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2010.03.04
メリダ近郊の村クサマ発、3つのセノテを巡るトロッコツアー
メキシコ:メリダ

 この情報はカンクンの日本人宿「ロサスシエテ」の情報ノートへの書き込みで知った。この時点で「地球の歩き方」にも「Lonely Planet」にも出ていない、おそらく最新にして最高に面白いツアーなので、是非紹介したい。

 ここユカタン半島は石灰岩の地質を持ち、降り注ぐ雨水が地下水として溜まり、地下水脈を作って所々で沸いて泉を形成する。地下にぽっこりと開いた洞窟の中にこうした泉が見られる箇所があちこちにあって、セノテと呼ばれて観光地になっている。

 情報ノートに掲載されていたのは、メリダからバスで 1時間離れたクサマという村の近くにある3つのセノテを巡るツアーの紹介だった。現地にはメリダ発のツアーで来ていると思われる白人グループもいるが、メリダからバスを乗り継いで安い方法で楽しめる。その行き方とツアーの内容を紹介したい。

・メリダのNoresteというバスターミナルから出るバスでクサマCuzamaに行く(16ペソ)。バスの本数が少ないので事前に確認した方がいい。私達は9時15分発に乗った。もしいい時間に乗れなかったら、バスターミナルの前にコレクティーボというトヨタハイエースくらいのミニバスが待機していてクサマ行きもある(17 ペソ)もある。しかしコレクティーボは人が集まらないと出発しないので時間がかかるのが難点だ。

・クサマに到着するとバイクタクシーの少年たちが「セノテ?セノテ?」と寄ってくる。自転車あるいはバイクの前に2人(無理やり3人)乗れるカートがついていて、これでセノテツアーの出発地まで連れて行ってくれる。私達は無理やり3人乗ったせいか料金一人25ペソ(175円)だった。2人で乗ったカップルは一人30ペソ(210円)から下がらなかったそうだ。でもまぁ、そんな料金だ。

・連れて行ってもらった場所は広場のような場所で、先に狭い幅の線路が左右に続いて馬がトロッコを線路の上を走るようになっている場所だった。おじさんが近寄ってきて「ここから出発して3時間かけて3つのセノテを巡るツアー。代金はトロッコ1台(4人まで乗れる)で200ペソ。各セノテには25分から30分停車して泳げるがこのツアー内容でいいか?」と確認してくる。OKと答えるとトロッコを紹介してくれてツアーが始まる。

 この時に乗ってきたバイクタクシーの少年が「帰りも俺を使ってくれ!」と言ってくる。紹介してくれたトロッコのおじさんを交えて、何時にトロッコツアーが終了すると少年に告げると、その時間には待機していてくれて同じ料金でクサマの村のバス乗り場まで連れて帰ってくれるので便利だ。

 私達は夫婦二人に加えて同じ宿に宿泊していた、くしくも夫と同名の武志君という知己を得て3人でツアーに参加することになった。

 カンクンで既にこのツアーに参加してきたマリコさんとタツヤ君というカップルからの情報で、あまり早い時間に行くと誰もいなくて寂しいし、お昼にかかるような時間だと多すぎて宜しくないというアドヴァイスを受けて、メリダ発9時15分のバスに乗ってきたのだが、この時間が丁度良かったようだ。どのセノテに行っても人が4〜5人はいるような多すぎないけど寂しすぎない人数でツアーを楽しむ事ができた。

 決められたトロッコに乗り込むと馬が線路を引き始めた。最初のセノテまでは約20分。ユカタン半島によく見られる白い大地に灌木が青々と茂る中をガタッコーン、ガタッコーンとのんびりとトロッコで進む。こんな小さなトロッコでもいっちょまえに電車と同じ音がするのだ。あまりに非現実的なシチュエーションに3人で「なんかあり得ないような現実に笑えてきますねぇ」とハイテンションになるのだった。

 最初のセノテに到着すると、御者のおっちゃんが「じゃぁ30分したら戻ってきてねぇ、セノテはあっちだから」と指さす向こうに通路があって地下に飲み込まれるように梯子が見えた。梯子の上から既に魅惑的なセノテが見える。日が差している所がとても美しいブルーに丸く光って、あとはうっすらと青い泉が洞窟の奥に続いているセノテだった。私達の前を走っていたトロッコの4人と私達3人の7人が梯子を降りてセノテに向かった。

 水着に着替えて早速水に入った。水は思ったよりも温かい。底まで透けて見える透明度の高い泉で、深さは7mくらいはあるだろうか。完全に足はつかないのだが底が見えているのでそんなに怖い感じがない。

 武志君の華麗な飛び込みに拍手が沸き起こる。気持ちのいいセノテでの30分なんてアッ言う間だった。さーて、次のセノテに行ってみよう!

