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2010.08.14
マテーラのサッシ地区
イタリア:ターラント付近

 ユネスコの世界遺産に1993年に登録されたサッシという洞窟住宅のある町マテーラ。ガイドブックでは薄茶けた家並みの続く町が掲載されているのだが、そこがどういう場所なのか今一つよくわからなかった。洞窟住宅とはどんな感じなのだろうか。

 マテーラの町近くから「サッシ地区はこちら」という看板がたくさん出てくるのでサッシ地区に近づくのはそんなに難しくなかった。

 さすが世界遺産。

 駐車場に車を入れ、観光案内所でサッシ地区の地図を入手して全体を見ると、サッシ地区というのは地形の段差のある断崖絶壁の端にあり、その岩山をくり抜いて家を作っている場所だということがわかった。上の地図では上部ブルーの線が川で、茶色がサッシ地区。サッシ地区エリアの上端から川までは絶壁になっている。

 サッシ地区に入るぎりぎりまでは本当に普通の街並みだ。教会も美しいものがあって、サッシだけでなくこういう教会も観光場所になっていた。

 こういういくつかの教会を見ていよいよサッシ地区が見渡せる場所に来た。斜面にびっしりと建てられた家、家、家。壮観ではあるが、ちょっと見た目にはいわゆる中世の街並みと変わらないようにも見える。ここから階段を降りて更にサッシ地区のなかに入って見ていこう。
 

 歩いていてすぐに気付くのは平らな部分が非常に少なく、平らに見える場所もわずかにどちら側かに傾斜していて平衡感覚がなにかグラーッと揺らいでいく感覚がすることだった。狭い敷地のしかも斜面に多くの家を建てた結果こうなっているのだが、それが他にはない町を作りだしていた。

 このサッシ地区の中に昔ながらの家の内部と生活振りを公開している博物館がある。ここには日本語の説明リーフレットも用意されていて当時の暮らしぶりやサッシの人びとの歴史がよくわかった。リーフレットの説明によると先史時代から人が住み始め1950年代まで洞窟住居に実際に人が住んでいたのだが、イタリア政府の政策である時期にここから移住するようにという勧告っが出て全ての住民が移動させられたという。

入口を入るとすぐにベッドルーム兼リビングルーム

左手にキッチン、ベッドルームの奥左手になんと納屋

リビングにあるこれはトイレ?と思ったらそうではなく町に降った雨水をためて地下に貯蔵し、各家庭からこうやって井戸のように水を汲めるようになっていた。

糸つむぎと機織り

ベッドが随分高いと思ったら、下には子供用ベッドが収納されていた。

家の博物館の外はサッシの一番端。眼下には深く切りこんだ谷間が見える。

 今ではこうして博物館になったり、土産物屋やホテルとして再利用がポツポツとされ始めているようだった。それにしてもこんな風に大きな空間の穴をくりぬいた家がこんなにもたくさんあるというのは全く驚く場所ではないか。

サッシの2つある丘の1つの頂上には教会が立っている。
これも一部岩をくり抜いた珍しい造り。

教会からはもう1つの丘が見渡せた。

洞窟住居を利用した土産物屋

土産物屋に昔の生活を再現したミニチュア

実録の写真(左)、ホテルに改装された洞窟住居(右)のポスター

 住居博物館や岩をくり抜いた教会のある丘をおりて、今度は反対側の丘を見学する。こちらの丘の方が後世に造られたような教会が多かった。

 2めの丘の見学を終えてサッシを抜け出ようとする道が、細くてまるで迷路のように入り組んでいた。白く照り返す石段の道を行きつ戻りつしながらじょじょに上の町へと戻ったのだった。

 最後に見学したのはサンフランシスコ・ダッシジ教会だった。これはサッシ地区の外側にある教会。
 

 政府の命令で強制移住という終焉を迎えた歴史を知るとサッシに対して、またここに住まっていた人に対して寂しさを感じるのだが、所々に息を吹き返しつつある洞窟住居が救いでもある。この文化遺産に息が吹き込まれ、かつての活気を取り戻していくことがここの住民の願いでもあるのだろう。確かに放置して朽ち果ててしまうのは惜しい文化遺産だった。


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