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2008.10.19 Vol.3
無人島Las Tintorerasへのツアー
天気がいい午前中に港の近くのコンチャ・ペルラという場所に行こうとしたら、ベンチに座っているおっちゃんが「無人島に行こうよ」と誘ってきた。彼はボートを持っているので観光客を見ては声をかけて無人島へのツアーを行っているようだった。Las
Tintorerasと呼ばれるその島に行くと鮫の巣があって鮫が見られるのとシュノーケリングポイントへ連れて行ってシュノーケリングもさせてあげよう。マスクとチューブとフィンも持っているよ、という話だった。ボートツアー代金がUS$5、シュノーケリングギア代金がUS$5で合計US$10。事前に聞いていた情報と同じ値段だった。しかし、その時はコンチャ・ペルラに行こうと決めていた私たちはこの申し出を断って、先にコンチャ・ペルラに行くことにしたのだった。
コンチャ・ペルラでの好天に気をよくして、じゃぁ無人島も行っちゃおうかとおじさんを探したのだが、おじさんはもっと遠くにピクニックに出かけるエクアドル人家族という私たちよりも高額のツアー客をゲットしてしまったのでダメ。ということで、確実にツアーを行っているホテル・ヴィンセントを訪ねてそこでのツアーに参加することにしたのだった。
ホテル・ヴィンセントでは午前中に車と馬で火口を訪ね、昼食後に無人島訪問とシュノーケリングツアー、しめてお一人様US$40(昼食含む)というツアーを行っている。本来なら無人島とシュノーケリングのみは受け付けていないようなのだが、現在火口に行っているツアーに空きがあって私たちは午後3時から無人島とシュノーケリングのツアーに参加できることになった。こちらは一人US$15とちょっと高めだが英語の話せるガイドが付くというのでよしとした。
朝のうちは天気が良かったのだが午後から曇り空になってきて、あまり芳しくない。朝のおっちゃんの話に乗ってしまえば良かったなぁ、と思いながらも午後3時にホテル・ヴィンセントに向かった。港でおっちゃんをつかまえるツアーじゃないから港と宿の間はトラックを改造した車での送迎が付く。メンバーは様々な国から来ている人だったがサンタクルス島から2泊3日のツアーでイザベラ島に来ていて、その中のアクティビティーがこのツアーらしかった。港から小さな船に乗ってほんの10分で無人島Las
Tintorerasに到着。え?こんなに近いのか。
島に上陸すると散策路があってそこを歩く。道中には海イグアナがゴロゴロしているのは私たちにとってはもうお馴染の光景だったのだが、同じツアーに参加している人は大興奮でバチバチとシャッターを切っていた。へ?海イグアナ見ていないの?そう、忙しくアクティビティーをこなす高級観光客は私たちのように村や町をブラブラしていないらしく、道端にへばっているイグアナなんて初めて見るようなのだった。それもどーなんでしょうかねぇ。
行き倒れ風イグアナを数匹見てから我々は鮫の巣を見下ろせる場所に到着した。細長いお堀のようになって外洋から守られた静かな場所は鮫の格好の巣になっているそうで、ここで子育てするのだそうだ。上からのぞいてみると本当に鮫がウヨウヨしている。といっても獰猛な感じではなく小さめの鮫だ。誰かが「ここでシュノーケリングできるのですか?」と尋ねるとガイドは「本人次第です。どうぞ」と答えた。もちろんこれは冗談。大人しく見えるが鮫は鮫。人間を襲う可能性もあるということだった。
鮫のお堀の先にはアザラシがゴロゴロしている黒い溶岩が点在する浜辺になっていた。アザラシはお昼ねタイムなのか岩陰やマングローブの根元に好きなように横になっていた。これも私たちには案外お馴染の姿だがツアーのお客さんは大興奮だった。
ボートに戻ってから、今度はシュノーケリングタイム。無人島と外洋の間に岩壁が障壁になって少し静かな入り江がある。「ボートから自由に、さぁシュノーケリングです!」とガイドが声をかけたが曇っている空、冷たい風、入り江とはいえ岩壁を乗り越えて入ってくる波、透明度があるとは思えない海中を見て、誰もが「どうしようか」と顔を見合わせた。結局一人の勇敢な(?)イスラエル人の青年だけが海に入っていったのだった。待つこと15分くらい。ボートに戻ってきた青年に「どうだった?」と皆が尋ねると、彼は「いやー、良かったよー、このシュノーケリングギア。昨日のはマスクから水が入ったけど今日のは全然大丈夫だもんねぇ」ってマスクのことかよぉ。あらためて魚について聞くと種類も数も少なそうなことを行っていた。風がなくて海の中が荒れていなくて、日差しが強かったらやってもいい、そんな場所だった。
シュノーケリング後はボートから先ほど上陸した無人島をまわりこんで帰途につくのだが、途中でペンギンが常駐している場所を通りかかる。海中にブイが浮かんでいてその場所への上陸はおろか近づくこともできないように保護されているので遠目から見るだけなのだが、保護されていることもあり私たちが行った時もペンギンが寛いでいた。おまけにアオアシカツオドリもいて、ボートは再び興奮状態。赤道直下なのにペンギンがいるというガラパゴスは本当に不思議だと皆口々に感想を述べ合っていた。
そこからイザベラ島までの間に漁船がさばいた魚のアラを海に放り投げていて、それにペリカンとグンカンドリが群がっているのが見えた。どちらも大型の鳥たちで、それが1つの魚の頭に群がっているのは壮観な眺めだった。面白いのはペリカンは水面、グンカンドリは空中からというポジションを絶対に崩さない事。イザベラ島の前に訪れたサンタクスル島でも全く同じポジションでこの2種の鳥は共存していたのだった。
漁船からしばらく進むと停泊している船でアザラシがお昼寝中。近づく私たちにオスがむっくりと上半身を起こして威嚇する。アザラシのそっくり返る威嚇は怖くも何ともなくて、威張っているようでユーモラスなだけだ。これ以上怒らせると吠えてくる。これは怖い。
イザベラ島に近づくという時になると海中をひらひらと泳いでくる集団が見える。エイだ。私たちのボートの間近を通る時に白い斑点が体中いあることがわかり、ツアーグループの一人が「イーグルレイだ」と教えてくれた。イザベラ島の港付近でエイを見たのは2回目だ。ここではよくエイが出没するのかもしれない。
ボートを降りるとトラックが待っていて、出発地点のホテルまで来るまで送ってくれた。ツアーの所要時間は約2時間。もしもっと天気がよくてシュノーケリングが盛り上がったら長引くのかもしれない。
目的としていた鮫はあまり面白いものではなかったが、ペリカンとグンカンドリの競演やエイの集団など思わぬ収獲があるツアーになった。さすがに自然の宝庫ガラパゴスだ。
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