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2010.09.01
パドヴァへ日帰り旅行
イタリア:ヴェネツィア

 ヴェネツィアから西に40kmくらいにあるパドヴァ。現在は商工業の町として栄え、古代ローマ時代からその名が聞かれる歴史もある町だそうだ。

 車でパドヴァの町に近づくと商工業の町らしくモダンなビルも見られた。まぁ、ガイドブックには歴史的地区の写真ばかり掲載されているから、「商工業の町として活気があふれる」と活字で書いてあってもそんな記述は忘れているわけで、こうして実際に町を訪ねて、「おっと、こんな近代的なビルもあるのか」と驚いた。



 旧市街はパドヴァ駅から南側の城壁に囲まれた部分で、手持ちのロードマップには城壁ぎりぎりに公共の駐車場があるはずだったのに、朝の交通規制なのか駅から旧市街には近づけず、駅前のお高い駐車場に入れざるを得なくなった。でも、駅構内に観光案内所があるから、考えようによっては便利だ。

 さっそく観光案内所に行ってパドヴァカードについて検討した。パドヴァカードには15ユーロの48時間有効と20ユーロの72時間有効の2種類があり、市内のバス、トラム、一部の駐車場、一部有名観光スポットの入場料が無料になる他、提携の観光スポットの入場料が割引になる。車は適用外の場所に停めてしまったので使えないが、必見のスクロヴェーニ礼拝堂と市立博物館の共通チケットだけでも12ユーロするのだから、トラムに3回乗ったらもとはとったようなものになる。トラムチケットを毎回買わないでいいし楽じゃないか。ということで48時間カードを購入した。本当は24時間カードでもっと安いという選択肢があれば良かったんだけど、市当局としては「1日でパドヴァ見学は終わらないでしょう」と考えているようだった。

 スクロヴェーニ礼拝堂のチケットは隣接する市立博物館内のチケット売り場でパドヴァカードを提示すると、入場時間の刻印されたチケットとリーフレットをくれた。礼拝堂は一度に入場できる人数をかなり限って礼拝堂内を保護しようとしているんだそうだ。博物館内の通路を歩いてスクロヴェーニ礼拝堂に向かうと、礼拝堂に付属してガラス張りの部屋があって、第一待合室になっている。入場時間近くになるとゾロゾロと前の組が出てきて入れ替えではいるのだが、まず第二待合室のような場所で礼拝堂に関するビデオを見てお勉強するのだ。

 そしていよいよ礼拝堂に入場。この内部のフレスコ画は全てジョット作だそうだ。ジョットの作品を見たのはアッシジの聖フランチェスコ教会だった。

 この礼拝堂の作品は修復されたばかりなのか色合いがとても鮮やかで、有名なアッシジのジョット作品よりも美しく見えるほどだった。もらったリーフレットに簡単な解説があり「マリアとキリストの生涯」という38枚の連絡も子細に見る事ができて面白かった。

 続いてお隣の市立博物館見学。13〜17世紀のヴェネツィア派の絵画が見られる博物館ということだが、基本的に撮影禁止なので記録がない。

スクロヴェーニ礼拝堂。

礼拝堂と市立博物館のリーフレット

博物館内の作品、ジョルジョーネ作といわれる「白鳥とレダ」

博物館内の作品

 博物館に隣接しているエレミターニ教会にも入ってみた。内部に柱がなく広々とした空間で木製の天井が印象的な教会。第二次世界大戦で空爆被害を受けたが修復とガイドブックに書かれているのだが、内部のフレスコ画は被害のままおかれていて、逆に戦争の悲惨さを今に伝えていた。

エレミターニ教会

エレミターニ教会内部。

マンテーニャ作「聖クリストフォロの殉教」

第二次大戦で被害を受けた左のフレスコ画の部分解読説明

 ここまでの見学で午前中が終了。今日はお昼ご飯を持参していない。ガイドブックに紹介されていたトラットリアにでも行ってみようと思っていたのだ。大学近くの学生街にあるというトラットリア、目の前まで行ってみたけどやっぱりお昼ご飯に一人20ユーロもするランチセットというのは無駄遣いだと断念。パドヴァの大学生ってお金持ちなのかなぁ。目的を失ったけれど大学近くというのは普通食べ物屋さんがあるだろうとブラブラと辺りを散策してみたのだが、あんまり食べ物屋がないんだよねぇ。パドヴァの大学生は弁当持参で勉強に来ているんだろうか。で、やっと見つけたのが洒落た店構えのスナック屋さん。ここでアランチーニとカットピザにありつくことができたのだった。カットピザ屋がこんなに少ない町は初めてじゃないだろうか。

目指していったトラットリア。ちゃんとしておいしそうな店だったが。

ツタのからまる建物のある町。

サン・ロッコ信者会だったかなぁ。

内部は撮影禁止なんだけど、係員の女性に確認したら「記念に1枚ならいいわよ」とウィンク。話のわかるイタリア人だ。

大学のある通りは商店は多いが食べ物屋が少ない。

やっと見つけたスナック店。でも高かった。

 お腹が満ちたので、引き続き観光。パドヴァ大学は1222年開校というヨーロッパでも古い歴史を持つ大学で1500年代にはガリレオが18年間教鞭を取っていたそうだ。一部有料区域では楕円形の階段教室が見られるというのだがパドヴァカードにはここの入場料金が含まれていないので、まぁ、写真だけ見てよしとした。中庭の回廊の壁に大学の異なるデザインの紋章が飾られているのが面白い。

