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2008.09.20
ガルミッシュ・パルテンキルヒェンへ日帰り旅行
観光ガイドを持たない旅。ガルミッシュ・パルテンキルヒェンにヒトラーの別荘があると思い込んで訪ねていったのだが、街中の観光案内所で聞くとそんなものはないときっぱりと言われた。
そこで、「えっとー、じゃぁこの町の見所ってのは何なんでしょうか?」という摩訶不思議な質問をする羽目になった。観光案内所の人は呆れた顔をするわけでもなく、するすると3つの見所を教えてくれた。1つはドイツで一番高い山(2950m)にロープウェイで登れること、1つはParknachklammという渓谷を散策するコース、最後の1つは歴史的地区の見学。ロープウェイで山に登るってのはここの所ドロミテ渓谷でやってきたのでまずは渓谷の散策に行くことから始めることにした。
渓谷は1936年に冬季オリンピックのジャンプ競技が行われた場所の隣に車を駐車して行く事になる。当時の写真付きで解説
パネルがある。詳しくは知らないが今と飛んでいるスタイルも違うし、いかにも昔といった風情の写真だった。昔は木製で戦前は鉄骨、戦後になってコンクリートに作り直されたというから、雪の重みでぎしぎしいうジャンプ台からジャンプしていたのかもしれないと思うと恐ろしい。
ジャンプ台をこんな間近で見ることも珍しいので、団体観光客がガイドと見に来ていたりした。ジャンプ台の目の前は競技場の階段石がそのまま残されていて、隣にはお茶できるカフェやレストランが並んでいる。日曜日ということもあって、今日はなかなか多くの観光客でにぎわっていた。
競技場を横切って反対側の出口から表示に従って涼しげな街路樹の中の小道をぶらぶらと歩いていくと、渓谷に向かう人が多い。観光用なのか馬車も走っていてのどかなドイツの休日という雰囲気だった。
やがて道沿いに川が見えてくる。渓谷は入場料がかかると言われていたのにそんな場所もなく、道沿いにはレストランやバーがポツポツと並んで川はエメラルドグリーンの大変に美しい色合いだった。
もしかして今日は無料?なんて思っていたら岩のトンネルの面白そうな場所につきあたり、そこから有料になっているのだった。入場料金は2ユーロ。後から思うのだがたった2ユーロでこんなに見ごたえのある渓谷の散策路を歩けるのは素晴らしい。昔作られたからもう安くなっているのだろうか。
料金を支払った所から散策路はガラッと変わる。所々い岩山をくり抜いたトンネルになりながら、川沿いに渓谷を存分に楽しめる道になっているのだ。エメラルドグリーンの水はある場所では荒々しく、ある場所では暗闇にひっそりと水面を揺らせ、また別の場所では外からの光に反射して見とれるような美しい色合いを作り出したりしていた。
この道を歩いているのは若者、子供、老人と年齢も様々ななドイツ人が多いが、自然を満喫できる散策路はドイツ人がとても好きな場所だと見えて、ある年配の女性などは思わず大きな声で歌を歌いながら歩いているなんて光景もあった。
最後に小さな滝のある場所を通り過ぎると渓谷が終わって、突然視野が開ける。ここからぐるーっと数時間歩いてもとのスキージャンプ場に戻るハイキングコースもあるようで、引き続き歩いて行く人も多かったが、私たちはこの渓谷を逆戻りしてもう一度楽しむことにした。
出口から見ると岩山が本当にせめぎあって狭い渓谷を作り出しているのがよくわかる。細くて長い渓谷というとヨルダンのぺトラ遺跡というのがあるが、あそこは水がない。長さや規模からいうとぺトラの方が両側の岩がもっと高いために迫力があって距離もながいのだが、水の色の美しさや音が楽しめるという点ではここもなかなか魅力的な場所だった。
来た道を逆方向に伝って歩き競技場の隣の駐車場にもどってくると1時間半かかっていた。
時刻は午後2時近く。お次はドイツで一番高い山へ行ってみるかなぁと空を見上げると雲がもくもくと立ち込めている。この分じゃぁロープウェイで山頂まで行っても霧の中でぜーんぜん意味がないってことになる。
そもそもあんまり興味もなかったのでドイツで一番高い山への訪問は諦めて、最後の歴史的地区へ向かうことにした。
ここの地区の特徴はかわいらしいチロル風の建物だ。パステル系の壁にフレスコ画のような柔らかいタッチで絵が描かれている建物がいくつかあっておとぎ話のようだ。これからミュンヘンで行われているビールの祭典「オクトーバーフェスト」に行こうとしている私は、チロルの民族衣装ディリュンドゥルDilndlのディスカウントにも目を配らせながら通りを散策した。
一番見事だったのは絵葉書にもよく使われている一軒のレストランとその周辺の景色だ。レストランの壁面には飲んで食べて踊る人々の楽しい姿が描かれていてついついお店に入りたくなる。私たちは日帰りでここを訪れたが、日が暮れて実際に多くの人がこのレストランでビールやドイツ料理に興じているのを見るのも楽しいだろうと思われた。
そうこうするうちに午後2時半をまわり、店はシエスタのためにどんどんと閉まって人影も少なくなってきてしまった。シエスタ?そう、ここはドイツなのにシエスタがあるのだ。これを表現するドイツ語が存在するかどうか定かではないが、ドイツ的でない。他の地方では許されないだろうなぁ、こんな非生産的な行為。
さて、人影もまばらになっちゃったし天気も雲が多くなってきたのでちょっと早めだけど帰るとしますか。ドイツの道は表示もちゃんとしているし大変わかりやすく、全く迷うことなくキャンプ場まで戻ってこられたのだった。
夕飯は昨日ですっかり気に入ってしまったルッコラ鍋。あったまるし、おいしい。
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