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2009.06.30 Vol.2
ミレー島に日帰り上陸
ミレー島へはツアー利用と定期船利用がある。定期船はNona Anaという会社から出ているのだが火曜日と木曜日しか便がないのでツアーもそこそこ需要があるようだ。定期船で行くと往復一人KN100(2000円)でツアーよりも安いので、私たちは当然定期船を選択した。
定期船Nona Anaのチケットはフェリー乗り場にあるNona Anaのチケット小屋で出発の1時間前から発売される。午前9時15分の便に合わせて8時20分にチケット小屋に到着したが4人くらいの人しか待っておらず、この時期ならそんなに早く来なくても良かったみたい。といっても出航した船はほぼ満席でぎりぎりの時間に来たら乗れなかった。7月、8月だったら1時間前、6月、9月なら30分前に買えばいいという見当になるだろうか。
船は両側に足がついたようなカタマランだが、アドリア海自体がイタリアとバルカン半島にはさまれた巨大な湾である上に、今日の航路はバルカン半島の島々の間を進むのでなおさら海は静かで全くといっていい程揺れを感じなかった。ミレー島は東西に細長くて東端と西端に1つずつハーバーがある。東端のソブラSobraは住民が住んでいるエリアでホテルやソベもあってミレー島に宿泊する予定の人が降りていったが、私たちが向かうのは国立公園のある西端のポラチェ。日帰りの人はここで降りる。
インフォメーションで軽く説明を聞いてから国立公園管理事務所で公園代金一人KN90(1800円)を支払ったら島内探索開始だ。島内をとてもわかりやすく解説した大きな地図が管理事務所の外に掲示してあるので、これを見て行動予定を立てればいい。といっても、下記地図の@がフェリーが到着してインフォメーションや管理事務所のある場所で、Aの湖のほとりまでは無料の送迎バスがあり、AからBとBからCのフェリーボートも無料だということになれば、無料の交通機関を使って@からCのように巡ってAからバスで@に戻るというのが順当な順路だと決まってしまう。もっとアクティブな人は無料交通機関の権利は放棄して@で自転車をレンタルして湖の周囲を走り回っていた。この方法だと湖の南側はやや高度があるのでBの孤島に立つ教会を上から眺められる。
無料の交通機関があるのにわざわざ有料で自転車をレンタルして自力で周るという発想が精神の豊かさを感じるねぇ。発展途上国の山岳地帯にある国立公園に先進国の人が山登りをしに行くと、現地の人は「わざわざ休暇なのにお金を使ってくたびれる山登りをしにくる」と驚くという話を聞いたことがあるけれど、この時の私たちはどちらかというとこの現地の人の気持ちに近くて、「使わなきゃもったいないよね」と無料の交通機関を利用することにした。
公園の入場チケットにはミレー島の美しい上空からの写真が印刷してある。湖といっても海への切れ目のある海水湖で、ミレー島が島なのにその海水湖に小さな島が浮いていて、そこに教会が建っているのがチャームポイントなのだ。
ここにはオデュッセイが7年間住んでいたという神話があるそうだ。
インフォメーションからミニバスに乗って@に到着するとすぐにもBに向かうボートが待機していたので、あれよあれよとBの小島まで連れて行かれた。ミレー島というと上の写真のように上空から撮影された写真ばかり見せられていたので、ボートという低い目線からこの小島を見上げると予想とちょっと違ってそんなにファンタスチックには見えない。そうかぁ、高台から見下ろさないと神話の世界は見えてこないのかとややがっくり。
やっぱり自転車を借りて小島を見下ろすコースを取った方がよかったかなぁとやや後悔もしてみたのだが、ボートを降りて島に降り立ってみればドブロニクの海よりもずっと澄んで美しい海。これはいい、これは泳ぎたくなる美しさだ。
