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2010.08.26
ヴェネツィア観光(3)
イタリア:ヴェネツィア

 今日のメインイベントは一昨日チケット販売窓口で予約・購入したドゥカーレ宮殿の見学とシークレットツアーだ。

 ツアー開始が9時55分ということなので、朝8時15分くらいのバスに乗ろうとしたら、昨日、団体でキャンプ場に到着した東欧の人びとが大量にバス待ちしていた。チェコやスロバキアの団体旅行は、大型バスでキャンプ場に乗りつけてキャビンにチェックインして後は出発まで自由行動というパターンらしく、みんな市バスでヴェネツィアに通ったりキャンプ場で寛いだりしている。日本の団体旅行のように添乗員に連れられてあちこち見て歩くのではない。

 ヴァポレットからの朝の運河沿いの風景は相変わらず美しい。昨日、入場料が倍近くに値上がりしていたショックで思わず入るのを断念したカ・ドーロの前をヴァポレットで通り過ぎ、サン・マルコ広場を通って9時半にドゥカーレ宮殿に到着しゆっくりトイレに行ったり、中庭を見学して開始を待った。

カ・ドーロ。

サン・マルコ広場のドゥカーレ宮殿(右)と鐘塔の見える風景

 9時55分きっかりに英語のシークレットツアーがスタートした。まずは中庭の説明から始まり黄金階段をあがって総督の公邸に入るまでは一般の観光客と同じだが、シークレットツアーはそこから一般客が入れない小さな扉をくぐっていきなり表とは異なる裏の世界に案内される。表ではいかにもお金を持っているというヴェネツィア共和国の財力を誇示する華やかな世界が、裏に入ると一転して木造の天上の低い部屋、狭い廊下となった。

 ヴェネツィア共和国は16名からなる十人委員会を中心に共和国の運営を行っていたが、その会議室となる部屋もここに16人座ったらぎりぎりだろうという広さだったし、総督の執務室なんて小間使いの部屋かと思う広さだった。ヴェネツィア総督(ドージェ)というのは共和国国会で選出され、任命は拒否できず、任務は終身、報酬もそんなに高額ではなく、特権はあっても決定権はないという非常に厳しい立場だったそうだ。1000年にも渡るヴェネツィア共和国のヘッドに対してこれだけの厳しいルールを課して、権力や富がドージェに集まらないようにして、国の運営も実利本位の質実剛健だったのがこの長く続いた共和国制度の成功のひけつの1つだったことがよくわかった。

 またこの建物の中にはあのカサノヴァも収容されていた牢獄もあって、それもシークレットツアーでしか見る事ができない。機密文書を収納していた部屋(現在はこの場所に置いていないそうだが)には各国に置いた共和国の外交官から寄せられる様々な報告書が棚一杯に入っていたという。そうした報告書の中から面白い記事を取り上げた塩野七生氏の本があり、あの本のネタはここに入っていたのかと感慨深かった。ツアーに参加している人の中にはヴェネツィア共和国の歴史ファンと思われる人もいて、ガイドに次々と質問して実に楽しそうだった。

中庭の様子

同じく中庭の様子

(左)最初に通った黄金階段。ヴェネツィアを訪れる賓客に富を見せつける意味があったそうだ。(右)途中階から見た中庭の向こう側の建物。

表の世界の大評議の間。館内撮影は一切禁止だが、本当に何を見たか忘れちゃうので1枚だけ隠し撮りさせてもらった。

 シークレットツアーの後は館内の表の部分を見て回った。絵画のヴェネツィア派のティントレットやヴェロネーゼ大きな天井画がいくつもあって見応えのある場所だったが、残念なことに写真が撮影できない。写真がないと記憶がどんどん薄れてしまうなぁ。

 館内見学の途中で牢獄の見学というのもあった。宮殿にあった牢獄が手狭になったので運河の向こうに新しく牢獄を作ったのだが、裁判の結果が出て宮殿っから新牢獄へ渡る時の橋が「溜息の橋」。囚人目線で橋の内部から外を見る事ができた。

 宮殿見学を終了したのは午後1時半。シークレットツアーが1時間以上入っていたとはいえ、他の場所もボリュームが大きくて見逃すにはもったいない場所ばかりなので時間がかかった。お弁当を持ってきて途中で食べられたからよかったが、そうでないと空腹でくらくらしちゃうだろう。

 宮殿見学後は宮殿の東側を見学しようと、まずはピエタ教会、今はイタリア海軍の軍事施設となっている旧造船所のアルセナーレ、そして最後にスクオーラ・ダルマータ・サン・ジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニを訪ねた。サン・マルコ広場から東側というのは、観光客の数もがくっと減って静かな区域なのだが、見所がないわけではない。アルセナーレの界隈は何もかもが広々としていて、ここ数日狭い運河や小道ばかりを見てきた目には新鮮に映る場所だった。ここからスクオーラ・ダルマータ・サン・ジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニへは更に人が少なくなるのだが、このダルマシア地方の信者会にはカルパッチョが10年の歳月をかけて描いた「聖人達の生涯の逸話を描いた連作」が飾られているというので、どうしても行きたかった。

ピエタ教会。ヴィヴァルディが聖歌隊の指導をしていたそうだ。

アルセナーレ。世界有数の海運国だったヴェネツィア共和国の造船所だった場所。

海軍姿の男性や女性が建物内に入って行く。

ダルマータ、つまりダルマチア地方(クロアチアの一部)から来た人によって建てられた信者会の建物。(運河沿い右側の白い建物)

スクオーラ・ダルマータ・サン・ジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニのチケット。描かれているのはカルパッチョの絵画に出てくる人物だが、かなりマンガになっている。どうして絵画の写真にしてくれないのかなぁ。

スクオーラ・ダルマータ・サン・ジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニの2階。こちらが信者が集まるという雰囲気になった場所だった。カルパッチョは1階のロビーに飾られていて撮影禁止。

 スクオーラ・ダルマータ・サン・ジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニはシエスタ中で45分くらい近くの運河を渡る橋付近で待っていたが、この45分間に通りかかった人は数えるほどという静かな場所だった。入場料金が、これまたガイドブックの通り4ユーロで、これだけのカルパッチョの傑作を見られるなら納得のいく値段だ。作品はかなりファンタジックで物語性を感じる物が多かった。ヴェネツィアに来てこれまでにいくつか見たカルパッチョの作品の中では、やはり一番面白かったのがここ。カルパッチョという画家の絵が気になっていたので、来てよかった。

 帰りのヴァポレットはザッカリア停留所から乗った。ここからリアルト橋まで乗る人が多くて座れなかったが、リアルト橋以降は座れた。午後4時にリアルト橋から駅に向かって帰ろうという人はまだあまりいないようなのだ。

裏のドームはサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会。

名前はわからないが2階の絵画が特徴のある家。

パパドーポリ宮だと思われる。煙突が小さな角みたいで可愛い。

ヴァポレット前をゴンドラ通過。絵になるなぁ。

 ヴェネツィア観光3日目も終了。今日も素晴らしい美術品と素敵な風景に出会えた日だった。


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