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2010.08.04
パレルモ観光(2)
イタリア:イソラ・デッレ・フェミーネ

 今日は新市街と考古学博物館、プレトーリア広場の東周辺を観光した。

 朝一番で向かったのはバス停ではなくそのお隣の魚市場。新鮮な魚と出会えるのも旅の醍醐味なので、こういうチャンスは逃したくない。昨日見た新鮮な魚を食べずにパレルモを去れようか。今日も小舟からあげたてのピンピンの魚を並べた店が出ていた。ぐるりと一巡りして決めたのは鯖とカサゴ。カサゴは昨日見た時から食べたかったんだよね。カサゴ2匹が12ユーロ、鯖3匹が5ユーロだった。

この活きのいい鯖を見て!

この活きのいいおっちゃんも魅力的!

 魚をクーラーボックスに入れにキャンプ場に戻ってから、再度パレルモ観光に向けて出発だ。

 最初に向かったのは新市街にあるマッシモ劇場。1897年にヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」で幕を開けた歴史ある劇場で、今でも現役である。朝10時から毎時ごとに館内ガイドツアーがあるので是非参加したいと思ったのだ。朝10時8分に正面の鉄格子門が開けられて中に入り英語でのガイドツアー(一人5ユーロ)を買ってロビーで待機することになった。由緒ありそうな古めかしいロビーは天井が高く、ここに着飾った紳士淑女が夜のオペラに集う姿を想像するのは難しくなかった。

 ガイドに参加したのは私達とあと一家族。女性の英語はとてもわかりやすく説明もエピソードに満ちていた。撮影禁止で写真を撮れないのが残念だった。3200人を収容する劇場の正面の桟敷席はVIP席なのだが、「この席とこの劇場を有名にしたのが、あのゴッドファーザー3なのです」と言われてようやく気付いた。そうか、あの最後の場面に使われたのがこのマッシモ劇場なのだった。彼女に言われて、私たちはようやくシチリアにいるという実感が沸いてきて背中がゾクゾクしたのだった。ハリウッドの影響はたいしたものだ。

 そして建物の正面の大階段こそ、アルパチーノが撃たれた娘を両手に抱えて号泣した場所なのだった。

 館内の説明で面白かったのは、円柱形の部屋があってとても声がよく共鳴する。この部屋ではVIPが集まって密談する時に声が共鳴して外に漏れないようにしているということだった。一体どんなVIPなのだろうか。先ほどのゴッドファーザーの話と絡めて聞くと、またまたゾゾゾーとしてくるのだった。

 ということで、マッシモ劇場は思っていたよりも随分とエキサイティングな観光となった。

 マッシモ劇場からまっすぐと伸びる路地を歩いていくと考古学博物館にあたる。この路地は別に観光名所ではないのだが、2つの観光名所をつなぐ路地としてお土産物屋やレストランが並んで可愛らしくにぎやかな通りになっていた。既に用意されてテーブルに並んだお惣菜がおいしそう。
 

 16世紀の修道院を利用しているというパレルモ州立考古学博物館は中庭がとても可愛らしくて涼しげな場所だった。そんなに広くないが入場料金一人9ユーロとちょっと高かった。ここではガイドブックの解説とはあまり関係なく、心に響く作品に注目していった。変わった作品が多くて意外にも楽しい。しかし、再度言うが、これで9ユーロっての高い。

昔の石棺はエジプトのファラオの棺から進化したような形

いつの時代の作品か書かれていなかったが、とてもリアルで気持ち悪いくらいだった。

シラクーサ出土の牡羊像も有名なんだそうだ。メェェェーーー。

何だかちょっと怖いです。

紀元前550-540の作品。マンガの新キャラみたいだ。

これもかなり心に迫るキャラクターだった。

普通に美しいモザイク

 次に訪れたのは考古学博物館から数ブロック離れたロザリオ・イン・サンタ・チータ祈祷堂。この祈祷堂含め5ヶ所の祈祷堂を見学できるセット入場券が一人4ユーロだった。チケットを購入すると5つの祈祷所へのマップもくれるので、これを参考に徒歩で巡ることになる。

