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2009.05.13
ポルトガル南部の漁港町Olhaoで出会ったのは・・・
ポルトガル:Olhao

 さーて、いよいよポルトガル入りだ。といってもEUになってしまったから国境らしい国境もなく、最後に大きな橋を渡ったら「ようこそ」みたいな看板が出ていて、あっという間にポルトガルに入ってしまった。

 突然、道路の質が悪くなることもなくスペインとポルトガル、何の支障もなく滑らかな移動だった。

 今夜の宿泊先はポルトガルの南側を占めるアルガルベ州の真ん中辺りにあるOlhaoという町。州都ファロから10km東、首都リスボンからは来るまで5時間南下した海沿いの町でガイドブックによれば州で最大の漁港ってことになっている。ファロではなくOlhaoに宿泊することを決めたのも、10kmくらい手前でおいしい魚を食べられるんならそっちがいいじゃないかって理由だ。

 町外れにあるキャンプ場は、コスタ・デル・ソルのキャンプ場と同じく長期で滞在している白人が多い。巨大なキャンプ場は場内にスーパーあり、プールあり、コインランドリーあり、レストランあり、バーありと小さな村を形成する勢いで、近所のおばちゃん(英語圏同士だった)が焼きたてのパンを抱えたまま立ち話している。ふーん、北部のヨーロピアンは歳を取ったらこういう所でぬくぬくとしているのねぇ。ここは気候も良さそうだし、海もパッと見た感じではコスタ・デル・ソルよりもきれい。何よりも最大の漁港ってのが魅力的で日本人にとっても悪くない場所に思えた。

 ここには1泊しかしないので観光はしない。目的は「魚」にあるのみだ。11時にはテント設置完了。もしかしたら魚市場が午前中で閉まるんじゃないかという恐れもあったので、さっさと市場に向かうことにした。

 市場の周囲は大変に混雑していて駐車場所を探すのに一苦労。路上の有料駐車場を見つけてようやく市場に入った。市場は1魚だけの棟と野菜と果物と肉の棟に分かれていて、圧倒的に魚のスペースが広いのはさすがOlhaoという感じだ。

 太刀魚、えい、もちろん鰯、サバなどの魚、様々な種類の海老があちこちで売り買いされている。とりあえず、全ての場内を見学しようと歩き回っていると、小柄な東洋人の女性が足を止めてこちらを見ているのに気づいた。

 彼女は「もしかして日本人ですか?」と英語で聞いていてそうだと答えると、今度は日本語で「あっらー、日本人、久しぶりねー」と言うではないか。お茶でも一緒にしましょうと誘われるままに、彼女行き着けのバールに行ってコーヒーをご馳走になることになった。

 彼女の名前は日高さん。日本人の旦那さんがここでマグロの仕事をしているので住み始めて15年になるという。この年の6月に本をOlhaoの生活を描いたエッセイを出版されるのだそうだ。

 「本が出たら買ってねー!」という宣伝から始まって、ここでの日々の暮らしのこと、出会った変わり者日本人旅行者の話、Olhaoの地元民の閉じた性格、それをいかにこじ開けてコミュニケーションしてきたかという話など、次から次へと面白い話を聞かせてもらえた。

 出版される本のタイトルは「アルファローバの木の下で 南ポルトガルの笑う犬」。「なっがいタイトルでしょ?私も定かじゃないんだけどさ、こういうタイトルだったと思うわ」といいながら名刺の裏に書いてくれた。ブログもされていて、日高さんの日々の生活が生き生きと伝わってきて面白い。
ブログ:http://aomeumi.exblog.jp/

 ここOlhaoは海の目の前に小さな島がいくつかあって、そこに船で行ってゆっくりとピクニックや海水浴を楽しむことができるんだそうだ。今年は天候不順で寒いが、いつもならこの時期から泳げるという。Olhaoの魅力は魚市場だけじゃなかったのだ。しかもまさか日本人、それも旅行者ではなく在住の人に会えると思っていなかったから、翌日に既にリスボンの宿を予約していなかったら、もっとここに居られたのに残念なことだ。

 このお店に座ってコーヒーを飲んでいると、次から次へと地元民がコーヒーを飲みに現れる。日焼けしてシワが深く彫りこまれたいい顔立ちのいかにも漁師さんという老人、甘い物大好きという体型のご婦人(またまたケーキを食べていた)、威勢のいい市場のお兄ちゃんなど、この町に暮らす人々の生き生きとした話っぷりや表情が目の端に映るのも楽しい光景だった。

 この後、日高さんにはお買い物を手伝ってもらうことになった。なにせポルトガル語はちんぷんかんぷんだし、市場の威勢のいいおじちゃんやおばちゃん相手に少量の買い物をするのは本当はすこぶる難しいことだろうけど、彼女のお陰でスムーズにお買い物。鰯はまだ旬ではなく今の時期はスペインから輸入ものだと言われたが、「ポルトガルに来たら鰯の炭火焼を食べよう!」と思っていたらまず鰯を買う。そして日高さんおススメがサルモネッテという赤い魚。この魚は海老を主食にしているから身も赤くなるし味も海老の味がするという不思議な魚で、他の魚に比べるとややお値段が高い。んじゃ、それもいってみよう。

 サバも1本買って、合計7匹で8.5ユーロ。活きの良さといいボリュームといい、かなりお得なお買い物だった。

 夜は炭火を焚いて、これらの魚のBBQ。たった1泊の滞在だったけれど日高さんとの出会いによって内容の濃いものになった。そうそう、おススメされたサルモネッテは本当に海老の味のする魚で旨い。この後、ポルトガルの他の場所でも見たが、ここで見た値段の倍くらいしていた。


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