> ヨーロッパ目次 > 詳細内容
東アジア
中国
ヨーロッパ
スペイン
フランス
イタリア
オーストリア
ドイツ
アメリカ大陸
エクアドル
メキシコ
チリ
アルゼンチン
ヨーロッパ2
スペイン
ポルトガル
ヨーロッパ3
クロアチア
ドイツ
東南アジア
タイ
マレーシア
ラオス
アメリカ大陸2
メキシコ
ドミニカ共和国
ヨーロッパ2010
フランス
イタリア
アジア2010
タイ
マレーシア
アジア2011
タイ
北米・カリブ海2011
メキシコ
キューバ
ヨーロッパ2011
フランス
イギリス
フランス2
2010.08.19
世界遺産のアルベロベッロ
イタリア:イル・カピトロ

 海沿いのキャンプ場から内陸に車で40分、世界遺産に登録されたアルベロベッロという町がある。トゥルッリと呼ばれる真っ白な壁に円錐形の灰色の瓦の屋根がかかった家が町を埋め尽くし、まるで絵本に出てくる世界のようなだ。この町はまぁ日本人には人気の場所で、私達も日本にいる時から旅行番組などで目にしているので多くの人が聞いたり見たりしたことがあるだろう。

 トゥルッリのある地区はリオーネ・モンテ地区と隣接するアイラ・ピッコラ地区に分かれている。リオーネ・モンテ地区の方がお土産物屋やレストランが並ぶ商業的な華やかな区域で、アイラ・ピッコラは普通の住宅街といった趣の区域だった。どちらも風情があってさすが日本のテレビクルーが目を付ける場所は面白いと感心した。また、トゥルッリのある場所を背にメインストリートを進むとアルベロベッロの普通の町も見学できるので、こちらにも足を運んでみた。小さな町なので2時間半で充分に見られた。

 駐車場はアルベロベッロの町の手前にあり、そこから先は住民以外は行けないようになっていた。駐車料金は3ユーロで一日中停めておけるようだった。駐車場を出た場所が青空市場になっていて、新鮮な野菜や果物がとても魅力的。ここは観光客目当ての土産物市場ではなくちゃんと地元の人のための市場として機能しているから、より魅力的に見えた。ここでまん丸い緑色の野菜を発見。これは見た事がないので何だろうと思っていたら試食させてくれた。この形でキュウリなのだ。瑞々しくておいしい。買わなくてごめんね。
 

 この市場が面している所からすぐにトゥルッリ地域になるようで看板が出ていた。世界遺産マークもばっちりとついていた。

 リオーネ・モンティ地区に足を踏み入れるとすぐにおとぎ話の中にいるような世界になった。グレーの石畳、真っ白な壁、おもちゃのように丈の低い円柱の家にはグレーのとんがり屋根がかかっている。ブルーの青空を背景に美しくも可愛らしいアルベロベッロの町並みだった。

 リオーネ・モンテ地区は商業地区でもあるのでお店がたくさんある。お店のプロモーションも兼ねてだと思うが、数軒の店では屋上に上がって景色を見せてくれるというサービスを無料で行っていた。上から見ると屋根がくっついていて全部がひと塊になっているのがよくわかる。

 今まで通ってきた道がエリアの端まで来たので、今度は一本隣の道を引き返してみようと歩くと、どうやらこの道が一番の繁華街のようでより華やかな飾り付けのお店がいくつも並んでいた。こうしてトルゥッリ地区は小さな路地をあちこちとさまよって色々な形の小さなお家を発見することにあるようだ。そんな中で、メインストリートとも言える道沿いに日本語の看板を発見したので入ってみた。

 すると、中にはトゥルッリの家のサイズにぴったりなちっちゃいおばあちゃんがいて、エネルギー値高く、自分は日本のデパートに招かれて刺繍の実演販売を数回行っている事、日本の世界遺産である白川郷にも招かれた事、いくつもの雑誌にも取材されていると写真やら雑誌やらをザラザラと見せてくれた。元気のいいばーちゃんだなぁ。「買わなくてもいいから、気にしないで」といいながら素敵な刺繍を見せてもらって、日本人だけ特別よ、と屋上にも上がらせてもらっていると思わず刺繍を買ってあげようかという気分になってくる。うーむ、商売人だ。それにしても自分の故郷を誇りに思い、それを思いっきりアピールすることで人生が展開しているという「嬉しくて楽しくてたまらん」という生き方が素敵だった。

