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2009.09.10
今回のミュンヘンでのお楽しみ
クロアチアからアジアに行くにはドイツ発のベルリンエアーを使うのが安かった。ということで、トランジットと観光を兼ねてミュンヘンに数泊することになった。
前回訪れたのは昨年の9月末。オクトーバーフェストのためにやって来たミュンヘンはお祭りムード一色で浮き立った空気が漂っていたが、今回はオクトーバーフェストのちょい手前。さて、町はどうなっているだろうか?
私達が滞在しているのはミュンヘン中央駅近くのホテル街。バックパッカー宿だけでなく団体旅行の皆さんも使うメルキューレも並びにあるのだが、ホテルの隙間を埋めるようにトルコ人経営の食品雑貨屋やアフリカ人が故郷に電話するのに列を作っているインターネット電話屋があったりするので、よく言えばインターナショナル、有り体に言えばちょっと怪しい雰囲気の場所だ。ちなみに出前一丁を扱っている中華食材店もこの近くにある。
散策に繰り出す序章としてトルコ人の店をのぞいてみると、様々なスパイスや乾物や穀物に混じってカセットコンロがある。おおお、ここにもあるのか!
昨年、ヨーロッパをキャンプするにあたりカセットコンロを探し回ってバルセロナの町を歩き回った体験から、カセットコンロを見てしまうと思わず反応してしまう体質になっている私達だった。
さて、駅から市庁舎に向かって走る道は車の入らない歩行者天国。9月に入ってまだ間もない町は噴水や美しい窓辺の花でまだ夏を忘れ切っていない感じで、南部からやってきた私達にはホッとする風景だった。どこもかしこもビシーッと建物が美しくメンテナンスされ、大きくて立派な教会がいくつもあるミュンヘンはクロアチアを見慣れた目にはまばゆく映った。前回は南仏、イタリアを通り抜けてからミュンヘンに来た。色が暗くて建物が質素になったなぁとミュンヘンに対してはややネガティブな思いがあったのに、今回は晴れやかな印象。全く、自分の感覚なんて相対的なんだと思い知らされた。
オクトーバーフェスト開催まではまだ日があるが、それでも町では民族衣装の販売が始まりつつある。お父さんもお母さんもお坊ちゃんも、みんなでコスプレしてビアホールと遊園地が合体したオクトーバーフェストに行くのだ。女性の衣装はドゥリュンドゥルといって、本来はロングスカートなのだが若い人を中心にミニスカ丈が出てきている。ショーウィンドウのママもミニスカ丈だった。
さて、オクトーバーフェスト前のこの時期のミュンヘンのお楽しみは、前回訪問の時に知ったミュンヘン国際音楽コンクール(Internationalen
Musikwettbewerbs der ARD Munchen)だ。前回はコンクールが全て終了した後の、かつての入賞者による招待コンサートに行ったのだが、今回はまだコンクール中のはずだった。
クロアチアにいる間に公式サイトで調べたのだが、詳しい日取りや内容はまだ掲載されていなかった。
そこで昨日、市庁舎にある観光案内所のチケット売り場で調べてもらったら今日9月10日にハープ部門の最終選考が行われるということだった。ハープなんて馴染みがなくてオケとの共演も聞いたことがないので躊躇していたのだが、最後公式サイトに行くと出場者の名前が記してあり、そこに日本人女性の名前を発見した私達は俄然行く気になったのだった。
一番安いチケットは一人EUR10。1階席の後ろの方だ。
会場はHerkulessaal der Residentとある。レジデンツといえばバイエルン王家の宮殿だった場所で、今は宝物殿や音楽ホールが公開されている。もしかして、あの素敵な音楽ホールでコンクール?と期待して下見にいったのだが、Herkulessaalは同じ敷地内にありつつも、もっとさっぱりとしたホールだった。
既にハープのケースが届けられていて、今夜の準備が着々と進んでいるなぁ・・・って、こんな所に大切なハープ置きっ放しでいいのか?ミュンヘンって平和な町だ。
宿に戻ってサイト更新作業をしてから、夕食。今日は昼間にレストランで豪食したから駅構内の立ち食いファストフードでもみじめな気分でなく食べられる。昨日はピザの日だったが、今日は別のお店で「木曜日はケバブの日」フェアーをやっていた。ここに来れば毎日なにかしらバーゲンのファストフードにありつけるようだ。ケバブ屋には昨日はなかった行列ができていた。
夜7時20分、会場に向けて出発。昼間ぶらぶらと散策したので近い場所のような気分でいたが、中央駅からレジデンツまでって徒歩で30分もかかったのね。早めに到着したらシャンパンでも飲んじゃう?なんて言っていたのに、途中から無言で早足。会場にはコンクール開始の5分前に到着した。
今日のファイナルに残ったのはフランス人男性、ベルギー人女性、日本人女性の3名だ。会場で配布されている3人の経歴などに目を通し開始を待った。
1人目のフランス人男性、2人目の日本人女性が終了した時点でパウゼ(休憩)となった。ふと見ると、会場の片隅に、今、演奏を終えたばかりの山宮るり子さんが独りで立っているではないか。旅人の好奇心とずうずうしさで話しかけてみると、大会が終わったばかりで非常にお疲れにもかかわらずにこやかに対応してくださった。
中央で審査員の先生と握手する山宮さん。 |
続く3人目のベルギー人女性の演奏が終了して夜10時半に結果発表。山宮さんは第二位を獲得したのだった。
初めてハープの演奏をこんなにたくさん聴いた私達としては身びいきもあって「山宮さんが一番良かったよねぇ」と話していたのだが、一位はフランス人男性。ハープの判定というのは難しい。
それにしても山宮さんはまだ21歳だ。ドイツのハンブルグに留学中ということだが、この若さで超難易度が高いといわれるコンクールで二位受賞という晴れがましい結果を出すなんて本当に素晴らしい。その場に立ち会っただけで興奮を覚えた夜だった。ARDのコンクールは1日だけ行ってみようかと軽い気持ちで来てみたのだが、こうなったらバイオリン部門も行こうかという気持ちが沸きあがってきた。
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