> アメリカ大陸2 目次 > 詳細内容
東アジア
中国
ヨーロッパ
スペイン
フランス
イタリア
オーストリア
ドイツ
アメリカ大陸
エクアドル
メキシコ
チリ
アルゼンチン
ヨーロッパ2
スペイン
ポルトガル
ヨーロッパ3
クロアチア
ドイツ
東南アジア
タイ
マレーシア
ラオス
アメリカ大陸2
メキシコ
ドミニカ共和国
ヨーロッパ2010
フランス
イタリア
アジア2010
タイ
マレーシア
アジア2011
タイ
北米・カリブ海2011
メキシコ
キューバ
ヨーロッパ2011
フランス
イギリス
フランス2
2010.03.29
今回の歯科治療のまとめ
メキシコ:メキシコ・シティ

 今回メキシコ・シティーにやってきた一番の目的は私の歯の治療だった。夫も奥歯のセメントの詰め物が消耗してしまったのでそちらの治療もあるし、一度全部見てもらおうと5年前から2度治療してもらっているメキシコ・シティーの高根先生に予約を入れたのだった。

 日系3世の高根先生には5年前に一度、そして1年半前に2度目の治療を受けている。いずれも夫の虫歯治療で今に至るまで問題なく使えている実績を見込んで、今回私も見てもらうことにしたのだった。

●2010年3月23日 第一回目診療
 診療室はワールドトレードセンターWorld Trade Centre(現地ではウォルトロイセンターという発音になる)の38階と1年半まえに治療を受けた場所と変わらず。相変わらず助手はつけずに一人で治療している。窓からの眺めのいい治療室だ。
 

 私の方は、3年前程から昔根幹治療した歯が疲労したり高地に上がったりすると鈍い痛みを伴うようになり、1年前には膿を持って腫れたことがあり、他にも一度ひどく痛んだ時があった。その部分の問題を解決してもらいたいと先生に説明。口内を診察してもらってすぐに、歯肉が炎症を起こして常に腫れている状態であることがわかり、歯を持って動かすと左右に動く。更にレントゲンを撮って状況を見てもらうと、歯ぐき部分の骨が炎症のために消滅して一部深く亀裂が入っていることがわかった。いわゆる歯槽膿漏ということだ。そんな物とは無縁だと思っていたので、急に自分が年寄りになったような気がしてがっかりだった。が、理由が明らかになってホッとしたのも確かだ。

 先生が提示してきた治療方法は、この歯の周囲に骨を再生する豚のへその緒から抽出したという成長ホルモンを注入するというものだった。この治療方法にも驚いたが、今までの虫歯治療程度の値段と比較して桁違いに高価な治療金額だったので金額にも驚いた。しかし、せっかくここまで来たのだから治療を受けることに決定した。

 ということで、今日は歯石取りと歯のクリーニングとソフトなフッ素加工を歯に施して終了。フッ素加工に利用したDent siblenはスペインの会社の製品だ。

 次は夫の番。マレーシアで質の悪い酒を飲んでいた時に、奥歯に詰めたセメントがザラザラと砂のように溶けて飲み込んでしまって以来、溝が開いていた。痛くはないがこのままでは調子が悪いので穴をふさいでもらおうというのだ。そういえば、あの時宿泊していた宿のフロント係の女性がこの酒(アワックと言う。もっともインドネシア語やマレー語では単に「酒」の意味になるそうだが)は酸が入っていて身体に良くないとか言っていたなぁ。この酒が原因か確定できないが、あまり安い酒は飲んではいけない。

 5年前から変わらぬ治療方法で最後にLED(発光ダイオード)の光を当てて固めて、自然な溝をつけてかみ合わせを確認して終了。5年前、1年半前、今回とLEDの機械が毎回異なるものになっている。最初はもっと大掛かりだったのに、だんだんハンディーなものに進化していた。

 2人の歯の状況を見てもらって、総合的な治療代金のすり合わせの話をして、次回は2日後に治療ということになった。

●2010年3月25日 第二回目診療
 一回目の治療で使われる薬品の名前を聞いていたので、二回目に治療する前にネットで調べてみると日本でも歯槽膿漏の治療に使われている薬品だった。日本でも保険が適応できない治療で金額はやはりかなりする。まぁ、ここまで調べて先生の治療金額が妥当だと判断して二回目の治療にのぞんだ。

 予約は12時からの予定なのだが予約時間を過ぎても先生が来ない。電話をして留守電メッセージを入れて、もう少し待つことにした。12時半にもう一度診療室に行ってみると、先生が来ていたので治療を開始することになった。先生は午前中に別の病院で診察していて、ここまで来る途中、渋滞に巻き込まれてしまったのだそうだ。

