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2009.01.19
パイネ国立公園の計画
相変わらず天気が悪い。Yahooの天気予報サイトで概況を見ていると大きな雲の塊がこの辺りを覆いつくしては去り、覆いつくしては去りしているので激しく雨が降っては急に晴れて、また雲がドーッと襲ってくるというのを繰り返している。ここにいると虹なんて珍しくも何ともなくなる。
天気待ちをする間にパイネ国立公園をどう楽しむかを検討する時間がたっぷりあった。
●一番お手軽は一日ツアーに参加
パイネ国立公園には様々な楽しみ方がある。一番お手軽なのは1日ツアーに参加することだ。一日ツアーで一人CLP18000(=US$30.06、2009年1月19日の換算レートCLP1000=US$1.67)。プエルト・ナタレスの町からパイネ国立公園を周遊して宿まで送ってくれる楽チンツアーだが、全景色を遠目に見るだけなのでアクティブな人には物足りないかもしれない。
●トレッキングの交通
トレッキングを楽しむ人が利用するのはプエルト・ナタレスとパイネ国立公園を往復しているバスだ。町から出発して公園内に3ヶ所停車する。トレッキングを始めたい場所で降りて、トレッキング終わった場所から乗れる。往復で買っておいて帰りはオープンにして数日後に予約なしで乗ることができる。
3社からバスが出ているが安いのはJBAという会社でCLP12000(=US$20.04)、他の2社はCLP15000(=US$25.05)だ。宿でバスをたのむとバス会社と契約できている宿には迎えに来てくれる。ただし宿によってバス会社が決まっていてJBAとは限らない。
私達が宿泊したBackpackers KawashkarはJBAとつながりがあった。宿がJBAとつながりを持っていない場合(宿が提示するチケット代金がCLP15000と言われた時点でJBAでないとわかるだろう)は町中のJBAオフィスに行ってチケットを購入して、オフィス前から乗ることが可能だ。
また、チケットがなくても例えばサルト・グランデから公園入り口の最初の停留所までという短距離は席に空きがあればその場で運賃を支払って乗れるようだ。グレイ氷河のトレッキングを楽しんでフェリーでサルト・グランデ側に渡ってバスで公園入り口まで行き、そこからトーレス・デル・パイネへのトレッキングを楽しむという人もいた。
このバスをペオエ湖のサルト・グランデの近くの停留所で降りてレフヒオ・ペオエのある場所までフェリーで渡ることができる。片道CLP11000(=US$18.37)、往復CLP18000(=US$30.06)でチケットはフェリーに乗ってから船内で販売する。降り際にチケットを買おうとすると混んでいて船を降りる時間も遅くなるので早めに購入した方がいい。
●宿の話
宿はどうなっているのか。国立公園内には無料のキャンプ場、有料のキャンプ場、ドミトリー形式の山小屋であるレフヒオ、それにホテルやオステリアという最高級レベルの宿泊施設の4種類がある。
無料のキャンプ場にはシャワーがなく、全てのキャンプ用具を自分で用意して持っていく必要がある。キャンプ用具はプエルト・ナタレスの町中で全てレンタルすることができる。有料のキャンプ場にはシャワーや売店があり、キャンプ場でキャンプ用具の貸し出しも行っている。もちろん自前のキャンプ用具を使うことも可能だ。有料キャンプ場は大抵はレフヒオに併設なのでレフヒオ内のレストランを利用することも可能。有料キャンプ場利用代金は場所によって異なるが一人CLP3500(=US$5.85)〜CLP4000(=US$6.68)。
レフヒオはあらかじめ予約する必要があり、寝袋も持参するか現地でレンタルすることになる。料金は場所によって異なるようだが例えばグレイ氷河のレフヒオはベッド使用料金がCLP15000(=US$25.05)。
私達はグレイ氷河とフランセス谷を訪れようと思っていた私達はグレイ氷河のキャンプ場でテント、寝袋、マットを借りようとしてプエルト・ナタレスの町中にある観光案内所を訪ねた。案内所が教えてくれたのはグレイ湖沿いのホテルの事務所。ホテルの事務所はここではないと教えてくれた場所を訪ねると、そこはグレイ氷河にあるレフヒオの事務所。そこでやっとレフヒオに併設されたキャンプ場の事務所を教えてもらうことができた。
