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2009.03.10
タンゴレッスンを見学に行く
宿にマスオさんという私達と同じ年代の人がいる。南米には仕事である買い付け目的できているのだが時間を自由にできるということで旅も一緒にしている人だ。彼が最近はまってしまったのがタンゴレッスンだ。宿から徒歩15分弱の所にイデアルというコンフィデリア(カフェレストラン)があるのだが、そこの2階にミロンガがあってそこでレッスンを受けているんだそうだ。ミロンガというのは一般の人々がタンゴを踊りに来るためのダンスホールなのだが、ミロンガ自体が一つの音楽形式の名前でもあるそうだ。
レッスンから帰ってくる度にマスオさんから様々な情報が入る。
イデアルの1階のコンフィデリア |
「イデアルはエヴァ・ペロンを描いた『エビータ』という映画のロケにも使われた歴史あるカフェなんだよね。先生は日本人女性のミキ先生ってのがいて、毎週火曜日と金曜日の12時から15時までのレッスンで25ペソ(=US$7、2009年3月10日現在の換算レートA$1=US$0.28)なんだ」
とか
「今日はアメリカ人観光客が参加者に多くてダメだったなー、皆やる気がなくって」といった次の回に「今日は、良かった。今日は良かった。フランス人の若い女の子が初歩クラスにいて。いやー、楽しかったなぁ」とか。
こんなマスオさんの反応を毎回見ているうちに、レッスンとまではいかなくとも見学に行ってみようかと言う気分になってきた今日、マスオさんにくっついてイデアル詣でをすることにしたのだった。古めかしい建物を入ると正面がすぐにコンフィデリア。シャンデリアの下がったクラシカルな作りで、週に何度かはタンゴショーも行われるようなお知らせが書いてあった。
コンフィデリアに入る手前の左手の階段をあがると、そこがイデアルのミロンガになっている。階段を上がっている時からタンゴが聞こえ始めて、既にワクワクした気持ちがわいてくる。ブエノス・アイレスに来て初めてブエノス・アイレスらしいことをしているなぁ。
テーブルと椅子が取り囲むダンスホールの真上には美しい飾りの付いた明りとりの天井がある。ミロンガというと夜中近くから明け方までの営業が通常なのだが、昼間つまりマチネのミロンガやレッスンをイデアルで行おうと思い立って今日に至っているのがミキ先生が所属するEl
Abrazo Tango Club だ。
12時を回るとフロアに人が出始めた。もちろん踊っているのは上級者ばかりで、それを見ているだけでもかなり面白い。初級者はフロアの外のバーカウンター前のスペースに集められてレッスン開始。まずは「心」で音楽を聴きながら歩く練習をしていた。
私達は見学者なので、レッスン費を徴収しにくるお姉さんにも「見学だから」と費用を払わずに気楽にあっちを見たりこっちを見たりしていた。
アルゼンチンタンゴというと華やかに女性が足を蹴散らし、男性が女性をぐりぐりと回すような悪路バティックな動きを想像するが、ここでのダンスはそういう派手な動きはない。そりゃぁ上級者の中には足を蹴り上げる人もいるが、そんなに大きな動きではなく、それよりも音楽に合わせていかにスムーズに感情を込めてサラサラと踊れるかというのがポイントみたいだ。必ずしも同じカップルで踊るのではなく、パートナーを代えて踊ったりもしている。マスオさんのレッスンを見に来たはずなのに、私達の目はどうしても上級者のレッスンに向いてしまうのは仕方のないことだった。
レッスン時間は3時間。色々な人たちを見ていたらあっという間に時間が過ぎていった。
レッスンが終了した後にミキ先生とちょっとお話したのだが、とても感じのいいハキハキとした先生で気が付いたら「次回のレッスンからよろしくお願いします」ってことになっていた。
こうして私達のタンゴレッスン受講生活が始まったのだった。
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