島内にはレストランが一軒と教会がある。自然に溶け込みそうに風化した教会や残った柱がこれまた神話に出てきそうな雰囲気を出していい感じだった。小さな島なのでぐるーっと歩いて一周するのに30分くらいしかかからない。途中海沿いから少し中に入らなければ歩けない場所もあるがほとんど海沿いを歩ける。光の加減と向きと周囲の森の濃さによって、湖の色が変化して同じ湖を見ているのではないような感覚が面白かった。皆、思い思いの場所を陣取って思い思いの行動に出ていた。クロアチア人のおじちゃん、おばちゃん集団は全く泳ぐ気がないらしく、ザザッとやってきて全員水着になるや持ってきたビールとシュナップスだろうか透明のアルコール度が高そうな酒を湖の水がサラサラと入ってくるみずたまりに漬けていきなり酒盛り開始。暑くなるとざぶんと使ってクールダウンしては、また酒をあおってがっはっはと笑う。この人達はもう夕方までここまでいる気かもしれない。
ここの小島の湖畔は水も冷たすぎず、水から出ても暑過ぎず、完璧な温度の状況でとっても気持ちがいい。しかし、この先にどんなお楽しみが待っているかわからなかった私たちは、2時間後の午後1時40分のボートでCに移動してしまった。結局、ここの水が一番きれいだったので知っていればもっとここに長居したかった。Cは大きな湖から水が流れ込んだ小さな湖がある場所で、小さな湖は水の流れがあまりないせいか細かい砂が堆積して水に入ると巻き上がるので濁ってしまう。その分、水温がやや高いので子供連れの家族などはここに拠点を構えてまったりしていた。私たちは多少冷たくても美しい水で泳ぎたいと思っていたので、ここはあまり魅力なし。今度はCからAに向かって美しい場所を探しながら歩くことにした。途中には木の切り株でできた椅子が突然あったり、湖畔の樹木と湖とボートが絵葉書のような風景を作り出していたりして歩いているだけでもなかなか楽しい。
地図上に途中に展望ポイントに向かう道が書かれていたので探しながら歩いていると、非常にわかりにくいが右に入る道が見つかった。おいおい大丈夫か?と思いながらも林の中をぐいぐい上っていくこの道を行けば確かに視界が開けそうだ。
到着した場所は岩山のてっぺんで、そんなに高さはないのだが最初に訪れた小島が見えたり、入り組んだ大きな湖の様子が見えたりする。こんな所に上がってきている人は誰もいなくて、この森深い島に自分達しかいないような気分になれる。それにしてもクロアチアの島は、いやクロアチアの本土もそうだが浜辺というものがない。どこも海からすくっと立ち上がったような海辺や湖畔になっていてすぐに森が迫っている風景なので森と海が一度に視界に入ってくる。似た様な風景ではアルゼンチンのバリローチェの湖水地方、行ったことはないけれどフィンランドにもこういう湖水地方があるんじゃなかったっけ?だからこういう風景を見ると、すぐに清々しくて冷涼な空気を思い出すんだけど、ここは泳げるくらいに今は暑いから、自分の印象と現実の気温のギャップというのも面白かった。
坂を上ったり下ったりして体が火照ってきたので、道端から勝手に湖畔に降りてひと泳ぎ。散歩をしていて気が向いたらどこでも泳げるから気持ちいい。クロアチアの他の場所の例に漏れず、ここも水に入ったら1mくらいですぐに足がつかなくなるがクロアチアの海はとても浮きやすいので怖くない。水からあがってずぶ濡れで歩いていても、空気が乾燥していてひざしが強いのですぐに乾いちゃうのも便利だ。
歩いては泳ぎ、歩いては泳ぎしながらAの地点に戻ってきたのが午後3時過ぎだった。もうどこかに行くには時間が足りないし、@へのバスには時間が余りすぎていたので@まで歩いて戻る事にした。車の走る道ではなく森の中のトレッキングパスを歩くのでとても涼しく歩ける道だ。トレッキングパスは地図に描かれている以外にも存在しているらしくしばしば他の道と交差していて、こんな森を歩く人はいないだろうと思っていたら案外人が歩いていたりして驚いた。この島に数日宿泊している人なんかは隈なく歩き回っているのかもしれない。
徒歩30分で@に到着してレストランでビールを飲みながら帰りのフェリーを待って午後4時55分の便でドブロニクに帰って来た。ちょっと時間の使い方が良くなかったなぁ、今回は。Bの小島でもっとゆっくりするか、自転車を借りてビュービュー走り回ったらもっと満足度が高まっただろうと思う。それにしてもミレー島の小島付近の水はきれいだった。ドブロニクから日帰りで1つだけ島に行くならミレー島がいい。
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