 さて、治療だが、根幹治療して金属の冠を被せてあるのでまずはそれの除去からだ。幹部の周辺数か所に麻酔注射をしてから冠の除去となるが、この冠はとてもしっかりと元の歯についているので真ん中から2部に切断して半分ずつ除去した。

 この除去作業に20分くらいもかかった。結構、大変だ。麻酔をされているものの少し痛みも感じた。

 10年ぶりに出てきた元の歯はおぞましい色に変色していた。はずした冠は鼻に近づけるとやや膿の臭いがして、やはり炎症を起こしている。それでも今まで診た患者さんの中ではかなりましな症状だとなぐさめられたが、かなりブルーになる状況だった。冠をはずしたあとの歯を金属の黒い粉がガーゼにつかなくなるまで丁寧に洗浄。

 さて、今回のメイン治療薬「エムドゲインEmdogain」の登場だ。スウェーデンの薬品会社の製品だ。薬品は2種類あって、最初に消毒液。注入するのは歯の付け根の4か所だ。消毒液を注入された時にピリピリとした刺激と霞が晴れるように鬱々とした鈍い痛みが取れた感じがしたのは、私の期待が大きかったからだけではないと思う。それから2分ほど置いてから成長ホルモンを同じく歯の付け根4か所に注入した。液体というよりはジェルのような感じで外まで泡がはみ出してくるのを見ながら注入していたそうだ。また針を曲げて直角に注入できるようにしていた。写真を見ていたらかなり深くまで針が入っているのに驚いた。

 このホルモンを注入すると、だいたい3ヵ月程で骨が再生されるそうだ。本来なら、3ヵ月後に再度、冠をはめる治療が残っているのだが、そんなに時間を取ってきていないので来年までこのまま放置することになった。

 今日の治療はとても疲れた。ミネラルウォーターを凍らせた物を1本もらって歯に当てながら帰るように言われた。これから5日間くらいは禁酒、禁煙、赤い肉(牛、豚)は避けて鶏か魚かできればフルーツだけで過ごした方がいいというアドヴァイスを受けた(5日目にもう大丈夫かなぁと屋台で牛肉タコスを食べたら、見事に当たって急性肝炎になりそうになった。焼きざましの肉を洗っていないまな板で切ったものだったのがいけなかったらしい。偶然にも全く同じ症状になった旅人がいて詳しく話を聞けた。2日間寝続けて回復。もっと用心すべきだった)。

●2010年3月26日 第三回目診療
 昨日の外科治療の腫れも引き始めて経過はよいようだ。今日は隣の歯の歯茎があがってしまっている部分と、反対側の前歯3本の歯茎があがってしまっている部分に、消毒をほどこして溶剤を塗ってLEDで固める作業を行った。

左が半透明水色のジェルで消毒。次に右のオレンジ色の方を塗ってLEDで固める。

 夫は歯石取りとクリーニング、そしてフッ素コーティングだ。夫はフッ素コーティングの手前でホワイトニング溶液でのお掃除という工程も入っていることが後の写真で判明。いわゆる審美のホワイトニングではないので、笑うと白い歯がキラッとこぼれるという具合にはなっていないが、前よりも少しは白くなっているのかもしれない。

 3日後の月曜日に私の最終チェックで今回の治療を終了することになった。

●2010年3月29日 第四回目診療
 再度レントゲンを撮ってみる。治療前と比べて亀裂部分に細かい網の目が入りつつあり、かなりの速度で骨の再生が進んでいると説明を受けた。素人にはすぐに判断しかねるので、帰ってから以前のレントゲン写真とよくよく見比べると確かにごくわずかに網目がかかりつつある。エムドゲインは日本でも今までの治療法に取ってかわられている方法で、即効性と2度目の手術が必要ないことが大きな特徴だと日本人歯科医のサイトにも書かれていた。

 夫の方にも小さな虫歯が見つかったが来年まで、よく歯磨きをしてもたせられるだろうという判断で今回は治療はなし。

 来年は私の治療中の歯に冠を被せる。これにも色々な種類があるのでその基礎学習と日本や他の国での治療相場を見る必要がありそうだ。

 高根先生は私達が受けた治療で判断する限り、最新の技術と設備で対応してくれているが、あくまでも外国で治療を受けているという心構えは必要だ。先生のおっしゃる治療が妥当な方法なのか、治療費が妥当なのかは治療を受ける側もできるだけ調べて、その治療を受けるかどうかを判断する事が必要だと常に思っている。


Copyright (C) 2008 World Mover All rights reserved