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2010.08.16
レッチェ観光
イタリア:ウジェント

 イタリアの南端に突如としてバロック芸術が花開いている場所として有名なレッチェ。ここにバロック芸術が築かれたのはスペイン・ハプスブルク家のカール5世がオスマントルコの襲来に備えて要塞を造った事に始まる。

 カール5世は現在のフランドルで生まれネーデルランドで育ったのだが、父や祖父の死によって領土を譲り受けて現在スペインのカスティージャ王となり、続いて神聖ローマ帝国皇帝となる。フランスとの度重なる戦争、宗教改革、そしてオスマントルコの襲撃と気の休まる時がない人生だったようだ。フランスと同盟を組んでいたイギリスのヘンリー8世の離婚申請が時のローマ法王クレメンス7世によって却下され、ここからイギリスがローマ教会を離反していくのだが、クレメンス7世が却下した理由が、結果としてサッゴ・ディ・ローマ(ローマ略奪)によってイタリアに大損害をもたらしたカール5世の力を恐れたためである。カール5世の人生を知ると16世紀のヨーロッパが少し見えやすくなってくる。

 とまぁ、そんなカール5世の影響でバロック建築物があるというレッチェ。そのバロック芸術がどんなものかというのが興味のポイントだった。観光に要したのは約2時間だった。

 まずはドゥオーモ広場。12世紀の教会跡を17世紀に造り直したドゥオーモとその左に鐘楼、向かいに神学校のある広場だ。

レッチェの裏通り。古いが瀟洒な建物も見られる。

神学校

ドゥオーモと鐘楼

ドゥオーモ内の木組みの天井

ドゥオーモ内部。フレスコ画のあるクーポラと主祭壇。

ドゥオーモ内部。

 ドゥオーモ広場から市庁舎のあるサントロンツォ広場に向かう途中の左手に壮麗なバロック様式の教会があった。レッチェで最も美しいとされているサンティレーネ教会だ。外側のファサードも美しいし、内部の礼拝堂の装飾も豪華。確かにこの教会がレッチェで見た中では一番美しかった。

 更に先に進むと市庁舎のある広場にはローマ時代の円形闘技場があり、今でもコンサートが開かれているらしくステージと客席が設置されていた。広場の真ん中に立つ「ローマの円柱」の上に立っているのは守護聖人サントロントォ。イタリアの各町には守護聖人がいるようで、そう言えばローマにいる時に「守護聖人の日」で祝日だから中央郵便局が閉まっているということがあった。日本の神社の氏神様みたいな感覚だ。身近に精神的に頼れる存在が欲しいのは地域を超えて人間に共通のことらしい。
 

 次に市庁舎のある広場を左、つまり北方面に進むと右手に見えてくるのがサンタ・クローチェ教会。ガイドブックの解説の筆頭に出ていて星3つが付く一番の見所である。豪華なファサードの教会を入ると、内部は先ほどドゥオーモで見たような美しい木組みの天上、礼拝堂は壮麗なゴシック装飾で飾られていた。優美という点ではサンティレーネに軍配が上がるが豪華という点ではこちらの方が豪華だった。

 レッチェには他にもジェズ教会やサンタ・キアラ教会他、小さいながらもバロック式の美しい教会があった。

 いくら多くの装飾がついているとはいえ、詳細に見て行くと天使の顔1つ、草花の彫刻1つとってもローマの足元には及ばないレベルだが、それでもこんなに南の端にバロック様式がたくさんあるのを見ると、バロック芸術のすそ野の広さを感じる。あらためてこのすそ野の広さがローマの頂点を作りだしているのかという感想も持ち、再びローマに行きたくなった。


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