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2008.09.18
ドイツに移動。意外にもムルナウは賑わっていた
ドイツ:ムルナウ

 アルプスのキャンプ場で低気圧に見舞われてからというもの、ずーーーっと寒い。とにかく寒い。気温が低い上にテントが床下からじわじわ浸水するのを無理やり防水シートでとどめているので気持ちも寒い。

 ということで次なる目的地をどこにするのかのプライオリティーは「少しでも暖かい所」と夫婦の意見は一致したのだった。

 最後の目的地ミュンヘンの前に一ヶ所どこかで滞在するというのは決まっていて、その場所からパルミッシュ・ガルテンキルヒェンとノイシュバンシュタイン城を見に行こうというのも何となく決まった。後はどこに拠点を置くかだ。最初はパルミッシュに滞在しようと思っていたのだがインターネットで標高を調べると高い、そして当然気温も低い。従って却下。ノイシュバンシュタイン城の方面はミュンヘンに行くのに遠回りになるので気が進まない。キャンプ場ガイドブックで周辺のキャンプ地をしらみつぶしに見ているとムルナウという聞いたことのない場所にキャンプ場が見つかった。見たことも聞いたこともないキャンプ場だがアルプスの山々が終了した低地にある町で気温も少し高いというのが決め手になり、私たちは未知の町ムルナウに向かって突進していった。

 オーストリアからドイツに入るとかの有名な高速道路、悪名高きヒトラーが残した唯一の美的遺産といわれるアウトバーン。他の国の高速道路よりも1車線の道幅が広く、今までよりも平均速度が10kmから20kmはアップしたがあまり違和感なく走ることができる。それにしても素晴らしく平らで真っ直ぐで走りやすい道だ。

 スルスルと走ると前方に高い山が見えてきて、やがて車はパルミッシュ・ガルテンキルヒェンを通過していった。高原の美しい保養地という感じの町で本当はここに宿泊できたらよかったのだが、こう寒くっちゃ仕方ない。

 新しいキャンプ場のあるムルナウという町に入って、少し迷ったがキャンプ場への道を見つけた。湖沿いの道を走って更に湖に突き出した細長い小道の終点にキャンプ場があり、地図で見ると湖に浮かぶキャンプ場のように見える場所だった。見たところ一つもテントが見当たらなく、静まり返ったキャンプ場のいくつかのキャンピングカーからは人の気配もない。大丈夫か?

 しかし、フロントに続く階段の下で薪を割る音が聞こえて、どうやらキャンプ場としては機能しているようだった。一仕事を終えた40代の男性が対応してくれて、チェックイン終了。両側に湖が迫っているのでスーッと風が抜けていくのが、夏だったら気持ちいい場所なのだろうが今は死活問題でもある。他のキャンピングカーやシャワー・トイレ棟が風をブロックしてくれていて、地面に小石が少なくてこれ以上テントの床にダメージを与えない場所で、かつ平らな場所。注意深くポイントを挙げて場所を決めた。

 幸いにも晴れ間が出てきたので、湿ったまま持ってきた防水シートやテントなどを車にひっかけて日光浴。これで久しぶりにカラッと乾いた場所で眠れると思うと心底嬉しかった。

 昼食を食べ終えて、さてムルナウの町に情報収集と食料調達にでも行こうと車を走らせた。町まではほんの10分程度で出られる。ひなびた町であまり人気もないが一応ちゃんとした駐車場に停車して歩き始めた。観光案内所でパルミッシュへの行き方、ノイシュバンへの行き方を聞くと両方の詳細な地図を渡してくれた。この町は両方へのアクセスができるのでこうした地図も用意してあるらしい。あまり期待していなかったのにちゃんとした情報があって驚きの喜びだった。町中の地図を頼りにメインロードと思われる場所に行ってみることにした。

 すると驚いたことにメインロードには大勢の人がいた。しかも見た感じ観光客だ。私たちは成り行き上ここに宿泊することになったが、他のドイツ人のお年寄りはここをめがけてやってきているらしかった。

 この後数日間観察していると、キャンピングカーで近隣のキャンプ場に宿泊して何日もかけてロマンチック街道をサイクリングしたり、お城を見に行ったり、ハイキングしたり、ここを拠点に色々と遊んでいる老人がたくさんいる。ムルナウはこうしたレジャーの拠点の一つなのだ。

 たくさん人がいるからといってメインロードがひなびているのは確かで、朴訥としたレストラン、ケーキ屋、ジェラード屋、洋服店、雑貨店などが並んでる。でも少なくともケーキ屋のケーキはまじりっけなしのチーズたっぷりのチーズケーキを売っているし、ジェラードもなかなかのグレードで、ひなびている割にはレベルの高いものを出してくれる町だということがわかった。

 観光の目玉となる大きなものはないが、様々な場所にアクセスがよく、町で売られているものがスローフード的に品質がいいから人々が集まっているのかもしれないと私たちはムルナウの意外な人気ぶりをじょじょに納得していったのだった。


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