 ロザリオ・イン・サンタ・チータ祈祷堂は象嵌装飾の素晴らしいものもあったが、何といってもパレルモ出身のジャコモ・セルポッタの彫刻に目を奪われた。

ジャコモ・セルポッタ作「レパントの海戦」

これもジャコモ・セルポッタだろうか。

 続いてお隣のサンタ・チータ教会も見る事ができるが、こちらはそんなに見所なし。

 次のサン・ジョルジオ・デル・ジェノヴェージ教会はそんなに見所がある場所というわけではなかった。

サン・ジョルジオ・デル・ジェノヴェージ教会

途中でみかけた教会

 しかし、教会や祈祷所が林立する住宅街を歩くというのは何だか面白い。とても静かな所で住民も歩きまわってはいない(暑い時間帯だったからかもしれない)のだが、観光客や車通りの激しい場所を歩くのと違って落ち着いたパレルモの雰囲気を味わえる。そーんなにエキサイティングな事ではないが、こういうのもちょっと面白いではないか。



 さて、次のサン・マリア・イン・ヴァルヴェルデ教会はものすごいバロックの世界だった。とにかく至る所に漆喰装飾があり、その1つ1つが丁寧で天使の顔などもちゃんと愛くるしいのでずっと細かく見たくなる魅力的な場所だった。

 最後のロザリオ・イン・サンドメニコ祈祷堂には再びジャコモ・セルポッタのスタッコがあり「漆喰(スタッコ)のパガニーニ」という解説を読んでなるほどと唸るものがあった。解説を見ずに「まるでオーケストラのようだ」と評した夫もなかなか鋭い。

スタッコと彫刻と絵画で華やかな空間。

女性の大型の彫刻が大胆に配置されている。各彫刻の下に美徳のタイトル(柔和、賢明)などが付されていた。

見上げると「尻」。躍動感にあふれている。これがジャコモ・セルポッタの作品だろうか。

こちらも素敵な女性の彫刻。タイトルは「柔和」かなぁ。

 ここまで見てきて12時半も回っていることだし、ヴィチリア市場で何か美味しい物でも探してみよう。市場は午後2時くらいで閉まるので、昨日のバッラロの市場は午後に見に行ったら閑散としていた。今日はまだオンタイムなので活気にあふれたヴィチリア市場を見る事ができた。こちらの方が規模が大きく食堂やアランチーニなどを売る店も多いようだった。ここで変わった屋台を発見。「茹でダコ」屋台だ。ぐつぐつと煮えたぎる湯にタコを投入して待つ事15分。熱々の茹でダコにレモンをかけて出してくれる立ち食い屋台だった。見ていると近隣で働いている男たちが次々にやってきてタコを食べていた。ここのタコは通常女性のこぶしより小さな頭くらいなので1匹くらいは一人で食べられる大きさだった。

 それじゃ、私たちも。と1つ注文したら大きめの内臓たっぷりの奴を出してきた。そんなに大きくなくてもよかったんだが。内臓は塩辛のようで丁度いいソースになる。こんなエグイ食い物を食べられるのはシチリア人と日本人くらいだろうなぁ。しかし旨い。この大きなタコ1匹で5ユーロ。ランチの前菜くらいに考えていたのだが、もうこれでお腹いっぱいになってしまった。

 引き続きブラブラと散策していると、今度はからすみ屋台のおやじに声をかけられた。日本人観光客も多く来るようで「こんにちは、ヤスイ、ヤスイ」と日本語で言ってくる。値段は100gあたり卵巣の皮付きで13ユーロ、皮を取ってフレーク状にしたもので15ユーロだった。シチリアはからすみも有名なので欲しいと思ったがかなり高いのでちょっと答えを保留して再び散策。

 この通りにもう一度戻ってくると、先ほどのからすみ屋台のおっちゃんが近くの塩漬けマグロ屋に遊びに来ていた。これもからすみ同様シチリアの珍味で小さなスライスにレモン汁をかけて食べるそうだ。からすみ屋のおっちゃんがその食べ方を披露するから写真を撮れという。それで私も試食させてもらったのだが、とても塩気が強いが確かにマグロの旨みが引き出されていて酒の肴にぴったりだった。こんな珍味もあるんだなぁ。からすみ屋のおっちゃんは、からすみも試食してみろと自分の屋台に誘導してスライスを差し出す。シチリアではレモンと黒コショウをかけて食べるのだそうだ。うん、こちらも旨い。ということで、まんまとおっちゃんの思惑通りからすみを買うことになった。皮付きで17.5ユーロ支払ったから135g買ったことになる。少ないように思ったが味が濃いからすみはパスタや前菜で使ってもわずかな量で満足する。135gで5回くらい食事を楽しめたので、思えばそんなに高い買い物ではなかった。

