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2009.07.14
古代遺跡の中に現代が息づくスプリット旧市街
クロアチア:スプリット

 クロアチアの旧市街にはローマ時代から始まって様々な歴史の足跡を残す建物が残っている。どの時代の影響がより強く残っているかによって町の雰囲気が変わるわけだが、クロアチアを通して「まさにローマ時代遺跡の中に人が住んでいる」という印象を一番強く受けたのはスプリットだった。

 青空市場の店が並ぶ通りに面した東門は城壁が崩れかけて途中でなくなっている部分もある。東門を経て中に入るとそこはもうディオクレティアヌス宮殿の敷地の中になる。支柱だけがポーンと残った両脇に倒れた柱の残骸が横たわっていて、その柱の残骸に物売りが伝統の刺繍クロスなんかを広げて売っている。
 

 中央の支柱が立ち並ぶ広場にはローマ時代の兵士に扮した記念写真屋さんがブラブラと歩き、散策ツアーを募る女性がパンフレットを差し出してきて、団体観光客がツアーガイドの解説を聞きながら上を見上げている。

 ここにはカフェもあって、支柱の足元の階段に赤いクッションを置いて営業している。


 何か不思議な光景だった。まずこういう遺跡は文化財として修復されたりしているんじゃないかという常識、遺跡に刺繍クロスを置いたりカフェの席にしちゃいけないんじゃないかという常識が気持ちよくバサバサと壊されていく。時代と共に壊れるものは壊れ、残っていくものは残り、現代を生きている人は生活のために昔からある資産を使うのは当然だろうというこの態度。普段着な感じのスプリットは肩の力が抜けた世界遺産で気に入った。

 
 支柱の並ぶ中央の広場から左手に地下に入っていく階段を降りると、ここもアーチの並ぶ遺跡風な器なのに土産物屋がぎっしりと並んでいた。扱っているのは革製品の小物やアクセサリーやクロアチアのナイーブアートのレプリカなどで、大勢の観光客で賑わっていた。

 そうそう、この地下に降りる階段の右手に観光案内所があって、そこの床にドクロマークと紋章のような形が掘り込まれている。これだってかなり珍しいとは思うものの、なにせ出入り口の床なので多くの観光客に踏みつけにされていた。普段着の世界遺産でいいとは言ったものの、これは踏まないようにした方がいいんじゃないかなぁとちらと思ったりもした。




 広場から右手は迷路のような細い路地が左右に続いて古い家がびっしりと立っている。住居、事務所、レストラン、ブティックと様々に利用されて、中庭をのぞくと2階に洗濯物がぶらさがっていたりする中で、昔の貴族の屋敷で今は博物館になっているような場所では歴史を感じさせる装飾があちこち見られ、ここも遺跡と生活が同時に存在している面白さがあった。
   

 先ほどの地下宮殿の土産物屋を通り抜けて城壁の外に出ると城壁に沿って美しい白いパラソルの並んだオープンカフェがあり、ハーバーになっている。ゆったりと幅の広くとられた歩道、整備された街路樹と青い海が美しく、今まで歩き回っていた旧市街とは全く別世界に飛び込んできた気分になる。ハーバーを見てずーっと右手に歩いて行くと町を一望できる丘に登れるというので行ってみた。少しわかりにくい狭い階段を登っていくとやがて丘の一番上に出る。一番いい場所がカフェに占領されていたのはちょっとがっかりだったが、隣の展望ポイントからの町のながめはまぁまぁ美しかった。この丘一帯は散策道が敷かれていて、途中にちょっとした遺跡もあるようなので歩いてみたが、旧市街のエキサイティングな遺跡のあり方に比べると、遺跡目的で行くべき場所じゃないという感じだった。

 スプリットの旧市街は300m四方の中に入ってしまうくらいのコンパクトな場所だ。見所といっても小さな美術館や地下宮殿くらいなもので時間をかけてじっくりと見る施設もないので、1時間もあれば十分に周れる。しかし、私たちの宿に泊まっている白人バックパッカー達はこの旧市街に何度も足を運んで、今日はあの支柱が倒れている所でアイスクリームを食べてきたとか、今日はあの宮殿前のカフェでライブミュージックを聞きながらコーヒーを飲んできたとか嬉しそうに話す。

 2泊だけのスプリットで私たちが旧市街以外で足を運んだのは、魚市場と野外コンサートだ。魚市場ではマグロのトロを発見して早速買って帰って刺身で食べた。あまりの量に当分トロは御免だというくらいに満喫(?)した。野外コンサートは城壁外の広場の特設会場で行われたクラシックコンサートで演目は「Carmina Burana」、バレーダンス付きだった。ライトアップされた周囲の古めかしい建物とバレエダンスが幻想的な雰囲気をかもし出して素敵だった。演目はあまり好きじゃなかったけどね。旧市街の中も多少ライトアップされているし、ハーバーのカフェも夜遅くまでにぎやかで楽しかった。

 スプリットは短い時間に旧市街の見学して終わるいうよりは、自分も遺跡の中で遊ぶという時間の過ごし方がいい。本でも持っていって遺跡に腰掛けて日陰で本を読むのも贅沢な時間の過ごし方だろうなぁ。


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