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2010.08.18 Vol.2
イタリアのキャンプ場、夏のイベント「アニメーション」とは?
イタリア:イル・カピトロ

 最初に「アニメーション」を体験したのは8月9日のシチリア島カターニアのキャンプ場での事だった。レストランとその中庭にステージがあって、生バンド演奏などをするのかなぁと思いつつも、気に入ったキャンプ地がステージ裏にしか見つからなかったのでそこにテントを張った。

 そして夜9地。信じられないような大音響がステージから鳴り響いたのだった。最初は音量の間違いかと思っていたのだが、そうではなかった。延々と1時間鳴り響く大音響は子供向けの曲で、曲に合わせて子供たちがお兄さんと踊っているのだった。そして10時からは大人のディスコタイム。これも同じく気が狂いそうな大音量で夜中の12時まで続いた。

 これがイタリアの夏のキャンプ地名物のアニメーションというものらしい。

 この後、いくつかのキャンプ場を渡り歩いたが宿泊客のほとんどがイタリア人というイタリアの足先のバジリカータ州やプーリア州の海沿いのキャンプ場ではこうしたアニメーションという夜のイベントや昼間の海中エアロビ大会などお客様サービスに余念がない。こういうサービスこそお客様に受けていると固く信じているようだった。

 そしてここカピトリのキャンプ場でも夕方からプールサイドのダンスレッスン、夜は若手スタッフ男女品評会という余興が行われていた。若手スタッフ品評会はあらかじめ宿泊客の中から選ばれた審査員の前で、ダンス披露、パジャマ姿披露、あるシチュエーションでの恋愛ロールプレイイングなどで誰が一番魅力的かを審査するという催しだった。はっきりいって素人演芸大会なのだが、それだけに客席から大きな声で野次が飛んだりして仲間内のお楽しみ大会のような気楽さがある。これがアメリカだったらプロのダンサーや歌手を呼ぶのだろうが、そういうプロをいっさい使わないのがイタリアらしいと思われた。


 イタリアだってファッションやそれこそクラシック音楽に長い歴史がありすそ野も広いのだから、そういう人材を使っていくらでもセンスのいいショーはできるはずである。それなのに、どうしてこんな素人芸能大会をどこのキャンプ場もやっているのか。お金をかけたくないという経営者側の論理だけじゃないような気がした。

 つまり、イタリア人はもう何千年もの歴史に培われた高い文化センスがDNAとして入ってきている人たちである。そういう人相手になまじの素人に毛が生えたようなショーを見せても満足されないんじゃないだろうか。それよりは大好きなおしゃべりの拡張版ともいう素人演芸大会によって気軽に自分も参加したり野次を飛ばせるインタラクティブな演芸会を望んでいるのがこの結果になっているんじゃないだろうか。

 他のキャンプ場のアニメーションではこれまた大学の演劇部のような若者が出てきて寸劇を行っている所もあった。イタリア語がわからないので全く理解できなかったが、セリフの中には歴史的な発言や演劇に使われたセリフのパロディーなどが使われているようで、観客は大喜びだった。うーむ。深い。単に単語面を追っただけではこの寸劇の面白さはわからないのだろう。ある意味、日本のお笑いにも通じている。

 カターニアでの失敗以来、ステージからなるべく遠い場所にテントを張るようにしたので、不眠被害は免れるようになった。どのキャンプ場のアニメーションもキャンプ地にいるほぼ全員が見に来ているかと思うほど多くの人が集まって夜の演芸会を楽しんでいる。イタリアの夏のキャンプ場の夜はこうして更けていくのだった。

 それにしても、どうしてアニメーションって言うのだろうか。


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