 20分後に到着したセノテは、最初の洞窟のように半分地上に開いたものではなく、本当に人一人がやっと通れるような穴から梯子を下りていく洞窟だった。すっぽりと覆われた洞窟の天井にはいくつかの穴が開いていて、そこから強烈な太陽の光が柱のようにずばっと泉の底まで貫いており、しかも洞窟の天井に生えている木から巨大な根が垂れ下がっている風景が印象的だった。

 ここでの30分もあっという間で帰ろうとしていたら地元のおじさんらしき人が手招きしている。行ってみると木の根本にぽっかりと穴があいていて、そこから底にセノテが見えるというのだった。恐る恐る木の根本の穴に入ると、ちょっとした足場があって更に下に、今自分が泳いでいたセノテが美しく見える。鍾乳洞のように垂れ下がる岩の陰影と美しいセノテのブルーが太陽に照らされて怪しく光る様子。そして何よりもいつ崩れるかわからない自分の足元。色んな意味でドキドキする光景だった。

 木の根元を出て紹介してくれたおじさんに「こんな素敵なスポットを紹介してくれて本当にありがとう」とお礼を言うと「いやいや、君たちこそ来てくれて本当にありがとう」と言われた。カンクンのようにお金持ちが来て大金を支払ってくれるのが当たり前という観光ずれした場所に比べると、ここはまだ礼節があっていいなぁ。そういう意味でも気持ちのいい場所だった。

 お次のセノテもかなり入口が狭い。マリコ&タツヤさん達のように自分たち以外に人がいなかったらちょっと入るのに勇気がいるような場所だ。しかし、この時間帯では中に既に人がいて歓声が聞こえるので、梯子を下りていくのにそんなに抵抗がなかった。中は今までの中でもっともブルーが美しいセノテだった。しかも今回のセノテの天井から垂れ下がっている木の根っこには、私達は無理だが武志君の手に届く。さっきのセノテでも根っこにつかまってみたかった彼は、今回はと根っこにつかまりターザン宜しく根っこをするすると登って、またまた周囲の注目を集めたのだった。上った以上は飛び込まないと。期待を裏切らずに武志君はとても美しいフォームで美しい水面に飛び込んだ。「あの青年、日本人ですって。素敵ですよねぇ」と口々に周囲が褒めそやす称賛の言葉を我が事のように聞いて、とてもいい気分にさせてもらった。

 今回のセノテは対岸にちょっと休憩できるような岩の窪みもある。頑張って20mほど泳いで対岸に行くとそこで寛げるのだ。それにしても何と美しいブルーだろうか。

 武志君がスノーケリングマスクを持ってきていたので借りて底を見てみたが、すっきりと底まで見える美しさだった。


 今度は対岸まで行って、洞窟への梯子の様子やカメラを水中に埋めて底の様子を撮影。こうしてみると武志君の飛び込んだ高さって結構高いなぁ。彼はこの後も梯子の中段踊場からもがんがんと飛び込んで拍手喝さいを受けていた。
 

 こうして3つのセノテを終えて出発地点に戻ってくる。セノテへの線路は単線なので対向車が来た場合は人数の少ない方が多い方に譲ることになる。つまり馬をはずして人力でトロッコを線路からはずして対向車をやり過ごすのだ。この時間帯になると何度もこういう場面に出会ったが、私達はつねにマジョリティーだったので一度も譲ることなく帰る事ができた。そういう意味でもいい時間帯だったと言える。

 こうして戻ってきたのは午後1時50分。10時半から始めたので3時間20分遊ばせてもらったことになる。御者のおじさんに200ペソ支払ってツアーが終了した。約束した少年が来ていて、スムーズにバイクタクシーでバス停留所まで運んでもらった。

 お腹空いたなぁ。バス停留所でチケットを売っている人に尋ねると周辺で食事ができるような場所が全くないそうだ。クサマはもの凄い田舎だったのだ。バスは当分来ないがコレクティーボが10分後に来ると言うので、さっさとメリダに戻ってそこで遅い昼食を摂ることにした。

 いやー、今日のセノテツアーは私としては大ヒットだった。今回のメキシコ滞在中のできごととしては一番面白かったと言えるのではないだろうか。ユカタン半島にはセノテがたくさんある。以前もカンクンからチチェンイツァー遺跡に向かうツアーの途中でセノテに立ち寄ったが、今回のように美しくはなかったし滞在時間も短かった。今日はセノテだけを満喫するツアーだったし、ツアー催行者もアットホームな雰囲気で、セノテも汚れていなかった。これからどう変化するかわからないが、ここ1、2年はまだまだヒットなスポットと言えるだろう。


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