く見られた。 |
パグ町を過ぎてからバスは高台に上がってパグ島の南西側へ。 |
すっかり遠足気分でノヴァラに到着したのだが、ここからやや苦難が始まった。
バスターミナルは町から離れた場所にあるようで辺りは野原と道路ばかりで何もない。観光案内所もバスターミナルの案内所もなく、町までどうやって行けばいいのかさっぱりわからない。わずかに民宿のオーナーが客引きに来ることを期待していたのに誰も来ていないので今夜の宿泊先が決まっていない私達は不安の雲がもくもくと心にわいてくるのだった。バスの事務所で聞くと町まで市バスが出ているというので、とにかくも町に向かった。
バス代金300円も支払ったので、どんなに離れているのかと思いきや乗車時間5分で町に到着。なんじゃ、この町は。
町の中心部にある観光案内所に向かうと、係員は今日の手持ちの宿、民宿は全て満室だという。えええ?もしかして野宿か?と焦る私に、案内所の人は直接足で歩いて探したら見つかるかもしれないと教えてくれた。
夫と荷物を案内所に残してさっそく宿探しを開始。観光案内所のあるメインストリートの1本裏から始めた。宿は相当数ある。ほとんどの家が民宿やアパート経営しているといってもいい程なので、片っ端から聞いてあるくも全部満室だった。中で1軒だけ1部屋空いているという家があったのだが、宿泊者を通訳にして老婆と話したところ私が1泊だけだというと老婆は吐き捨てるように「けっ」と言い手のひらを横に振った。まさに買い手市場、恐ろしく強気な状況になっていた。
10軒くらい訪ね歩いたところで「うちは満室だけど知り合いの家に1室余っているかもしれない」とある男性が案内してくれることになった。
到着したのはメインストリートから内陸に50mほど入り込んだ住宅街の中の1軒。アパートではなく家の中の数室を旅行者に開放している民宿なのだが、見せてもらった部屋はセミダブルベッドが1つで部屋の7割の床を占めているような狭い部屋だった。共同のバス・トイレは洗っても洗っても落ちない歴史あるきばみがついた代物だ。それでも宿泊している他の若者白人旅行者は案外楽しそうに過ごしているし、部屋を見せてくれているおじいちゃんとおばあちゃんも人が良さそうだから、1泊なら我慢してここでもいいかなぁと思い始めてきた。最後におじいちゃんに「それで1泊おいくらでしょうか?」と聞いた。
おじいちゃんがよれよれと震える手で私の手帳に書いてくれたその金額は一気に汗が引っ込む値段だった。一人KN130、つまり2600円。あの部屋2人で5200円を取るというのだ。
ノヴァラ、物凄い強気だ。
ここを逃したら本当に野宿になるかもしれないという不安もあったので金額を聞いても平静を装って「夫と相談してきますね」とにこやかに家を離れた。
やばい、本当にやばい。
1時間以上夫を置き去りにしたままだったので一旦観光案内所に戻ってみると、夫はとっくの昔にクーラーのある案内所を追い出されて炎天下で日に照らされていた。海岸沿いのメインストリートをフェリー乗り場に移動して木陰に夫を置いて、更にフェリー乗り場の裏手から家探しを開始することにした。すると1軒目にして1泊1部屋(ダブル)6000円という物件が見つかった。さっきのおじいちゃんの家よりも更に800円アップだが、こちらの方は新築のように美しく少しだけ広いし、ベランダもついている。こっちに決まり。こうしてノヴァラのバスターミナルに到着して2時間後にようやくチェックインできることになった。
今回の宿がこんなに高いのは、民宿ルールがあるせいだ。民宿(ソベという)を行っている一般家庭を保護する目的なのか、ノヴァラを含めこの周辺のリゾート地では夏季に限って4泊未満の宿泊者にはペナルティーを課すというルールがある。ノヴァラでは1泊だけの場合、通常価格の倍を請求してもいいことになっているようなのだ。だから通常はダブル1部屋で夏でも3000円が相場ということになるだろう。倍額になるというルールは宿泊することになった宿のお母さんが「こんなに高くなっちゃうけどいい?」という説明のついでに教えてくれたのだった。
ノヴァラがこんなにも強気なのは、人が押し寄せているからに他ならない。
ガイドブックにもあったがノヴァラには有名なクラブがいくつか開いていて、クラブで有名なスペインのイビザ島のクロアチア版とも言われつつあるのだそうだ。乗り継ぎ目的でこの町に宿泊せざるを得ない私達には全くもって迷惑な話なのだが、人が押し寄せるから各方面にバスやフェリーが出ているというのなら仕方ない。
確かに町には10代後半から30歳くらいまでの若者がわんさかと溢れていた。クラブは町の中心地から4km離れたZrce
beachなので夜はそちらに人が流れるのだろうが、午後3時くらいは昼から起き出した若者が町をぶらつく時間帯のようだった。
こんな辺鄙な場所とは思えない混雑ぶり。レストランやバーも充実していた。
フェリー乗り場から先はたくさんのアパートとビーチのエリアになる。相変わらず狭い砂利ビーチだが、午後4時のビーチは今から盛り上がるかという雰囲気を見せていた。さすがにここまで大きな町から離れると水もきれいで、岸からほんの1メートル離れただけで小魚がスイスイと泳いでいてシュノーケリングもなかなか楽しめる場所だった。
滞在した部屋は共同の冷蔵庫はあるがキッチンがない。レストランの食事はちゃんとしたシーフードなどを食べようとすると一人数千円の出費になるし、一人1000円以内に押さえようとするとピザという選択肢しかない。ということで、近所のスーパーでビール2リットル、パン、キュウリ、パグチーズ(ヤギと牛の乳のハーフ&ハーフだと割安)を買ってきてベランダで夕食とした。コーンブレッドというとうもろこしを挽いた黄色い粒の入ったパンがすこぶるおいしかった。これだけでも2人で1400円かかった。ま、その内チーズが640円、ビールが440円なんだけどね。
夜、する事もないので午後11時頃にメインストリートに出てみると、昼間は出ていなかった屋台があり、フェリー乗り場にはゲリラ的DJボートが現れて大音響で観衆を盛り上げたりしてにぎやかなことになっている。
昼間、バスターミナルから乗ってきた市バスは24時間運行しているそうで、ここはやっぱりクラブ目的の宵っ張りのための町仕様になっている。
私達の宿にもクラブ目的で1泊だけ来たというクロアチア人の若者2人が宿泊している。1泊だけだとかなり割高なのだが、それでも4泊するよりは安い。憧れのノヴァラに来られて嬉しいのか、彼らはウッキウキだった。
ノヴァラってそういう場所だ。クラブ目的で来たらいい音楽、はしゃげる仲間、気の利いたバー、そして昼間は美しい海。多少高くたって、これだけ揃っているんだからと納得の行く場所になっているのだ。私達のように乗り継ぎだけの人には割高。こんな事なら4泊した方が良かったな。
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