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2010.08.03
パレルモ観光(1)
イタリア:イソラ・デッレ・フェミーネ

 今日からパレルモ観光。キャンプ場近くのバス停から朝9時発のパレルモ行きのバスに乗る予定にしていたが、バス停の近くに魚市場があるので下見しようとちょっと早目にキャンプ場を出た。

 昨日の午後訪れた時には誰もいなかった魚市場には威勢のいい声で呼び込みをするおっちゃんたちとピッチピチの魚たちがいた。おー、やってる、やってる。今日は観光に出かけてしまうが明日は何とかここの魚を買って夕飯にしたいものだ。

 さて、バスは40分かけてパレルモ市街地の西端に到着する。今日観光しようと思っているクアットロ・カンティまでは更に別のバスで20分かかった。バスチケットは1日券(3.5ユーロ)を利用しているので気楽に乗り換えできる。そうそう、クアットロ・カンティなど観光のメインスポットを通るバスにはスリが多いので気を付けるように昨日のキャンプ場でのオリエンテーションで注意を受けていたので、この乗り換えてからのバスの中に不審な人物がいないかかなり注意していた。そのせいか、何事もなく無事にクアットロ・カンティに到着した。

 まず向かったのはベッリーニ広場。ここに面してサン・カタルド教会と隣にマルトラーナ教会がある。

 サン・カタルド教会は1160年頃のノルマン時代に建設されたというがノルマンという雰囲気よりはイスラムのモスクに似ている。中はガランとしているそうなので、外観だけ見てお終い。

 マルトラーナ教会は1143年に建設されたそうで、こちらも古い。内部はビザンチン様式のモザイクがたくさんあって、古いながらも豪華な内装だった。

ベッリーニ広場

マルトラーナ教会。古めかしい中にも豪華な装飾

美しい天井画

ここにもコズマーティ様式の床装飾。

左のモザイクが「亀のようになった総督とマリア」とガイドブックに解説されているが、「亀のように」って・・・。

ものすごい金箔使いの天井モザイク

 クアットロ・カンティとベッリーニ広場の間にプレトーリア広場がある。ここにはたくさんの彫刻が並んだ噴水があり、フィレンツェの職人がフィレンツェのある屋敷のために制作されたというものだが、フィレンツェのルネッサンス彫刻やそれこそバロックの巨匠と言われるベルニーニの作品をローマでたっぷり見させてもらった記憶が新しいので、この彫刻の前にたたずんで二人で「・・・」と無言になってしまった。確かに至る所ビザンチンだ、イスラムだという色が濃いこの町にあってルネッサンスは珍しいのだが。

 で、クアットロ・カンティに戻ってきた。クアットロ・カンティとは何かというと四つ辻という意味で、各角に彫刻が配されている。各壁面は3段に別れていて彫刻と装飾がある。

 まぁまぁ、これは「ふーんそうか」というくらいの場所だったなぁ。




 お次は少し歩いてジェズ(イエズス会)教会を訪れる。イタリアで今まで見てきたジェズ教会は「質素な教条に反して派手な内装」でいつも楽しませてもらった。で、ここはどうかと扉を開けると誰もが「ふぉー」とため息を漏らしてしまう豪華さだった。やっぱり、ここもそうか。目を向けた至る所、壁も天井も地が見えない程に装飾が施されている。シチリア・バロックなのだそうだ。第二次世界大戦で破壊されたのが修復作業でよみがえったそうだが、だからこそ又、より美しく見えるのだろう。

 ジェズ教会からカテドラーレ見学に向かう途中でバラッロの市場に寄ってお昼ご飯ようにアランチーニを購入。アランチーニはトマトライスのおにぎりの中にモツァレラチーズとトマトやミンチトマトソースなどの具を入れて衣をつけて揚げたもので、日本ではライスコロッケなどと言われている。シチリアこそその本場で、本場のアランチーニはこぶし大もあって大きい。しかもここでは安かった。お昼ご飯が楽しみだ。

 カテドラーレはシチリア・ノルマン様式ということだが、ぱっと見るとイスラムの建築物に見える。様々な外国支配の中で増改築を繰り返した結果、一番色濃く出たのがイスラム文化だったということになるらしい。赤茶けた外観と真っ青な空はキャンプ場のあるイソラ・デッレ・フェミーナのビーチ沿いの青い海と乾燥した山を想起させ、人工物なのに自然と融和している感じがする。とにかく様々な文化の断片による集合体である外観が面白く、色んな角度から見て回った。比べて、内部は割合あっさりとした作りで新古典様式だそうだ。

 カテドラーレのもう少し先には王宮がある。入口が公園側にあるのがわからなくて、まるで反対側に来てしまったので大きな王宮を半周してやっと入り口に到着した。現在は州議会堂として使われているので、見学はパラティーナ礼拝堂と一部の限られた部分だけとなる。メインはパラティーナ礼拝堂なのでここだけ見学するチケットと、その他の限定部分も見られるチケットがあった。2ユーロくらいの差だったので他の場所も見られる9ユーロのチケットにしたのだが、結果としてはパラティーナ礼拝堂だけでよかったという感想だ。

誤って来てしまった王宮の表側は州議会堂だけあってビジネススーツの集団がいた。でもこちらが正面っぽい感じ。

王宮で見学できるのはパラティーナ礼拝堂と、この中庭と地下の発掘した場所。

パラティーナ礼拝堂。もの凄い鮮やかな金色のモザイクだらけ。

中央廊から左右を見上げてもモザイク

床はコズマーティ装飾。

ここにもコズマーティが。

側廊の天井が見事な彫りこみ装飾になっていた

礼拝堂以外に見られる場所、その1は地下の発掘tされた礎石?

