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2008.09.12
テント問題を解決
一昨日の大雨からイタリア北部には低気圧が広がり激しい雨が時折降るようになっていた。テントの床がぼろぼろで、レジャーテントのためにテントの上から途中までしか防水屋根で覆われていないという状況の中、これ以上コルティナにいるのは危険だった。隣のキャンピングカーのオランダ人夫婦も心配して何度も天候情報を伝えに訪れてくれたこともあって、12日の朝コルティナを出ることを決意したのだった。
テントを畳んでいると、隣のオランダ人も出発準備開始。前線が途切れる南ドイツまで一気に北上する事にしたと言う。前のドイツ人キャンピングカー夫婦も支度を始める。こちらは緩やかな気候のヴェネチアまで行くのだそうだ。オランダ人は私たちのインスブルックまで移動という件に関しては「そこだとまだ低気圧の中だが大丈夫かい?」と心配してくれていたがとにかく行くことにした。結局私たちが一番初めに出発準備にとりかかったにも関わらず、ご近所はキャンピングカーなので次々に先を越されて出発は最後になってしまった。
コルティナ・ダンペッツォから北上してドッピアーコまで行く道沿いに素晴らしく美しい光景に出会った。これがドッピアーコ湖なのか定かではないのだが、朝の光を受けて輝く山が風もなく鏡のようになった湖面に雲と空ごと映し出されて見事。ドロミテ山塊を去る最後の日にこんな素晴らしい景色に巡り合えて後ろ髪を引かれる思いだった。
この地方はドライブするのが本当に楽しい場所だった。通常なら9月は晴天が続くはずなのに今年は天候不順で時々嵐に近い大雨が降るのが残念だった。
ドッピアーコから長い長い西方向への高速までの一般道ではトラックの後の数珠繋ぎもしばしばあって時間がかかったが高速に入るやイライラは解消される。イタリア最後のドライブインでイタリア風サンドイッチを食べたのだがこれがやたらにおいしかった。これで美食ともお別れかと思うと、ますますイタリアを去りがたい思いがしたのだった。
オーストリア国境に入ってすぐ右手の駐車場に入って停車。高速道路を走る許可証の購入のためだ。詳しい説明は「移動の記録〜ヨーロッパ(オーストリア)」を参照して頂きたい。そこからインスブルックへの道のりは最後のキャンプ場への行き方で少し迷ったものの、ガソリンスタンドの人に道を聞いてたどり着くことができた。コルティナを出た時は晴れていた空はどんよりと曇り、いつ雨が降ってもおかしくない状態だ。まずい。非常にまずい。
私たちは手早く防水シートを敷いてテントを設置しなければならなかった。とはいえ、ここ数日の雨でテントがドロドロ。防水シートやテントの掃除もしながらなので大忙しだった。
私たちの作戦はこうだ。
まず一番下に防水シートを敷く。大きさはテントの床サイズよりも縦、横ともに1m大きい。
次にテントを設営する。
そしてテントを支える支柱パイプにワイヤーを絡ませながら防水シートの縦と横に開いている穴にもワイヤーを通して防水シートでテント下部を包みこむようにする。
この計画で足りないのはかかっている屋根から下のテント内部がむき出しになっている部分を覆う防水シート。ここをカバーしないと屋根から落ちた水や横殴りの雨で内部テントにあたった水滴が全て包んだ防水シートの中に落ちてしまうからだ。
そこで現在必要なものは壁用の防水シートだった。洗濯物干し用のワイヤーはまだ予備があるので支柱パイプの上部にワイヤーを絡ませながらテントにワイヤーを巡らせて防水シートをワイヤーに垂らしてかける。洗濯ばさみがあれば尚よい。
ってなことで、防水シートに必要なサイズと洗濯ばさみの個数を推定して早速買い物にでかけることにした。
私たちが滞在しているクラネビッテンKranebittenという町はインスブルック空港のすぐ北、町の西5kmほどの場所にある。空港のすぐ南には巨大ショッピングモールがあると聞いて私たちは小躍りした。
床に利用している防水シートは素敵に完璧だが壁として吊り下げるには重過ぎる。私たちは日本で売られているピクニックシートのように薄くて軽いものを探し始めた。しかし、これがないのだ。4軒くらいスーパーマーケットが入っているのだがピクニックシートなんてどこにもない。あんなちゃっちいシートはヨーロピアンは使わないらしいのだ。それではと家具専門店に行くと絨毯しかない。そうじゃなくって・・・。
空はますます重く垂れ込めてきた。
もう片っ端からスポーツ用品店やら衣料品店までまわって最後にガーデニングのお店にたどりついた。ここには植物を守るためなどの様々な素材のシートが売られていたのだった。ここで2m×5mの透明のビニールシート4.99ユーロ2枚を購入した。私たちのテントをぐるっと取り囲むには11m必要なのだが残り1mは出入り口なのでゴミ袋を買ってガムテープでつないで扉にすればいい。洗濯ばさみとゴミ袋をスーパーで調達してついでに次のBBQで理想的なスペアリブに見ほれていたら、とうとう雨が降り始めてしまった。
急げ、帰れ!
キャンプ地に戻ってみると折角包んだ防水シートは、包まれているが故に中に水がどっさりたまって大変なことになっていた。ちょっとしたプールの中にテントを漬けている状態だ。すぐに一部ワイヤーをはずして水を吐き出させてワイヤーを戻し、買ってきたビニールシートを丈夫にとりつけてテントを完全防水にしたのだった。
ミニプール状態になっていたのでテント内にも水はしみてきているのだが、それはとりあえず室内の防水シートで押さえられているので何とか生活はできそうだった。
緯度が高くなった上に天気も悪いが、コルティナ・ダンペッツォよりは標高が低いためか気温はあそこまで下がらないのが幸いだった。寒いことは寒いが浸水の不安も解消されて、ひとまず生活を続けられるようになったので安心したインスブルック初日だった。
寒い夜が続いているので、夜は鍋。残りのパスタや真っ白なソーセージをぶちこんでとにかく煮ればおいしくなる。何よりも身体が温まるのが嬉しいのだ。
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