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2008.10.20
「Muro de Las Lagrimas(Wall of Tears涙の壁)」まで散策
エクアドール:イザベラ島

 イザベラ島の観光名所の1つに「Muro de Las Lagrimas(Walls of Tears涙の壁)」というのがある。宿の隣の部屋にボランティアで来ている英語教師のオーストラリア人女性に聞くと片道8kmあるので、ツアー客は車を仕立てて行っている。自分たちで行くならタクシーで行かなくっちゃ無理かなぁと言われた。

 タクシーかぁ。資料を調べると、かつての囚人が刑罰の一つとして石を積み重ねて作った壁の写真はあまり魅力的ではない。ここに交通費をかけて行く気にはなれなかった。8km、8kmねぇ。今までのトレッキングなどの経験から1日20kmくらいまではマックスであるけるはず。昨日知り合ったアメリカ人青年のニックによれば「涙の壁」までにも色々と見所があるようだ。16kmなら歩けるんじゃない?歩けなかったら途中で引き返してくればいいしねぇと、私たちはかるーい気持ちで朝9時過ぎに歩き始めたのだった。ドクロ?と思われた生垣の装飾が椰子の実を乾燥させたものだったり、白い砂浜に黒い溶岩の美しい海岸線が続いていく風景はそれないに面白い。15分くらい歩くと「亀センター」への看板が出ている分岐点に来る。ここには常に多くの海イグアナがたむろしているのだった。イグアナは危険を察知すると第一の行動としては固まる。その後、もっと危険が高まったと判断すると急ぎ足で逃げるのだが、固まったイグアナは写真が撮りやすく固まっている姿も面白い。ごめんね、海イグアナ。

 亀センターへの分岐点から2kmほどは味のある枯れ木が海岸に打ち捨てられた風景が続いてようやく「Muro de Las Lagrimasへはここから5km」という看板にぶつかる。村の中心地から8kmというオーストラリア人の情報は正しいようだった。Muro de Las Lagrimasまでの5kmの間には色々見所が書かれていて、これはニックの情報に合致する。まぁ、行ってみますか。

 行く先々には見所の看板が出ている。「緑の沼」とか「展望台」とか。行ってみると確かに緑色の沼があるのだが珍しそうな鳥もいないし、展望台も再び緑色の沼だし、この先看板を見ても行くべきかどうか迷うような場所ばかりだった。もしかしてガイドがいれば色々教えてくれたのかもしれないが、私たちの場合はそれもない。

 それよりは道行く海イグアナを観察する方が面白い。正面からカメラを構えても微動だにしない強い奴もいれば、人間の気配を察して逃げたいのに体が固まって動かなくなり当惑の表情を浮かべている奴もいる。見れば見るほど変わっていた。途中の見所はとりあえず後回しにして、私たちはとにかくMuro de Las Lagrimasに向かうことにした。海沿いから内陸に向かう道に入り、いよいよ近づいてきたと思われる頃には道端の右や左にポツポツと亀が歩いている。彼らは一抱えくらいの大きさなのでまだ子供なのかもしれない。顔もダーウィン研究所で見た海がめのように釣りあがってどちらを向いているのかわからないような気味の悪い目ではなく、ちゃんと黒目で可愛らしかった。彼らも私たちが近づくと固まる。草を食べている途中でも草をくわえたまま固まっていた。

 だいたいにおいてお散歩していて海イグアナや亀がひょこひょこ歩いている場所なんて今までなかった。そういう意味においてもガラパゴス諸島は特異場所だと思い返すとだんだんと楽しくなってくるのだった。

 そしていよいよ目的地の看板が表示されて遠目に壁らしきものが見えてきた。

 「あれか?」・・・。そう、あれだった。もっと近づくこともできたのだが、近づいてどうなんだろうという壁。私たちは遠目から今日の最終目的地に到達したことを確認してその場を去ることにしたのだった。ここにガイドがいたらその壁について悲しい過去の歴史を長々と解説してくれたのだろうが、私たちから見たら道中に見てきた自然の動物の方がよっぽども面白い。ということで壁は終了。壁に向かうちょっと手前に小高い丘があり、のぼると展望できる場所へと向かった。

 下から見上げるとかなり高さがありそうだが、のぼるとそうでもない。天気が悪いので写真でみると全然素敵ではないのだが、ジャングルの中に浮かんだような気分で一方には海岸線、他方には山が見える。8kmの散策路を歩ききった後の展望ポイントは思ったよりもかなり爽快だった。この時点で午前11時40分。歩き始めて2時間半はかかっていない。

 帰り道は見残したポイントを回りながらゆっくり歩くことにした。アメリカ人のニックのお勧めはEl Estero。マングローブの林をくり抜いたトンネルの先にあるクリークで清い小川が海に流れている場所だ。彼はここであざらしと泳いだ記憶がありお勧めの場所になっている。残念ながらあざらしはいなかったが清い流れの景色は緑色の沼よりはすがすがしくて気持ちいい。もっとお天気がよければ、ここで泳いだりピクニックするのは楽しいだろうなぁ。

(左)触ると危険な毒のある木、(右)マングローブのトンネル

清い流れのクリーク。あざらしがいたら面白いだろうなぁ。

Poza Escondida。「隠れ家沼」という名前にひかれて行ってみた
ものの、やっぱり今一つピンと来ない見所。

 最後の見所はTunel del Estero(河口トンネル)。海の方にそれるトレイルを進むと溶岩の岩盤が持ち上がってトンネルになっている場所が見つかった。堅い岩盤がくにゃーっと捻じ曲げられた姿は自然の力を感じて、今日見た景色の中では比較的面白いものだった。ここにはドイツ人のお年寄り団体が来ていたが、彼らもずっと歩いている。車でサーッと走り去るアメリカ人団体観光客に対して、年を取っても自分の足で歩いて散策するドイツ人団体観光客。象徴的な2組だった。

 こうして16kmの散策も終了に近づいた。亀センターへの分岐点に戻ってくると相変わらず地面にベターッと果てたような姿ではいつくばっているイグアナたちがいる。やっぱり、この散策の主役は景色よりも生き物だろうなぁ。



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