こんなちっちゃい家もある

家の屋根に独特の表象文字があり、十字架にまつわる意味や呪術に使われる星の意味や惑星を指しているそうだ。

名物のおばあちゃん

おばあちゃんの家の屋上からのながめ

 リオーネ・モンテ地区の一番奥にはサンタントニオ教会がある。トゥルッリの屋根がついた教会で1926年設計と歴史は浅いがここまで来る間に見てきた家と同じような外観で町に溶け込んでいる。中はとてもシンプルな作りだった。
 

 さてここから出発地点に戻る道も多くの家があり、飾り立てられていてとても美しくて歩いて楽しい道だった。

 トゥルッリ地区を抜けた所からは普通のメインストリートになる。この通りの先には珍しく2階建になった富裕層のトゥルッロ・ソヴラーノがあり1.5ユーロで中を見る事ができる。解説には日本語もあってとてもわかりやすかった。置いてある家具は現在の所有者でもある一家が19世紀末に使用していたものだそうだ。真っ白な壁に洒落た家具は今でも通用しそうなものだが、いかんせん狭い。天井が低いし部屋と部屋の間は背の高い人なら頭を下げてくぐらないといけないような高さだった。先ほど会ったおばあちゃんのように、この地方の人は体が小さいのでこのサイズになったのだろうか。

これまで見てきたトゥルッリと比べるとはるかに大きい

簡単な構造図

あのトンガリ屋根の中はひたすらこんな風になっていた

 トゥルッロ・ソヴラーノの見学を終えて、町のメインストリートに戻る途中にある教会も見学。サンティ・メディチ・コズマ・エ・ダミアーノの聖所記念堂はトゥルッリとは全く関係のない建物。メインストリートの終わりにドーンとシンボルのように建っている。

 内部を見学しようと思ったら、今日は結婚式が行われていて見学はできなかった。


 アルベロベッロのメインストリートは300mほどと短いが、世界遺産のお陰か多くの観光客が歩いていて賑わいがある。今日は市も立っていて記念堂を背景に楽しい町の風景を作りだしていた。このメインストリートをぶらぶらと歩いて行き、最後に少し左に曲がった所にトゥルッリを見渡せる展望ポイントがあった。ここからあの屋根達が並ぶ様がよく見える。こうして見るとなかなか壮観だ。
 

 さて、再びトゥルッリ地区、今度は住民地区のアイア・ピッコラ地区に行ってみよう。

 先ほどのリオーネ・モンテ地区とはうって変わって観光客も少ない閑静な住宅街のアイア・ピッコラ地区は、にぎやかな装飾がないだけにリアルなトゥルッリの姿を見せてくれた。

 こうしてトゥルッリ見学を終えて、トゥルッリの屋根が見渡せる公園でお弁当。アルベロベッロは面白いが思ったよりも見学に時間がかからなかった。白人さん風にトゥルッリのカフェで長時間お茶して体に染み込むまでこの風景を満喫するというのも1つの時間の過ごし方だが、私たちはやはりちょっと日本人らしく、ここから20km程離れたマルティーナ・フランカというバロック建築があるという町を訪ねることにした。

 旧市街はとても小さなエリアでシエスタなのでまたしても人影のないひっそりとした場所だったが、いくつかの教会は確かにバロック建築だった。トゥルッリとはまた全く違う雰囲気で一日に異なるテイストの町2ヶ所を見られるというのも面白い体験だった。

 マルティーナ・フランカは高台にある。町はずれからは眼下にとんがり屋根のトゥルッリが緑の中に見え隠れして可愛らしい景色を作っていた。

 てなわけで、マルティーナ・フランカ見学も1時間程で終了。今日はちょっと早いけどこれにて終了だ。



 午後3時にキャンプ場に到着した。まだ日は高く天気もいいので、1時間ほどキャンプ場前の岩場ビーチで海水浴と日光浴。

 アルベロベッロのためにこの場所を選んだが、結局、海で過す時間が一番長くなっていた。





Copyright (C) 2008 World Mover All rights reserved