礼拝堂以外で見られる場所、その2は中庭の特別展示。
農家の荷車を祭用に装飾した伝統工芸。

かなり奇抜な色遣いはいわゆるイタリアンシックからは想像しがたい陽気な感じ。真ん中の頭から3本足がはえているのはシチリアのシンボル。

 ここで買っておいたアランチーニの包みを広げて公園でお昼ご飯。大きなアランチーニには具もたっぷり詰まっていて、これ1つでお腹いっぱいになる。1つ1.3ユーロだからだいたい200円くらいになるだろうか。このパレルモの市場ほど安いアランチーニはイタリアの他の場所ではみつからなかった。




 ここからバスに乗ってパレルモ郊外のモンレアーレという町に行ってみた。モンレアーレはモザイクで有名なドゥオーモのある場所で、昨日のキャンプ場のオリエンテーションでも是非行くべき場所の1つとして紹介された場所でもあった。

 王宮入口の前に広がるPiazza Indipendenzzaという公園の王宮から見て反対側にモンレアーレ行きのバス停がある。私たちは公園でアランチーニを食べてからバス停に向かったのだが、時間帯が悪くて約1時間もバス停で待つ羽目になった。バスに関する案内所が王宮側にあるので、そこで発車時間を確認しておくべきだった。私達のバスは午後1時半だったので毎時30分発だったのかもしれない。

 このバスはガイドブックに「スリに囲まれた」というレポートが掲載されていたのだが、私達も実際にそれらしい男の集団を見かけた。男たちは観光客が乗りこむ王宮前の公園のバス停からは乗って来なかった。途中の停留所に停車した時に7人くらいもの男性がバスの真ん中の扉から怒涛のように入りこんで、もの凄い勢いで人をかきわけながら後ろの扉から出て行ったのだった。ものの1分もしない出来事だったし、誰もすられたとは言っていなかったが他人のかばんに手をかけながら泳ぐようにバス内を移動するのは異常な行動だった。年は30代から40代の男性ばかりで、こんな年齢の男性が7人という大集団で行っているというのが、やっぱりパレルモは怖い町だという印象を与えた。おっさんたち、本業でやってる・・・。

 この男たちが降りてしまった後は比較的静かな旅が続いた。モンレアーレまでは約30分。小さな町の中心地の広場に到着だ。めざしたドゥーモは午後2時半までシエスタで閉まっているので、ドゥオーモの裏手の回廊がある中庭を見学したり、そこからの展望を楽しんだりした。

 この中庭の回廊も見所の一つで、228本もの円柱が中庭を取り囲んでいるそうだ。数えはしなかったが確かにいっぱいあった。

 モンレアーレは高台にある町で、この中庭の端から何と海まで見えたのには驚いた。展望テラスには大きな樹木が生えていて、木陰のベンチが気持ちいい。ドゥオーモ再開を待つ人やこの町の学生と思われる若者など、案外人が多い場所だった。



 さて午後2時半までに他の見所を訪ねてみよう。

 イタリアで一番大きいマヨルカ焼きの「十字架上のキリスト」を探して、ウンベルト通りを歩く。

 途中で教会らしき姿が見えたので左手の階段を上っていくと道はやがて右にそれて、階段を降りたら元のウンベルト通りに戻ってきちゃった。なんじゃ、そりゃ。

 そこでウンベルト通りをドゥオーモなどのある広場方面に戻ると、途中の右手に見えた。最初っからウンベルト通りをずっと歩いていれば左手に見えたのだった。





 さて、いよいよドゥオーモがオープン。祭壇の上部にあるキリストのモザイクがこんなに大きいとは予想していなかったのでインパクトがとても強かった。両脇の欄干のモザイクは、王宮のパラティーナ礼拝堂に似ていていかにも12世紀という感じのビザンチン風だった。壁の装飾の中にもイスラム風な模様があり、どことなく異国の香りがする場所だった。

 再びバスでパレルモに戻ってサン・ジョヴァンニ・デッリ・エリミティ教会に立ち寄った。アラブ・ノルマン様式だそうで、5つの赤い丸屋根がモスクを思い起こさせてアラブ風と呼ばれるのに納得する。

 今日はもう疲れちゃったし外観を見るだけで終了とした。


 1日歩いて見て、パレルモに対して今まで訪ねたイタリアの他の町と比べると明らかに違う文化を感じた。イスラム文化の影響が建物に入っている所は南スペインのようだし、人々の雰囲気はポルトガルのような牧歌的な感じがある。ゴッドファーザーのイメージで戦々恐々としていたが、驚くほど普通に生活している(当たり前だが)人々がいた。まぁおっさんスリ集団ってのは初めて目撃したわけだが。何度も思う事だが来てみないと町の雰囲気ってのはわからないものだ。


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