このようにパイネ国立公園内の宿泊施設はバラバラに運営されていて、予約や空き状況もそれぞれの事務所に聞かなければならないのがややこしい。トーレス・デル・パイネのオフィシャルサイト(http://www.torresdelpaine.com/)のHotel and Lodgesのコーナーに行くと管轄ごとに電話番号が書かれているがプエルト・ナタレスでのオフィスの場所は書いていない。まるで個人は相手にしていませんという態度は3年前と変わりない。やれやれ。
グレイ氷河のキャンプ場を取り扱っているのはVertice(http://www.verticepatagonia.cl/)ということがわかった。Verticeはパイネ国立公園の西側のレフヒオとキャンプ場を管轄している組織のようで、北側からDickson、Los
Perros、Grey、Paine Grande(Peoheのことだと思う)を管理している。
プエルト・ナタレスの町中でキャンプ場を管理している事務所はEsmeralda通り沿いのBlanco
EncaladaとBaquedanoの間のブロック。真っ赤な一軒屋で看板は出ていない。
同じVerticeでもレフヒオを管理しているのは、Andescapeという組織でプエルト・ナタレスではArturo
Prat通りがPhillipi通りにぶつかる手前の右手に事務所がある。私達はレフヒオに宿泊するつもりはなかったが、併設のキャンプ場に宿泊した場合に利用できるレフヒオの施設について聞くためにこの事務所を数回訪れたりした。
さて、Verticeのキャンプ場管理事務所でグレイ氷河キャンプ場でテント、寝袋、マットの予約状況を調べてもたった所、私達が予定していた日には寝袋が全て予約されて借りられないという。そこで町中のレンタル屋に行って寝袋を見せてもらったところ、どの店も布団のように巨大な寝袋しかなかった。寝袋を持っていくためにはバックパックも借りなければならない。そうやって考えると、ええい、面倒だ。全てを町中で借りて担いで持っていくことにしたらいいじゃないか、という風に考えが変わってきた。
●レンタルについて
キャンプ用具のレンタル店は町中にいくつかあり、また宿泊している宿でもレンタルを行っていたが、値段を聞いた中では地図中にマークしたレンタル屋が一番安かった。この店はレンタカーを主体に行っている店で付属でキャンプ用具も貸しているようだ。
レンタルする場合、テントは広げてもらって破れや支柱に破損がないかどうかあらかじめ確認。調理器具と食器セットも全部中を広げて内容を確認した。
また、レンタル期間の考え方も確認すべきだろう。例えば出発前日の夕方から借りて2泊3日のトレッキングから帰ってくる日に返した場合にレンタルした日数が2泊とカウントして、「1日レンタル料金×2日」とする店なのか、3日としてカウントする店なのかによって料金は大分変わってきてしまう。通常は2泊としてカウントする店が多いが事前に確認すべき点だと思う。借りる際にはクレジットカードを提示してデポジット代わりにする。ちゃんと返却しなかったらクレジットカードに課金されるシステム。戻ってきた時にクレジットカードあるいは現金で支払いをするが、現金で支払いをした場合はクレジットカード支払い用の用紙を目の前で破って捨ててもらう。費用は下記「費用のまとめ」を参照。
●今回のルート
この状況がルートを考える上で大きな影響を与えた。当初はレフヒオ併設の有料キャンプ場しか行かないつもりだったが自分で全てを担いでいくとすると無料キャンプ場にも宿泊できる。3年前にトーレス・デル・パイネには訪れていたので、今回はグレー氷河とフランセス谷に行ければいい。ということで、
1日目 往復バスでサルト・グランデまで行き、ペオエまでフェリーに乗り、そこからグレー氷河のキャンプ場まで行ってキャンプ場泊
2日目 グレー氷河にもっと近づくトレッキングを楽しんで同じくグレー氷河キャンプ場泊
3日目 グレー氷河キャンプ場からフランセス谷の無料キャンプ場イタリアーノまで歩いて泊
4日目 キャンプ場からフランセス谷の奥まで歩いて戻ってイタリアーノ泊
5日目 イタリアーノキャンプ場からペオエまで歩いてフェリーに乗ってサルト・グランデ。そこからバスでプエルト・ナタレスに戻る
という計画を立てた。
パイネ国立公園のハイライトを歩くいわゆるWというコースを通常5日間で行うが、これに比べると随分とゆったりした日程で1日おきに荷物を置いてトレッキングだけ楽しむという日程にした。キャンプ用具を全て担いで歩くのは初めての経験なので5日間ぶっ通しで荷物を担いで歩く自信がなかったし、Wを8日なり10日なりかけて歩くと好天が長続きしないだろうという予想からだった。この読みは当たり歩いている時はほぼ好天、帰る日になって天気が崩れ始めた。
●準備
日程を決めたら、あとは準備。
