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2008.10.07
初めての国、始めて町
3年ぶりにやってきた南米のまず第一発目の町はエクアドルのキト。初めて足を踏み入れる国なのだが、キトは空港に到着した時から他の南米と比べるとちょっと印象が違っていた。
南米の町、特に首都の玄関口となる空港やバスターミナルってのはろくなイメージがない。外国から来る旅慣れない観光客を狙ってスリや強盗はもちろん、市内に出るまでのタクシー運転手との料金交渉が待ち受けているからだ。タクシーの方はあんまりひどい状況になっている場合は、国がそれなりに措置を取ってプリペイド形式で料金がぼったくられないようにしたり、危ない市内に入らずに郊外の町に直接行くバスを出したりもしている。
そんなイメージを持っているために、キト入りする私たちはガイドブックであらかじめ市内までのタクシー料金の相場を調べたりしてドキドキしながらエクアドルに入国したのだった。ところがタクシーの運転手は驚いたことにガイドブックにある通りの金額を提示してきた。ガイドブックの値段というのは書籍が発行される大分前に調査しているので、どこでも大抵、少し前の安い値段が掲載されているものなので、ガイドブックの相場通りに言われると逆に驚くのだ。
もしかして、別の悪事のワナがあるのかもしれないという不安を持ちながらもタクシーは無事に宿に到着。そのままの値段を支払って無事終了というあまりに簡単な移動だった。運転手さんも礼儀正しくて愛想がいいし、初めてのクアドルは好印象でスタートした。
首都のキトは標高2800メートルちょっとある。スペイン語で「赤道」の意味がそのまま国名になっているのは国を赤道が横断しているからであるが、キトにいて曇っていると赤道直下にいるとは思えない肌寒さを感じる。しかし、たまに出る太陽の光は確実に強くて風が冷たいのに太陽光線の当たっている部分だけがやけに熱いという不思議な感覚を体験する町だった。久しぶりに高地にやってきたためか、1週間程の滞在中は何となく額やコメカミを圧迫される気分の中で過ごすことになった。
まずは考古学博物館内にある観光案内所で情報収集。キトの町中の歩き方、エクアドル全体の観光情報、ガラパゴス島についての情報などだ。
色々と聞いてみたが雨季が始まったばかりのエクアドルで無理な観光をしても楽しくなさそう。目的のガラパゴスも雨季に入ったばかりだそうだが、こちらは当初の目的地なので行くしかない。その他の国内は全て次回へのお楽しみにして、ゆっくりとキトに滞在してサイト更新にでも勤めようってことになった。
観光案内所で聞いた話の中で面白そうだったのは、キトから南下していくとエクアドルで一番高い山コトパクシ(5897m)などアンデスの山々が連なる「アンデスの廊下」と呼ばれる町をバスで走って、活火山と温泉のある町を訪ねることと、アマゾンジャングルツアーだ。これができれば良かったのになぁ。今回は世界遺産に登録されているキトの旧市街の観光だけになる。
私たちが滞在しているのも観光案内所がある場所もいわゆる新市街といわれている地区。こちらにもコロニアル調の教会がコロニアル調を模した住宅などがある一方で、新しいレストランやバーのある洒落た一角がある。インディヘナの民芸品マーケットがあり、吹く風は冷たいのにやしの木が立って妙に南国風だったりする。ヨーロッパとアンデスと南国がごちゃませになったような不思議な町だった。
新市街の北部にある市場に行ってみると一角に食堂がある。中でも人気のある店で名物の鳥のスープを食べたのだが、胸肉がとてもジューシーで宿の人の情報どおりにとてもおいしいスープだった。値段は一人前2.5ドルと新市街の定食並の値段で、結構な人数の人が食べていた。鶏肉もボリュームたっぷりなので前に座ったお孫さんを連れた老婆はスープだけすすって肉はあらかたお持ち帰り。2食楽しめると思えばそんなに贅沢な食事でもないのだろう。
市場の近くにはスーパーマーケットもあった。町を歩いてここまで来た印象では、こういう近代的なスーパーが存在するのが不思議なようなちょっと牧歌的な町並みだったのに、ここに来て急に都会な気分がする。アフリカなどでも感じたが、スーパーマーケットというのは都会へのさきがけの匂いを発する場所だ。ここから近代化が始まっていくんだろうなぁという予感をさせる場所だった。
町を歩いていると様々な人とすれ違う。その多種多様な民族性もエクアドルの特徴と思われた。女子高生の制服は日本のそれに似ているのだが、着ているのがインディヘナ系、メソティスト系(インディヘナと白人の混ざった)、白人系と様々なのが面白い。買い物をしたり食事をする度にお店の人と撮らせてもらった写真を見比べても顔かたちや着ている衣服が様々で同じ国の狭い地域で撮った写真と思えない。これもエクアドルのキトらしいのかもしれない。
ってなことで、初めての国エクアドルは今まで訪れた南米のどの国とも違う感じを醸し出していた。やっぱり来てみないとわからないもんですねぇ。
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