大学の中庭

階段教室。コロッセオみたいだ。

大学構内の壁には大学の紋章

中庭の回廊にも紋章

回廊

回廊の壁

 次にラジョーネ宮に行こうとしたのだが、入口がとてもわかりにくい。サローネとも呼ばれるこの建物は2階が見所なのだが1階が市場になっている。建物の前にもにぎやかなメルカートが開かれていて、果物屋の姉ちゃんはあっちだといい、肉屋のおっちゃんはこっちだと言う。全員いい加減で入口がみつからない。皆、本当は知らないんだろうなぁ。で、オフィスレディーのような人に聞いやっとちゃんと入口が見つかった。

 階段を上がって回廊から内部に入ると内部は体育館のようなだだっ広い場所で奥に大きな木製の馬が置いてあるだけで何も置いていない。かつては行政府の法廷として建てられたそうだ。室内には何も置いていないが壁にびっしりとフレスコ画が描かれていてにぎやかだった。この建物を出た先は市庁舎のような行政オフィスに使われている場所だったが、リーフレットに撮影されている中庭に面した部屋の扉を勝手に開けてみたら、リーフレットに印刷されている絵画が壁にかかっていた。あらら、どうしてちゃんと案内看板を出さないのだろうか。

回廊に上がる階段

回廊から見下ろした階下にはメルカートのテントが並ぶ

内部の様子。1218-19年に建てられたが、天井のアーチを描く竜骨状の屋根はジョヴァンニ・デッリ・エレミターニ設計で1306年に付け加えられた。

外側の回廊もゆったりと幅広く作られ、優雅な雰囲気。

木製の馬。

壁のフレスコ画。

壁のフレスコ画。

壁のフレスコ画。

全体図。右側の白い屋根が最初に見たサローネ。

サローネを出ると、他の建物が見える。

美しい中庭のある建物。この一角の部屋の扉を開けると・・・

リーフレットに掲載されている絵画があった。「パドヴァのカギと杖を受け渡す教区牧師」ピエトロ・ダミーニ作1592-1631年

 ラジョーネ宮の東側にシニョーリア広場があり、1300年代の大理石の柱廊、イタリア最初の時計塔が見える。その南側にはドゥオーモのある広場が続き、ドゥォーモの横に礼拝堂があった。礼拝堂はこれまたパドヴァカードに入場料金が含まれていないのだが2.8ユーロ支払って中を見学した。というのも、中から人が出てくる時にちらっと見えた内部が支払う価値ありと思えたからだった。緻密で明るいフレスコ画がみっちりと描かれて迫力の空間を作っていて、見てよかった場所だった。

大理石の柱廊。こういうのが忽然とあるのがすごいなぁ。

旧総督官邸。イタリアで最初の時計塔が1437年に再建されたもの。

気持ちの良い木陰を作り出す樹木も年代を感じる。

ドゥオーモとその右に礼拝堂。ドゥオーモはとても簡素。

礼拝堂の天井。ジュースト・デ・メナブオイ作。

礼拝堂の壁画。ジュースト・デ・メナブオイ作。

 さて、これで徒歩で回れる大学周辺の観光が終了。今度はトラムに乗って少し離れたサンタントニオ聖堂のある界隈に移動した。聖堂の前には聖具のような土産物を売る屋台が少し出ていて門前町のような雰囲気があった。ここにはイタリア中から巡礼の人が訪れるというから、
この感想もあながち間違っていないと思う。かなり大きな教会で内部には美しい礼拝堂がいくつもあるが、中でも人気を集めていたのが聖アントニオの聖骨箱の置いてある場所だろう。奇跡と幸福を求めて人々が箱を手で触っていた。

サンタントニオ聖堂、その右手にサン・ジョルジョ礼拝堂とサンタントニオ信者会

聖堂内部

美しい礼拝堂がいくつもある

聖堂内部

聖アントニオの礼拝堂に飾られた9枚の「聖人の生涯」の一枚。このレリーフがまた素晴らしかった。

奇跡を願う人、あるいは奇跡が起こった世界中の人からの手紙や写真が飾られた聖骨箱が一番の人気だった。

 聖堂の隣のサン・ジョルジョ教会の礼拝堂。これまた入場料がパドヴァカードには含まれていないので3.5ユーロ支払って中に入った。

 ここには左の若きティツィアーノによる「母の無罪を話す赤ん坊」他、1500年代のヴェネツィア派によるフレスコ画があり、ティエポロの作品もある。こうやって見るとやはり後世に名を響かせるティツィアーノは若いころから才能があったんだなぁと、他の人と比べてより明らかにわかる。

 サンタントニオ聖堂のある広場の裏手にやっとパドヴァカードで入場できる植物園があるので、ここに入って観光を終了することにした。

 ヨーロッパ最古の植物園と言われても、希少植物が多いと言われても、あまり植物に詳しくないためにその素晴らしさが充分に理解できずにくるーっと一巡して出てきてしまった。まぁ、時刻も午後3時半となっていたこともあり、これにて今日の観光は終了とした。

 パドヴァの旧市街は熱狂的で浮かれた空気のあるヴェネツィアと比べると、ずっと落ち着いてしっとりした町で、ヴェネツィアの観光と絡めると互いの良さが強調されて面白いと思った。ヴェネト州なのでヴェネツィア派の美術作品が多いのだが、マンテーニャやドナテッロなどの名前も少し出てくる所がヴェネツィアとはまた違った雰囲気を出している。ああ、それにジョットね。なかなか見所が多い町だったな。


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