・テント、寝袋、マット、クックセット、調理用ストーブ、バックパックはレンタル。調理用のガスは大きいサイズ450gを1つ購入した(CLP3170=US$5.29)。
・衣類は全天候を考慮して、下着、半袖Tシャツ、ソフトシェル、中綿ジャケット、ウィンドブレーカー、長ズボン、アンダーパンツ、中綿パンツ、防水防風パンツ。
・食料は
−朝食としてパン、ハム、チーズ、クラッカー、バナナチップス、コーヒー、
−昼食としてシリアルクッキー、チョコ、バナナチップス、砂糖衣ピーナッツ、ドライフルーツとピーナッツ、コーラ
−夕食としてマッシュポテト(ハムあるいはサラミ、チーズ入り)、ラーメン、赤ワイン
夕食がマッシュポテトとラーメンばかりだと嫌になってしまうかもしれないので、一度は外食を入れることにした。キャンプ場がレフヒオという山小屋に併設の場合はレフヒオのレストランで外食ができる。夕食セットは一人CLP9000(=US$15.03)だった。スープ、メイン(ステーキとパスタ)、デザート(モモの缶詰)、ジュース(2人に2リットル入りくらいの容器1つ)、量たっぷりでお腹一杯になった。
雨が降ることを考えてゴミ袋を買って、全ての荷物は小分けしてゴミ袋に入れてからバックパックへ。ワインはガラスのビンが重いのでペットボトルに詰め替えて2本分。キャンプ場の夜は冷えるのでワインはとても良かった。ラーメンはマルちゃんラーメンを2袋だけ持って行ったのだが運動しているので2人で3袋必要だった。他の夜はマッシュポテトにしたが、汁物のラーメンの方がいい。ラーメンの夜をもっと増やしても良かった。食料についての宿のオーナーからの指南としては、朝は炭水化物と少し油分のあるチーズやナッツやバナナチップスでエネルギーを補給。昼は手軽に食べられてエネルギー補給できるもの、夜は油分を少なく体に負担をかけないものが望ましくツナ缶などもオイルではなく水煮にした方がいいそうだ。歩いているとパワーとビタミン不足を感じる。チョコレートやナッツを食べるととても元気になったので良かったが、もっとドライフルーツをたくさん持っていけば良かった。ドライフルーツが信じられないくらいおいしく感じられた。
●費用についてのまとめ
・交通費、往復バス代金一人CLP12000、フェリー往復代金一人CLP18000
・国立公園入場料金、一人CLP15000(公園を出るまでの費用で1日でも複数日でも同じ料金)
・宿泊費、有料キャンプ場一泊一人CLP3500×2泊、残り2日は無料キャンプ場
・食費 持っていた食料とは別に初日の夜レフヒオで夕食一人CLP9000、ビール350ml1缶CLP2000、チリの丸いパン9個CLP1000
・用具レンタル費 私達はテント×1、寝袋×2、マット×2、バック×2、クックセット×1を地図中の店で4泊分借りて(CLP30500=US$50.94)、別の店でスティック2組(4本)を5日分(CLP15000=US$25.05)、宿で調理用ストーブ×1(CLP6000=US$10.02)を借りた。地図中の店は最初の段階でバックパックの課金を忘れていて、返却時に気づいたのだが「まぁ、いいや無料で」とバックパックの料金を取らなかった。だから正確にはバックの値段は入っていない。
●天気について
ここまで準備が揃ったら、あとはいつスタートするかというのが大切だ。日程に余裕があるならYahooの天気予報(http://weather.yahoo.com/)で天気をチェックして晴れを待ちたい。その日の天気予報を見るだけでなく、南米にフォーカスした概況を時間を追って見る事ができるSouth
America Satelliteもじっくり見たい。宿のオーナーのオマールがもしかしたら月の満ち欠けと天気が関係あるかもしれないと言っていて、2009年は1月11日が満月、15日後の1月26日が新月だった。11日にはエル・チャルテンにいたのだが満月の5日くらい前から天気がとても良くなり、その日以降にくずれていた。もしかして当たっているかもしれない。ということで次の新月の5日前21日くらいから出発するという予定で考えた。通常の天気予報と合わせて見ていたら20日から天気が崩れて21日にも悪天候がかかっていたが22日から好天になりそう。ということで出発を1月の22日、そこから4泊5日で26日に帰ってくることにした。これがバッチリ正解。ほぼ全行程を雨なし、強風なしで過ごすことができた。満月、新月説、考慮してみる価値があるかもしれない。
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