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2010.03.15
朝の市場はモーニングチョコの香り
夜行バスに乗って11時間、サンクリストバル・デ・ラスカサスからオアハカに朝8時に到着した。バスは横3列で前の座席の裏についている足置き台を倒すと膝から下が乗せられるようになっている。これはルホLujoというクラスでこの路線の中ではファーストクラスだ。
乗る前に飲み物とイヤホンとアイマスクが配られた。各座席には映画が見られるモニターが付いていて好きな映画を見放題ってなことになっている。さすがファーストクラス!
と思っていたら私のモニターが調子が悪くてまるで使えない。仕方ないので夫の画面を一緒に見ていたのだが、サンクリからの道は山道で曲がりくねって、映画を見ていたら気分が悪くなってきたので早めに寝る事にした。車酔いしやすい人にとっては個別モニターよりも中央の1つモニターの方が気持ち悪くならない。せっかくの個別モニターなのに意味がなかったなぁ。
メキシコでは国内航空も発達していて、お金のある人は長距離になるとエアーで移動するからバスはこのレベルが最上級になっているんだろう。エアーがあまりないアルゼンチンでは、こういうバスの更に上級に座席が本当にまっすぐベッドのようになるバスがあって、それが最高級になる。一度使ったことがあるが、さすがに全く疲れを感じなかった。
オールフラットになるバスに比べると今回のバスはやはり疲れを感じたが、メキシコにありがちな凍えるほどエアコンを効かせるということもなく丁度いい室内温度でかなり快適だった。
朝8時にバスターミナルに到着し、タクシーであらかじめ目星をつけておいた宿に乗りつけた。幸いにも空く部屋はあるが11時以降じゃないと空かないということで、荷物を預けて朝食がてら市場へぶらぶらと行ってみることにした。
朝9時のベインテ・デ・ノビエンブレ市場周辺は、これから仕事を始めようとする店が屋台を組み立てたりして朝の忙しい風景を作りだしていた。まだ、ちょっと早かったかなぁ。
そう思いながら市場の中に入ると、小さく仕切られたいくつものレストランにはお客さんがびっしりと座っていて朝ごはん中。メキシコ人が多い。地元の人ばかりでなく観光で訪れたメキシコ人も多いようで、オアハカが国内旅行の行き先としても人気が高いことがうかがわれた。
朝から具のたっぷり入ったスープやステーキを食べる人もいるが、大抵の人が食べているのはパンとホットチョコレートだった。カフェオレボールのような茶碗になみなみと注がれた飲み物から甘いチョコレートの香りがそこここで漂っている。ホットチョコレートにパンをつけてシュワシュワにして食べるのがオアハカ流らしい。ちょっとヨーロピアンなこの風習が面白く、私達もこの朝食を楽しんだ。
この市場は今までの町にある市場とちょっと違う。地元民向けというよりは観光客向けなのだ。レストランの他にはオアハカ名物のオアハカチーズやチョコレート、民芸品を売る土産物屋から構成されている。地元民向けの生鮮食料品を売る市場は、道をはさんで向かいのベニート・フアレス市場になる。今回の朝ご飯の後、この市場で昼食も食べたがどうにもツーリスティックな値段とボリュームが気に入らなくて、足が向かなくなった。ここよりは市場から2〜3ブロック東にずれた界隈の食堂の方がよっぽどもしみじみしておいしい。
市場の外側にも路面店がずらりと並んでいる。直径10cm、高さ5cmくらいの塊を5つぐらいのパッケージにしているのはチョコレートだそうだ。コーヒーのように粉のまま売っている場合もあって、これらは全てさっき飲んだホットチョコレート用なのだろう。真黒な彫刻を売っている店はサンバルトロ・コヨテペックというこの漆黒の彫刻が名物の村からの出店のようだ。メスカル屋もあちこちにある。世界的にはテキーラが有名だが、テキーラと同じアガベから作る蒸留酒でテキーラ村以外で造られたものはメスカルとよばれるのだそうだが、オアハカはメスカルの産地としても有名だそうだ。テキーラはテキーラ村で造った物しか名乗れないというのはシャンパンと同じ理屈だ。朝っぱらからアルコール度40度のメスカルの試飲をあちこちで勧められたが、これは断った。夜行明けでメスカル飲んじゃぶっ倒れてしまう。
こうして、朝市場に来てみただけで民芸品あり、名物の食べ物や飲み物ありでメキシコ・シティーからもバスで1日で来られる事を考えると、オアハカは格好の観光地になっている理由がよくわかる。陽気で楽しい観光の雰囲気がある町だ。
歩いていてだんだんと目が覚めてきた気がしたが、11時に宿に戻ってチェックインしてベッドで横になったら思わずぐっすりと眠ってしまった。やっぱり夜行バスは疲れる。オアハカではカンクンで出会ったオアハカ在住の協力隊員との再会をメインイベントに、近郊の村や遺跡を巡る予定にしている。到着した今日はとりあえず隊員さんの到着待ちだ。
午後からは街をぶらぶらして待ち合わせ場所に待機。予定通りの時間に2時間半離れた任地からはるばるやってきた彼女を迎えた。
いやー、嬉しいですね。
この日は一緒にご飯を作り夜までたっぷりとおしゃべりを楽しんだのだった。
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