マグロの塩漬け。かなり塩っぱいが旨い。

からすみ屋のおっちゃん。

皮付きからすみのスライス。これだけでもかなり強烈なコク。

おっちゃんが手にしているのは特大卵巣。私達が買ったのはもっと小さな塊からの切り身だった。

 午後からは16世紀初頭に建てられたゴシック様式の教会、ラ・ガンチャを見学しようと行くとシエスタで午後3時まで閉館。開館するまで付近を散策することにした。近くにはアラゴン時代の貴族邸宅であるキアラモンテ宮殿や植物園やシチリア州立美術館などがある。植物園は東南アジアかと思うような熱帯性の板状根の木があって観光客の注目を集めていた。

キアラモンテ宮殿の外観

植物園の大きな木

 シチリア州立美術館はガイドブックに「修復のために閉鎖中」と書かれていたので外観だけでも見ようと行ってみると、見学できるようになっていた。何と日本語のリーフレットもあり有名なフレスコ画「「死の凱旋」や「アラゴン家のエレオノーラの胸像」の他に特別展示だろうかカラヴァッジョの作品が見られたのはラッキーだった。入場料金は全面公開ではないせいか一人4ユーロだった。作品内容の素晴らしさを考えたらお得な値段だ。

優雅な中庭

どう見てもカラヴァッジョの作品。右から2番目、本人だよね。

死の凱旋。大型のフレスコ画で骸骨馬に乗った骸骨が待ちにやってくるという怖い絵。

フランチェスコ・ラウラーナ作「アラゴン家のエレオノーラ」といわれる作品。特徴のある顔立ちはどこの国の人かよくわからないなぁ。

アントネッロ・ガジーニ作「休息の聖母」1528年

左の部分拡大。顔立ちがとても上品で心地よい作品だった。

アントネッロ・ガジーニ作「若者の肖像」1498-1507年

 そして、このメッシーナ作「受胎告知のマリア」こそ、ここで見てみたかった作品だった。1473年というからルネッサンス期になる。絵画はガラスケースに入れられて、どの角度から撮影しても背景が写りこんでしまうようになっているのが残念だったが、肉眼で左右から見ると写りこみも少なくじっくりと素晴らしさを味わうことができた。

 柔らかい表情とシチリアの海と空を思い起こさせる美しいブルーのヴェールがこの絵をとても魅力的にしていた。美術館が開いていないと思って見る事はないと思っていただけに、この絵に出会えたのは嬉しかった。



 うまい具合に州立美術館見学で午後3時を迎えたので、あらためてラ・ガンチャに行くと丁度門が開いたばかりのようで、再度出勤してきた人に招き入れられて中を見学できた。ここの彫刻やスタッコ装飾の人物の顔がまたよかった。彫刻はさっき見てきたばかりのアントネッロ・ガジーニ、スタッコは午前中に見たジャコモ・セルポッタだということで、この2人は今日の観光のキーパーソンということになる。どちらの作品もパレルモに来て初めて知ったが素晴らしかった。

 最後に見ておきたいのがサン・フランチェスコ・ダッシジ教会だった。アッシジで見た気の弱そうなサン・フランチェスコの名がここシチリアまで轟いて教会を作っているというのは驚きだ。

 この教会を見たくなったのはジャコモ・セルポッタとアントネッロ・ガジーニの作品があるというからだった。ところが、今度はどんな彫刻に出会えるのだろうかと楽しみにして訪れると、またもやシエスタ。今度は午後4時開館とある。

 グラニータなど食べながら教会前でねばっていたのだが午後4時を過ぎても開かない。どうしたことだろう。しばらくしてやってきた白人バックパッカーカップルと話をしてみると、ロンリープラネットには午後4時半開館と書かれているのだそうだ。頼むよ「地球の歩き方」・・・。しかし、シエスタ4時間半って昼寝が長すぎませんかねぇ。

 私たちは田舎のキャンプ場から来ているので4時半の開館を待って見学しているとキャンプ場への最終バスに乗れなくなってしまう。悲しいことだが断念するしかなかった。シチリアは遠い。今度はいつ来られることだろうか。

 昨日、今日と2日間パレルモの町を見学した。初日はあまり面白くない町かもしれないとも思った瞬間があったが、2日目の今日は素晴らしい芸術作品と活き活きした市場に出会えてかなり充実感を感じた。さ、キャンプ場に戻ったらお魚BBQだ。


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